Sakura0904さんのレビュー一覧

KOH-BOKU コミック

未散ソノオ 

子供のように泣く柏木の純愛に泣いた

 公僕にして、こんなに密な関係性。これはたまらないですね。年下の柏木の忠犬のような尽くしっぷりが爽快でした。敬語は崩さずあくまで慇懃に、課長である今宮のスケジュールやら体調やらを何から何まで先回りして把握し、今宮が仕事も生活もスムーズにできるよう努める柏木。年下といっても彼も30代でいい歳なのだけど、自分の出世や後輩の教育は後回しで、とにかく今宮のことが常に優先順位の1位を占めているんですよね。け…

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海とヘビースモーカー コミック

榎田尤利  峰島なわこ 

人を切なくさせる一方で、元気付けてもくれる海

◆海とヘビースモーカー(表題作)
 表題作でありがなら他の2作品よりも短かったのですが、冒頭で素晴らしい余韻を残してくれた作品でした。悲恋ものかと淡々と読み進めていたのですが、終盤でそう来たか!と唸らされましたね。畠が子供に素っ気なく接していた分、思わぬ展開が切なさを煽ります。人はいつ死ぬか分からないから後悔しないように毎日を生きたいけれど、本当に難しいんだよなぁと改めて胸に突き刺さります。最初…

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彼の植物は美しい コミック

松山おに 

本編読んでから表紙を見て震える

◆彼の植物は美しい(表題作)
 切ない系ではあってもダーク系ではないだろうと想像していたので、それが裏切られた時は驚くと同時に興奮しました。元は別人だったのに、目覚めると面識のないユアンという人物に生まれ変わっていたハンス。ユアン(ハンス)が、最初は葛藤していたけど段々穏やかで慈愛に満ちたヤンに絆され、せっかく助けてもらった命なのだから一生懸命生きていこうとする健気さに一旦ほっこりさせられて。そ…

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非BL作品

新装版ばら色の頬のころ 中村明日美子コレクションⅦ コミック

中村明日美子 

大人にとっては尊い時代だけれど、本人達は早く脱したいよね

 (※旧版を読んでの感想。)『Jの総て』の前日譚ということで、Jが学園にやってくるまでのモーガンとポールの話が描かれていました。進学校であるが故に、大人達に都合よく利用されてしまう2人の子供の激情のぶつかり合い。読んでいて苦しくなってくるほどでした。モーガンが自分の感情を真っ直ぐぶつけ続けるのに対し、ポールは諦念を覚えどんどん感情表現が乏しくなっていく。この対比も虚しかったですね。

 2人と…

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寄越す犬、めくる夜 (4) コミック

のばらあいこ 

3人ともがそれぞれに苦しいだろうから

 ようやく須藤の過去がほぼ明かされましたね。途中まではBL作品でそこまで珍しくはない展開でしたが、母の自死を迎えてから幼い須藤の心は加速度的に狂っていきます。母への愛情も捨てきれず、母を好いていた良継を好きになってしまった須藤。なのに虐待する父から解放されて母が喜ぶかと思いきや、彼女はそんな父を愛していたというどうしようもない展開。突如母に命を絶たれ、良継のことも空っぽにされてしまった須藤は一体何…

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寄越す犬、めくる夜 (3) コミック

のばらあいこ 

単に光と闇には分けられない2人

 いやあ、久々にこんなにハードなプレイを見ました。受け×攻め×受けという3Pが、単なる眼福で終わらずここまで凄惨なシーンになるとは。菊池の哀れさには思わず目を背けたくなるほどですが、歪みきった3人の関係を濡れ場でも徹底して描いてくださったのばら先生には拍手。菊池視点から見れば、どこまでも鬼畜な須藤。菊池は今まで散々男達に体を痛めつけられてきたでしょうけれど、言葉だけでこんなに追い詰めてきた人間は須…

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寄越す犬、めくる夜 (2) コミック

のばらあいこ 

なんだかんだ須藤の方が素直なのかもしれない

 ストーリーの面白みがかなり増してきました。何より菊池の悲愴さが際立っていた。登場シーンのほとんどは涙を浮かべるか流しているかだったんじゃないかというほど。哀れな受けに萌えてしまう性癖なので、心底可哀想だなぁと思うと同時に、今後の展開への期待が高まってしまいます。もちろん、そんなどん底の受けがいつか救われることが前提で萌えるのですが。

 一方の須藤については、1巻よりもさらに関わってはいけな…

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恋するインテリジェンス ultimate 2 設定資料集 コミック

丹下道 

先生の愛、熱意、湧き上がるアイデアに感謝

 これはすごい。これは『恋するインテリジェンス』シリーズの教科書であり、辞書であり、その世界観の中により現実味をもって浸るためのマストアイテム。まずは本編である6巻までを凌ぐボリュームに驚き、そして中身の充実っぷりに圧倒されます。当シリーズの登場人物は数が凄まじく多いですが、この1冊で1人ひとりの魅力をもう一度おさらい&新たに学習し、整理することもできます。さらに、主要キャラの邸宅(深津のボロ家含…

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曲がり角に、犬 コミック

じゃのめ 

好きな人の前では皆犬のようなもの

 そこまで目新しい導入ではなかったのに、物語が進むにつれてどんどん引き込まれていくような作品でした。描き方や台詞が絶妙にツボを突いてくるというか。あっきと同じく私も途中までケンジが受けなんだろうなと思っていたのですが、どうも逆らしいと気付いた時は残念というよりも、むしろ萌えましたね。この弱々しかったワンコが、自分のご主人様をついに捕食するのかぁと。お互い相手の好意を心のどこかで感じながらも、なかな…

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ボクはH コミック

吉田ゆうこ 

恋愛の真理への向き合い方

 恋愛は勝ち負け。分かっているつもりだけど、そういうことを考えているなんて誰も思われたくなくて、皆が目を背けようとしているところに焦点を当てた作品でしたね。誰だって傷つきたくないし、惨めになりたくない。だから、「惚れた方の負け」「惚れた弱み」と評される側にならないよう、必死に抗う2人。相手を素敵だと思う点はいくつもあったからこそ、本気で抜けられなくなる前に突然手を引いた長谷川。手酷く振られても自分…

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