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表題作花嫁のカヤ

ユーティ
18歳,イェフェム族族長の3男
カヤ
20歳,アジム族から贈られた花嫁

その他の収録作品

  • 番外編=朝の風景、似たもの夫婦、起こると怖い妻、ヨヨの婚姻、ユーティの日記~春夏秋冬~

あらすじ

ある日、イェフェム族の族長の息子であるユーティの兄の元に、
好戦的な部族であるアジム族から、花嫁が嫁いでくることになった。
断れば侮辱したとして襲撃されるのではないかと恐れた兄は、その縁談を引き受けることに。
ところが、アジム族の族長・ギバに連れられて村へやってきた花嫁・カヤは、なんと男だった。
アジム族はイェフェム族を襲撃する理由を作るために、わざと男の花嫁を寄越したのだと分かる。
怒り狂う父や兄の様子を見ていたユーティは、咄嗟に「花嫁を頂きます」と答えていた――
男同士で夫婦になったふたりが、相思相愛になるまでの物語。

作品情報

作品名
花嫁のカヤ
著者
野原耳子 
イラスト
桝目の助 
媒体
小説
出版社
電書バト
電子発売日
4.4

(65)

(43)

萌々

(15)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
10
得点
282
評価数
65
平均
4.4 / 5
神率
66.2%

レビュー投稿数10

表現の美しさに魅了されました

野原耳子先生の作品、はじめて読ませて頂きました。

隣接、対立する部族の間で、花嫁として嫁がされた好戦的なアジム族出身のカヤ。花婿として彼を迎えたのは、穏やかなイェフェム族の族長の3男ユーティ。お互いが望まぬ婚姻をきっかけに出会い、かけがえのない存在となっていく物語です。

ワタシが特に感動したのは、野原先生の文章の美しさでした。
常に美麗な表現を使用して自己満足に溺れていくのではなく、要所要所でハッとさせてくれるような美しさを覗かせてくださる、ストイックな文章。
もちろん読み手によって好みがあると思うのですが、ワタシはそのさじ加減が大変心地よく、好きな文章をハイライトしながら、とても楽しく拝読しました。

カヤが狩猟民族としての本領を発揮する狩りのシーンの緊迫感。
これだけの能力があって、足を悪くし花嫁として生きる痛々しさ。

普段おっとりしているのに、有事にたやすく人を殺すことができるユーティの二面性。ちょっと吃驚しつつも、ユーティにとってカヤがどれだけ大切な存在なのかを思い知らされます。

濡れ場もガッツリのエロなのですが、本能で快楽を追う無邪気なエロというか…そこかしこに2人の純粋さ、可愛らしさが感じられる表現があり、素晴らしかったです…!

kindle版の102ページ、カヤと生きていくことを決めたユーティが父と話す場面。「不意に、心臓の奥から甘いような、温かいような、そのくせかすかに仄暗い感情が沸き上がってきた。執着と独占欲の鎖が絡まった、澄み切った純粋な愛情。」
ワタシはこの愛を見せつけてほしくて、BLを読んでいるのかもしれないな…と思ってしまったくらい、ものすごいパワーのある一文でした。(あまりに感動したので引用させて頂きましたすみません…!)

物語もロマンティックで素敵でしたが、それを紡いでくださる文章に大変魅力を感じたので、他の作品も読ませいただこう!と、今からワクワクしております。

2

No Title

初読み野原耳子先生。
レビューを読んで良さげだったので。
結果、満点です。
エロ具合は3割(私調べ)ほど、ストーリーがとにかくおもしろいです。
ハピエンなのはわかっていても、カヤがなかなかかわいそうで、牢屋でユーティに別れを言うシーンでは涙で顔が歪みましたよ…
受けが短髪でおそらく筋肉ムキムキ(狩りが得意の闘争民族出身のため)なのは私の萌えポイントではないのですが、年下のユーティが人目を憚らず愛でまくってそれに恥じらうカヤも、ベッドの上で徐々に積極的になっていくカヤもすごく良かったので幸せな読後感です♡♡

2

我が身を考えさせられた

教えて姐さんでどなたかがオススメされていたので読んでみました。Kindleでしか読めないと。

知らない作家さんでファンタジー。
普段は手を出さないのですが、何となく読んでみようと思って。
面白かったです。ストーリーもスルッと入ってくる。別の部族同士の政略結婚。
嫌がらせで男の花嫁を送り込んできた。
さてどうなる?

