• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作永遠に似た瞬き

西野幸也,大学3年生,21歳
白川義直,大学3年生,20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

のんびり、一歩ずつ気持ちをたしかめあう西野と白川。
みんなと一緒のときは友達で、二人でいるときには恋人―少しだけせつなくくすぐったいような、そんな関係だ。
ところが夏休みには片や就職活動、片や地球の裏側の南米で遺跡発掘とはなればなれになってしまう。
「たった一ヵ月」、互いを隔てる時間と距離に焦れる二人だったが…?ハートフルBL、ついに甘い甘い結末の予感―。

作品情報

作品名
永遠に似た瞬き
著者
麻生玲子 
イラスト
片岡ケイコ 
媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
コバルト文庫【非BL】
シリーズ
一万年+3日
発売日
ISBN
9784086006200
4.6

(6)

(5)

萌々

(0)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
28
評価数
6
平均
4.6 / 5
神率
83.3%

レビュー投稿数3

永遠を誓わない永遠

3作目『彩度ゼロの奇跡』でチラッとほのめかされていた
白川の写真流出事件から話はスタートします。
西野が家庭教師をしていた女の子の友達が盗み撮りをして
勝手にホームページにアップしていたようで...
白川が機転を利かして問題は解決するものの、
じんわり白川の強さが垣間見えて、すでに2人の立場は逆転してる
ような気もしますww
遺跡発掘のためペルーに行く白川は、寂しいと拗ねる西野に
小悪魔パワー炸裂で甘えてみたり、天然ちゃんのはずが
今やすっかり小悪魔で姉さん女房状態ww
自分が守らないと、と必死になってる西野が空回りしまくってるから、
余計に白川がしっかりしてくるって言うか...

1ヶ月後、無事帰国した白川と気持ちを確かめ合うものの、
ある決意を持ちながら気持ちを告げる。
「もう、ひとりでも大丈夫だよな?」
決して別れるという意味ではなく、この離れ離れになった1ヶ月の間に
就職活動を経験した西野が導き出した答えで、社会人になれば
会う時間も減り、今ほど白川を甘やかすことは出来なくなる。
ホントは浮世離れしたこの甘い時間にいつまでも浸っていたいけど、
それでは2人ともがダメになる。
お互いの成長のためにも決心する時がきたのですね。

無事就職が決まったお隣さんの小池の引越しがあり、
同じ大学の新入生を新しく隣人として迎えることになった西野。
この短いエピソードの白川がちょっと怖くもあり、かわいくもあり...
ホント成長したなぁ~
心配しなくても十分成長してるよと思う反面、
西野のことに関しては人一倍したたかで嫉妬深い幼さも残ってるんですね。

桜の下で来年もまた2人でこの桜を見ようと約束し、
来年になれば再来年の約束を、と今永遠を誓ってお互いを縛りつけない。
本当の意味での永遠にするために...

夢のような学生時代から一歩踏み出し社会に出て行こうとする彼らに、
何があろうと2人一緒に幸せになって欲しいな、と思うばかりです。
最後まで純粋な2人のイメージを壊さず描ききってくれた作品で、
挿絵の片岡さんの優しいイラストもとても合っていました。
タイトルに隠された意味も読後にストンと心に落ちてくる。
ここぞと言う見せ場があるわけでもなく、淡々と2人の関係だけを
追って行くストーリーゆえに、こうも心があったかく幸せになるのかな?
人気作品が次々と入れ替わり立ち代わり並ぶ私の本棚の片隅で、
ひっそり、だけど一生手放せない作品になると思います。

5

ついに完結

運命を宿命に変え、恋に目覚めた白川は最強だと思いました。
西野は存分にデレデレすればいいのです(笑)

そして二人は春を迎えます。
春は出会いと別れの季節。
学生が集うアパートを去って行く先輩に、新しく入ってくる新入生。
別れが少し切なくて、ああ青春だな~!という、
むず痒くて優しい雰囲気が作品から滲み出ていて、読んでいて癒されます。
西野と白川の永遠を願わずにはいられません。この二人にはずっと幸せでいて欲しい。

ピュアでほわほわとしたシリーズで、ほのぼのしたい方にオススメです。
そして読む時はぜひ、シリーズ一気読みをして欲しいです。

3

瞬きのような一瞬をきみと

再読し始めた西野&白川シリーズも最終巻。
大学生のごく普通の日常生活と、西野と白川の歩くように進む恋を追いかけた数日間でした。
最終巻だからといって特別なことは起きません。
最後なのだからなにかほしいとなりそうなところですが、こちらの作品はそれが味になっているというか、特別なことが起きない「特別な恋」を追うのが醍醐味かなあと思います。
何度読んでもこの空気感が好きです。

青空に1本だけ引かれた真っ白な飛行機雲を見上げていたあの日の出逢いから、気が付けばこんなにもお互いに大切で愛おしい存在になっていくなんて。
卵から孵ったばかりのひよこのように、よちよちと西野に着いて歩いていた白川の成長がめざましい巻でした。
あんなに会話下手な上に何を考えているのかも分からない子だったのに、ここまで成長するなんて…となんだか感慨深くなってしまいましたね。
西野への気持ちを隠さず、素直に表現するようになった白川が本当にかわいくて、こんな姿を見てしまった西野は一生そわそわするんだろうなあ。

前巻で恋人としても1歩前に進んだ彼ら。
2人の関係は相変わらず良好で、巻数を増すごとに強固な関係性になっていっているのが何気なく書かれた文章から伝わってくるんです。
今作では大学も3年目となり、社会へ出ることに対してじっくりと考える時期が迫って来ます。
恋と、そして将来について真面目に向き合う彼らが眩しい。
いいなあこういうの。お互いの成長のために、これからも一緒にいるためにはどうしたら良いのか?と、非現実的ではなく地に足のついた考え方をする西野が好きです。
永遠は誓わないけれど、瞬きのような一瞬一瞬を毎年共に過ごしていけたら。
そんな約束をする彼らの今後も末長いものであることを願ってやみません。

こちらの作品はメインキャラクター2人以外のサブキャラクターも魅力的なのが素敵なんです。
学生寮のような雰囲気のアパートが楽しくて、勝手知ったるなんとやらで酒盛りに来る彼らが愉快で、登場する度にパッと空気が明るくなる愛すべき人たちですね。
嫌な人も居らず、特別なことも起きない極上のキャンパスライフとアンダンテな恋が素敵なシリーズでした。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP