イラスト入り
沙野さん×座裏屋さん、と聞いたら買わずにいられようか、という事でお買い上げ。沙野さんは作家買いしている作家さまですが、めっちゃ面白かった…。
もう一度言う。
めっちゃ面白かった。
沙野さんの新刊はファンタジーもの。ネタバレ含んでいます。ご注意を。
主人公は輝土国の「神」である桐羽。
ほぼ彼視点でストーリーは展開していきます。
「神」である桐羽は人とは異なる時間軸を生きる天人で、代々の輝土国の宗主と契りを結び、100年という長い年月にわたり国の平和の維持のためにその象徴として存在し続けてきたという過去を持つ。
現宗主の磐見が亡くなったところから物語はスタート。
今までの慣例通り磐見の息子で時期宗主となる春日と契りを結ぼうとしているところに、磐見の弟である敷島から横やりが入り…。
というお話。
桐羽が「神」となった過程。
「神」に奉られた桐羽が過ごしてきた過酷な過去。
そして、敷島との対立。
さすが沙野さんというべきか、そこかしこに撒かれた伏線や謎を回収しつつ少しずつ見えてくる彼らの気持ちとか、謎解きとか、そういった展開がとにかく面白く、ストーリーに引き込まれました。
初めは対立している彼らですが、そんな彼らが少しずつ相手を知り歩み寄っていく過程に激萌え。対立している理由がきちんと存在しているために、そこを乗り越え、寄り添い、恋愛感情を育てていく過程がご都合主義になっておらず話に重みがある。
麗しいビジュアルを持ち、その存在を国のために利用され続けてきた桐羽。
武骨な軍人で、国のために心を砕く敷島。
ストーリーだけではなくキャラも非常にツボに入る男性たちだったのも高ポイントでした。二人とも、中身もかなり豪胆で男前です。
そして、座裏屋さんの絵柄が萌え度を確実に上げています。
とにかく、美しい…。ため息が出る美しさです。
ストーリーに萌えましたが、絵柄にも萌える。何もかもが美しく麗しいのです。
このストーリーは「輝土国」が舞台ですが、神を擁する国は他に二つあります(そのあたりもきちんと描かれています)。
他の二つの国の「神」の話が今後続く三部作になっているようですが、沙野さんの意向により三作品とも絵師さんが違うのだそうです。沙野さんの書かれたあとがきによると、理由は、
いろんな先生の絵で触手を拝みたい!
という沙野さんの希望からのよう。
表紙も座裏屋さんの描かれる触手で飾られていますが、触手…、GJ!な役割を担っています。めっちゃエロいです…。触手が陰の主人公と言っていいでしょう。
終盤、相手のために別れを選ぶ二人ですが、最後はハピエンで本当によかった。
何度でも再会し、何度でも恋をする。
そんな二人に幸あれと願ってやみません。
沙野作品はほぼほぼ読んでいると思いますが、この作品は個人的にベスト3に入る神作品でした。
薄幸受け。
武骨で不器用な執着攻め。
そして触手。
これらに萌えを感じる方にはぜひとも読んでいただきたい、神作品でした。
次回作も楽しみです。
この小説を読みだして、有名な「羽衣伝説」をモチーフにした作品と油断していると、意外なトラップが仕掛けられていました。沙野先生の人気作「処女執事」と同じく、ある時点で読者は思違いをしていた事に気付かされます。その時点で壮大な愛に身震いしました。それ以降物語の見方が変わってきて、あれこれ思いを巡らせました。読者によって色々な解釈や想像の出来る余地のある奥深い作品でした。
タイトルは「神の飼育」で沙野先生の作品らしく、またまた手に取りにくいタイトルですが、サブタイトルが暗示する通り、中身は今時珍しい程の純愛ものでキュンキュンしましたw
