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表題作運命の、糸はひそかに

理人,20歳,泪の心の拠り所であるパン屋見習い,α
泪,18歳,義理の家族に虐げられる領主の息子,Ω

その他の収録作品

  • この佳き日に
  • あとがき

あらすじ

唯一の心の拠り所の彼からは、甘い甘い匂いがした

美しいレースを王室に納める領主の息子である泪は、オメガという理由で父の再婚相手たちに虐げられていた。
母の遺品を壊されたある日、逃げ込んだ森で出会った男の子・理人に泪は慰められる。
十年経ってもそれは変わらず、理人は泪の心の拠り所となっていた。
そんな彼に突然告白された泪は動揺して、答えを保留にしてしまう。
そんななか、お城の舞踏会に参加することになった泪に、突然はじめての発情期がきてしまって……!?

作品情報

作品名
運命の、糸はひそかに
著者
栗城偲 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773089509
3.4

(79)

(19)

萌々

(29)

(11)

中立

(5)

趣味じゃない

(15)

レビュー数
8
得点
249
評価数
79
平均
3.4 / 5
神率
24.1%

レビュー投稿数8

後半の攻め様がなぁ……。

 栗城先生のオメガバース+yoco先生の美しい表紙、ときたら手を出さずにいられなかったのですが。

 受け様はレース編みを王家に献上している領主の息子であるオメガの泪。
病床にある父が再婚したアルファの養父と義兄2人に辛辣な扱いを受けていてまさにシンデレラ状態なのですが、オメガだから、と諦めて享受する日々を送っている。

 そんな中、義兄達から逃げた先の湖で泪が出会ったのが、アルファであるパン屋の手伝いをしている攻め様の理人。

 ここではオメガとか身分とか関係ない、と2人は友達になり、理人の存在は泪にとって唯一の癒しなる。
他にも王都で働く同年代の幼馴染もでき、実父が亡くなった後ますます辛い境遇であっても、つつましく頑張ってるるい。

健気でこんだけ頑張ってるんだから、幸せにならなきゃ。
受け様の幸せが私の幸せ、な私なので、泪の幸せがかかっている攻め様である理人が好きになれるかどうかがとっても大事な訳で。

 最初は泪がいじわるをされたらいたわってくれたり、危ない時には助けに来てくれたり、と好印象だったのですよ。
でも、大事な隠し事をしてる段階で、「好き」って告白するのはダメだわー。
先に言わなきゃいけないことあったでしょうに。

 舞踏会で、オメガのヒートにあてられて泪だって分かる前にセックスしちゃって、ないわー、ない。

 もし泪と結婚したい、と本当に願っていたのなら、オメガは王室に入れない、という慣習があるのはわかってたんだから、もっと早くから根回しや準備をしとくべきじゃかなったのー。
だから、執事があんな事したんでしょう。


 と、申し訳ないけど、理人には、後半、私的にダメだしの嵐でした。

こんなやつには泪はやれん、と言いたいところだけど、迎えに来た理人の姿を見て嬉しそうな泪を見たらよかったね、と言うしかない。

 泪が姿を消した数ヶ月間、必死な思いで泪を探し回っていたであろう理人の姿を想像することで収める事にしました。

 まだ二十歳の若造だしね、これからスパダリになって、泪をずーっと幸せにしてくれることを期待してるよ。


 イラストはyoco先生。
レースの繊細さとか、ステキ過ぎる。
子供時代の2人とか、かわいらしくて悶絶でした。



1

オメガバース版シンデレラ

作者買いです。
高評価の中、申し訳ないですが私はあまり楽しめませんでした。
本当に本当に最後のほうまで受けが不憫なんです。
私は受けにはできるだけ幸せであってほしいのです。凄く感情移入して読んでしまうので、健気だったり不憫だったりする受けが幸せになるのは好きなのですが、あまり長期間の不遇を詳細に書かれてしまうと心が痛くて疲れてしまうのです。


