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表題作少年と神隠し

テン,天玄丸,阿闍梨の稚児→不老不死の天狗
森宮 修一郎,16歳,身寄りの無い少年

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下 キャラ紹介

あらすじ

大ヒットBL作『玉響』(大洋図書・刊)から約5年――
ゆき林檎の真骨頂となる
和ノスタルジックな最新作が登場!

身寄りのない少年・修一郎を助けたのは、
天狗のような青年だった……。

作品情報

作品名
少年と神隠し
著者
ゆき林檎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829686188
4.3

(250)

(147)

萌々

(61)

(29)

中立

(11)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
27
得点
1077
評価数
250
平均
4.3 / 5
神率
58.8%

レビュー投稿数27

美しい

レビューを見て読みました。
おお……なんだか心が洗われるような。
ほわっとやさしい絵にぴったりのきれいなお話でした。
エロエロではないのですが(描写もやさしい)、ふたりの初キスがなぁんかエロティックで。
呉服屋の娘さんがキスしてきた時は、なんと積極的な…!修一郎も目をつむるな!!とイラッとしましたがwそれ以上進まず素直になってくれてよかった
何とか永く一緒にいられる術はないものか。
とりあえずテンがかっこよかった…!

1

ただのBLかと思ったらもの凄いお話だった件


昭和28年の頃のお話で輪廻転生もの。

優しい二人に対して、起こるエピソードがえげつないというギャップがすごいです。
悪人もいて、より二人の想いや人相が際立ちます。

攻めの回想中の幼い頃に、拾って育ててくれた優しい上人様を失い、行き場を失った時、初老の僧侶に貰われ、ヤられてしまうシーンがもう辛すぎました。
人によっては地雷だと思います。
しかも大好きな上人様が…という怒涛の展開に読む手が止まりかけました。

だからこそ、幸せをより感じることができるのですが…。

こういう、一方は死なないけど片方は寿命が来る物語って、やっぱり読み終わりが悲しくなってしまいます…。
ラストまでは描かれていないのが、逆に良かったです。
一人取り残される攻めを見るの辛すぎる…。

ただ、物語としては完成されていて読み飽きることはなかったです。
短編にも思えるくらいあっという間でした。

2

スレチガイの輪廻

【単行本版】を分冊化して発刊したものが新しく出ていて、続編ではなかった、
残念。

●修一郎:17才
山の寂れた神社に生後間もない子を若い母が置き去る。
昭和28年、神社に捨てられた主人公を拾い、養育した老女が死亡。
一人ぼっちで身寄りがない主人公は山を降りる。
神社に挨拶のお参りをした後、天狗面に山伏装束の男が目の前に現れる、
謎の男性は、名を「テン」と名乗る。

主人公の修一郎は、同じ夢を繰り返し見ている。
・・僧侶姿の人と傍にいる少年。
前世の「テン」との縁を、火事に遭った後に思い出す。

走馬灯のように、グルグル回って繰り返すスレチガイの輪廻。
次ぎの生こそ、同じ寿命の種に生まれて出会い、
独りぼっちを体験しないように・・と願ってしまう結末。

●左大弁:太政官左弁官局の長官。 従四位上相当。最上首の左大史

0

生まれ変わりの切なさと儚さ

作家買いです。

レビューが多いのでストーリーは省きますが、今作もゆき先生の線が細くて繊細な絵がぴったりの作品でした。その相まった儚さに、ハンパなく胸を締め付けられます。

一応人外BL(?)ですが、テンは完全な人の形なので、苦手な方でも問題なく読めると思います。天狗と記載されていますが、実際は霊でも妖怪でもなく、天狗と呼ばれることがあった存在なんだそうです。そして美人系イケメンです(笑)

修一郎は文句なしの可愛い少年。真面目で素直で優しくて、誰からも好かれるようなタイプ。でも普通の子どもっぽいところもあって、照れたり怒ったりするたび、キュンとなります(笑)

見所は何と言っても、愛しいけど触れられない、もどかしさ。と、前世の自分がずっと存在している苦しさ、でしょうか。

過去に修一郎の前世である上人様を失ったテンは、修一郎をまた失うのが怖くて、求められずにいて。修一郎もテンと一緒にいることを望むものの、テンの過去や、上人様の身代わりのような気がして苦しんでいた。そんなテンの気持ちが最大限に表れている、唇と首に触れるだけのシーンは、爆発的に切なくて、悶ます。それだけで腰砕けになる修一郎。最高です!!!!

