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表題作初恋をやりなおすにあたって

大須賀敦也
何でも屋、バイセクシャル、24歳
灰谷雪
生活能力ゼロの若手棋士、24歳

その他の収録作品

  • 内緒の棋譜
  • 感想戦~あとがきにかえて

あらすじ

ワケありななんでも屋の青年×生活能力ゼロの若手棋士の星v 
幼い頃の想いが時を経て成就する恋の頂上決戦!!

食事も摂らず駒を動かし、棋譜を眺めて呟くばかり――。対局前は廃人同然の棋士の世話を請け負った何でも屋の大須賀。そこで再会したのは、若くして七段となった棋士期待の星・灰谷雪。小学校で別れたきりの幼なじみだった!! 詰将棋を教わるほど仲が良かったのに、雪はなぜか無反応で…!? 一期一会の対局に魂を削り名人を目指す、雪の真意とは――13年を経て、もう一度始める切ない初恋!!

作品情報

作品名
初恋をやりなおすにあたって
著者
尾上与一 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009631
3.9

(100)

(41)

萌々

(34)

(14)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
15
得点
387
評価数
100
平均
3.9 / 5
神率
41%

レビュー投稿数15

命を削りながら向き合う姿に胸が熱くなる、本格将棋BL

今月末にスピンオフ作発売と知り、電子で購入したまま未読だったこちら、
じっくりと拝読しました。

あらすじなしで、感想のみを。

元同級生同士の、13年越しの再会ものです。
受けが棋士の、本格将棋BLでもありますが
将棋を全く知らなくても問題なく読めます。

…以前、本当の本当の”さわり”の部分だけ教えてもらって
諦めてしまっていた将棋、アプリで…にはなりますが、
もう一度チャレンジして頑張ってみようか。

そう思わせてくれるほど、”命を削って向き合う姿”に胸が熱くなる物語でした。

決して彼のせいではないのだけれど、そう思ってしまっても仕方ないよね、、と
胸の痛くなるトラウマを抱えた受け・雪(せつ)の、危機迫る将棋への向き合い方、贖罪の姿が本当に切なくて、、

生まれてからこの方、本当に将棋一本、一筋に生きてきた彼の生き様を、
攻め視点で読む物語の中からまざまざと感じ取ることができます。

自分が中途半端に逃げてきた有田焼の色付けの仕事を、
雪との再会によって考え直す敦也。
”初恋をやりなおすにあたって”ーこの本のタイトルの深い意味に触れた気がして、
思わず唸りました。

雪にとっては「初恋のやり直し」、敦也にとっては「生き方のやり直し」になる、
運命の再会だったんだな、と。。

13年間、雪が許しを求め続けたトラウマの原因となった出来事。
この描写が切なくて、胸が張り裂けそうに...

自分が、ぜんそくでさえなければ。
あの時自分が倒れることなく、助けを求めることができてさえいれば。

事実を敦也に伝えることができなかったのは当然だと思うし、
そんな雪のそばに両親や事情を知る師匠が寄り添ってくれていて、
苦しみを抱えた雪が一人に、孤独になることがなく本当に良かったな、と思う。。

終盤明かされる事故の事実が、悲しいけれど
”雪の無実”性を証明してくれるもので、
読んでいる自分が救われた気持ちになりました( ; ; )

敦也のお母さんとの、”約束”。

敦也と雪が再会を果たし、結ばれた今、きっとお母さんは笑顔でいてくれるんじゃないかな、と思う。そう思いたい…

「感想戦〜あとがきにかえて」の中で描かれる、
崩し将棋での雪の負けず嫌い発動には笑ってしまった!(*´艸`)

本気で将棋をやったら勝てないんだからいいじゃないか、と言う敦也に対し、
「敦也くんには11の頃から惚れてるの。」と答える雪。

13歳の頃から今の今までベタ惚れで、負けっぱなしなんだよ?

って、なんっって甘くて無自覚な熱烈告白!!!

もう、頬が緩んで仕方なかったです//

もらった赤いミサンガを、24になった今でも大切に持っている健気さと、
いかにも棋士らしい?意地っ張り具合。

雪の魅力に、いまや敦也の方こそメロメロなはずだけどな(*´◒`*)

文字どおり命を削り向き合う”後退王子(ニックネームの由来に納得!)”の生き様に、胸熱くなり”もう一度将棋を指したい!”と、熱い気持ちを呼び起こしてくれる物語でした。

月末のスピンオフ作発売も、今から楽しみで仕方ありません…!