幼い時に母を亡くしたオメガである泪(受け)は公爵家次期当主であるにもかかわらず、後添え親子(アルファ男性同士の結婚のため、継父と兄二人)により長い長い不遇の生活を強いられます。
この不遇な生活が本当に酷くて読んでて辛かった。それにずっと耐えて耐えて耐えて、いつになったら幸せになるんだよ!と途中からはちょっと腹が立ってきました、何度挫折しそうになったか。
泪の心の慰めになったパン屋の職人・理人(攻め)の正体についても予想がついたので、次のシーンではなんとかしてくれるんじゃないかと思いながら読み続けましたが、読んでも読んでも不遇なまま。
やっとお城の舞踏会に到達し幸せになるのかと思ったら、発情期に襲われ我を失った理人に襲われ、泪が理人への恋心に気づいたと思ったら、絶望の淵に落とされるし、そのうえ理人はおぼろげにしか覚えていないしもうがっかり。
アルファはオメガの発情に理性を失うとはいっても、せめて泪だとわかった上での(途中で気づいたけど)行為だったんなら良かったのに。一応フェロモンに抗ってはいたけど結局行為に至っていたし、泪じゃなかったら大事故じゃん。

お話としてはとてもよくできていたと思うのですが、とにかく本当に最後まで泪が不憫なのがしんどかったです。
泪が唯一本音でいられた幼馴染4人組(理人やパン屋の息子の斗真、仕立て屋の礼央)のエピソードはとても和やかでこの話の中で癒しでした。
特に、舞踏会までは普通の友人として理人と泪は友人関係を築いており、理人は泪の心の支えとなっていたのに、舞踏会以降は他の幼馴染のほうがよっぽど活躍していて理人の活躍が全く足りない。
泪のことはみんな知ってたのに、王族だっていたのに、どうしてここ迄ならないと助けられなかったのか、なにか手段があったんじゃないかと思ってしまって、もやもやしまくりで、理人にスパダリ感が全然感じられなかった。

後添え親子に関しては、最後は泪を亡き者にまでしようとした継父に泪を虐め続けた長兄、最後は泪を庇おうとした次兄。
長兄は完全に自業自得なのでどうでもいいですが、次兄に関しては泪のことを好きだったのは本当だったので、上手く立ち回っていれば地位も名誉も愛する人も総取りできる1番近いところにいたのにもう少し活躍できれば良かったと思うと残念です。

そして、すべての元凶の継父に関しては、泪が最愛の人(泪の父)の愛した人に似ている憎しみもわからなくはないけど、泪の後見人として親友を信頼した泪の父親の気持ちを踏みにじる行為だとは本当に思わなかったのだろうか。
泪の父が亡くなった時点で彼の心も死んだのでしょうか。彼には心の底から反省してほしい。
(泪の父と継父の学生時代の話は小冊子にかかれています)

そして、番になった相手に勝手に身を引くように言った理人の執事も嫌味を言われるだけだなんて納得いかないです。もっと明確な制裁をしてほしかった。ベータの夫婦とは違うとわかっていながらのこの暴挙、アルファの傲慢さが現れていて本当に気分が悪い。

受けがどん底まで落ちたうえで最後の最後で幸せを読むのが好きという方にはぴったりな話だと思います。
最後には幸せになったとはいえ、どんなに長くても話の1/3くらいで不遇な時は終わってほしいと思う私にはかなりキツイ話でした。

絡みは1回。それも発情期の強姦まがいの1回だけ。ちゃんと両想いになってからのが1回見たかったです。

再読すると新たな面がみつかったり自分の解釈不足を見つけたりするため、いつもは再読した上でレビューをするのですが、今回はもう一度読みたいと思えないので浅い解釈しかできてないかもしれません。

9

おとぎ話の絵本のような

yoco先生の挿絵が絵本のようで、このお話にぴったりです。電子購入(honto)ですが、挿絵付きでした。
お話も、表紙からイメージできるとおり、おとぎ話のようなキラキラと優しく紡がれるお話です。なんとなく、布製の表紙がついた絵本をイメージしました。電子ですか、紙版を買おうかなーと思うくらいお気に入りです。