そしてテンが姿を消してしまったラスト。上人様はテンの元に帰りたくても帰れないまま亡くなってしまったけど、修一郎はテンの元に辿り着くんです。その一瞬、目に映るテンが子ども姿に見える、輪廻転生の想いの強さにグッときました。

もちろん描き下ろし共に、結ばれるシーンも萌えまくりですっ!!!!直接的な局部が描かれてないところが、また綺麗で、でもめちゃくちゃエロくて。何度読んでも、うっとりしちゃいます。

ハピエンかどうかは読み手次第だと思いますが、本当にゆき先生の描く世界は美しい!読んだことない人は、是非読んでみて欲しいです!

0

エロがあって残念?

以前、凄く評判になっていたので気になって読んだところ残念に思った記憶が……。

作中の現在は戦後8年が経った日本。
近代化が進み景気が良くなって来た時代だけど、まだ辛うじて片隅には薄暗い前近代的な民話の世界が残っているような。

回想の舞台は服装やテンのお父さんの役職名からしてたぶん平安時代。
10世紀以前?
なのでテンは100年前どころか1000年以上前から生きています!
場所は比叡山延暦寺のような天台宗の寺院。

テンの仕える上人様(修一郎の前世)は稚児灌頂などには手を出さぬ高潔で慈愛に満ちたお方。
テンは上人様を敬慕し、千日回峰行から帰るのを待ちわびる。
が、上人様が戻ることはなく、生臭坊主の手籠に合い、黒い思いを持つようになる。
そして盗みや汚いこともして生き自堕落に死に、いつしか人ならざる者になった。

で、ずうっと1000年も一人で生きて来たところに、上人様の生まれ変わりの赤児を見つける。
嬉しかっただろうなー。
鳥を使ってストーカーしたり時々覗き見しに行ったりして、陰ながら成長を見守ってきたんだろうな。

で、ですよ。
そんなにも尊敬しお慕い申し上げてきた上人様に罪悪感なく劣情を抱くものでしょうか?
上人様はそれは大切にテンを扱ってきたというのに。

そして、誕生からずっと成長を見守ってきて可愛くて仕方ない修一郎に躊躇なく
手を出せるものなのでしょうか?

何だかそれまでの二人の純粋で尊い気持ちが簡単に蹂躙されてしまうようで残念に感じました。
もしかしたらエロなしでもよかった作品かもしれません。
エロ、好きですけど(笑)

2

心が洗われる

せつない

昭和28年、捨て子のシュウイチロウは、唯一の家族であった義母(年齢的には義祖母)を亡くして、生まれ育った村を出る。旅の途中で怪我をしたところを、奇妙な面をした青年・テンに助けられる

はじまった、山奥での二人暮らし。穏やかな日々の中、町に魚を売りに行った際に声をかけられ、居酒屋で働くことになったシュウイチロウ

ある日、資産家に忘れ物を届けに行ったシュウイチロウは、事件に巻き込まれそうになる。それを救ったのは、テンだった。暖炉の火力を上げて、家ごと燃やさんとした。テンは、人ならざるものだった

強い執念を抱えて、天狗となったテンと、厳しい修行の末に命を落とし、生まれ変わったシュウイチロウ。テンは、かつてシュウイチロウの稚児だった

シュウイチロウに、普通の幸せを手に入れてほしいと願う気持ちと、自分と一緒にいてほしいと願う気持ちの間で揺れ動くテン。ずっと独りぼっちで過ごしてきたテンに何かしてあげたいと思うシュウイチロウ

やさしくて、せつなくて、静かな愛があふれるお話です

0

物哀しさが消えない物語

「玉響」に続いて読んだゆき林檎先生の作品でした。
生まれ変わりをテーマとした和ファンタジー。

修一郎が育ての親を亡くし、山を降りる途中で山伏のような男に助けられて…な始まり。
執念や妄執にとらわれた僧は天狗になる、という仏教の教えがあるそうで、山伏と思われた男は実は天狗⁉︎というお話でした。
修一郎も実はある人物の生まれ変わりで、天狗のテンとは前世で深く関わりがあった事が分かってきます。
前世の2人は恋愛関係ではなかったのですが、別れが切なかった。
また、それ以上に稚児灌頂という儀式が辛かった…現在のBLの始まりなんて考え方もあるようですが、テンがされたように一方的な行為はBLでもなんでもねぇ!と私は思うのです。

