「お前からの告白、5年ぶり8回目やな〜」「いや、3年ぶり10回目だから」

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月にむら雲、花にあらし

tsuki ni murakumo hana ni arashi

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表題作月にむら雲、花にあらし

鶴間龍,30歳,日本画家
三木光,30歳,高校美術教師

その他の収録作品

  • 三木が引越して一か月後のハナシ(描き下ろし)

あらすじ

美大の同級生だった三木と鶴間は12年来の友人…なのだが、10年前の冬を皮切りに、何度も鶴間から愛の告白を受けてきた三木。
その度にのらりくらりと躱し、親友として付き合い続けてきたが、日本画家になった鶴間からの10度目の告白も受け流すと、
とうとう「俺を友達だと思ってるならもう会わない」と突き放されて…?

日常系BLのスペシャリスト・こめりが贈る、マイペースで超一途な画家× 京都弁の天然お坊ちゃん、三十路男達のはんなり十年愛。

作品情報

作品名
月にむら雲、花にあらし
著者
こめり 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
arca comics
発売日
ISBN
9784866692197
4.2

(135)

(67)

萌々

(43)

(20)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
20
得点
569
評価数
135
平均
4.2 / 5
神率
49.6%

レビュー投稿数20

二人の10年

久しぶりに読み返しましたがやはり最高の作品でした。
出会いは学生時。お互いに違う性格ということから惹かれ合い、そして長年の親友に、それから恋人に。
攻めの長年の片思いの葛藤やら受けの葛藤などなど。漫画を読むというより感覚的にはストーリーに入り込んでいるような感覚になりました。
それこそ最高位の描写はそれほど細かいことではないけれど、ようやく合体したシーンなどは攻め側に感情移入して一緒に喜んでしまうくらいでした。
そしてお互いに思い合ってる素敵な関係。また読み直します。

0

じんわり

10年間三木を想い続けてきた鶴間とそれをことごとく躱してきた三木。
付き合うことになってもふたりの間には相変わらずゆるい空気が流れていて"親友"から"恋人"へと名前が変わっただけのようにも見えるけれど、確かにそのカタチは変わっているのを話の端々で感じることができました。
関係を大きく変えるようなエピソードがあるわけではないけれど、何気ないやり取りを恥ずかしがるふたりにほっこりしたり明るい雰囲気の後でしんみりと考えてしまうような場面があったり…不思議な魅力に引き込まれてしまう作品でした。

それぞれに生きる環境は違うけれどお互いの生活に隔たりを感じないのも素敵だったし、これからも気ままでゆるく幸せに暮らしていくんだろうなというふたりの未来を想像できるところも良かったです。

0

生活感溢れる二人のほっこりBL

本当にすごーく日常系でした。まったりのんびり、恋人になる前後の変化もあったりなかったりゆっくり。でもその中に過去回想がたくさんあるので、長い時間をかけて募りまくった想いが伝わってきます。くっつく瞬間だけは、え…そんなあっさり!?と、今までの鶴間が可哀想になっちゃいましたが、それもこの二人らしい始まりなのかな。
日常系といっても、一話ごとの充実度というか満足度が高いです。生活感溢れる二人で、きゅんとか萌えとかの激しいテンションの上がりはないんだけど、ほっこり温かい気持ちになれます。たまに出てくるおばあちゃんもイイ味出してて好き。
友達の延長から家族になっていくようで、でもちゃんと愛情と独占欲が見える絶妙な関係が良いです。一生添い遂げる二人の始まりを見た幸せに浸れるみたいな。とても安心して見守れる二人でした。
欲を言えば学生時代も現代も同じ絵なので、若さや成長が絵で分かると良かったなあと思いました。

0

絵も内容もゆったり


親友として付き合っていた二人が一線を越えていくお話。
絵柄も内容もゆったりしています。

攻めがとにかく一途で美大生の頃から今まで10回は告白しては振られ…。
ですがとうとう、あることをキッカケに二人は友人である壁を越えます。

二人とも感情豊かだったりのんびりしていたり…。
大きな事件もなく、周りの人もいい人ばかりで優しい世界でした。
受けの性格も裏表なくのらりくらり、だけれど尊重を忘れず結局は攻めを受け入れてくれる度量もあります。

