形を覚えて帰れよ、刑事さん

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表題作ケルベロス

織宮水樹,経済ヤクザ
瀬戸彰,ビッチと揶揄される警視庁捜査一課刑事

その他の収録作品

  • ララバイ
  • あとがき

あらすじ

身体で犯人を挙げるビッチ──ある事件のせいで、そう唾棄される美貌の刑事・瀬戸彰。
だが彰は悪評など意に介さず独りで殺人事件の容疑者『肩に傷のある男』を追っていた。
そして経済ヤクザの大物・織宮水樹に目星をつける。
彰は男の身体に証拠を見つけるため単身事務所に乗り込むと裸になれと織宮に迫る。
けれど男には鉄壁のアリバイがあった。
「さあ、瀬戸刑事。覚悟はいいか」
面白がるように低く囁く織宮に抱き竦められた彰は……!?

作品情報

作品名
ケルベロス
著者
真式マキ 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773088335
3.8

(28)

(10)

萌々

(8)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
105
評価数
28
平均
3.8 / 5
神率
35.7%

レビュー投稿数10

強引さが心地良い萌えに

読み終えたあとにタイトルを見ると、なるほどなあ…なんて気持ちでいっぱいに。
担当編集さんのセンスが良すぎる。

事件の謎解き部分や2人の恋愛面に関しては、やや設定が甘いようにも見えたので、もう少し詰めたものだったらなお良かったかもしれないなと思います。
唐突さと理由の薄さは否めないのだけれど、どうにもこの攻めの間合いの詰め方がツボでした。
物語冒頭に攻め視点が一瞬入っているのも効いていたのでしょうね。

今作の受けであり刑事の彰は、身体だけではなく心も誇りも傷付けられた…うーん…トラウマどころではない辛い過去を持っているんですね。
それこそ人間不信になってしまうのも無理はないでしょうし、外を出歩くことすら恐怖に思うのでは…?というレベルのもの。
意地と信念だけで必死に立っているような危うい人です。

そんな、毛を逆立てながら生きる美しく危うい手負の獣に、迷いのない手と言葉で奥深いところに触れ、じっくりと解して開いていきながら自然と自分を求めさせる織宮の手腕が見事。
これが真式先生の文章力も相まって非常に官能的なんです。
ヤクザと刑事といえば…な、無理矢理に事を進めるタイプなのかと思いきや、これが本当に丁寧に触れるものだからどきどきしました。
流れ的にはヤクザらしい強引さです。
ただ、強引さからの緩急が妙に心地良く感じられたんですよねえ。
過去の痛みと辛さを塗り替えるように優しく抱いて、少しずつ体温を教える様がなんだかとても印象的で。
織宮に誰にも吐露出来なかったことを暴かれて、良い子だと褒められながら甘い快楽を覚えさせられていく彰の姿もすごく良かった。
それぞれに萌えたというよりも、受けが抱える根深いトラウマを溶かして自分を植え付ける攻めの手腕に萌えた1冊でした。

0

読み終えた今、少し心が痛い

挿絵目当てで購入。


警視庁捜査一課刑事の彰と経済ヤクザの織宮のお話。
いきなりエッチな描写から始まるので、ちょっとびっくりしました(*´▽`*)

序盤から彰に2年前に何らかのことがあり
それがトラウマになっていることは想像できたのですが
それが一体なんなのかわからなくて、ちょっとモヤモヤしていたのですが
トラウマの原因がわかると悲しくて泣きそうになりました。

彰のトラウマを知っている織宮が、彰を無理矢理抱こうとするのですが
その時彰の弱さに触れることが出来ました。
結果的に無理矢理じゃなくて良かったです。

身体から始まったこの二人がどのように進展していくのか
なかなか想像つかなかったのですが、なるほど…。


事件の犯人はもう読んでるとわかってきましたね。
理由は私にはわからないけど、まぁ…なんかそういう気持ちになることもあるんでしょう。

ペアの柴は信じて良いのかわからなかったんですけど
いい子だったみたいで、そこに私は救いを感じました。


とても面白いお話だと思ったのですが、
スッキリ円満!なお話じゃないので犯人の気持ちを考えると切ない気持ちになりました。

0

芝居調の台詞

絵師が、葛西リカコさんなので読んだ、初読みの作家。
2013年の作品。 文章力高い作家だと思った。
このまま芝居に使えそうなセリフが随所にあるけど、違和感ない。
受賞歴は無いようだけど、この作品はとてもおもしろかった。