永遠の命を持つ人外との恋愛は、一緒に年を重ねて行きたいという望みが叶わず、片方が愛する人が居なくなった後もずっと生きていかなくてはならないという哀しさがつきまといますね。
修一郎がまた生まれ変わっても、テンは見つけられると思うのですが生まれ変わった方はまたゼロからだからなぁ、辛いですよね。
天狗は不老不死なんだろうか…?
修一郎が次生まれ変わるときは私も人として生まれて…というセリフがあるので天狗にも寿命はあるのでしょうね。

とても綺麗なお話だったのですが、考える事が多すぎて2人の恋愛の萌えが薄れてしまったのがちょっと残念でした。

0

時代も次元も越えた愛

とても美しいファンタジーでした。
ゆき林檎先生の世界観を存分に楽しませてもらいました。

テンは初めからすべてを悟ったような眼差しで修一郎を見ていたのが何故なのか
徐々に紐解かれていって
惹き込まれるように読み進めてしまいました。

過去の経験と記憶が絡まって
修一郎を繋ぎ止めることができないテンを
揺り動かした修一郎の強さに
とても感動しました。
テンの優しさも気遣いも痛いほど
伝わっていたけれど
見守られているだけで終わりたくない、
今を一緒に生きてほしい、という
最大の我が儘だったんだろうな、と。

テンの過去は
幸せなだけではない、
けれど辛くて切ない記憶だけでもない‥
だからこそ、今生での巡り合わせが
幸せなものになればいいなと思いました。

ちなみに‥
テンがお面をつけて振り向いた時、
めちゃくちゃビビりました(笑)
それほどにリアルでした。

0

良いタイトル

タイトル含めて起承転結まとまりよく流れるように作られてます。
出遅れ気味に読みました。自分はいわゆるメリーバッドエンドと読んだのですが、皆さんの意見はどうなのだろうとレビューを見たら、やっぱりそうよね…

市井で生きることを諦めると、途端に衰える気がするの。どんなに愛した人でも、それこそ僧のように徳の高い人でも、1対1の人間関係にはいつか行き詰まりを感じるのではと不安になる終わり方でした。

そこはとりあえず置いておいて、作画が相変わらず美しかった…五右衛門風呂いいです。
赤子修一郎のかわいさ…そりゃテンだって放っては置けないよ。神社に来るような心根の人なら拾ってくれるもんね、きっと。

お家探しに旅立つ直前のテンの抱擁、腰砕け〜〜〜
色気が…エッチシーンではないのにこの溢れんばかりの色気

最後の方、リバの機運を感じたので、読みたいなぁリバ

0

美しく優しい世界

ゆき林檎 先生作品 絵がきれい(3回目)
不思議なお話。でも自然にすっと入れた。
お互い愛おしく思っている描写がやさしくていい。 ほっぺや首にちゅとされて修一郎が腰が砕けるとこが好み
初のえっちな絡みが河原で体痛いでしょと余計な心配したりw エロもきれいで品があっていいな✨

1

また二人が同じ身で出会えること.......

これを読んだ時びっくりしました。とても綺麗で儚くて.............愛や人の業について考えさせられました。
話の進み方が上手で、伏線の回収が楽しかったです。 時代を忠実に描かれていたので のめり込んでしまいました。もっと評価されるべき作品だと思います。
これからの作品にとても期待しております。

0

今この時目の前にいる人を大切に

 とても繊細で、壊れもののような物語でした。ゆき先生のタッチにもすごく合っているし、今まで読んだゆき先生作品の中で一番お気に入りになりました。いわゆる前世ものなのですが、転生前の修一郎とテンの話が本当に温かくて、切なくて、やりきれない想いになるんです。上人様の立ち去った後、この歳で別の僧侶に抱かれなくてはならなかったテンの悲しみ、憎しみはどれほどのものだったでしょうか。もちろん同じ歳で稚児灌頂を割り切って受け入れている子も立派ですが、心から慕う僧侶がいながら、他の僧侶の食い物にされる屈辱はこれ以上ないほどの苦痛だっただろうと思います。

 上人様の亡き骸を見つけた時、すぐに追って死ぬことができず、転生することすら叶わず、人ならざる者となってしまったテン。それでも私は、上人様の生まれ変わりである修一郎と短くても共に過ごせる時間を得られた彼は、本当に幸せなんだろうと思います。あの時自死していても魂が同じ場所に辿り着けたとは限らない。今、2人の魂が同じ時代同じ場所で出会えたことの奇跡、幸運さを噛み締めて欲しいなぁと思います。もちろん希望は持つべきだけど、この先テンが転生できるのか、修一郎もまた生まれ変わることができるのかは確かではありません。だからこそ、何にも代え難い今この時を大切にして、少しでも長く2人が穏やかな時間を紡いでいけたらなぁと心から願います。