雑にネタバレしちゃうと、男同士の夫婦で仲良く暮らしましたとさー。
なんだけど、キャラの設定が良かったです。
朗らかでおおらかそうなユーティが、カヤの事となると冷酷な鬼のように激変するところとか。
ユーティよりも二つ年上のカヤ、父を叔父に虐殺され花嫁として他族に嫁がされる辱めを受けるも、ユーティや周りの温かさに触れ、ここで生きていく強い決意と愛を感じて幸せに過ごす。

なかなか出来ないよ。恨みに取り憑かれそうなのに。

10年経っても2人はラブラブなのですよ。
自分を振り返るともうこんなホヤホヤ感ないですわ。どうしたら、好きな気持ち持続出来るんだい?
たまに、おじいちゃんおばあちゃんでも手を繋いで仲良くお出掛けされてる方居たりしますが、色々あったけど、好きな気持ちは変わらないって感じなのですか?うーん、私はその境地にいけるのか?もう、愛とか恋ではなく家族になってしまったなー。

この2人のアツアツぶりを見て自分を顧みてしまいました。


少し気になったところがあります。
最初、ファンタジー作品として読んでいました。
すると、長さを測る単位としてセンチメートルが出てきました。これで、おや?と私の中のファンタジー世界観が崩れてしまいました。
包帯で怪我をしたところを巻くだとか、医者だとか。
主人公達は、小さいコミュニティで生活してそうなので、私達が当たり前に享受されている物も無いのでは?って思ってしまう。手作りの弓矢を使って狩りに出掛けたり、衣服も買うのではなく自分達で縫ってる描写がある。

なので、薬草で手当して欲しいし、医者ではなく、薬草に詳しい〇〇さんのところに行きな?みたいな感じで表現して欲しかったかな。

ファンタジーと思わず、現代のどこかにある集落と思って読めばいいんでしょうが、変に気になってしまいました。

2

説得力のある世界観に脱帽

イェフェム族とアジム族それぞれの部族の文化といった世界観に、圧倒的な説得力があります。
ファンタジー作品ですが、すんなりと舞台設定を受け入れられました。
アジム族の男性であるカヤが花嫁とされること、そしてイェフェム族族長三男のユティと結ばれるまでの物語に違和感がまったくありません。
本作で野原耳子先生の作品にどっぷりハマってしまいました。

カヤの壮絶な過去を受け止めるユーティは一見おおらかで柔和な青年ですが、一筋縄ではいかないところも魅力的です。
愛するカヤのためなら手を汚すこともいとわないギャップに、読んでいてハラハラするほどでした。
このユーティの一面を縁者であるヨヨから見た短編も収録されているのですが、併せてユーティという人物の掘り下げができるお気に入りのエピソードです。

先にも述べたとおり、本編が素晴らしいのはもちろん番外編も非常に良いところがたまりません。
二人のその後の生活を垣間見てほっこりした気持ちになりました。

この一冊でもとても完成度の高い作品でしたが、この世界観で二人の続きの物語をさらに読みたくなります。
何度も読み返しているお気に入りの一冊です。

4

読みやすい

「傭兵の男が女神と呼ばれる世界」は未読ながら知っていた野原先生の作品。
Kindle Unlimitedに個人で出した作品は全てあるとのご本人のツイートで、ちるちるで一番点数の高かったこちらを読んでみました。