▶「ケルベロス」(ギリシャ語: Κέρβερος)
ギリシャ神話、 冥府神ハデスの『地獄の番犬』
冥府の入口の兄弟犬、ケルベロスとオルトロス。性質は、主以外には凶暴で残忍。
ケルベロスは三つの頭と蛇の尾、さらに胴体には何匹もの蛇の頭をもつ。
3つの頭はそれぞれ、「保存」「再生」「霊化」を象徴し、死後に魂が辿る順序を示す。
3つの体・顔をもつ「ヘカテ」と関連がある。
冥界と夜の世界に属する亡霊や魔術の女神 セレネ,ペルセフォネ,アルテミス

▶トリカブト(附子)
水で煎じた極少量なら薬。新陳代謝機能を回復。
特に根は猛毒。致死量はアコニチン2~6mg、即効性の神経毒で数分で絶命。
葉はヨモギに似て、花は紫色で「菫」と書く。

---話中に登場する上記を踏まえて読むと、面白さが増します。

葛西先生のイラストが、色っぽくて素敵。

この物語のケルベロスとは、主人公。
体を張って、殺人事件の容疑者『肩に傷のある男』を探し続ける美貌の刑事・瀬戸彰。
経済ヤクザの大物・織宮水樹に近づくけれど、・・逆に瀬戸の毒に溺れていく。

ギリシャ神話で、ケルベロスはヘラクロスに捕まえられる。
=織宮の神経毒に浸されていく瀬戸・・

電子版で読んで、あんまり面白いので紙版も購入して、再読。

3

ミスリード楽しい

 見開き? のイラストからしてえろい。好みすぎる。
 
 わーい攻め視点だー! と思ったらすぐ攻め視点終わっちゃった。最初の数ページだけで、あとは最後までずっと受け視点です。

 ちるちるのキャラ説明を見てて、経済ヤクザってなんぞやwって思ってたら、フロント企業を仕切って組の稼ぎにする役割らしい。(それでも珍紛漢紛)
 彰が人に期待や信用をしなくなった、トラウマになった原因の描写が痛い。

 ミスリード面白い。
 単身で水樹の事務所に乗り込み聴き込みをしたあと、言うこと聞いてやったから犯させろって流れになる。水樹に押し倒されてトラウマ発動すると、一転して水樹が優しく彰に「まわされたとき怖かったか」って聞いて、それに対して彰が正直に当時の恐怖を話す展開がめちゃくちゃ好き。
 水樹に陥落した彰がえろい。

0

1番好きな作品

今まで生きてきて読んだ小説の中で3本の指に入るほど気に入った作品です。
もう1位かもしれない。
葛西リカコさんの美しいイラスト・キャラデザもあって、相互効果で優勝してる。

受けの描写で女を思わせるような容姿やらが苦手なため、ちゃんと男らしい言動、描写なのも好みだった。

最初のみ攻め目線からスタートし、その後は受け目線。
初見ではその攻め目線での濡れ場が、何が何だかわからず読み進めて一度ラストまで読み終わる。それからまた最初を改めて読み直すと、ほぼ一目惚れ(3回会った末で)だったんだなと気づいた。
彰に惚れた理由がちょっと弱いと感じたけれど、このモノローグがあるからこそ、織宮が彰に手を出した理由がわかってよかった。
織宮目線と彰目線で同じシーンを読むことができて、それぞれの気持ちがわかる。

色っぽいインテリヤクザによるトラウマ上書き、饒舌な長文言葉責め、言葉の端々から好き感情ダダ漏れ。セリフ回しも非常に好みでした。

手を払って銃を奪う手際の良さにインテリといえど悪どいことに慣れているのが垣間見えたり、署内で手を使ったこともあるという惹かれてつつある描写、後輩を連れて改めて捜査として訪ねて行った時のやりとり、電話での会話も萌えた。

2人の時だけ呼び方と声色を変え、側近も下がらせる特別扱い。
175Pのあのセリフを言って似合うキャラ、許されるキャラって他にいる!? 自分の中で唯一無二な存在だと思う。

終盤、車でひとりで警察署前に来ていて、織宮運転できたんかワレ!と驚いた。
当たり前といえば当たり前ですが、いつも運転手がいたから。
「そばで生きていたいなら生きていていいが」は、もうこれプロポーズでは。

自分が鈍いのか犯人は最後までわからなかったけど、よく考えれば他に怪しい登場人物がいなかった……。
なんの落ち度もない人間を3人以上殺しているから極刑は免れないよなぁと思うとやるせない。何より、そこまでしても最後に言葉ももらえなかった。

作品内に出てきて表紙イラストにも描かれているトリカブトってどんなだったかと思って検索してみたら、紫色の花と書いてあり、それで織宮の瞳が!鳥肌が立つほど感動した。

美しい表紙から作品内の隅々まで、全てが好みドンピシャだったので読む用と保存用で2冊買いました。

この作品の2人が好きなので続編やらが出てないのが惜しい。ドラマCDとかにならないかな。

1

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