0

No Title

何でも屋の
敦也と棋士の雪。小学校の同級生のふたり。久しぶりの再会。雪の没頭してしまうと生活できない感じ目が離せない

でも雪が背負っているものが重すぎて泣けてしまった。それはしんどかったよね……。さすがにその展開は予想してなかったので雪が敦也を受け入れないのにそんな深い理由があるとは思ってもみなかったな。雪の生き方は危なっかしさもあるので敦也もしっかり支えてほしいな

雪との関わりにおいて敦也ももう一度情熱を取り戻したのは良かった

0

将棋描写にこだわりを感じる

将棋棋士と何でも屋のお話。基本は敦也視点で、人生の迷子状態だったのが、雪と再会して好転していく様子が良かった。雪の方はトラウマと向き合い、乗り越えられたようで安心した。ラストが遠恋状態なのは気がかりかな。

有田焼の修行から逃げ、何でも屋で働く敦也。24歳で将来に迷いつつ、ゆるゆる生きてる印象。雪にとって大切な子供時代の敦也との思い出は、敦也にとっては何気ない一コマで、敦也視点だと純粋に大人になった今の雪に惹かれていく感じ。

雪は、棋士設定にありがちな極端なキャラ付け。積極的に告白して、すぐ一方的にお断りは意味が分からない。隠してる理由があるにしても、これでは敦也が気の毒。狭い世界で生きてるそういうキャラって設定だから、こうなるのかな。

物語はくっついて終わりでなく、それぞれの人生が上向くところまで描かれていてとても良かった。対局シーンはなんか熱い、いや熱すぎて、キラキラしたファンタジーな何かを見ている気分になった。

気になったのは、取材ゼロの観る将(作中では“見る将”表記)が書くとこうなる、の見本のようなとこ。観る将特有の偏見をアマ段持ち設定の敦也が言ってて違和感だし、知識の偏りが見受けられる。また、有田焼の説明と将棋の説明で、熱量の違いを感じて微妙。

でも良い部分もあって、外から見える綺麗で華やかなところだけを煮詰めて崇高なものに昇華しているようで、書き手の将棋愛に圧倒される。リスペクトと同量の将棋に夢見すぎてる感もある気がして、置いてけぼりにされるところもあったが。

どちらかというと、BLより将棋描写に細かなこだわりを感じる作品。雪の自己完結と内向的な面は、特殊な環境が説得力を出していたのかな。敦也の鷹揚さとバランスが良く、しっくりくるカップルだと思った。

1

そうだったのか、と思えるまでが長すぎる気がする

幼馴染みの再会もの、ではあるのですが、一筋縄ではいきません。
読みながら、よくわからなかった雪の行動の謎が解けたのは、本の半分を過ぎた頃でした。
初恋で両片思いで再会して、どうしてそうするの?と首をひねりながら読み続け、ようやく現れた過去のエピソードで、なにもかも腑に落ちました。
そこには、それはそれは深い心の傷と、背負うにはとてつもなく重い枷が隠れていました。
小学生には背負えない。潰れてもちっともおかしくない。
周囲の支えと、本人の強靱な精神力によって、雪のこれまでの人生があったのだと判りました。逃げたのでも弱いわけでもなく、逆だったのでした。
判ったことでタイトルの「初恋をやりなおす」の意味の深さを思い知りました。
ここを知れるまでの約200ページと、それ以降とでは、雪に対する印象は全然違います。
そうだったのか、と思えるまでが長すぎる気がするのは、そこに至るまでの雪の言動が不可解だったからです。
もう少し早い段階で知りたかったかもしれない。
もっとも、読後に最初に戻り再読すればよいだけの話かも知れませんが、うーんでもそれも違うような気も?
雪がどんな思いを抱えて敦也と顔を合わせていたのか想像すると胸が痛いです。
最後の最後でやっと向き合って結ばれた二人。敦也は新たな道へと進みますが、遠距離恋愛になってからの二人が気になります。
続きは同人誌なのかな。

0

本格将棋BLでした。

といっても受けがプロ棋士で攻めがなんでも屋という異業種BLでもあるのですが。

まず、受けの雪の初登場シーンに度肝を抜かれました。これまでの人生で読んできたBL作品の受けの中でも、最も奇っ怪な登場のしかたをするせっちゃんです。

棋士としての二つ名も「後退王子」という奇妙なもので、その由来もまあ、まあまあまあ、キャラ立ちが半端ないですね。きっと、対局ちゅうにひふみんがおもむろに鞄からベビーチーズを取り出して食べ始めた時の藤井聡太の気持ちって、こんな感じかなと思いました。

そんな癖の強さが将棋のプロ棋士っぽくてインパクト大な雪に攻めの敦也は存在感をかき消されそうですが、彼はなんでも屋さん業の前は有田焼の窯元で修行していた人なのであり、これまたお仕事BL好きには興味深い人物です。

という二人のBLなんですが、雪のインパクトがあまりにも強かったので、BLを読んだ気持ちより将棋やべぇという気持ちのほうが勝りましたw

巻末のおまけ話がかわいかったです。

尾上与一先生のXアカウントを拝見しましたが、根っから将棋好きな方のようなので、いつかライバル棋士同士のお話も書いてほしいなと思いました。(もう既にあるのかな?)

0

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