寿命の短い人間と遥か長い時を生きる天人との成就するのが困難な恋。天人視点の桐羽側の心情も切ないですが、人間側の苦悩も計り知れないものがあります。敷島しかり高角しかり…。
二人が採った別の愛の形の選択。どれが正しくも悪くもなく。二人の想いはどちらも深いものの桐羽にはなかなか伝わらなくて…。天人である桐羽が一番本能で動くタイプに感じました。愛があっても、日々本当の心情を逐一相手に報告する訳でもないので、想いのかけ違いが起こる。。愛って目に見えものでないため難しいなーと実感しました。
この物語で印象的だったのは、「宿命」の強さです。 桐羽にとっては苦しかった高角の選択の結果、巡り巡って敷島に出逢えた所がね…。しかも同じ血を引き継ぐ故、敷島も同じ様に桐羽を愛し、同じ苦しみを味わう因果が待っていて。敷島の選択は桐羽にとって満足のいくものの様ですが、敷島が亡くなった後、また因果は巡りえるのか…。色々想像してしまいます。どうしても変えられない「宿命」を考えると、とても切なくなります。
モチーフにされた「羽衣伝説」も各地で結末が違う様で、天女と人間が結ばれて子供を生んで育てる様な結末もあり驚きました。これって非現実的でありながら、現実的なエンドかも。。
沙野先生の描いた「羽衣伝説」は愛に溢れて切なくロマンチックな展開で良かったです。
イラストも素敵でした。あとがきで「裏の主役は…」と書かれていたので、「当然高角だよねー。そこがロマンチックなんだよw」と思っていると「触手です」と沙野先生らしい回答に吹き出しました。話の内容はシリアスで文章も美しいので、余計にあとがきのギャップが面白かったです。
神シリーズ三部作の一作目がこの作品だったので、当然二作目以降の期待値も上がりますし、贅沢な話です。
座裏屋先生の表紙に惹かれて読みました。
あの表紙のウネウネが、触手拷問椅子だったとは!
作者の沙野先生のあとがきによると、
こちらは3部作で全部挿絵が違う絵師さんで
全部に触手拷問椅子が出てくるですと?!
読んでみたいし、挿絵見たい!
すぐに引き込まれて、ぎゅーーーんと切なくなりながら、この先どうなるの?とドキドキしながら読みました。
天人の桐羽は、神として囚われ、歴代の国の宗主に身体をいいようにされている。
神様ではなくただ長命で空を飛べる能力があるだけの天人。(充分すごい能力)
見た目も、色白で神秘的でいつまでも歳を取らない美しさで、初代、2代目、3代目、4代目とみんなが桐羽の魅力に執着してしまってる。
飛んで逃げられないように足枷をしたり、行動できる範囲を制限したり。
部屋の入り口に内側から鍵を出来る様にして、逢瀬時に外から邪魔されないようにしたり。
次期宗主の春日は、幼い頃から桐羽が可愛がってた青年。
憧れの桐羽がもうすぐ自分のモノにってタイミングで、先代の遺言で先代の弟、敷島が宗主代理になる事に。
で、敷島めちゃくちゃ感じ悪い。
お互い嫌い同士でどうBL展開になるの?と思ってたら、嫌な奴ほど、あれ?実は違う?イイ奴?ってなっていく感じ。気になり出したら止まらないもう恋しちゃってます。
ストーリー説明難しくて書ききれないので
ここからは箇条書きで、感想を。
父よ、息子が見てるかも知れんような場所で桐羽抱くなよ。
普通の人間より寿命が長いと、好きな人と一緒にいられる時間が限られていて切ないな。
反発し合う仲って、その後惹かれあったりするよねー。
なんだ言いながら同じ寝台で後ろから腰抱きで毎晩寝るって、愛やん?