ただ、攻めに「執着」が付いていますが長らく片想いをしていたこと以外、執着をあまり感じられませんでした。
話も同じテンポが続き、ずっと平和なので途中から段々と物足りなさがありました。

0

よっ良かった〜

「話せば長いふたりの話」の続巻が出る前に、こめり先生の評価の高かったこちらの作品を読んでみました。
やはりとっても良くて好みでした。

鶴間と三木の何でもない日常のやり取りがとても好きで、そこに入って来るお互いへの好意とかホント堪らなかったです。

しかも三木が鶴間の告白を無視し続けてた理由とか、一緒に居られなくなると想像した途端の了解とか、実は三木の方が経験が少なくて一途だったと知った時は萌えまくりました。

このお話で大好きだったのは、三木のお婆ちゃんでした。乃里子さんがしっかり者で可愛らしくて、まさか三木と鶴間の後押しをしてくれた時にはフフってなりました。

ずっと見守りたくなるような恋のお話でした。
こめり先生の作品大好きです!

2

ずっと側にいたいくせに

長いこと積んでてやっと読みました。 
こんなに良いお話だったなんて!もっと早く読めば良かった!

三木は鶴間のラッキースター?幸運の女神?みたいな感じがしました。
三木に出会って鶴間の世界はぐんと広がり、対人スキルを身につけ経験を積み。
三木は底抜けに明るくてボンボンで、でもそれを変にひけらかさなくて、三木といるとなんか上手く行きそうと思わせてくれて。

鶴間が何回告白してもかわされて。三木曰く付き合ったら終わりが来るのが嫌みたいで。それって友達としてずっと側にいたいってことなんだけど、付き合ってみないとわからないよ!

鶴間の長い片想いが実ったら、なんだかとんとん拍子に進んで。友人であり恋人、いい距離感で楽しそうです。

お祖母ちゃんも理解があって。法律変わるかな?

今までの二人の時間があるからか、この先も定年後も自然に繋がってる一緒にいるのが当たり前みたいに話してて、いいなあと思いました。

鶴間が三木を描き続けてきた一途さ健気さにジーンと来ます。

3

ぎゅっと切なくてじんわり温かい、そして笑える

十年ですか、、、、、、うーん、長い。
しかも、大学生からの十年ですからね。
そんな長い間片想いし続け、10回も告白した攻めに惹かれて読み始めました。
想いが強すぎる、、、!

しかしのらりくらりとかわし続けた光(受け)は、10回目もあっけらかんと笑ってかわしてしまいます。切ない!けどこのやりとりが面白い(笑)
鶴間がかわいそうだからちゃんと答えてあげて!と思うのですが、光は光で少しは意識している模様。だけど「大事な親友」という関係を崩したくないというのが強いんですね。

それでも、十年目にしてやっと、変化を見せる二人の関係。
友達だと思っているならもう二度と来るな鶴間に言われてしまいます。
ここからね、光が鶴間のことをちゃんと考えるようになる訳ですよ。

光の祖母のお気に入りである鶴間は光宅に呼ばれるんですが、そこでお見合いの話が持ち上がります。祖母のお節介に、当然鶴間は逃げると思っていた光ですが、鶴間は祖母の話に乗りながら、いい人いないのか聞かれた時に「つい最近ふられまして」と答えるんですね。それを聞いた光の反応がもう最高です。(私、好意を持たれている受けがその好意に甘えていたのにそうじゃなくなるかもしれないとなると「お前俺のこと好きなんじゃないのかよ」ってなる可愛い傲慢さが好きなんですけど、同志の方は絶対この作品読んだ方がいいです。)

鶴間が結婚してしまう未来を想像した光は、もやもや嫌な気持ちになって、お酒を飲みながらぼろぼろ泣きます(笑)そして鶴間相手に駄々をこね、「俺おまえにふられてんだけどな」と言われると、「ふってへんわ」と返します。た、確かに、かわしてただけではっきりとふってはいませんでしたけれども!(笑)