オメガバースものの、ファンタジーです。オメガは侯爵の当主にはなれない世界。領民も領主も、レースをつくり、模様は家ごとに異なっています。とくに領主である侯爵家の模様は豪華で、王家へ献上するのが習わしなのです。受であるオメガの泪は侯爵家の息子ですが、父が継父と結婚したことで、その継父継兄から不当な扱いを受けています。嫌がらせを受けたり、追いかけられて逃げた先に、攻であるパン屋の息子でアルファの理人と出会います。嫌がらせのためにお腹をすかせた泪に理人が試作品として作ったパンをあげ、その感想を伝える。そんな日々が、大人になっても続きます。

王家へ納品する必要もあるレースを作れるのは、泪だけ。泪は不当な扱いをうけても前向きで、レースづくりには誇りを持っていて、健気で好感が持てます。友人であるベータの礼央や斗真もいい子で、嫌な人はでてきますが、ハラハラしながらも友人たちとの場面などホッとできる場面があるので安心して読めました。

アルファである理人は、優しく、兄のような存在。優しくて人望がありますが、思ったよりも強い存在ではなさそうな印象でした。でも、泪に寄り添う姿は、泪にぴったりの相手だなーという印象。

キラキラしたお話、優しいお話が好きな人にオススメしたい本です。

3

ひかえめで清らかなレースのような

麗しい表紙買い。後半まですっごく好きだったんですが、最後、勝手に期待していたのと違って、はずしたーという気がしたので申し訳ないです、お話は萌。だけど挿絵があまりに麗しかったので萌2です。めっちゃオメガが蔑まれている世界ですが、受けさんが凛としていたように感じられたので、救われました。「本編210P超+後日談16Pほど+先生のあとがき」です。

お話は泪(るい)8歳の時から始まります。6歳の時にオメガであった母を亡くし、床に臥せるようになってしまったアルファの父(侯爵)。学友だったという男が現れ、見舞ううちに父はその男と再婚し、連れ子の二人(♂、アルファ)とともに侯爵家に入ってきます。病弱な父がいない時は泪のことを邪険に扱うようになり、いじめに耐えかねる時は家を飛び出して屋敷の近くの雑木林に逃げ込む泪。そこで出会ったのがパン屋で働くという理人(りひと)で・・とお話は続きます。中盤ぐらいまではシンデレラっぽく感じました。

攻め受け以外の登場人物は
継父、継父の連れ子二人、礼央(仕立て屋)、斗真(パン屋)、執事、王家の使用人等。
礼央と斗真がとても良い仲間です。

**はずしたーと思った点

理人があまりアルファアルファしていないように感じました。スパダリ感が少し弱かった、特に最後のあたり!!!!!ちがうっそこでゴリ押せよっなぜ引き下がるーーーーーーーとめちゃ怒り。
それと、なぜか櫂(継兄)が気になってしまって。泪を守るのは櫂であってほしかったなあ、ストイックな関係でよいから一生守らせてくれ等と言ってほしかったなあ、と思ってしまったのです。そして最後はちゃんと理人に引き渡すという役どころが良かった(´;ω;`)
泪は、諦観しつつも、あまり後ろ向きにはならなかったので、とても好きでした。働き者だし。勤勉大事。ひかえめで清らかなレースのような印象の子でした。(そのレースのような雰囲気が、yoco先生の挿絵にとても現れていて、うっとりです。素敵だわ、yoco先生の挿絵。)