0

全ての道は自分で選択するもの

素晴らしいファンタジーですね。
ページ数たっぷりですが、全く飽きさせません。
輪廻転生・六道輪廻…生まれ変わりのお話です。

昭和28年という古くも新しくもない絶妙な時代、
天狗のような妖怪がいてもおかしくないと思わせます。

主人公の修一郎は高僧の生まれ変わりであり、
その修一郎を前世から慕っているのがテンです。
テンは人ではなく、天狗のような不思議な存在です。

テンは修一郎の前世・上人様の稚児であり、
上人様を尊敬し、慕っていました。
その上人様が修行中に亡くなってしまってからのテンの生涯が辛すぎます…
テンは死ぬことも出来ず清く正しくいくることもできず、
挙げ句の果てには生まれ変わることもできずいるのです。

そのテンを愛し命尽きるまで共にある事を選んだ修一郎ですが、
あと何年一緒に居られるのかと思うと胸が苦しくなります。
修一郎は友も職も全てを捨ててテンと生きることを選び、
自分の足でテンの元に向かったのです。

神隠しではなく…

しかし、テンの様な努力を惜しまなかった子が堕落したのは、
全て煩悩に溢れた大人たちのせいです。
輪廻転生できないとしたら生臭坊主たちであって、
どうしてテンなのか?
そう考えるととても辛かったです。

ハッピーエンドなのでしょうか?
読み手によって異なる結末だと思いますが、
幸せはテンと修一郎が決めることだと思います。
きっと今、二人は幸せでしょう…

1

テンを想うと切ない

ゆき林檎さんの絵がとても好きです。絵だけでも雰囲気があって色々伝わってくるような気がします。
特に人物の目元が好きです。

さて少年と神隠しですが。
輪廻転生ものですね。しかし転生して会えた!やったね!とは行かない悲しく辛く苦しい時を過ごして片方は天狗になってしまい、片方は人間に生まれ。

二人の生い立ちや幼少期やテンが稚児として上人様に仕える幸せな日々や、上人様に修行に出られて他の僧に伽をさせられる少年期から青年期。辛いです。
上人様をせめて見つけ出そうと寺を抜け出しとうとう遺体を見つけ日記を読んで…。
憎しみや恨みを持った僧は天狗になるというのは…。

修一郎が生まれた時からテンに守られ、上人様の生まれ変わりと知りながら側にいたいと願い、でも修一郎の枷にはなりたくない好きな生き方をしてほしい。健気な攻めですね。

修一郎もテンを好きになって。
呉服屋のお嬢さんが出て来たときはひやひやしました。
修一郎とテンはなかなか簡単には結ばれませんがやっと覚悟を決めて一緒に生きていく決意をします。

今度修一郎をまた失ったらテンはさらに悲しみを倍増して一人で生きていかなければいけません。
修一郎の残りの人生をあげる共に生きるのが良いのか、これまで通り見守るだけがいいのか。
読後考えてしまいました。

短編は修一郎に更に過保護で、でもやっぱり上人様なのでかよかれと奉仕する?テン。修一郎は対等にいたいし手伝いたいし一緒に寝たいのに。

修一郎も上人様に嫉妬して?いつかは攻めの位置を狙ってるのかな?

1日でも長く二人で一緒にいられますように。

0

切ないけど優しい気持ちでその先を想像

ほぼ「神」に近い「萌2」でした。
ただ、メリバが苦手な方はいろいろと。。。

まず第一に結論から。
ファンタジー特有の寿命問題が大前提にあるので、いろいろ切なくなるところもありますがお話的にとても切なく共に生きると決断した二人が切なくも尊くて個人的にはたまりませんでした。

昭和28年。
捨て子の修一郎を育ててくれた養母が他界したところから始まり、何のあてもなく村を出た修一郎が名前以外何も分からないテンに助けられ共に生活をするお話。

テンが子供の頃から慕い尊敬していた僧侶(上人)が亡くなり、彼を想うテンは長い年月生き続け人ではなくなるが、その先に上人様の生まれ変わりである修一郎と出会う。


泣いちゃいました。切なさがたまらなくて。
切ないお話だけど描き下ろしで少し暖かくホッコリと終わってるので切なさを引きずることも無かったです。

0

繊細で綺麗な作品

表紙のイメージそのままの、穏やかな雰囲気の作品でした。
絵が繊細で、綺麗でした。受けの子とても好きです。
お話は少しさみしさがありますが、それでも深く繋がれる事の意味を感じる幸せな余韻がありました。時代背景が掴みにくい感じはありましたが、そこまで気になりません。登場人物に女性がいますが、とても好感度がいいです。
しっとりじんわり楽しめるお話でした。
和風な感じや、妖系がお好きな方は是非。