光は、付き合ってしまったらそのうち別れると思ってて、そんなのいやだから、親友でいたい、そう思っていたんですね。なんだ、めっちゃ好きじゃん〜〜〜〜。親友でいたい、の裏にはそういう想いがあったんだと思うと、今までの光の表情がまた違うものに見えて来ますね。
でも十年思い続けた鶴間がそんな簡単に別れてあげるわけないですよね。「そんなに簡単に別れるかよ!!」と言われた光は、あっさりと「せやったらよろしくお願いします」と頭を下げます。やったね鶴間くん!

鶴間くんとしては後十年は待つと思ってて、光が人生諦めた頃狙って落とそうと思っていたらしいです♪結婚チラつかせればよかったのかとぼやく鶴間が可愛くて仕方ありません。

とまあここだけでもう十分満足な濃さなんですが、聞いてください、ここまででまだ、全ページの2分目です。ということは!ここから先、二人がくっついてからのお話が読めるんですよ〜〜〜〜!十年分の片思いがあるからこそ、ここから先の展開が本当に尊くて、イチャイチャしているのを見るとニマニマしてしまって、始終楽しかったです。エロ度は確かに少なめかもしれませんが、心の結びつきが感じられるエッチだったからかエロ面でも満足でした(いつもならエロ度と満足度が比例するんですが)
この二人は人生の最後の最後まで末長く一緒にいるんだろうなと思えてきて、涙が出ました。

個人的には、関西弁で繰り広げられる会話のテンポやネタがとても面白くて、ギャグセンスも非常に高い作品だなあと思いました。たくさん笑わせていただきました!

5

こういうお話大好きだー

プロモーションで1話は読んだことがあり、気になっていた作品です。
主人公が京都弁でウィットに富んだやりとりが印象に強く残っていました。

美大の同級生の10年間の片思いが、両思いに変わるお話です。
10年の間に画家の鶴間は高校美術教師の三木に10回告白している。
その度うまいことかわして親友でい続けてきたが、友達で居続けるのももう限界だと、もう家に来るなと言われてしまった三木。
それでも祖母の言伝をLINEしてしまえる三木のちょっと無神経なあたり、今までの二人の関係性が表れています。
三木の祖母の話は鶴間へのお見合い話で…今まで告白を受け流してきた三木なのに、親友の鶴間を他の人に渡すのは惜しい気持ちが芽生えてくる。
ここらへん、三木がボンボンで何不自由なく育ってきたという設定が生きてるな〜と思いました。
なんやかんやで晴れてお付き合いすることに。

鶴間が隙あらばキスするのとか可愛いし、鶴間の作業場でHの流れになって、ゴムとローションを取りに走るとかちょっとリアルな場面とかいちいち萌えさせてくれます。
二人ともが賢者モード入ってるのは笑った。
付き合い始めてから鶴間の事がやたらかっこよく見えちゃったり、三木も恋人として鶴間の事を好きになっていく様が丁寧に描かれています。

会話やエピソードの面白さのなかにも、二人の愛情の深さや尊さがしっかりと描かれていて、読み返すたびに新しい良さを発見できる作品です。

3

無駄にした10年、糧になった10年

好きである。
当て馬がいない、激しく感情を揺さぶられることもない、ただ2人が穏やかに過ごす日常が描かれているだけの作品。
ドラマチックなことは何もないのに、ページをめくるごとにどんどん好きが増えていく不思議。

画家に鶴間龍(30)には10年好きなひとがいる。
出会って12年、既に9回告白もしている(そのうち2回は相手に認識されていない)。
美大1回生からの親友、三木光に10回目の告白をしたが…。