途中とてもハラハラ心配して、きゅううとせつなくて萌え萌えだったのですが、最後の方の攻めがちょっと好きではなく、うー残念!でした。

5

運命ということばがぴったりの世界

最近読んだ栗城さんの「玉の輿」シリーズがとても面白かったので、オメガバースをどのように描かれるのか気になって、読んでみました。

私自身は運命を意識したことはありません。それだけ自由に生きてきたのかもしれません。
本作品で描かれている世界は違います。身分に加えて、第二の性(アルファ、ベータ、オメガ)による差別があり、小柄で能力に劣ることの多いオメガは、発情期に強力な催淫フェロモンを出すため、容姿と頭脳に優れるアルファを惑わすとして、世間から蔑まれています。そのため、オメガは様々なことを諦めて生きなくてはなりません。自分ではままならないことが多い世界だからこそ、オメガの主人公・泪とアルファの王子・理人が出会い、波乱の末に結ばれる物語に、『運命』という言葉はピッタリだと感じます。

運命の残酷さを感じたのが、泪がお城の中で発情期を迎えてしまい、気持ちを確かめ合わないまま、理人に抱かれてしまう場面。自分の恋心に気付いた途端、理人の身分も知ってしまい、二重に傷ついた泪のやるせなさが痛いほど伝わってきました。
継兄が意地悪をしてレースを燃やさなければ、抑制剤を飲み忘れることもなかったし、お城で発情しなければそんな悲しいことにもならなかったでしょう。でも、お城の外で発情してしまったら、もっとひどいことになっていたかもしれないし。なぜ、このタイミングで…と思わされます。

自分は理人にふさわしくないと思い込み、嘘をついて理人を遠ざける泪が不憫でした。理不尽に慣らされると、人は幸せを求めることができなくなってしまうのかもしれません。

しかし、離れてしまいそうな二人を繋ぎ留めたのも、やっぱり運命だったような気がします。理人の執事が泪に飲ませた避妊薬は効かず、泪は理人の子どもを授かります。子どもがいなかったら、泪は生きる意欲を失ってしまったでしょうし、理人と生きる幸せを受け入れることはできなかったでしょう。運命が二人に味方してくれたのだろうな、と考えたくなります。

途中までは、理人が自分の地位を捨てて泪と一緒になればいいのに、とじれったく感じたのですが、最後まで読み、そうしなくてよかったと思いました。みんなが幸せになる国を作りたい。理人のその願いがかなったなら、泪はもっと幸せになるでしょう。彼等の世界が優しく変わっていく希望に、温かな気持ちになりました。

泪の作るレースと理人が泪のために作るパンが、物語の繊細で優しい雰囲気を作っているように感じました。yocoさんのイラストがその雰囲気にとても合っていました。

6

切なく、でも温かい

作家買い。
作家買いですが、挿絵もレーターさん買いしているyocoさんという事で読む前からテンションMAXでした。

表紙が美しい…!
作中で描かれているレース、さらに王室に献上される金糸、をイメージされているんでしょうか。yocoさんの美麗イラストに加えて、さらにゴージャスな表紙なんです。

なのですが、中身はかなり痛いです。
受けちゃんがかなり過酷な日々を送っています。
栗城さんの描かれる健気受けって個人的にめっちゃ大好物なのですが、受けさんが迫害される展開が苦手な方はちょっと注意が必要かもしれません。




内容を一言で言っちゃうと、オメガバース×シンデレラ、といった感じでしょうか。

母亡きあと、父の再婚相手としてやってきた継父と継父の連れ子に苛め倒され、けれど最後は王子様によって救われる。

なのですが、さすが栗城さんというべきか。
とにかくストーリー展開の仕方が素晴らしい。

受けの泪が健気です。
「自身がΩである」という引け目と、母亡きあと身体を壊し臥せってしまった父に心配を掛けたくないと一人でいじめに耐える日々。

泪が継父と義兄に苛められているのを見ているはずのお屋敷の家臣たちが、泪の実父に何も言わないのが腹が立って腹が立って。でも、読み進めていくうちに、泪はいろいろな人たちから守られていたという事が見えてくる。

素直で、優しくて、泪の家に引き継がれてきたレース編みが上手で。
そんな泪を、周囲の人たちが影からこっそり見守ってきた。
そして、中でも泪の心のよりどころになっていたのが、パン職人見習いの理人、仕立て屋の玲央、理人が世話になっているパン屋の息子の斗真の友人たち。