今まで歴代宗主に抱かれてきたってのが、NTR感あっていい。
敷島の桐羽への捻れた感情、これがまたイイな。
で、結局なんで触手拷問椅子使ってんのか分からなかった。読者サービスって意外に。
拷問なん?お楽しみタイムやん?椅子に拘束されて2人の繋がったところにも触手蠢いてるなんて、エロが過ぎる!(好きです)
最後どう話は落ちるの?と思ったら良い読後感でした。
他の2国の話気になるので手に入れて読もうと思います。
沙野先生は「処女執事」のみ既読で、とても好きな作品です。本作は座裏屋先生の挿絵もあって気になっていた作品。ようやく読みました。
前知識少なめの方が楽しめると思います。ネタバレレビューは読後読まれるのをおすすめします。なるべくネタバレ控えめでレビューします。
あらすじの通り、触手もののファンタジーです。三連作の一作目です(一冊で完結しています)。
受け視点と攻め視点が頻繁に入れ替わるので、人物の心情を把握しやすいです。
あらすじを読んで、敷島が桐羽に下心のある腹黒い人物かと思っていたのですが、真剣に国のことを考えている真っ当で気概のある人物だったので、ちょっと意外でした。
触手ものの小説は初めてです。触手の淫猥な動きを文章で表現するのがすごいですね。大変エロいです。
初めは二人ともお互いを嫌悪している様子なのですが、お話が進むに連れ、実はどちらも複雑な心情がありつつも、心の奥底では相手を求めていることが、徐々に明らかになってきます。その辺大変萌えを感じました。
中盤はなかなか進展しない二人の関係が焦ったくて切ないです。
まだ結ばれる前、桐羽が敷島の結婚を想像して真っ青になり、敷島がすぐ気づいて心配して運ぶシーンは、二人の想いが感じ取れて、すごく萌えました。
二人が巡行の最後に、桐羽の生まれ故郷近くの山に登るシーンがすごく好きです。月夜の二人がとてもロマンチックです。桐羽が逃げずに敷島の元に戻り、その手を敷島が握る…大変萌えます!またその後の濡れ場もとても官能的で素敵です。
後半は怒涛の展開で、先が気になって一気に読み進みました。最後までどうなるかわからない、ドキドキハラハラする展開でした。
正直触手責めはそんなに好まないんですが、触手じゃなくて敷島のものがほしいと、二人が強く求めあうシーンはすごくよかったです。
後半は特に切ない展開が続くので、最後のエピローグでは救われた気持ちになり、涙しました。素敵な結末でした。
初めは挿絵に惹かれたのですが、焦ったくて切ない恋がとても素敵な作品でした。座裏屋先生の挿絵も美しく、世界観にマッチしていました。
沙野先生の他の作品も、もっと読んでみたいと思います。
輝土・ガラ・ノイエ 三国物語のうち、「輝土国」編は、天人と人間の愛
天人の桐羽は、 輝土国創始者に騙され「神」として地上に囚われた。
足に重力増加の足枷を装着され、飛べない。
ガラスの建物に幽閉され、代々の宗主と「契り」を結ぶ儀式と称して、愛人役を強要されてきた。
桐羽を嫌う、新しい宗主、敷島に、前宗主の息子との不義を疑われた桐羽は、 触手を操る淫具で苛まれる。
だけど・・・この後、前宗主の息子の短慮な行動により、輝土国が攻め滅ぼされる窮地に陥る。
桐羽が間に入り、輝土国の窮地を助け、敷島と想いを深める桐羽。
敷島は初代宗主の記憶を持っていて、初代が果たせなかった「神の死」=桐羽を解放することを果たす。
山に登り、足枷を外して桐羽を天界に戻す。この場面が、凄く切なくて綺麗。
寿命が違う天人と人間の恋、いつか訪れる死に別れ。
でもまた生まれ変わって、必ず桐羽を探して愛し合いたいと語る敷島。
そのために、部屋の窓を開けておく、という場面が凄く沁みました。
あとがきに「星の林を渡る船」は万葉集からヒントを得たとありましたが、
万葉集要素と、ラピュタの龍の素が合体したような設定だった。
淫具で蹂躙される場面が無いほうが、読み物として楽しめた気がする。ちょっとしつこい。
でも著者的には、触手の場面が楽しかったみたい。