Sakura0904
シリアスだったりミステリーだったりファンタジーだったりいろんな要素が詰まった作品なんですが、最初から最後まで一定のテンションで描かれているところが好みでした。極度に緊張したり不安を感じたりすることなく、とにかく穏やかに落ち着いて読めるんです。高橋先生のこの独特な描き方が好きだなぁと。
事件の真相は思ったよりもシンプルでした。被害者にもたとえば生前に犯人を煽るようなことをしていた経緯があっ…
高橋先生のBL既刊は『雪と松』だけだったので、現代の物語を描かれたらどんな風になるんだろう、ととても楽しみにしていました。線のしっかりした味わいのあるタッチは時代物によく合うなと思っていたんですが、現代の物語にも違和感なく馴染んでいました。人物に温かみを感じ、どこか幻想的な雰囲気も感じられる、そんな作品でした。
殺人現場に残された被害者の残留思念を感じ取ってしまう体質の朝子。刑事になって…
エイプリルフールにつかれた嘘を1年も信じ込む、というなかなかないであろうきっかけから始まる恋なんですが、京山先生の手に掛かると不思議と非日常的、夢物語的な空気が一切ない、とても現実味のある作品になるんですよね。1年間音温が自分に気があると信じていた間の雷悟の心情、それが嘘だったことを知ってからの心情、そして、1年間雷悟が自分に狙われていると思いながらもあからさまに態度を変えなかったことを知った音…
いろいろ道具を使うような本格的なSMじゃなくて、言葉責めなどで相手を恥ずかしがらせるようなプレイがメインのSMが読みたい、という気分の時にぴったりの作品。生温いわけでもなく、受けにノーパンでゴムを買いに行かせるなど、刺激強めのプレイもあります。さらに部下×上司という組み合わせなので下剋上要素もあり、これらの要素が大好きな私にとっては最高でした。
野田が会社では隙を見せない厳しいタイプであ…
2人の関係を知った周りの人間に反対されている中で、歌舞伎も相手のことも諦めずにどう生き抜いていくか。それを模索する巻でしたね。源介は誰に何を言われようと、惣五を手放さないというブレない強い意志がある。そこに、歌舞伎を続けながら周りに何も言わせないようにするにはどうすべきか考える惣五の行動力が加わって、この2人なら新しい道を切り開いてくれるだろうという希望を見せてくれます。
今回は惣五の祖…
誰もが知っている童話をモチーフに、えすとえむ先生ならではの低温度で新たな物語が展開していくのが面白かったです。といっても、一部だけなぞらえるわけではなく、最初から最後まで結構童話に寄せています。
◆赤ずきん
そういえば元の童話もよく考えると殺伐とした話だよなぁ、というのを思い出させてくれました。狼を老女の遺産目当ての詐欺師に変えたところがなんともユニークで面白い。赤ずきんは狼に喰われて…
いやあ、良い読み物に出会えました。ウノハナ先生と時代物の相性が、ここまで良いとは。なんといっても、鷹彦のふらふらした感じが魅力的ですよね。浮気性な攻めは好き嫌いが分かれやすいと思いますが、鷹彦にとって葵とそれ以外の人間では決定的に違いがあることはすぐ察せるので、私は気になりませんでした。葵の隣に堂々と並ぶことに自信がないから、居場所を定めきれず、ふらりと出ていっては戻ってきてを繰り返す鷹彦。それ…
◆フェイクファー(表題作)
青春の爽やかさ、日常的なやりとりのほのぼのした空気感、自身の性的対象に関する葛藤が、短い中にぐっと凝縮されてポップに描かれた作品でした。BL初心者にも薦めやすい秀逸な作品かも。烏星にセフレが多いので、初めは雨井の熱量の方が多くて、一歩通行な感じなのかなと思うのですが。読み進めていくと、烏星が軟派に見えるのは、ゲイとして生きる自信が極端にないからなのだと気付くんです。…
◆今はかわいいバンビーノ(表題作)
外口の若干コミュ障っぽいけれど、恋した時は直球な性格がとても魅力的でした。直球といってもただがむしゃらに自分の気持ちをぶつけるわけではなく、好きだという気持ちは隠さず素直に伝えて、相手の反応は気長に待つという感じなんです。最初は戸惑って意識しないようにしていた茅が、段々意識せざるを得なくなっていく。自然な流れが素敵で、瑞々しく甘酸っぱい作品でした。
◆…
シリーズ最終巻に相応しい内容でした。そういえば藤代は、坂口も元々漫画を描いていたことを知らないんでしたね。坂口の同級生に明かされて、すっかり漫画を描く気力を失ってしまった藤代。第三者からの言葉でここまで落ちてしまう藤代は、やはりまだまだ坂口と付き合っていくことに自信がないんだなぁと改めて感じました。彼の性格を考えると同情したくもあるけれど、もっと坂口のことを理解して欲しいなとも思ったり。
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