表題作DESSRT BOX

ワーカーホリック気味な書店店長
同書店バイトくん(大学生)

その他の収録作品

  • STORY one
  • STORY two
  • STORY funal

あらすじ

商業誌作品「B.L.T」番外編

作品情報

作品名
DESSRT BOX
著者
木原音瀬 
媒体
小説
サークル
STANDARD〈サークル〉
ジャンル
オリジナル
発売日
5

(1)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
5
評価数
1
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

甘い甘いその後のお話

木原作品の中では少し地味ながらも、個人的にはとてもお気に入りだったのが「B.L.T」。
その後日談が描かれたものがこの同人誌『DESSERT BOX』になる。

内容的には3エピソードに分かれている。
STORY one・・・晴れて恋人同士になれた北澤と大宮
STORY two・・・北澤の男の子らしい悩み
STORY funal・・・大宮と別れた千博のその後

このカップルはひとえに、年下の北澤がギリ犯罪者の大宮を深く愛しているからこそ成り立っているのだと思うのだが、文中にも「君に捨てられたら、間違いなく僕はストーカーだ」と言い切っている。
大宮、あかんがな!
本当に成長しない男だなぁと呆れながらも読み進めていくと、北澤の方も「もしあいつと駄目になったら、もう二度と恋愛なんてしないと思う」などと、真剣に高野に語ったりしている。
これ一見ラブラブな発言で微笑ましいように感じるのだが、こういう台詞を読むたびに、私は北澤の心の空白を見る思いがして、なんとも切ない気分になってしまう。
恋なんて依存を多分に含むものだから、構わないといえばそうなのだが、北澤贔屓の私としては彼が幸せを感じるたびに、それによって埋められるであろう彼自身の闇を逆に想像してしまうので、少々胸が痛かったりする。
生まれて初めて愛した人が(痴漢だったのに!)、死ぬまで自分の傍にいることを信じて疑わない北澤が、あまりに無垢できゅんとさせられる。

また1話目・2話目は大宮と北澤のお話だったが、3話目はあの千博に焦点が当てられている。
どうやら高野のお陰で、随分と穏やかになっているようで、少しほっとした。
フルネームは飯島千博と言うらしい・・・苗字が判明して良かった(笑)
ここでは高野に支えられて甘やかされて、少し大人になった千博がとても綺麗に描かれている。
千博がヒステリックを通り越して、当てつけに自殺未遂まで起こすような、そんな精神状態になってしまったのはやはり大宮にも少し原因があったのか、というのが何となく理解ができた。
きっと大宮は千博を甘やかせるばかりで、支えにはなっていなかったのだろう。
そういう意味では本当にダメな男であったと思う、大宮という奴は。
しかしそんなダメ男の手を力いっぱい握る北澤には、彼のことがどう映っているのだろうか。
問い質してみたいところだが、そんな質問は野暮なのかもしれない。

≪「それは彼が彼であったから、私が私であったから」と答える以外には、 何とも言いようがない≫のだろうから。
いやいいのだ、それが恋愛というものだろうから。

8

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