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表題作白いひつじ

あらすじ

進学のために上京した鳥貝は、大学で出会った学生に、ある男子寮を紹介される。二階建ての洋館に住まう〈おとな〉な男たちに、17歳の鳥貝は翻弄されるばかり。揺さぶられる気持ち、蘇ってくる微かな記憶……。生意気で才気溢れる青年たちと、素直で愛らしい少年が紡ぎ出す、春のような物語。

作品情報

作品名
白いひつじ
著者
長野まゆみ 
媒体
小説
出版社
筑摩書房
発売日
ISBN
9784480804235
4.9

(10)

(9)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
49
評価数
10
平均
4.9 / 5
神率
90%

レビュー投稿数2

美しき野蛮人、百合子に翻弄される

今まで読んだ長野作品の中では1番内容が頭にスーッと入ってきた物語だったように思います。
わかりにくい比喩や表現がなくとてもわかりやすいです。

主人公の鳥貝が大学入学にあたり学生寮に入ろうとするのですが、そこの住人たちが曲者揃いで何かと鳥貝にちょっかいを出して来るんですね。
中でも百合子(という名字の青年です)は、初対面の印象が悪く、何かにつけイジワルをしかけてきます。

鳥貝は実は養子で、実家に一度戻った時に何故か百合子がそこへ現れます。
実母の住所へ行った時にもまた百合子と出会い…。
鳥貝と百合子には実は複雑な関係が…というストーリーでした。
鳥貝があの寮に入ることになったのも実は、という展開で驚く。

幼い頃に夢か事実かわからなかった記憶は、本当の家族とのほんの短いひと時だったんですね。

鳥貝の誕生日ケーキに火を灯し、部屋の明かりを消したときに百合子が後ろから…には萌えました。
ストレートな告白にも胸高まる。
「おれは鳥貝を食べたい」は二度見しました。
一般小説でこんな台詞を拝めるとは!

鳥貝も恋愛対象は異性!と何度もアピールはしているのですが、百合子にキスされるたびクラクラしちゃうのを自覚していて、抱きしめられても拒まない。
百合子の持っていた指輪をはめてとれなくなってしまったけど、まあいっかみたいな気分になってるので絆されちゃってますね♡

長野作品の取り掛かりとしてはイチオシな作品です。

2

※本作は『いい部屋あります。』とタイトルが違うものの中身はほぼ同じらしいのでご注意ください。

(『白いひつじ』の加筆修正作品が『いい部屋あります。』です)

田舎から大学進学の為に東京に出て来た男の子が、アパート探しに苦戦した果てに紹介された格安男子寮。ところが先住者の先輩たちは揃いも揃ってくせ者だらけで……。

と、大人っぽい先輩たちに初心な一年生が翻弄される話かと思いきや、パンを齧りながらやってきた百合子の登場から、ストーリーは思わぬ方向に舵を切るのでした。


~ここからめちゃめちゃネタバレするので、まっさらな気持ちで読みたい方は、以下は読まないでください☆~





ていうか、主人公がパン食いながら「いっけなーい! 遅刻遅刻!」って走って曲がり角を曲がったらイケメンにぶつかるというあるあるじゃなくて、イケメンの方がパンくわえて走ってくるのかぁ……。絶妙に斬新だなぁ。くわえてるのクロワッサンなのがそこはかとなく上流階級の匂い。しかも食べるときの仕草がなんかエッチだ。

と、いやに印象的な百合子の初登場シーンに呆気に取られてしまったのですが、この時の百合子はまだ、長野作品にはよくいるタイプのイケメンといった感じだったのです。

なので、終盤で謎が全て明らかになったとき衝撃だったのでした。

び、BLだぁー!!
長野ワールドの住人がちゃんとBLしとる!!!

ツンデレな攻め様(仮)だった百合子。そんなことの何が驚きなの? って感じですが、長野ワールドではちゃんとBLしてるキャラとかカプとかは意外とレアなのでした。

しかも、攻め(仮)は大体思わせぶりな態度で受け(仮)を振り回し、最後までほのめかし程度で終わりがちなのですが、本作は珍しく攻めが受けのことを脇目も振らずに熱烈に好きでもう絶対離さない! というテンションでBL的に丸くおさまりまし……あ、いや今回は受け(仮)の鳥貝くんの気持ちが曖昧模糊なままだったぁー。

ともあれ、ツンデレ熱烈溺愛執着麗しの野蛮人攻め(仮)という長野作品においては稀有なキャラが拝めてしまいます。

恋に狂うと大ばかになるタイプの攻め様がお好きな方におすすめです。

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