正直、読み進めていくうちに理人の正体は早々に分かってきちゃうんですが、それを補って余りある萌えに満ちた作品でした。

泪を守ろうとする周囲の人たちではありますが、泪を苛め抜く継父と二人の義兄の仕打ちはかなりひどいものです。なのですが、彼らが泪をいじめる理由がこれまた切ない。

長兄はちょっと置いておいて。

泪の父親を愛していた継父の複雑な想い。
実は泪に惚れていた次兄。
もちろん、どんな理由があっても彼らがしたことは許されることではないのですが、でも、そういう行動を起こしてしまった彼らの裏側に、激しく萌えてしまいました。

次兄も。
不器用で、でも深く泪のことを愛していた彼。
次兄主役のスピンオフを描いてほしいな。幸せにしてあげてほしいです。

オメガバースというバックボーンをフルに生かしつつ、栗城さんお得意の健気受けががっつり盛り込まれていて激しく萌える作品でした。

あと、特筆すべきはyocoさんの挿絵。
これね。
yocoさんのイラストが、非常に合っているというか。
yocoさんの儚く、でも優しい作風がこの作品にぴったりで、萌え度は確実に上がりました。

泪が兄ちゃんたちに苛められて泣き、そんな泪を理人が慰める、というシーン。
もう勘弁して、というくらい萌え滾りました。

一途に受けを想い続け攻めさんと、健気薄幸受けがお好きな腐姐さまに超お勧め。

文句なく、神評価です。

7

yoco先生のイラスト通りの世界観でした

読み進むうちに大体の方は理人の正体に気がつくと思うのですが、それでもハラハラするところは栗城先生はお上手だと思います。継父と継兄(長男)の泪に対する態度はそれは酷いです。特に街の薬師が超キモいです。
泪は色々と諦めてたんでしょうね。それでも使用人や領民や幼馴染達が隠れて守ってくれていたので、実父亡き後に無事に成長出来て良かったです。第3王子(理人)のバースデー舞踏会でヒートを起こして番になるわけですが、翌朝の執事が酷いし理人は現れないし焦れったかったです。

妊娠が分かった時に継兄(次男)が、俺に任せろって言った時はまさかの身を引いて次兄との展開を想像しちゃいましたが、継父が暗殺しようとしていたとは、何処まで救いの無い男(継父)なんだと思いました。

厩番の機転で逃がされて、 王都の幼馴染の仕立屋に匿われ、無事に出産してからようやく理人登場です。
泪の継父は悪事がバレて投獄され、長兄は行方不明、次兄は遠い街で仕事をし、理人は泪を迎える為に根回しに奔走していたらしいです。

そこからは一気に結婚式当日に進みます。結婚式で誰が泪のエスコートをするかのエピソードや王都のパレードの様子は心が温まります。ようやく泪は幸せになれたのかと、あんなに泪を愛していた実父も天国で喜んでいるでしょう。

何故、継父はあれほど泪に酷いことをしたのか?また、領地のΩを酷い目にあわせたのか?、彼の口からは語られて無いので分かりませんが、ヒントになるような話しはコミコミスタジオさんの小冊子に書いてあります。

結婚式後のお話かと思っていたら、まさかの学生時代の泪の実父と継父のお話でした。泪の実父はαなのに小柄で身体が弱くて、容姿も性格も天使そのものです。泪の容姿は母親に生き写しらしいですが、性質は父親譲りだと分かります。お城の舞踏会で会った紳士が言っていた通りです。