実家が不動産業を営み、家は超豪邸。祖母は美術品を愛し、叔父は陶芸家。家は姉が婿を取っているので長男だけど気楽。大学教授をしている父のコネで私立校の美術教師をしている。これが三木光です。全体的におっとりしたおぼっちゃま。
対する鶴間は長野の田舎から出てきた「絵を描くことしかできない」人間で、三木と出会ったことにより、美術品を買って日常的に楽しむ世界があることを知り、自分の将来が見えてきたような開眼をします。
生まれたときからそういう世界が当たり前だった三木への羨望は愛情に変わり、いつしか性愛に…、という話とまとめると何か硬くなりますね。
そういう堅苦しさフリーな作品なのに。

3年ぶり10回目(三木の認識では5年ぶり8回目)の告白を受け流され、「もう友達ではいられない」という返事をもらったところから、2人の関係が変わっていきます。
冬には一緒にこたつに入り、春には三木の実家の桜をぼんやり眺め…と一緒に過ごしてきた時間が告白を断ったことで終わってしまうという現実に直面した三木が、「それはいやだ。親友がいなくなる!」とわたわたするのですが、この辺りの三木は愛せない子。
わがままで自分の希望だけ通したくて、相手の気持ちなんかお構いなしです。
だけど三木が最初の告白に気付かないフリをしたのも、その後もスルーしたのも、全部「恋愛は終わる。鶴間とはずっと一緒にいたい」という理由からだったわけで。

そこまでの2人の空気感もすごくいいのですが、そこからますます良い!
10年三木に恋してきた鶴間と、恋をし始めた三木のテンションの違いが素晴らしくて。ここの部分をここまでしっかり描いてる作品は、そうないかと。
恋って長くすればするほど、相手を好きでいることが当たり前になって、穏やかなんですよね、気持ちが。「好き」は標準装備だから。
でも「好き」を認識したてのときって浮つくし、ちょっとのことですぐ「好き」が盛り上がる。
ここのテンションの違いの描写が、こっちが気恥ずかしくなるほど秀逸でした。

友人だった頃と変わらない毎日の中に、ちょっとずつ「好き」を意識する瞬間があって、その瞬間が増えていってもやっぱり基本的に2人の毎日はゆるくて穏やかで。
先に彼女との初体験を済ませた三木への対抗心で初体験を急いだ鶴間が、その後も何人もの女性と場数を踏んでいたのと対照的に、三木は彼女はいても10年そういう関係に発展しなかったっていうエピソードが何だか好きです。
このエピソードに2人の人柄が現れている気がして、ふつうなら「鶴間!三木が好きなくせにぃ!」と思うはずのところを、「鶴間らしいや!」って思えてしまった。これも「鶴間」という人間をしっかり描きこんであったおかげです。

わ、すでにすごく長い。でも言いたいことは尽きない。
大福と期間限定の桜餅がおいしそうだったとか、別にここで言わなくてもいいようなことまで書いちゃう。そうじゃないのに、伝えたいのは、もっと…、うう…。

日常系の最重大ポイントは登場人物を愛せるかどうか。
愛せます。告白の回数を甲子園出場回数みたいに言っちゃう2人。10年以上の付き合いによる阿吽の呼吸。ちょっとした発言や思考から伝わる2人の人柄が好きにならずにいられません。

他の作品名を出すのは反則かもしれませんが、「僕とミドリのドリル」が好きな方は絶対好き。空気感が似てます。
ほのぼのした中のふとした胸きゅん。変わらない毎日の中で相手を思いやる瞬間。
そういう空気が好きな方は必読です。

我ながら長い!
でも1/3どころか1/10も伝えきれていない!

7

二人だけの関係がいい感じ

サブスクリプションサービスで何回も何回も読んだため観念して購入しました
付き合ってからの鶴間くんの露骨ながっつき方がなんだかとても好きなのです
付き合いが長すぎるせいで全然取り繕えない!
光は自分が恵まれてることをただ事実として何の屈託もなく受け取っていて、光の物としてではなく「ばあちゃん」や「うち」のだと話してその価値を謙遜して貶すようなこともしないので鶴間の羨む気持ちがそのまま丸ごと光への好感に昇華したのだと思うのです
光自身と光の育ち暮らす環境と言った切り離す必要のない部分はくっつけたままその人の個性として扱うのが自然に見える理由なんでしょうか
しかし、鶴間くん、絵に描くって自ら恋に落ちに行ったとこありますよね

