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3ヶ月連続で刊行される長編の第1巻です。
全生活史健忘を患う静良井真文は、ちょっとしたきっかけで記憶を喪失してしまう。突然自分の顔にも馴染みがなく、年齢すらもわからなくなってしまう彼は、それまでの経験から身体に残っている反射的な自身の反応を頼りに、自分を探しながら生きていくしかない。
何度目かに記憶障害を起こした静良井が通いつめるようになった喫茶店「カナリー」は、彼の行動範囲内にある歩道橋から際立って見える小さな洋館。美味しいコーヒーを入れてくれるマスターの中上衛が、どうやら静良井の過去と未来の鍵を握る人物のようです。
静良井の記憶喪失がもたらす残酷さが、彼に好意を寄せる周囲の人間を切なくさせます。さらに切なくさせるのは、静良井が自らの障害が彼の関係者や仕事にもたらす弊害をよく自覚していて、きちんとフォローしようと陰ながら努力していること。そこにBL要素が絡むものだから、最初から最後まできゅんきゅんしっぱなしで、この先の展開が気になって仕方ありません。でも、このドキドキ感を持続させたい気持ちもあって、悩ましいです…
巻末に「カナリー」のバイト、佐藤くんの書き下ろしが収録されていて、コミカルな幕間の役目を果たしてくれています。短いけれど、笑わせてもらいました。今後の佐藤くんの活躍も楽しみです。
砂原先生のお話に出てくる色彩感覚と、キャラクターのシンプルなファッションセンスが好きです。葛西リカコさんの繊細なイラストがストーリーを引き立ててくれて、どことなく耽美なイメージが素敵です。
砂原先生ファンに限らず、切ないお話がお好きな方にめちゃくちゃおすすめしたいです!!
雑誌『小説Dear+』で何話か読んでいて、1冊にまとまったら買おうと思っていた1冊。
が、なんてこった…!
1冊完結ではありません。
でも、めっちゃ面白い…!
BLという観点から読んでも、謎解きという面から読んでも、とにかく圧倒的な面白さ。「記憶喪失もの」はよくあれど、斬新な切り口で紡がれていくストーリーに初っ端から引き込まれました。
「全生活史健忘症」という病を抱える静良井は、ふとしたきっかけで記憶をなくしてしまう。
自分が何者だったのか、何をしていたのか。
ある朝起きたときに、今までのことがすべてリセットされ、新しい自分になっている。
何という恐怖か。
自分で病気を認識している彼は、日記をつけ、USBメモリーに様々なことを記録させている。
もともとコーヒーが好きだった彼は、おいしいコーヒーを出してくれる「カナリー」という喫茶店を知り、そこのマスターをしている中上という男と知り合いになる。記憶喪失を抱える静良井の記憶を取り戻し、そして彼の恋人「M」を探すために、共に行動してくれる中上だが…。
この作品の面白さは、静良井が何度も記憶をなくす、という点かと思われる。
積み重ねていったものが、一瞬でなくなってしまう。
そんな静良井を支えるのが二人の男。
二人の男のどちらを静良井は選ぶのか。
それとも恋人「M」は、この二人のどちらでもないのか―。
「M」探しというミステリーの側面を持ちつつ、二人の男に愛され大切にされるというBL的な面白さもある。
静良井が過去に書いた日記。
喫茶店「カナリー」でバイトしている佐藤くん。
過去に結びつくためのファクターを上手に使いながら、過去、そして今が繋がっていく。
決して薄い本ではないのだけれど、面白すぎて一気に読んでしまいました。
で、続きが来月とか…!
ええ、首を長くして次巻を待ちたいと思います。
そして特筆すべきは、葛西さんの描かれた挿絵。
イメージにぴったりで萌え度は確実に上がりました。
雑誌掲載時よりとても続きが気になっていて、最終話を読んだら読んだで、早く文庫化してくれないかなー、と心待ちにしていました。
最後まで読んだ身としては、1巻のみのレビューはなかなか難しいし、ついうっかりなネタバレをしちゃならいし…。
やっと最終巻の3巻まで出版されたので、ちょっと安心してレビューさせてもらえます。
ストーリーはすでにレビューしていただいているので、好きだー、と言いたいだけですが。
記憶障害を起こしやすい真文が、なんだか気になって訪れた高台にある喫茶店「カナリー」
雰囲気もよく、寡黙なマスターが入れるオリジナルブレンドコーヒーが好みで常連となる。
とっつきにくいと思っていたマスターの中上衛は知り合ってみればいい人で、記憶をなくす前の恋人゛M゛探しの手伝いを申し出てくれて、一緒に日記にある場所を訪れていく。
いろんな所に一緒に行って、いろんな話をしていく内に、記憶にない日記の中の恋人`M`がマスターであればいいのに、と思うようになっていく、真文のどうしようもない今の恋心に、もう素直になってもいいんじゃない、と見守っていました。
やっと気持ちを通じ合ってよかったねー、と思う間もなく真文はまたしても記憶をなくして。
雑誌2話目のお話は切なくてたまりませんでした。
読者である私には真文と中上が恋人同士になったのにってわかってるだけに、真文の記憶がないまますれ違っている2人に歯噛みする思いです。
やっと恋人になったはずの人は、記憶をなくして別の人と幸せそうに過ごしている姿を見せつけられる中上の気持ちを思うと切ないし。