1

ふわっと綺麗

可愛くて、綺麗な昭和ノスタルジックファンタジーでした。
登場人物皆さんの透明感がすごい。
いや、ちゃんと悪役というか、薄汚れた感じの人も出ては来るんですけど、それでも皆さんお綺麗なんですよ。絵やセリフの一つ一つが繊細なのも理由でしょう。暗さやホラー・オカルト成分も存分にあるんですけど、闇成分はそれほど感じませんでした。爽やかです。
考えればきりがないような難しさがありながらも、今この瞬間を大切にしている!という感じでしたので引きずらずに楽しく読めました。
ボリュームはありますが、一度読んで、もう一度読み返すのは必須です。

3

うーん。死後、ずっと執着心を持ち続けることが幸せなのだろうか。

評価を下げてしまい、大変申し訳ございません。

美しい表紙に惹かれて購入しました。
中身もとても綺麗な絵で、感情描写が丁寧でした。

山奥で暮らす大変さと、行で命を落とす場合もあること、戦地に赴いた人のその後について書かれていたことが良かったです。
覚浄に少年のテンが抱かれる場面は、拝読していて心がとても痛みました。
望まない性交は、実際にあっただろうな…。

趣味じゃないにさせて頂いた理由は、2つございます。
1つ目は、大変申し訳ないのですが、お話が所々ご都合主義に感じました(私の依存心を刺激したり考え方が甘くなるものは、なるべく避けたい)。
2つ目は、テンは、上人様への執着心によりこの世に縛られてしまっていて、あの世へ行けない状態なのではないかと感じました。
色々な考え方があると思いますが、私は死後ずっとこの世に居続けることが幸せだとは思えません。
長い間、執着心に縛られていて浄化できず気の毒だなあと、どうしても思ってしまいました。

5

天狗道、というと、「町でうわさの天狗の子」の怖い天狗道を想像しましたが

あんまりにも読みたくて、いつも使っているサイトとは違うサイトで購入しました。
いつも使っているサイトでは取り扱いがなかったので・・・・

お寺の稚児だったテンと前世が阿闍梨の修一郎のお話です。
わかってはいたけれど、阿闍梨の千日回峰行(と思われる)の途中で死を覚悟する
日記をテンが見つけて読んだときに泣けました・・・・

死を受け入れられる人だったけれど、テンのために生きたいと思った
そのときの愛をなんて表現したらいいのかわからないくらいジーンとしました。
阿闍梨の骨のそばで命を絶とうとしたテンが実はその思いを達せず、
命がつきない体(まさに天狗)になっていて・・・・
天狗、って切ない・・・・

修一郎が阿闍梨の生まれ変わりで、本来は阿闍梨×稚児だったのが
受け攻めが自然に逆転してましたね。
時代も昭和20年代、自然と人が共生していた時代なのかなあ。。。と
ぼんやり知りもしない時代に思いをはせました。

絶対絶対二人に結ばれてほしかったので、結末も大満足でした!
モブの変態男はモブとして作品の中で生き切っていましたw
ナイスなスパイスです。

女性もでてきますが、決してガツガツした自分本位の人ではなく
相手を思いやる性格で描かれていたので、幸せになってほしいなあと思います。

私はフィクションなのだから、全員幸せになれー!と思う方なのですが
終わり方が続いていく未来の見える幸せの形もいいなあ・・と思います。

作品の内容と描写線がマッチしていて(玉響もそうですが)
この作家さんにはひと昔前の和の雰囲気のBLをずーっと書いていってほしいなあと
思います。

はー・・・読めてよかった・・・・。

10

最後まで描かない美しさ

神でした!
素晴らしい作品ほどどう評したらいいかわからない現象が発生してます。
それほど心に響きました。


まず表紙が良い!
ゆき林檎先生の繊細な絵柄が非常に活かされています。

物語的には雪降る寒い冬の印象ですが、表紙は桜(おそらく)が満開で春の暖かい空気を感じます。
テンが人間で修一郎は上人様であった頃雪に埋もれた白骨死体での再開だったことを考えると、緑の草の上花に囲まれた二人のこれからは明るいものだとうかがえます。

ここで二人が抱き合って笑顔で幸せ!ではない所がいい。
テンがお面なのはファンタジー感を出すのにも重要だと思いますが、テンの表情がわからない+修一郎も笑顔ではない。
この状態だからこそ人と人でないものが一緒に生きていく困難で不安定な二人の関係性がよく現れていると思います。


