Sakura0904![]()
1巻2巻も十分濃かったんですが、前作までは、結局私は傍観者的立ち位置から抜け出すことができなかったんですよね。それがこの3巻で、當間家の抱える闇や典彦の恐ろしいほどの執着に一気にぐっと引き込まれ、やっと自分がこの作品の本当の魅力に浸れたような気がしました。さち子と育郎が2人の間にある境界線を互いに改めて認識し、理解した上で夫婦を務めるようになるところや、典彦がそこまで育郎に入れ込みながら、彼に當…
これはきっと途中で好みが分かれやすい作品だろうなぁと思いました。昔同級生で仲良し組だった3人が、それぞれ大人になり今度はまったく違う立場の人間として再会します。親の跡を継いで仕立て屋として働く板橋、大手に就職し仕事で板橋の店もある商店街の立ち退きを進めることを任されてしまった品川、そして、いつの間にかヤクザに拾われて品川の会社と共同で立ち退きを促すよう命じられている足立。
攻めに関して、…
この2巻では難聴という、ほとんど音が聞こえない聾とはまた違う障害レベルの大変さにもたくさん触れられていました。健常者からすると、聴こえないわけじゃないなら大したことないんだと思って普通に話してしまったりする。でも難聴だから相手が滑舌が悪かったり、通りにくい声質だったりすると上手く聞き取れないわけで、そのレベルを正しく理解してもらうのが非常に難しいんですね。かと言って聾の人間が集まる所へ行っても、…
ヤクザだってこんな風にお洒落でロマンティックな映画の登場人物みたいな恋をしたっていいじゃない、と新たな世界を見せてくれた作品でした。ヤクザものでこんなに穏やかで温かい雰囲気の作品は、今までほとんど読んだことがなかったと思います。攻めの水田が小説好き、受けの春本が映画好きというキャラなので、度々創作の中の恋愛になぞらえて進んでいく2人の関係がとても魅力的でした。だからと言って気障過ぎるとか、わざと…
皆が学生だった1巻から時は流れ、各々が社会人となったところから始まる2巻。1巻の最後で大我が運命の番はゆかかもしれないと気付きましたが、そんな大我にも倫というΩのセフレができています。倫は自分を大事にしてくれて番ってくれるαを探しているし、大我は運命の番しか信じないと言っていて、2人は非常にドライな関係です。しかし、倫の働いている居酒屋にゆかと薫が訪れ、まさかの倫の運命の番が薫だと発覚。4人はそ…
オメガバースの美味しくもあり複雑でもある設定を学校という閉鎖的空間にあてはめ、存分に活かして描かれていました。幼馴染との優劣関係が逆転してしまうところや、築いてきた友人関係が破綻してしまうところなどは、実際に学生時代に性別検査をしたらきっとこんな風になってしまうんだろうなぁ、というリアリティがありますね。オメガバースでは運命の番という設定を用いる作品と用いない作品があるかと思いますが、こちらは後…
上巻の途中まで悲劇のヒロイン風に描かれつつ、佐伯視点の描き下ろしで「おっと…?」と読者に思わせた八敷ですが、その流れを引き継いでこの下巻では今までと打って変わって彼本来の享楽的性格が前面に押し出されていました。反対に、八敷を見つけ出し救ったような存在だった鬼戸は、正常さと異常さの境目で彷徨い、苦しさから抜け出せない様子をまざまざと読者に見せつけ、同情や共感を誘うキャラになっていました。
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明日美子先生のラブコメ短編集、とっても可愛くて面白くてきゅんきゅんしました。どちらかというとシリアスな雰囲気の作品が多い先生ですが、こういう爽やかで可愛らしい作品もぴったりですね。ストーリー重視の方には今作はちょっと合わないかもしれませんが、軽いラブコメを明日美子先生の繊細なタッチで楽しみたいという方にはおすすめです。
◆あなたのためならどこまでも(表題作)
結婚詐欺師×刑事。1年も追…
秋平先生らしい清涼感が溢れていた作品でした。幼馴染で両片想いの一樹と翔平が、共にいい奴で相手に対して思いやりがあって、終始可愛かったです。翔平のライバルというか当て馬的ポジションとして登場する稲荷も、単に一樹のことが好きなわけではなく、過去の寂しさや責任から逃れられずもがいていて、一樹や翔平との交流を通してそれらを吹っ切る描写があったのも良かったです。メイン2人だけの世界で完結させるのではなく、…
攻めの小竹が巨人族という設定を除けば、『アホエロ』『ロマンスとジェラシー』などの過去作品に比べて、重い実先生にしてはシリアス調のトーンだなぁと感じました。私は表紙から、手に乗っている人物が通常サイズから小さくなる話かな?と想像していたのですが、どちらかというと彼が通常サイズで、手に乗せている方が巨人族という特殊設定でしたね。
サイズを度外視すると、最初は小竹も武田も両方受けっぽく見えまし…
