尾上与一さんのレビュー一覧

天球儀の海 小説

尾上与一   

評価に苦慮しました

復刊されたこのシリーズ、元は本書が1冊目だったのですね?
復刊が刊行順でないのにはどのような意図があるのか気になるところです。
前作(本当は前作ではない……)「蒼穹のローレライ」とは時代は同じですが、直接のつながりはほぼありません。衛藤新多大尉は両方に出ていますが、片やラバウル、こちらは日本が舞台です。
由緒ある大家の跡取り息子の身代わりとして、他家の末子を養子にし、特攻に出す。
大家の家…

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蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

大切な一冊になりました。

噂に違わぬ素晴らしい作品でした。
お書きになった尾上先生、最初に刊行された蒼竜社HollyNovels様、復刊してくださった徳間書店Chara文庫様には心からお礼を申し上げたいです。読ませてくださってありがとうございました。
と、ここまで書いて、胸が一杯で手がとまってしまいました。言葉で表すのは難しいです。
生まれた時から瞳の色が青灰色で、家から出せないと隔離されて育った塁が、横領の濡れ衣を…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

何という愛情

尾上先生の作品は、情景描写がとても美しいと思います。花降るシリーズは、匂いや温度湿度も感じられる気がします。
このシリーズも同じく、油の匂いや南国の湿度とジリジリする日光、日本の冬から春の空気の移り変わりを感じます。遮光された戦中の家の昏さとか。
執着溺愛攻と健気受の20年愛ですが、2人の生きた年代が大戦中という…
死こそが美とされていた時代と思想の中で、ひたすら愛する人を生かしたい、生きる…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

そうかぁ……

復刊2作目、1作目既読です。

子供の頃の一度の邂逅、初恋がすっと入ってくるかどうかにも寄るかなと思いました。
5歳の頃に命を救われた名家の坊ちゃんが好きで、お役に立てるならと特攻の身代わりを引き受ける。

希の父が天文学者だということ、右手にホクロがあることの設定が効いていてなんともロマンチックです。

希視点で描かれるので、資紀がなぜ冷たい態度をとるのか、ひどいことをするのか、が…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

覚えていそう

シリーズ買い。いつまでも覚えていそうだなと思うし神と思う部分もあるのですが、ちょっと痛すぎてしんどかったので間を取って萌2にしました。本編230Pほど+後日談2編25Pほど+書き下ろし18Pほど。痛いのは苦手なんです、ごめんなさい。

地元の大地主であり、政治家、当主は海軍中佐という家である成重家からの極秘中の極秘の依頼を受けた希(ゆき)。その依頼とは成重家の養子となり、長男資紀(もとのり)の…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

No Title

旧版既読。
結末も知ってるし坊ちゃんの人となりも知ってるけど、それでも毎回心痛くなる。
そして坊ちゃんの愛の深さに泣く。
1945シリーズの中でも個人的には一番のインパクトのある作品。
そして数々のSSや同人誌を読みにんまりするのもこの作品の楽しみの一つ。
作品中出てくる希の兄の恒がここでも愛ゆえにかなり鬼畜w 
牧先生の新しい希のイラストも堪能して終盤のイラストにもほっこり。 
お…

5

天球儀の海 小説

尾上与一   

愛の欠片をひとつずつ拾い集めて

たった数年。されど数年。
激動の難しい時代に翻弄された人々の生きざまと、重みのある愛が描かれたシリーズだと思います。
今作も非常に読み応えありでした。
尾上先生の、情景が頭に浮かぶ細やかな描写が好き。

内容的にも、時代背景的にも、読んでいて楽しい気持ちになるお話ではないんですよね。
新装版2作目となる今作は、個人的には1作目と比べると少々展開にとっつきにくさを感じながら読んでいたので…

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『天球儀の海』1945シリーズコミコミスタジオ限定連作SSフェア小冊子「とりのはなし2 琴平希」 特典

今生きている幸せを噛み締めて

本編終了後、攻めの資紀視点のお話です。

小倉の街を二人で歩きながら、青空を見上げて「そういえば何時間ぐらい飛行練習をしたのか」と尋ねる資紀。それに対する希の答えは驚くべき物でーー

と続きます。

飛行練習時間300時間で半人前、それから100時間プラスで実地練習を積めば、なんとか搭乗員として列機につくことができる。

…あまりにも遠く、実感の湧かない世界だけれど、希の答えに資紀…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

あなたは私のシリウス

こんなにも壮絶な愛の物語を、初めて読んだ気がします。

資紀が初めて優しく希を抱いた、その直後の壮絶なシーン。
仕事帰りに電車の中で読んでいて、思わず「え」と声が出て、力が抜けていくような感覚に手が震えて。。

走って家に帰り、たった今読み終わったけど。
読み進めれば進めるほど、資紀の計り知れないほどの愛が感じられて、泣かずにはいられなかった。。

希にひどく冷たく当たったこと、希…

6

冬色ドロップス 小説

尾上与一  さがのひを 

ドロップス占いがこう利いてくるのかと。

高校の同級生同士のピュアラブを数年にわたって追う物語ですが、タイトルどおり大部分が冬の話です。

学生らしいささやかで素朴なお付き合い。一緒に共通の友達を待つとか、相手の家で一緒に友達を待つとか、クリスマスにちょっと背伸びしてプレゼント交換をするとか、大概の恋愛物語だったら一回こっきりしか描かれないものを、何度も描いてくださることに斬新さを感じました。同じイベントを通して二人の成長や愛の深まり…

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