このお話は大団円というわけではないと思います。

テンが死ぬor(自覚なしだとしても)来世でテンと修一郎が出会う1コマがあって終わりかなと予想していたら……さすがゆき林檎先生、そんな甘くなかった。
二人で生きていくと決めたけれど未来がどうなったかはわかりません。
なんなら修一郎は「僕も天狗になれるかな」と言っています。
このほの暗さが簡単にはいかない複雑で切ない関係を表しているようで心臓がギュウとなりました。

読者さえ二人が幸せに生涯を終えたのかわからない、その結末を描かない終わり方はテンと修一郎の世界だけがあるようでとても美しいと感じました。

8

舞台設定が絶妙

とても繊細で素敵な作品でした。
ゆき林檎さん、コミックスの出版数は少ないですが、このクオリティの作品が読めるなら、待つ甲斐があるというもの。
戦後間もなくの昭和28年という時代設定が絶妙です。
山の中で隠れ住むには、これより前ならもっと簡単でしょう。
高度成長期の開発の波をギリギリに逃げ通すことができれば、テンと修一郎の約束の70年後を、再び打ち捨てられた山の中で、自然へと還る穏やかな別れが想像できます。
輪廻転生のファンタジーな設定のお話ですが、今も二人がどこかでひっそり暮らしているような、そんな二人のその後が感じられるお話でした。

5

綺麗なお話でした。

とてもいいお話でした。
攻のテンは不老不死(?)で、
その昔好きになった人っていうのが
受の修一郎の前世の人間なんですよ……。
テンはひとりで、ずっと修一郎のことを待っていたんですよ……。
作品の舞台は戦後ですが、
戦後感はあまりなかったですね。
戦後ビーエル大好きなんですけどね。

人を好きになるということ、そして
その人をずっと好きでいること、
テンの気持ちを思うと胸が熱くなりますが、
ハッピーエンドで終わったので
本当に良かったです。

個人的評価
ストーリー ★★★★★
登場人物 ★★★★☆
エロ度 ★☆☆☆☆

4

「ゆき林檎先生大好き!」を再確認

久々に紙で発行されたゆき林檎先生作品。
ずっと楽しみにしていました!
先生の作品は登場人物がひたむきに誰かを愛していて、読んでいて胸が締め付けられる程萌えてしまうのですが、今回もその気持ちを思い出させてくれる神作でした( ;∀;)

お面をつけた不思議な青年テン×昔から不思議な力を持った修一郎
身寄りのない修一郎が森で倒れた時に介抱してくれたテン。不思議なお面をつけていて正直不審者でしかないが、修一郎に見返りもなく優しくしてくれて…そんな時村では10代の少年が神隠しにあう事件が頻発していて…なお話です。

テンが何者なのか、事件の犯人は?とミステリアスな要素が絡み合ってページをめくる手が止まりませんでした。
テンが何者なのかわかった時にはなんて哀しい青年なのだろうと読んでいて涙してしまいました。
テンの修一郎への愛情、全てを知った修一郎からテンへの愛情、お互いが思い合うからこそのすれ違いがまさに純愛です。切なくて、100年の愛に胸が締め付けられました。゚(゚^∀^゚)゚。
こう書いてしまうとバッドエンドのように受け取られてしまうかもしれませんが、読後は穏やかな気持ちで2人の幸せを願うのみです!!!大丈夫!←
(2人…というか個人的にはテンに自分の欲に忠実に幸せになって…!という気持ちですw)
エロは控えめですが、BLとしては読み応えたっぷりです!
リバは普段苦手ですが、今作はリバもありだなと思ったりwアニメイト特典ペーパーを読むとそんな気持ちになります。

一つ気がかりなのは火事で犠牲になった人は修一郎が見つけたあの子なのか…?!だとしたら悲しいなと思うのですが…。

3

幸せを願わずにはいられない優しく切ない物語

ネタバレあります。

「少年と神隠し」
柔らかで繊細で優しい物語でした。
攻めのテンは穏やかで決して多くを語る性格ではありませんが、修一郎(受け)を見守る天狗で、
受けの修一郎は身寄りがなく幼少期から神通力を持つが故に悩みながらもまっすぐ優しく育った少年になっています。