でも、以前の恋人だった真文とは別人だって言われる真文の気持ちも、真文視点ですすんでいるお話なだけに切ないんですよね。
どっちも切なくて切なくて…。
とっても2巻が待ち遠しい1巻です。
そうそう、書き下ろしの「マスターの恋人を探せ」では、自分の腐女子ぶりにビックリです。
`カナリー`のバイトの佐藤君が、常連客の奥様方にマスターの恋人の有無を聞かれて探るお話。
マスターに好みの質問をしていくと、マスターの好みは、常連客で最近親しくなっている静良井にあてはまる。
そして、マスターと静良井は日曜に2人で動物園に行って、お揃いのメモブロックを買ったようだ。
ここまで読んだ時、私は゛あぁ、佐藤君に2人が恋人同士だって思われちゃったな゛と思ったんですよね。
ところが、佐藤君は全くの逆、マスターに恋人はいない、と判断していて…。
その根拠が、マスターは好みのタイプの静良井とデートの真似をするくらいもてないんだな、と。
えっ!!佐藤君、そうきたの?一緒にすんなよー。
ってか、ごく普通の男の子はこーゆー結果になるのか。これだけで2人が恋人同士だってバレるんじゃないかと心配してしまった私がすっかり腐女子思考なのか…と笑ってしまった書下ろしでした。
記憶喪失もの
静良井 記憶喪失 ライター
中上 喫茶店マスター
久遠 カフェチェーン経営者
記憶喪失で1年半以上前のことは記憶にない静良井が、親しくなった喫茶店マスターと一緒に、日記に記された恋人『M』探しをして行く過程で時別な感情が芽生えて行く。
そして、また記憶喪失を発症し気付いた時には同棲中の恋人 久遠がいた。
何があって記憶喪失?それも初めてじゃないって?
いやそもそも記憶障害になりやすい人って?
訳あり気な中上の様子から静良井の思い出せない恋人は中上?それともその兄弟とか?
などといろいろ想像しつつ読み進めて行くと、中上じゃないっぽい、でも何か関わりがあるような…
っと謎が謎を呼ぶ展開で静良井同様読み手側も混乱してきます。
なんだかみんなが何か知ってて黙ってる隠してるみたいで不安を誘います。
1巻め本編の最後で暴走した久遠の場面で終わったけれど、3巻まとめて買っておいてよかったです。
初出は、1年に渡って連載された作品ですから、次が気になって待ち焦がれたでしょうね。
相手の幸せを第一に考える中上
自分の感情に走った久遠
記憶をなくしてしまった恋人に対する思いや行動が正反対の二人の男の間で彷徨う静良井の今後は第2巻に続く。。。
とりとめのない感想を。
記憶障害持ちの主人公・静良井が、過去の日記に登場する恋人「M」が誰なのかを探す……というお話でしたが。
はぁ……つらぁ………辛すぎる。
思い通じあったのに、記憶をなくしてしまい他の男の傍らにいる静良井の姿を見なくてはいけない中上。
だから、静良井がせっかく赤いUSBに気づいて、いいぞ!と思ったつかの間……
中上の「(昔の恋人は)死にました。」という言葉に、思わず泣いてしまいました。
記憶を失った静良井を目の前にして、好きだった人は死んだと言う辛さ…
これ、もし自分だったら胃に穴があいて胃がいくつあっても足りないし、心がいくつ壊れても足りないくらいだと思います。
多分「M」は二人いて、高層マンション住まいでパーリー好きでホクロ持ちのMと、学生時代のMは違うんだろうなぁ……とか
静良井が記憶を無くしても、闇夜を照らす灯台みたいな存在でありたいと思って、静良井の好みそのもののコーヒーを用意して、じっといつか彼が訪れるのを待ってるのかなぁとか…
少なくとも静良井は中上のことを最低でも二回、忘れたことがあるんだと思うの……
あぁぁ…想像するだけで切ない…。
砂原さんはこれで二作目なのですが、この方の比喩表現ってやっぱりいいなぁって思いました。
初めて読んだ作品は、「恋はドーナツの穴のように」で、過ぎ去った恋をドーナツの穴を例えるのを読んで、なんて素敵な表現をするんだろう!!と感動したのですが、この作品でもいいなと思う文章がいくつもありました。
特に、記憶を河原の石に例えるところ。
なんかしみじみと、自分もどれだけの石を捨ててきたのかと思うと切なくなります。
色々散りばめられている謎が知りたくてページを捲る手が止まらないのですが、このセンシティブに綴られた文章を気が急いたまま読み進めてしまうにはあまりにも勿体無くて、はやる気持ちを抑えつつ味わうようにして読みました。
本編が切なさに満ちている分、バイトの佐藤くん視点の「マスターの恋人を探せ!」はクスッとできて楽しかったです。
「俺としたことが」とようやく何かに気づいた佐藤くん、と思いきや、どーしてそーゆー結論を導き出しちゃうのよ…。
そして剣道の防具袋を彼女に見立ててキスの予行練習をしていたというくだりには大いに笑わせていただきました。
窓月
まりぽん812さま
コメ返しのために、わざわざこちらにお知らせいただいて恐縮です。
本当に素晴らしい作品ですので、ぜひお手にとってみてくださいね!
ありがとうございました♡
まりぽん812
コメントをありがとうございました。いただいた記事の方に返させていただきました。作法がよく分かっていなくて、間違っていたらごめんなさいね。
こちらの作品、気になりながら未読だったのですが、レビューを拝見して読みたくなってきました。