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初読時の記憶がなく、数年ぶりの再読。
全寮制の旧制高校を舞台に繰り広げられる学生達の恋。
バンカラで、なにかと会話にドイツ語を織り込んで(例:キュッセンしたい=キスしたい)いるところがそれっぽい気分を味わえて楽しい。
それはともかくも攻めの領家が、超〜問題児でしたね。
『若葉の戀』は受けの捷視点なんだけど、領家の印象は最悪。
だって領家ときたら基本無視を決め込んでいて、時折口を開くと皮肉しか言わない。
「なんなんだ??こいつは?!」ですよ。
デレがなくて、完全ツンツン。
後半の『燃ゆる頬』は攻め視点なんですね。
私はこの後半部分が好き。
あの時の感じの悪いセリフや心情は実はこーだった!!という種明かしが次々とされるんだけど、ほんと領家ときたら難儀な子。
あんなにツンと孤高の男みたいなポーズを決め込んでたのに、脳内はぐらんぐらんのジェットコースター状態で目まぐるしく妄想したり、落ち込んだり、焦ったりと煩悩大忙しだったのかと。
ロマンティックなBGMとともにシェイクスピア的な愛の告白を考えていたはずなのに、「好きでもないやつと素股なんかできるか!」とか、「お前に捨てられたら発狂する」みたいな脅迫めいた告白(?)しかできず‥‥
笑えます。
全寮制が舞台。時代は、昭和初期の設定。一番日本が元気だった時で、長い大戦がはじまる前。
大正ロマン風に拘った物語なので、例えば恋を旧漢字の「戀」=糸し糸しという心という字を選んでます。そして当時の流行りにこだわっていて、ドイツ語でリルケの詩とか引用が多いです。
モデルはで日本最初の七年制高校だと思う。(ここは今も男子校、難関で有名。80年以上にわたって太陽黒点の観測を続けている珍しい学校。OBに衛星ハヤブサのスタッフが居る事でも話題になっていた。)
凄く面白かった。
バンカラが善く表現されていて、オトコらしさの勘違いというか、汚い臭いが漢の勲章と言う、男子校の寮は若いオスを集めた動物園と似ていて面白い。
この著者さんは、真面目な表現なのになんとなく面白くて笑わせるのが上手です。
登場人物の内言表現の際に、心情に合う曲や詩の一節が書き添えられていて、ラフマニノフや、トッカータとフーガや、啄木の詩の一節の引用など、それを想像しながら読むと場面のBGM効果が脳内で響いて、笑っちゃって面白くてたまらなくなる場面が何度も有りました。おもしろいわー。
大真面目な場面なのに、想像しながら読むと、フフフと笑い声まで出してしまった。つい笑っちゃうから、コッソリ読めない。
眠れないときや、痛みがある時の気分転換にBLを読んで居ます。何故かハーレクインなどの恋愛ものだと集中できない。
BLだと、痛みがある時でも笑ったり夢中になれる作品が多いのですが、特に小林典雅さんには可笑しい作品が多いようなので、気に入ってしまいました。あとがきによると「ビタミンBL」と言うのだそうです。面白い。
他にも面白そうな作品があるので、読んでみます。
一つ不思議に感じたのは、主人公の父親が「古代朝鮮語」の研究者という設定。
古代朝鮮語とは、「吏語」の事だと思う。
使用していた一族が絶滅して、謎とされている言語で、官吏が用いたり、万葉集に一部残って居たり、日本の神道の祭文に使われていいのが古代朝鮮語=高句麗語だと習いましたが、面白いものを持ってくるんだな、と思いました。
雰囲気ある表紙に惹かれて手に取ったが、まず一文の長さに驚いた。一段落を読点でつなげた一文で仕上げている。数ページ読んだだけで、息継ぎができず酸欠になる気分を味わった。(音読していたわけではない)
会話文の長さも半端なく、説明調で長々しゃべるので読むのが辛い。しかも序盤で六歳の妹に向かって一ページ近くも説明セリフをしゃべっている。圧倒しているようで怖すぎて、ちょっと引いてしまった。
他のレビューを見ると典雅節?といういつもの書き方みたいだが、初読みだと六歳女児にいきなりこのセリフ量を浴びせるのは狂気じみているとしか思えない。内容も読者への説明であって、六歳に言う話じゃない。言われた妹が怖がる様子はなく、この作品世界の中では問題ない行動だと分かったが、それでもこのシーンで私と作品とで心の距離が開いてしまった。