読んでいくにつれ、ああこのふたりには、何度でも幸せになって欲しいなぁと切ない気持ちになります。ハッピーエンドなのに。
最後のコマの余韻のある穏やかな終わり方が私は好きです。
テンと修一郎の住む場所が町から離れた山であることもふたりの関係が秘密めいていて素敵だと思います。
互いが好きというのは勿論のこと、大切なんだろうなあと思わされる場面がこれまた良かったです。
大切だからこそ相手を縛りたくないし、失いたくない。離れたくないし、側にいてと求められたい。
テンにとっては探し続けて数百年越しに叶う恋。
でも修一郎も魂が探していたと思うんです。何度も夢見るくらい。
何度離れてもまた出会う運命なんでしょうね。

舞台が昭和28年ということで66年前くらい…?
その頃の修一郎は16歳ということなので生きていたら82歳くらい!
今も縁側で緑茶でも啜りながら、ずっと穏やかにいてくれたらいいなぁ…。

穏やかな時間を願わずにはいられない素敵な物語でした。

3

百年を越えた永遠の愛と苦しみ

ゆき林檎先生の久しぶりのコミックスです。
さすがとしか言えない、BLとしてだけでなく人の愛や業、様々な思いが先生の繊細な描写と共に読みごたえある作品になっています。

ファンタジックで、愛に溢れた内容でありながら
人間の欲や弱さ、醜さや浅ましさも同時に表現しながら、永遠の愛とはどういう形で存在するのかを主人公二人が百年以上の時を経て教えてくれるのです。

読み進めて行くと、読み手はきっと二人がずっと一緒にいられるよう、彼らの永遠の幸福を祈らずにはいられなくなると思います。
巡り巡って出逢うことができた奇跡を、今の幸せを手放さないで欲しいと願ってしまうのです。

前世で想いを残したまま、死別しているテンと修一郎。
一度悲しい別れを経験しているテン(攻め)は、いつかまた来るであろう修一郎(受け)との別れに耐えられないと、苦しみ続けます。
一方毎夜みる不思議な夢に出てくる男がテンによく似ていることから、ひとつの仮説を立てテンに詰め寄り真実を知る修一郎。
登場人物も多く、それぞれの人物描写もとても細かいので
この人がどんな人物なのか、非常にわかりやすく
ストーリーは複雑で中身は濃い長編ですが
最後まで夢中になって読み続けてしまいました。

とても美しく哀しいお話です。
最後に少しだけ二人の絡みのシーンがありますが
これがまた、非常に美しいのです。
二人の永遠の幸せを願いなから、温かい気持ちで読み終えることができた作品です。

8

愛と業。穏やかで物哀しい素敵な雰囲気の作品。

昭和28年が舞台のファンタジー。
天狗のような面をつけた不思議な青年と、身寄りのない少年の出会いから始まるお話は、私がイメージする仏教の世界そのままに、穏やかで慈愛に満ちていながらも、どこか儚げで物哀しい。

優しく綺麗な絵。丁寧な描写。
主人公2人の性格も、穏やかでいい意味でテンションが低いので、刺激を避けたいとき、クールダウンしたいとき…など、落ち着いた読書をしたいときに大変お勧めできる作品です。

以下、ネタバレがあります。ご注意下さい。

捨てられ児の修一郎は、拾い育ててくれた祖母を亡くしたため、育った地を離れ、職を探して一人で生きていくことを決意します。
昔から「何か」を感じる霊感に近いもののある修一郎は、道中感じた念により倒れてしまったところを、天狗のような面をつけた不思議な青年に助けられ、介抱を受けることに。
その男は自らを「テン」と名乗り、二人は山の中の家で奇妙な共同生活を送ることとなります。

実は修一郎には昔から見る夢があり、テンはその夢に出てくる人物にそっくり。
テンに強く慕う人物がいることを知った修一郎は、嫉妬のような感情を抱いたりと、自分の中にある感情の正体がわからず戸惑います。
近づきそうで近づかない、微妙な距離を持った2人がとてもよい。

そんなある日、事件に巻き込まれた修一郎は、夢の正体と自分の前世の記憶に気付き…

ここから今度は過去のテンと修一郎の物語が。
このパートがまたすごくよかった…

修一郎はテンが強く慕う人物の生まれ変わり。
輪廻転生した修一郎に対し、テンは業のために転生の輪から外れた“天狗道”を歩む、人ではない別のもの。
同じように歳を重ねて死を迎えることが出来ない2人の関係が、とても切ない…

優しさと慈愛に満ちているのに、ハッピーエンドなのに、どこか悲しくて不安な気持ちが付き纏う「種」の違う者たちの恋。

どうか2人が次の転生の渦に飲み込まれてくれますように。そう願わずにはいられません。

ゆき林檎先生、ずっと気になっていたのですがこちらが初読みになります。
まずは積み本となっている『玉響』から早速読まねば!!!