5

旅館からラブホへ変更も楽しめる、2人が好き

 こういう雰囲気、大好きだなぁ。大学時代からの親友同士の、友人と恋人の境目が曖昧な関係性。芸術家らしく飄々としていて、三木への好意をすんなり口にして欲望にも忠実、でも三木からのアクションには照れたりもする鶴間がとっても愛おしい攻めでした。そんな鶴間に相対する三木も、大胆な祖母に育てられたせいか素直な性格のボンボンで、この悪意のなさに鶴間が同性でも惚れてしまうのは分かるなぁと思いました。

 そして、何といってもやはり、鶴間が画家であることが最大の魅力なんですよ。何かしらの感情を昇華させたい時、彼は自分しか知らない無防備な三木をスケッチする。普段の会話はとてもありふれたものなのだけど、鶴間の絵だけは、三木や読者が照れてしまうほど直截に、彼の三木への好意を芸術という形でぶつけてくるんです。絵って描く角度や色で「あなたは私にはこんな風に見えていますよ」「私はこんなあなたが好きですよ」というのが、これ以上ないほど分かりやすく伝わりますよね。それを隠さない鶴間も、描くなと拒否しない三木も、素敵だなと思いました。

1

大学以来の親友で12年来のつきあい。

攻めからたびたび告白されているけれど、それをのらくらかわして10年……。

初読時も再読しても、「告白をはぐらかし続けてる」ってのが酷いなぁ……と思ってしまって、受けにモヤぁっとするんですよね。

人の告白、なんだと思ってるんだ!と。

まぁ、読み進めればあえてグレーにしてきた気持ちもわかるんだけど。

ゆる〜く淡々と出会いから現在にいたるまでが描かれています。
親友から恋人に変化していくというよりも、くだらないこと言い合う気心知れた親友ならではのやり取りはそのままで、恋人という新たな関係がプラスされたって感じかな。

塗り重ね、積み重ねみたいな。

あとがきでも作家さんがおっしゃってますが「友情と恋愛のさかいめなんてない人たち」のお話で、好きな系統なんだけど、受けがあまり好みではないので萌萌寄りの萌です。

0

日本画を見に行きたくなる本

こめり先生の本は初読みでした。読了いたしましたのでレビューしていきたいと思います。

絵(人物) 5/5
商業BLっぽくはない絵柄ですが、人体構造がしっかりしていてデッサンを熱心にやられていた方なんだな、と感じました。鶴間の髪の毛の描き方ももふもふ感溢れる描き方で、すごく好みでした。幅広い年代のキャラクターが出てきますが全員同じ顔なんてこともなく、しっかりと描き分けができていました。

絵(背景) 5/5
自然物の描写が秀逸でした。逆にバスとか家とか直線で構成されているものは苦手なのかな、という印象を受けましたが、木や花などの自然物の描写を素材に頼らずやっていたのはプロ根性を感じました。表紙の芍薬(だよね?)もすごく綺麗でした。

ストーリー 9/10
10年来の親友が恋人になる話です。受け攻めは黒髪×灰色髪です。鶴間(攻)が三木(受)のことを一途に想っていて、10年めげずに告白し続けているのですが三木はそれをかわしている。そんな2人に転機が訪れます。
何か大きい事件が起こるわけでもないのですが、2人の恋人としての関係性の描き方が秀逸でした。恋人になったとしても10年親友でいた頃の名残は変わらず、お互い軽口を叩き合いながら愛し合っている描写が印象的でした。その軽口もクスッと笑えるものが多く、これぞ親友だな、と感じさせられます。
お互いに美大出身の日本画家×美術教師のカップリングなのですが、やけに日本画に関しての説明が細かくて、もしかして作家さんも美大の日本画専攻のご出身なのかな…?と思いました。自然物がうまいのも納得です。