まとまりの無いレビューですいません。本当におとぎ話でした。

10

ホロリと来ちゃうんですよ

こちら、おとぎ話風BL+オメガバースになります。

健気で不憫な主人公が、王子様と幸せになる・・・。
そんな、優しいおとぎ話の世界そのものの、切なくも最後には幸福感に満ちた物語。

また、yoco先生のイラストがですね~、超絶世界観にぴったりでして!!
作者さんもあとがきで書かれてますが、表紙がこれ、金色なんですよね。
繊細なのに、華やかでロマンチックです。
実は私はですね、小説の本文にばかり意識が行っちゃって、イラストは二の次になっちゃう傾向がありまして。
それが今回、あまりに世界観にぴったりの美しいイラストで、何だろう・・・。
相乗効果で、より萌えたと申しましょうか。
だって口絵カラーなんかがもう!!
読み終わった後に見直すと、ホロリときちゃうんですよ!!!
まぁそんなワケで、私が言うまでも無い気はしますが、イラストにもぜひご注目を。



内容ですが、おとぎ話風BL+オメガバースです。
領主の息子でありながら、義理の家族に虐げられているオメガの泪。
義兄に苛められ逃げ込んだ森で、パン屋見習いの少年・理人と出会い、傷付いた心を癒されます。
そして10年後-。
実の父親が亡くなった事から、より酷い境遇に置かれている泪。
心の拠り所となっていた理人から告白されて戸惑い-・・・と言うものです。


これ、主人公である泪がですね、かなり不憫だったりするのです。
領主の息子でありながら使用人のように扱われ、またどうしようもない義兄が事ある毎に泪で憂さ晴らし。
更に、泪によこしまな目を向けている薬師には(義父に売られて)犯されそうになる。
なんかしょっちゅう平手で殴られてまして、ここまでビンタされてる受けは珍しいんじゃ無いかと。

ただですね、代々領主達に受け継がれている、レースを作り王家に献上する仕事。
これが泪にしか出来ないのですが、そのレース編みが大好きで誇りを持ってやっているのです。
また、その仕事を通して、仲間達を得てもいる。
そして使用人達は影ながら泪の味方。
そんなワケで、不憫な境遇ながら、ある程度は読者としても安心感を持って読んでいられる感じですかね。
まぁ、妙に達観してると言うか、全てを諦めてるような彼の言動は痛々しくて仕方ないんですけど。

で、そんな泪と出会い、常に味方となって支えてきた理人。
傷付いた泪に対する、彼の男前な言動が萌えさせてくれるんですね~。

パン屋の見習いである理人が、ろくに食事も与えられなくてお腹を空かせている泪の為に、いつも自分の焼いたパンを持ってくる。
「練習で焼いたやつだから」とか言いつつ。
で、泪はレース編みでハンカチを作って理人にプレゼントみたいな。
泪の辛い毎日の中で、理人との時間が唯一の安らぎであり、心の支えなんですよね・・・。
理人がいるからまだ頑張れると踏ん張る主人公に、なんとも切ない心地にさせられたりして。

で、そんな中、実はずっと好きだったと理人から告白される泪。
更に領主の息子として参加せざるを得なかった舞踏会で、初めての発情期を迎えてしまうー。

ただの幼馴染みとして共に過ごしてきた、理人の本当の正体。
また、自身の身体に起こる変化に気付き、強い決意をする泪-。
なんかもう、泪の健気過ぎる行動に、切なくて切なくて(´;ω;`)
あと、泪の義兄である櫂。(二人居る義兄の一人で、アホじゃ無い方)
彼の最後の最後に見せた、初めての真っ直ぐな言動に、なんか萌えちゃったりして。
まぁ、好きな子を苛めるのは、小学生くらいまでにしといて欲しいですけど。

理人の前半での男前ぶりに反して、後半ではちょい情けなくてイラッとする部分はあったりします。
あとこれ、もっと早く泪を助けてはやれんかったんかい!!と不思議でもあったりする。

が、全体的にはとても好みの作品ですし、結ばれた二人のあまりの幸福感に満ちたシーンなんかに、こちらも幸せな気分になるのです。
やっぱおとぎ話の結末は、めでたしめでたしじゃないとね!!と。
栗城流、おとぎ話を存分に楽しめました。






11

この作品が収納されている本棚

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