15

愛しいから側に居てほしい、愛しいから幸せに生きてほしい…

ゆき林檎先生、5年ぶりの紙コミックスは、天狗のような不思議な男と少年の和風ファンタジー。
キレイなおとぎ話のようでいて、孤独を生きるほろ苦さも描かれています。

pixivコミックで5話まで読めるので気になる方は試してみてください。
ただし、とっても気になるところで終わるので、続きを読まずにはいられないと思います。

コミックスには6話+描き下ろしが収録されています。


捨て子だった修一郎は、育ててもらった祖母も亡くし独りぼっちで、悪い霊から逃げようとして怪我をしてしまう。
それを助けてくれたのが、山伏の恰好で天狗の面をつけたテン。

行く宛のない修一郎に、テンはここを使っていいと言ってくれた。
一緒に暮らすのだから天狗の面を取って欲しいとお願いすると、テンの顔は、修一郎が繰り返し見る夢に出てくる男に似ていた。

そして修一郎も、テンの好きだった人に似ているらしく…


修一郎はテンと一緒に魚や木の実を取り、魚を売ったりしながら静かに暮らしていたけれど、町で助けた男の居酒屋で働くことになった。

修一郎はいつまでも山で暮らすわけにはいかない。
自立するためには人里のなかで暮らしたほうがいい、テンだってそれはわかってる。
でも修一郎から頼みたいことはないか?と聞かれると、
「どこにも行かず、ずっと私の側にいてください」と本音を漏らしてしまう…
それはテンが心の奥底から絞り出した、たった一つの切なる願い。

妄執に等しいその思いがテンを不老不死の人ならざる者として、今ここに存在させている。
「一緒に生きたい」過去の叶えられなかった願いに囚われたままのテン。

そして修一郎こそが、一緒に生きることができなかったテンの想い人の生まれ変わり。
テンが修一郎を助けたのは偶然なんかじゃない、修一郎が生まれた時からずっと見守ってきた。
テンにとっては修一郎がすべて。

修一郎だって、前世で命が尽きる時にテンと生きたいと願っていた。

共に生きたいと想い合ってる二人が出会えたのだから、一緒に生きていけばいいと思う。
でも不老不死のテンは人に交じって生きていくことはできないし、かといって山の中に修一郎を閉じ込めておくこともできない。
愛しいから側に居てほしい、愛しいから人として幸せに生きてくれることを願う。
何が正解かわからないテンの葛藤は苦しくなります。

愛しいから触れたい、でも触れるわけにはいかない。
そんなギリギリの愛情表現が唇でない頬へのキス。
軽く触れただけなのに、その一瞬にどれだけの想いが詰まっていることか…


今生の修一郎はまだ10代の少年で、恋もしたことはない。
前世の記憶がおぼろげにあって、テンに惹かれ始めてる。
修一郎はまだ子供だから、人と離れて生きていくこと、自分だけが老いていき、いつかテンを置いて逝ってしまうこと、事実としてわかっていても、実感としてはわかってない気がします。

修一郎は、テンの箪笥の中に女物の櫛を見つけ、自分以外の誰かがテンと一緒に居たかもしれないと嫉妬をして、どうしようもなくテンに惹かれていることを自覚する。

テンは昔も今もただ一途に修一郎のことだけを想っている。
その方がお話としては綺麗です。
でも、修一郎と再会するまでの数百年間、テンは別の誰かと踏み出そうとしたこともあるけれど、修一郎への想いを断ち切ることができなかった。
その事実があるほうがテンの長い孤独と苦しみがより伝わってきます。


そして、修一郎は子供だから、恐れを知らずに、思ったままの願いを素直にテンにぶつけることができたんだと思います。
素直な言葉だから、テンの孤独なままの心にも届いたのだと思います。

二人のずっと先の未来のことは描かれていません。
でも描き下ろしでテンが言葉にした新たな願いは、それまでの後悔とは違ったものだから、妄執は消えて、テンは人としての時を取り戻せるのかもしれません。

キレイなおとぎ話の中に、人間の業と孤独を織り込んだようなお話。
ゆき先生の儚げな絵によって世界観に引きこまれていきます。


※ゆき先生、紙コミックスは5年ぶりですが、2018年末に電子オンリーで『セカンドワールド』が発売されています。
こちらも切なく読み応えのあるお話なので、紙本化されて広く読まれるといいのになぁ。

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