舞台は旧制高校なせいか、設定を説明する文章がとにかく多い。文体が合わないと、もはやただの苦行。それでも一応これでどんなラブを書くのか?てとこだけは気になったので読み進めた。
文章的にも内容的にも切なさはない、たぶん。
攻めの素直じゃないキャラはなかなか好き。受けは心理描写とセリフで説明役を担わされているせいか、ところどころ言い訳がましく感じたり自画自賛になっているところが気になったり、微妙に粘着質に見えるところもあったりして、あまり好きになれなかった。たまに出る相手を押さえ付けるような言い回しも苦手。この口調は時代設定のせいかもしれないが、現代だと性格悪い人のしゃべり方になっているところがある。
全体的に受けのセリフと行動と性格設定に一貫性がないように感じた。
軸になるストーリーはどこかで見たことがある感じ。前半は受け視点で終始圧倒してくるため、攻めの内面がさっぱり分からない。やたらとキツイ言動から察するところはあっても、種明かしされた内容には肩透かしを食わされる。後半の攻め視点での補足がないと恋愛部分が成立していると言い難い内容なのもどうかと。
というか特に後半はどう読めばいいのか分からなかった。ウケ狙い?笑うところ?これが典雅節ユーモア?文章が煩すぎて酸欠で頭が真っ白よ……。
読後はとにかく疲れたな、て印象しか残っていない。個性が強く、怒涛のように襲い来る威圧的にも感じる文章に終始戸惑っていた。労力に見合うほどの斬新なストーリーでもないし、満足度は低い。
合わない。
前半はピュアで健全な受け視点なので青春の恋って感じで清涼感さえ漂っていて、これはまたかわいらしい恋のお話じゃないか。あれ?作者さん誰だっけ?と。
後半はひねくれた攻め視点。
こういうひねくれ者が恋の病に侵されるとその恋心だけは真っ直ぐに狂おしいほどで、恋の炎が竜巻のように暴走しまくっているのが面白かった。
その表現はまさしく作者様のものでした。
はじめてのベガッテンが薪小屋だし。
でも、これほどに想われたら多少重くともそばにいてやりたいと思うのかもしれませんね。
ちゃんと攻めに恋と人生の教育的指導もできる紳士な受け様。
受けの言う事ならなんでも聞きそうな感じだから、立派な紳士になったことでしょう。
この攻めの事だから生涯受けを手放さなかっただろうなぁ。
全体的には普通の純愛ものだった。
旧制高校を舞台にした男の子同士の初恋物語。
ツンとしたお坊ちゃま達が多数登場するのかと思いきや、新入生を手荒く、もとい熱烈に歓迎するストーム(襲撃)があったり、いきなり窓から寮雨を(まぁ立ちショ〇の事だ、男ならではだな)、なんて悪ふざけがあったりと先輩達が結構やんちゃだったりする。
主人公の捷(しょう)も高校デビュー宜しく、入学前から新品の制服を改造したがって母親に諫められたりな辺り、今時の高校生と通じるものがあるのかも知れない。
寮内の学生間で独逸語(ドイツ語)が氾濫している様子なんて、何だかDK同士にしか通じないような言葉の羅列だった。
以前読んだ事のある他作家さんの大正時代の旧制高校ものにもシャン、メッチェンといった言葉があったが、こちらの話はそれ以上に独逸語で溢れている。
自慰やエッチ用語まで独逸語かーい!!(^^;)
まぁ、今とさほど変わりないような当時のDKノリが楽しめるような感覚だった。
ちなみにこの話、前半が受け・捷目線で後半が攻め・領家目線となっているが、新入生で1,2を争う捷目線よりも、何かと彼に対してつっけんどんな同室のラーケン君こと領家目線のほうが断然面白かった。
領家は最初、クラスに一人は居そうな一匹狼ぶって突っ張っている子かと思っていたが、実はツンデレ君だった。
産みの母と引き離されて育った境遇から多少は繊細に…ってならなかった辺りがこれまた面白い。
更に、出逢いの第一印象からしくじって、誰にも相談できない初恋の悩みぶりが本人としては超真面目でも、読んでいるこちら側はププッっと笑えてくる落差があるのだ。
ツンデレ君でもギャップ落差があってもどちらの領家も好きになれたと思う。
二人の初エッチは初めてなんだしぎこちないのも仕方がないよね…って言う前に領家が暴走気味だったりして、君はもう寮内生活では猫被るんじゃぁない!!(笑)と感じたのだった。
是非とも最愛のリーベである捷には、これからもどんどん彼の素を引き出していってもらいたいものだ。