キャラクター 9/10
三木は今の学校にこんな人がいたら絶対人気だろうな、と思わせられるキャラクターです。高校の美術教師で、美大に行こうか迷っている生徒に対して進路指導をするシーンがあるのですが、生徒の目線に立った的確な指導をしているにもかかわらず不快感を感じなくて、誰もが担任に欲しくなるキャラクターだと思いました。人柄も良く、多くの人から好かれるのも納得です。
反対に鶴間は四六時中絵を描き続けているようなキャラクターで、絵を描いていない時でも絵のことを考えているくらいの絵好きです。2人の個性が噛み合って、あの絶妙な距離感が出るのだな、と思いました。

エロ 7/10
まぁそこが主軸の本ではないので、あんまり気にする要素ではないと思います。

総評 35/40
読み終わった後に日本画を見に行きたくなるような本です。ぜひ読んでみてくださいね〜

3

きっとずっとこのまま、のふたり

決して派手さはないのですが、当たり前にそこにある
日常が繊細に、リアルに描き込まれていて
大満足の一冊でした。

図太いふたりの十年の間の距離感、空気感、雰囲気が
とにかく素晴らしい。

長年の片想いを経てからのムードもなにもあった
もんじゃない初めての時の流れも、
ちょっと雑な感じもまた逆にリアリティがあって
んんん〜って悶えちゃいました。
大好きな三木のを舐めて出させて「まっず」って。
そこで抱いちゃうの?みたいな。

そして初夜(じゃないんですが)への並々ならぬ執着を
見せる鶴間(笑)

気の置けない親友の延長線から恋人に辿り着いた
ふたりの自然なやりとりがずっと続いていくんだろう
なあ〜としみじみさせられるステキなお話でした。

三木のはんなり京都弁とまあるい後頭部が
愛おしかったです。

3

多分二人は死ぬまで親友。それが二人の愛。

「月に叢雲花に風」
いつ?どうなる?と心配しましたがタイトル諺とは無縁の二人でした♪

10年来の友人。そして恋人になった二人。
何も変わらず日々が流れていくのが最高でした!
あとがきに「友情と恋愛のさかいめなんてない人たち」とありましたが
ホントまさに。

学生時代鶴間の告白を聴いてないふりをして流した三木。
しかし、それによって関係は続き平穏な生活を送ってきたが
鶴間はそんなことでめげない(笑)
付き合うことで関係が終わってしまうことを恐れる三木に
「そんな簡単に別れない」と熱弁する鶴間。
するとあっさりOKの三木。。。。アホ可愛い。

それでもやっぱり変わらない二人。
鶴間は絵をかき、その絵を一番傍で見る三木。
友情のような穏やかな愛情がめちゃくちゃ尊かったです♡

0

落花流水から始まる本当の恋

なんてステキな日常を描くのだろう…
マイペースだけど繊細な日本画家・鶴間と、大らかなお坊ちゃん教師・三木の幸せな時の流れを感じさせてくれる作品です。
10年もの間三木に片思いしている鶴間は、幾度となく告白してはスルーされている。

絶対に三木も鶴間のこと好きじゃん?て思うのに長年スルーしてきたのは、恋人になって鶴間と別れるのが怖かったから……
そんな三木に、「10年も思ってきて簡単に別れるか!」という鶴丸。
これで、あっさり納得して受け入れる三木…
まぁ、ずっと好きだったんだろうしね。

ここからは、2人の日常を四季を通して見守っていきます。
・夏…恋人に
・秋…初H
・冬…旅館で年越し
・春…花見そして、三木の引越し

大きなトラブルは起きなきし、当て馬なんて出てきません。
そういうドラマチックな展開ではなく、あくまでも日常を描いた作品なのです。
それでいて退屈もせず、穏やかな気持ちにさせてくれます。
家族や職場の面々が優しく、2人のことを理解し見守っていてくれるところもほっこりしました。

三木は道楽息子でお坊ちゃんなのですが、なぜか先を読む目を持っています。
鶴間との出会いは偶然ではなく必然で、鶴間は三木によって上手く転がされているように思いました。

