Sakura0904
軽快なラブコメが多い木下先生ですが、こういうしっとり読ませるタイプの物語もラブコメに引けを取りませんね。家が隣同士のてっちゃんと宙。2階の窓から行き来するほどの仲は創作ではまあまあよく見るけれど、宙の家庭は複雑で。虐待まではいってないし、しっかり働いている父親だけど、宙を理解する姿勢は微塵もなく、自分の考えを一方的に押し付けて子供の言葉は意に介さないタイプの親。今風に言うと、毒親という感じでしょ…
◆番人(表題作)
そ、そこで終わるんだ…という衝撃を与えられながらも、嫌な感触ではなく良い意味で読者に想像の余地を持たせてくれる作品でした。表紙の美しい男・霞に献身的に仕える加納と、霞の兄で好き勝手な言動が目立つ胤彦。でも、胤彦視点なのもあってか、不思議と彼に感情移入してしまうんですよね。あくまで彼目線でしか見れない、加納という男と、加納と霞の関係性。胤彦は明らかに加納を意識していたようだけど…
◆キス・シロップ
これは受けが本当に可愛かったです。19歳って未成年だけど高校卒業した歳だから、皆背伸びして大人ぶりたい年頃なんじゃないかと思うのですが(大人から見れば可愛いものですが)、亮司はそういう空気をまったく纏っておらず、とにかく素直な子なんですね。双子の兄の方なのに、弟より純な感じも可愛い。既に同じ部屋に男を連れ込みよろしくやっている弟を最も近い所で見てきて、自分の性的対象に悩む彼。…
この作品は過去守られるべき時に大人に守られず、その苦痛を抱えたまま生徒を襲った山田がどのように救済されていくかがテーマだと思っていたけれど。単純に、渚という中学生に救われるわけもなく、渚もまた狭い島の中で雁字搦めになった未熟で大人への反感を持った子供であり、2人だけが病んでいるように見えても、彼らが病むきっかけを作ったのは周りの思慮の浅い大人達なのだということを、この3巻ではっきりと突きつけられ…
◆Boys On The Love(表題作)
何この受け可愛い!と思わず悶えてしまうくらい、受けの司が愛おしかったです。表紙の右の人物で、細い目と刈り上げた髪が特徴的な司。ヤンキー受けってツン多めの意地っ張りな子が多いと思うのですが、司は喧嘩は強いけれど性格は繊細で自分の弱みをよく分かっているんですね。そして、同じくヤンキーで昔から自分を守ってくれたハルミをとても大切に想っていて。初めてハルミ…
可愛らしくてちょっと淫らな青春BLかと思いきや、中盤に進むにつれて結構シリアス? ダーク?と思わされ、でも結末はやっぱり純愛、みたいな作品でした。おまる先生の読ませるストーリーとしっかり両立しているエロが元々好みだったのですが、この作品でそういうジャンルのBL作家さんとして私の中でさらに地位が上がりました。生々しい濡れ場の描写と、メイン2人の高校生らしいやりとりとにギャップもあって、そういう点で…
男子高校生とバレエの組み合わせ、とても素敵でした。バレエ公演を実際に観に行ったことはないけれど、ドキュメンタリー映画や公式が動画サイトに上げている公演や演技は観たりします。元バレリーナ芸人さんの動画で解説を聞くのも好きです。でも、バレエ科のある高校の存在は初めて知りましたし、コンテンポラリーについてはまだまだ知らないことも多い。さらに、公演を観る時は女性ダンサーにばかり目がいきがち。そんな私にと…
noji先生のタッチ、キャラ作り、小物や小ネタ、脇役の挟み方がとても好きだなぁと感じられた作品でした。綺麗な線なんだけど、どこか柔らかくって味がありますよね。探偵事務所が舞台なのでシリアスな場面とかもあるのかな?と思いましたが、時々怖い事件に巻き込まれることはあっても、基本的には穏やかで面白い日常が続く流れなので、癒されつつ笑わせてもらいました。
序盤からフミに迫る姿を見せる年下の狼。こ…
丹下先生の恋インシリーズ以外での初単行本化ということで、とても楽しみにしていました。セレブの世界観のためどうしても恋インがちらつくのも分かるのですが、丹下先生に関してはこういう世界観、受けを溺愛しているor溺愛する予定の攻め、すれ違いも当人達にとっては深刻だけど読者からすると見え透いていて安心できる程度、というのがもはや様式美として確立されているのだと思っています。丹下先生の限界を感じたという読…