Sakura0904さんのレビュー一覧

春を抱いていた(13)新装版 コミック

新田祐克 

出会いを読んで初めて分かる香藤の想いの強さ

 冒頭では香藤がAV男優を始めたきっかけと、岩城と初めて会った時のエピソードが描かれていました。当初の岩城はAVであろうと真摯に演技に取り組んでいて、演技には邪魔な恥じらいもなく、とにかく生真面目さが目立つ。どんな仕事にも真剣な分、友人に頼まれてたかがAVに出てやるだけという態度だった香藤には、冷たい態度で鋭い指摘を入れる岩城。互いにムカついた出会いだったけれど、この頃に岩城に刺激されたからこそ香…

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春を抱いていた(7) 新装版 コミック

新田祐克 

ありのままの性格を取り繕う必要などない

 巻を追うごとに安定感の増していく2人。でも、根本的な互いの性格は変わらないままで。空き巣に入られて神経を尖らせ煙草に逃げてしまう岩城、岩城を守れるようジムでのトレーニングを少しでも増やそうとする香藤。同じ出来事に対しての受け取り方はまるで真逆なんです。でも、香藤に自分の腕の中だけはいつでも安心できる空間なはずだと思い起こさせられた岩城。香藤をいい男だなと改めて感じる彼の表情が本当に穏やかで、香藤…

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春を抱いていた(6) (新装版) コミック

新田祐克 

年季の入ったカップル

 冒頭の話は、最初洋子の子供が生まれる話を聞いて、岩城が自分は香藤との子を残せないことに何かしら負の感情を抱いて病んでいったのかと思いました。でも、どうもそういうわけではなさそうで。香藤の兄として生まれるはずだったのに流産してしまった命が生まれ変わって再び香藤家に宿ろうとしていた、ということだったのかな。繊細な岩城はそれを感じ取っていた。ちょっと解釈に戸惑った話でしたが、子を成せないことに悩む段階…

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春を抱いていた(5) 新装版 コミック

新田祐克 

誰よりも岩城の一途さを知っている香藤

 明らかに腹に一物を抱えていた浅野がどう切り込んでくるんだろうと思っていましたが、岩城に気があるとか仲の良い2人を裂きたいとかいう理由ではなく、あくまで自分の売名のためだったのが現実的で良かったです。やり方は汚かったけど、この図太さは芸能人には向いているのかも。そんな浅野の妨害を受けて、2人はまさに雨降って地固まるを体現する。浅野を軽率に家に入れた岩城を香藤が叱り、距離を置いたのもいかに真剣に岩城…

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春を抱いていた(3) 新装版 コミック

新田祐克 

蜜月真っ只中の勢いのあるカップル

 性欲と愛情有り余る香藤とそれに体がついていけない岩城が喧嘩になるという、いかにも蜜月のカップルらしい微笑ましい話から始まります。たとえ岩城がもっと若かったとしても、体の負担は受けの方が確実に大きいでしょうか、そこは香藤が思いやるべきだったんじゃないかなと思うと同時に、その見境ない愛のぶつけ方が年下らしいなとも感じ。1巻ではあんなに岩城より大人びて見えた香藤も、本気で惚れればこんなに熱く可愛げのあ…

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春を抱いていた(1) 新装版 コミック

新田祐克 

どっちが攻め?受け?とドキドキしながら楽しめた

 AV男優から華麗に転身し、俳優への道を駆け上がって行くイイ男2人の物語。王道といえば王道なのかもしれませんが、新田先生の美麗過ぎる絵と必要最小限に抑えられた台詞やモノローグによって、飽きさせることもなく2人の濡れ場と心情の変化に集中して読めるところがとても良かったです。近年の作品でいうと、掴みだけなら芸能ランキング上位同士の2人が絡み合う某作品に近いのかな。ただ、初っ端から2人の関係が世間にオー…

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カーストヘヴン 6 コミック

緒川千世 

明と暗どちらも求めてしまう、複雑なシリーズ

 前置きとして私はこのシリーズが大好きなんですが、それはひとえに梓という一向に崩折れない受けの強さに惹かれるのと、刈野というなかなか好意を漏らしてくれない攻めへの盛り上がる期待感を楽しんでいる、というところに理由があります。非常に今更なことを言うと、正直、物語の肝である生徒のカーストをゲームで固定するという設定が活かしきれてはいない、いじめや口論になる内容も幼い、と感じていたことはこの辺でそろそろ…

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神様のウロコ(2) コミック

日ノ原巡 

不思議な出会いが現実として色濃くなっていく

 物語が進むにつれて、萌えが加速度的に増していくような、そんな2巻でした。異種間での関係性の構築に悩み始め、距離が開いていく2人。お互い思いやりの強い性格なので、一旦相手のためには離れた方が良いのかもと思い込んでしまうと、なかなか元の距離感に戻れなくなってしまいます。

 でも、智治が覚悟を決めることによって、2人の距離は再び縮まっていく。神様として人間には御し難い力を持つ鱗の方から歩み寄るの…

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いつか恋になるまで 下 コミック

倉橋トモ 

ちょっとした台詞にもぐっとくる

 上巻である程度綺麗に纏まっていたので下巻はどう続くんだろうと思いましたが、やはり進路や将来のことをどれくらい真剣に考えているか、親にはカミングアウトするのか、というところが主な課題となっていましたね。ただ、あまりにシリアスに描かれるということもなく、2人の関係性は安定した上に乗っかっているという感じ。悪意を持って2人を糾弾する人もいないし、悩んでいるのはあくまで2人だけ。多様性への理解が多少は深…

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いつか恋になるまで 上 コミック

倉橋トモ 

倉橋先生の可愛いタッチを存分に味わえた

 久々に爽やかで良質な青春ものを読めた!と感じました。『家族になろうよ』の前日譚ということで、千秋と和馬が幼馴染から恋人になるまでを描いた物語。和馬の印象がちょっと変わりますね。あちらでは散々ヤンキー呼ばわりされてましたが、こちらではクールなモテ男という感じでした。もちろん、千秋に対する態度は変わらないのだけど。

 幼い頃から巴も含めて家族のような関係の2人。この関係性に変わるきっかえを与え…

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