いつも通りの日常の中にそれぞれがおり、なんら変わらない日々を送りながら年を重ねていくのでしょう…
そんな風に思える、素敵な作品でした。

1

親友から恋人に、四季を通した日常BL

試し読みで即買いしました。
親友の初告白を寝たふりでスルーした十年前、
また告白されて「五年ぶり八回目やな~」「いや、三年ぶり十回目」の二人のやりとり…
九回目は四年前?なんで覚えてないの?と勝手に妄想が膨らみジワジワくる面白さに鷲掴みされました。

親友から恋人になり、ゆっくり恋人関係を築いていく二人が丁寧に描かれた秀逸な日常BLです。
練り込まれた内容に、作り込まれたキャラ、
12年来の親友に十年愛の片想いから恋人という始まり、恋人になった二人の一年。
甘くなり過ぎない変わらない関係に萌えました。

美大で知り合った二人…日本画家の鶴間と京の天然ボンボンで高校教師の三木。
鶴間から初の告白をスルーし、以降もタイミングの悪い鶴間からの告白を、
三木は何もなかったかのようにスルーしてきた。
十回目の告白を軽く流され、とうとう家に来るなと言われた三木ですが、
家に行くのはダメでも、家に呼ぶのはあり?と祖母の用事で自宅に鶴間を招く。

三木が図太い天然ぶりを発揮していますが、ノコノコ出向く鶴間も同じ図太さですよね。
だからこそ、今まで親友関係が続いてきたんだと思える二人のやりとり。
祖母から見合い話をされる鶴間を見て、リアルに誰にも取られたくないと実感する三木が、
やっと鶴間との恋心に向き合い、恋人として一歩踏み出します。

恋人になったからといって何が変わるのか?
親友から恋人になったBLあるあるですが、
クールに見える鶴間がけっこうパニくっている姿が、可愛くて面白いです。
三木からすれば恋が始まったばかりなので、十年先を行く鶴間との熱量に戸惑いですが、
十年待った鶴間、ゆっくり三木との関係を深めようとする包容力がステキでした。

恋人として進行形の二人に、過去の想い出が差し込まれていく展開で、
親友としてしか見てこなかった鶴間の自分への想いを実感する三木が、
今までとは違った目線で鶴間を見るようになる。
モテる鶴間に嫉妬したり、カッコよくみえてキュンとする、鶴間に恋する姿にニマニマします。

だからといって、ベタベタ甘えたりする関係ではない。
大事に抱きたいと言っていた鶴間ですが、天然三木に煽られてけっこう雑に抱いている…
しかも、いつもけっこう雑なのが、返って止まらない欲情という感じで好きです。
雑になっているのは三木にも原因がある気はしますが…。
事後もあまイチャではなく、出したら冷める派の二人のやりとりがリアルでいい。

鶴間の愛情表現は、いつも作品に…というのが、芸術家らしい。
三木の何気ない言葉が、鶴間が画家として成長していくスパイスになっている。
作品を通して鶴間の画が上手く差し込まれ、そこに三木との想い出が詰まっている構成が素晴らしい。

恋人になった二人の日常が四季を通して描かれ、これからも同じように年を重ねていく、
二人でいる未来が自然に思える、本当に質の高いステキな作品。
二人を取り巻く脇キャラも味があり、はんなり京女の祖母が有難い、三木家がいい家族でした。

※シーモア:修正は白抜きです。

4

大親友でもあり恋人

日本画専攻の鶴間と、デザイン専攻の三木。美大在学中から、なにかと自分にはないものを感じて、鶴間は三木に惹かれていた。が、何度も鶴間に告白されてるのに、のらりくらりとそれをかわし続けている三木。
この三木というキャラがなんだか不思議な人。育ちがいいからなのか、おっとりのんびりしていて、なんかふわふわしてる。で、とうとうもう会わないと言われてしまった三木は、鶴間を絶対に失いたくない、という本音を吐き出す。絶対に別れないなら、付き合ってもいいよ、ってことらしい…。ならもっとそれを早く言ってあげてー(泣)

