Sakura0904さんのレビュー一覧

化け猫かたって候 コミック

早寝電灯 

生きることの本質を見失わずに

 講談をやる化け猫の喜八。化け猫には化け猫の世界があって…と冒頭から不思議感漂う、ファンタジー要素の強い作品だったんですが、一方で人間の草太が人生に疲れきった社畜リーマンなので絶妙なリアルさも混じり、他にはない雰囲気になっていた気がします。草太の生きる姿は本当に痛々しい。ブラックな会社への風当たりが強まり、徐々に淘汰され始めたとはいえ、社員に優しくない会社はまだまだいくらでも転がっているんだろうな…

2

忘れた夏まで会いにいく コミック

梶ヶ谷ミチル 

友達みたいな先生は反則

◆忘れた夏まで会いにいく(表題作)
 教師と生徒ものって雰囲気は素敵だと感じても、なぜか自分の好みにドンピシャでハマることが少ないのですが、こちらはすごく萌えました。田舎の夏の情景に、教師の町田と生徒の大河のたわいない会話が合わさって、汗ばむ季節の刹那の熱量が伝わってきて。町田がついこの間まで自分も生徒だったくらいの年齢なので、生徒とあまり壁を作らず無邪気に遊ぶところもリアルだし、教師らしくない…

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フラッター コミック

天禅桃子 

素直な攻めに感化される

 仕事のできるイイ男同士の恋愛、もっと軽やかに進んでいくかと思っていましたが、ページを捲るごとに観月の抱える切ない想いが見えてきて。思った以上に人間関係が複雑に絡み合った作品でした。吉野と観月の関係性はとても一言では言い表せないもの。共通の大切な人がいて、観月は吉野が恋愛的な意味で好きだったけれど吉野はそうではなくて、でも、3人は3人なりの深い絆を築いていた。先輩が事故で亡くなったから、観月は吉野…

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キライの恋人 コミック

じゃのめ 

あなたがいるからこの世界は明るいのだ

◆キライの恋人(表題作)
 ぽつりと呟いた「キライ」という言葉から始まるのが斬新でした。友達だけど2人きりになるとなんだか気まずい。そういう関係ありますよね。百々地の言葉に触発されて、積極的に抜群の彼氏力をアピールする鳩宿。とてもクールに見えた彼が、実は百々地の心を引き止めるために必死だったことを知り。段々照れ屋なところが見えてくるのがすごく可愛かったです。好きな人にはとことん優しく、尽くしたい…

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君の銀のあし コミック

日野雄飛 

今の自分にあるものを数えよう

 表紙からほのぼのとした雰囲気を想像していて、実際そのイメージからかけ離れていたわけではなかったのですが、考えさせられる部分も多い作品でした。怪我で脚の切断を余儀なくされ義足となったトビアスは、健常者だった頃にできていたことの一部ができなくなったことに一度は挫折を覚えつつも、今では障碍者として同じ競技に復帰し何度も優勝を決めきらきらと輝いている。一方で、事故でピアノを以前のように弾けなくなったスス…

1
非BL作品

僕のパパになってください コミック

緒川千世 

思わず自分の家族を振り返りたくなる

 作品の元となったツイッターでの短い漫画を読んだことは覚えていましたが、息抜き程度に描かれたものだと思っていたので、こんな風に1冊の漫画として世に出してくれたのは嬉しい誤算でした。お金を払って赤の他人にパパになってもらう主人公・春樹。離婚や死別で実父がいないわけでもなく、虐待や育児放棄されていたわけでもなく、実父には甘過ぎず厳し過ぎずな接し方でごくごく真っ当に育てられたのだけど。それだけ理想的で幸…

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ひだまりが聴こえる -リミット- 3 コミック

文乃ゆき 

思いやりと、相手の気持ちを決め付けるのはまったく別物

 リミット編完結、おめでとうございます。本当に向き合うのが難しいテーマ、しかもそこにBLを絡めるという更なるハードル。そしてそれを長編で描き切るということがどれほど労力の要ることか、漫画に関して素人の私には想像もつきません。でも、そんな作者の苦労はまるでないかのように、航平と太一はいつだってとても自然に、2人なりのペースで少しずつ前に進んでいくんです。描くこと自体は大変に感じても、2人の姿は先生の…

10

真昼の恋 コミック

草間さかえ 

舞台とキャラと相関図がすべて魅力的

 正午と書いて、まひる。今までBL作品で数々の素敵な名前を目にしてきましたが、トップ5には入る可愛らしいネーミングだなと思いました。町工場という舞台も良かったです。実情には明るくありませんが、素人目にはかなりリアルに描かれているように見えました。ハジメはかつて正午に一目惚れしていたし、正午はゲイということもあり、くっつくのは早め。あまりもだもだするような展開はなく、どちらかというと2人のテンポの良…

0

Punch↑ 5 コミック

鹿乃しうこ 

エロの勢いがすごい

 4巻までのシリアスさを吹き飛ばすかのように、エロや笑いに突っ走っていて最高でした。牧の変態さと、段々素直に、そしていやらしくなっていく浩太の恥じらいっぷりや乱れっぷりを存分に楽しめる巻だと思います。酔ったふりで迫られて、ついつい自ら脚を開き求めてしまう浩太はエロ過ぎました。牧のモノを見せつけられただけで発情してしまうなんて、1巻からは考えられないほど開花しましたよね。牧の言うように顔と体のミスマ…

1

Punch↑ 4 コミック

鹿乃しうこ 

フレンチトーストはすべてを丸ごと愛している証

 牧も浩太も何が正解なのかたくさん悩んでいて、本当に辛い時期だったけれど。でも、15歳に戻ってしまった浩太が過ごした日々は、きっといろいろなことを確かめられた有意義な日々でもあったと思います。事故が起きて良かったとは言わない。ただ、既に起きてしまったことを、どう2人の関係の糧に変えていくか、それを考えるのは大切なことだと思います。牧が好きなのは深津に初恋も初体験も捧げた浩太、でも記憶を失って気持ち…

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