crystさんのレビュー一覧

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

名作でした

レビューでの高評価を見て、夏の塩と合わせていつか読まねばと思って購入。装丁とボリュームから、これはしっかり態勢を整えてじっくり正面から読むべきだろうと、準備ができるまでお預けにしてから一気に読みました。

夏の塩は色とりどりのざわめきという印象に対し、こちらは終始静かで透明な水の印象でした。夏の昼下がりに遠くに喧騒が聞こえる奥まった場所で、建物の壁に水の波紋がゆらゆらと光を反射している中にたた…

1

夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

そっとしまっておきたい

なんと言っていいかわかりません。
興味深い、感動するようなお話を読むと、その感動を語りたくなるものだと思っていました。
この作品を読んで、逆に何も言いたくないということもあるのだなぁと知りました。
あらすじも分析も感想も、何も言いたくないのです。
不安定な器になみなみと入った透明な水を受け取った気分です。それをこぼさず波立てず、そのまま奥深くにしまっておきたい。そんな気持ちになりました。

4

月影 コミック

SHOOWA 

感涙。

ご本人、闇鍋本とおっしゃってますが、いやいやいやいや。神以上の評価をつけたいくらいの傑作です。

どれもかなわぬ恋がテーマだったのではないのでしょうか。まさしくタイトル通り、決して手に入らない月影のように。
読み終えた後、無性にベートーベンが聴きたくなりました。

手に入らないからこそ焦がれる。そこに生まれる迷いや戸惑いや焦燥、揺れ動く葛藤が照れ隠しのようなぶっきらぼうな線で恥じらいなが…

12

犬ほど素敵な商売はない 小説

榎田尤利  志水ゆき 

さみしくてさみしくて気が狂いそうだったので、

犬を飼うことにした。

この一文だけのページから始まります。
たったそれだけでこの世界を理解させて引き込んでくる。すごいことしてくれますね。
同時に、このページを破り取って持ち歩きたいと思うほど撃ち抜かれてしまいました。
榎田作品全制覇を目指すことが決定した瞬間でもあります。

やばかったです。久しぶりにこんな突き抜けた萌えを経験しました。・・・はぁ。神様ありがとう(泣)

確か…

8

渇仰 小説

宮緒葵  梨とりこ 

いっそすがすがしい

何事も極めることに意味がある、とでもいうんでしょうか。

いろいろ気になるところはあるんですけど、達幸の突き抜けっぷりにねじ伏せられてもう笑っちゃう。達幸の周囲の人々もきっとこんな気持ちなんじゃないでしょうか・・・(特にマネージャーさん)。
達幸(というか宮緒さん)、「犬」を極めてしまいました。これ以上の犬はもう現れないんではないかと思うほどの、キングオブ犬です。
なぜ明良?とか、なんでほ…

3

倒錯者Aの告白 小説

綺月陣  榎本 

続編「~功罪」を挟んで2度読むべし

なんかもういろいろツボでした。

過去に運命的な出会いをした東間と嵐の恋は、最初のボタンのかけ違いから壊れてしまっていました。東間の罪悪感と嵐の無邪気な欲望のまま、どこまでも転げ落ちてゆく予感におののいた東間は嵐から逃げ出してしまいます。
しかしその後も東間は罪悪感からは逃げられず、あてどもなくさまよう日々。
腐りながらも元来の正義感を捨てきれずにいた時、突然嵐と再会します。
嵐は東間を…

3

SEX PISTOLS 8 コミック

寿たらこ 

ヴァルネラがんばれ

引き続き人魚編です。
1000年に一度の成人式を終え、国政とヨシュアの動向に変化が。前巻で階層とはファイアウォールだとマクシミリアンが言ってたことが響いてきているようです。
まだ伏線なのでどうなっちゃうのか楽しみなところ。

そしてヴァルネラと志信。なんかこのカプ、一番純粋ではかなげで好きです。やっと再会できた!と思ったら、まだ駄目だったみたい・・。この二人のハッピーエンドを早く見たい!ヴ…

7

春を抱いていた(14) コミック

新田祐克 

リアルタイムで読めなかったことが本当に口惜しい

現在新田祐克祭り真っ最中のねじが飛んだたわごとですので、ご注意を。

BLを読み始めたのは最近のことなので、今更全巻そろえて読みました。読んでいるうちにどんどんはまってしまい、なぜ手に入りにくくなっているのかも知りました。

14巻の初出一覧を見て、ページ数のほぼ半分を占める「ライフライン」が描き下ろしであることを知り、またカバー見返しの作者の言葉にこみ上げるものがありました。

誰が…

4

春を抱いていた(5) 新装版 コミック

新田祐克 

冬の蝉!

冬の蝉!春抱き5巻と言えば、冬の蝉ですよ。
香籐と岩城の前世編と銘打ったこの幕末の悲恋にもう、涙止まらず。

腐ってから日が浅いもので、やっとこの名作にたどり着きました。・・・リアルタイムで追いかけたかったなぁ・・・(くっ!)
レビューが少ないのは、きっともう語るまでもない、BL読みなら押さえておいて当たり前、ということなんでしょうね。

私なんぞのつたない言葉で何かを語っては申し訳な…

1

春を抱いていた ALIVE(1) コミック

新田祐克 

神シリーズ再開

もうね。好きすぎて、賛辞ならいくらでも出てきます。

これを読むためにシリーズ全作揃えて読みました。言わずと知れた名作を一気に読めて、とても幸せでした。頑張って揃えてよかった♪

順風満帆なカップルをただ見せられても、感動はないしマンネリに陥るところ、春抱シリーズにはそれがない。ストーリーが面白くて、見せ方もうまくて気が付くと引き込まれてしまいます。登場人物だってこれだけ長いシリーズになれ…

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