そういうわけで第二話から二人のお付き合いが始まるのだけど、親友としての関係性に恋人としての要素がちょっと加わったような、甘酸っぱい雰囲気がとてもいい。
三木は鶴間を恋愛対象として意識し始めるのだが、見慣れてるはずの相手なのに急にかっこよく見えたり、昔の彼女が気になったり。そんな二人の初めてのエッチは、なかなか大変そうではあったw
当然鶴間は余裕ないし、三木は勿論受け入れる側なんて初めて。必死な感じが可愛らしくて萌えた。「雑に抱きたくない」とか言ってたくせに床上でとか、いいのかい、と思っちゃうし、大事にしたかったはずの温泉旅行も、なんか不発で。でもそんなとこがかえってリアルで、つい笑っちゃった。鶴間はいたって必死なんだけどね。

恋人同士になってからがじっくりと丁寧に描かれているので、読んでいて優しい気持ちになれる作品だった。
三木のおばあさんなど、周囲の人が二人をあったかく見ているのも、なんだかほのぼのとした。

5

作り込みが秀逸。

ものすごく作り込まれた作品だと思います。
ストーリーはありがちかもしれませんが、キャラクター設定だったりバックグランドがかなり細かく作り込まれているのがわかるので、とても独特な世界観とテンポの作品になってます。
描き込みもすごい。
こういう作り込みが半端ない作品って、キャラクターがみんな生き生きしてて、自分で軸足を持って立っているというか、「漫画の登場人物」って感じがしないんですよね。
すごくリアルで本当に自分の意思で動いてそうな感じ。

ストーリーとしては、一途過ぎる画家×ボンボンで呑気な教師。
二人は長い付き合いの親友で、付き合い始めてからもそのノリは基本的に変わりません。
親友としての付き合いに、恋人が上乗せされた感じ。
急に変わらなくても、それはそれでいいと思える二人が素敵です。
まあかなりイチャイチャはしてますけどね。

作り込みなどを考えると神評価…と迷いましたが、強いて言うなら絵。
絵がちょっと荒削りなので、そこがもっと上手ければ神評価でした。

1

京都12年物語は、良いぞぅ…

こめり先生の作品は、ほんとに良作だといつも思います。

こちらも連載から、ずっと追っていましたが読んでると京都の大原みたいな景色が見えるんです。
美大で、知り合った専攻科こそ違うけど同級生の鶴間と三木。

鶴間は、三木と出会ってから絵を描く事が意味を強く持ち、ばぁっと視界が拓けるような感覚にもなるんです。

三木は、元々京都の不動産を営む家に生まれた、いわゆる、いーとこのぼんぼん。
ガツガツしてないし、はんなりとおおらかに生きている。まあ育ちがよろしいのです。

鶴間は美大時代から、既に三木が大好き。日常では、12年間も❤️愛を告白し続けているんです。挨拶みたいな、さりげなさ。

さて、この二人。やっと三木が色々自覚して付き合う事になるんです!

それからの二人が、めちゃくちゃ良いですよ…
鶴間は、日本画の作家として成功してきても時に不安定になります。でも、三木がいい風に力抜けてて、ほわんと鶴間を包み、解すような言葉をかけたり、態度を見せたり。

さすが、12年のキャリアは違う‼️

初えっちは、鶴間のがっつきがすごい。対して三木は乙女❤️
『雑に抱くな~』とか、床で、押し倒されちゃってヤり始めたから『痛い、背中痛い』とか、いちいちムードにかけるけど、なんか互いが好きを確認出来るえっちですよ❗

終わると二人が同時に賢者モードになってるのもリアル❗

二人のつれづれが、京都の四季を通して見えるのも、素敵です。

あと、三木のおばあ様がとてもナイスキャラです❤️とてもチャーミング。おばあ様が、意外に重要なポジションです~

こめり先生のユーモアと何気ない心理描写は、唯一無二の素晴らしさだと個人的に思っていまして。

ぜひ、京都12年愛を見ていただきたいですね❤️

8

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