なんとなくみんなが持っている"部族"のイメージをそのまま使うことで説明を省いている印象。世界観が作り込まれたものを読みたい時というより、現代物ではない作品で軽めでテンポ良く展開する本を読みたい時にはぴったり。ユーティの豹変ぶりが好きでした。
"お人好しのお坊ちゃん"が猛々しく血生臭い人間になる様の勢いがいい!ユーティやカヤのキャラクターもかなりシンプルで、うだうだ悩むシーンも少なくサラッと読めます。

いつ頃書かれた作品か知りたかったのだけど情報がうまく探せなかった。作家さんの作品を古い順に読んで、変化を知るのが好きで。

2

政略結婚で嫁にされた族長の息子

初読みの作家。Amazonキンドル読み放題で、見つけた掘り出し物。
おもしろかった。

モンゴル辺りが背景。大草原が舞台です。
他部族と政略結婚できた嫁は、男性だった。
嫁のカヤの父は、前族長。跡目を狙った親族に父子揃って襲われ、父は死亡。カヤの足も不具合が残る。
出身部族に裏切られ、男嫁にされた絶望と怒りに固まるカヤが、
男嫁を受け入れた夫・ユーティと信頼を培い、共に生きる覚悟をして相愛の二人になっていく物語。

草原で部族みんなが協力しあって狩猟生活を送る人たちの姿が生き生きと描写されています。
風を感じるような場面描写が、とてもよかった。

奥付に、誤字があれば報告してほしい、の一文が添えてあって、良い作品作りを目指す著者の心意気を感じてしまった。
誤字報告を添える作品を初めて読んだので、感心。

4

泣いたぁぁ

ちょっと読むつもりが一気読みしてしまいました。
最高に面白かったけど、最高に切ないシーンがあって泣きました。
受けも攻めも男前で、特に受けが最高にイケメンでした。


私の中で耳子さんの作品が最近ブームになっております。

これからも応援してます!

6

キャラ変についていけない…

現在Kindleで配信されているバージョンでは、番外編が追加されています。カバーイラストも異なります。

作者が本当に書きたかったお話とのことで、やっと読んでみたのですけれど…本作は個人的に合いませんでした。中立としゅみじゃないの間くらいです。

花嫁もの+民族BL(っていうジャンルあるかわからないけど)ですが、キャラ造形もカップリングも同人作品『再生』と似ているので作者の性癖なのかなと思います。やっぱり、受けの急激な女子化が苦手でした…。攻めもあるきっかけがあってキャラが変わっていくのはわかるのですが、そんなに⁉︎ってくらいだったので、戸惑ってしまいました。

民族ものを読む時って、登場人物が生きる土地の地理や気候、地場産業や交易、風習や倫理観の描写が欲しいし、そこに作家の工夫を見出す楽しみがあったりします。このお話では二つの民族しか出てこなくて、なぜか一方が他方を潰しにかかっていく、しかもただ好戦的で野蛮な人種だから…という理由だけ?なのがどうも…。物語の背景を俯瞰で、ついでにもっと風景描写も読んでみたかったかな。

ラブがメインだとは思いますが、わりと早い段階でお互い好きになっているようだし、うすうす嫌な予感はしていたけど、すぐに愛を口にするのも気になりました。ユーティ達の住む世界では通念上、同性同士は夫婦として認められないらしいのですが、異文化世界を舞台にするなら設定としてひとことあってもよかったかも。

先生の濡れ場は滾るんですけどね…。今回は本筋とエロシーンのギャップが凄まじくて、エロシーンだけ読んでて異次元に飛びました笑。作家様のエロには汎用性があるのだろうとポジティブに受けとめています…。

様々な設定で何作も自家出版されているようですが、カップリングにバリエーションがあったらなァと、ちょっと思いました。未読の数作と『傭兵』が楽しみです。

3

骨太!!

こちらの作品、kindleでしか読めないことに驚きでした。
あらすじと表紙見て面白そうとなり、どこで売ってるのかなと思ったら、まさかのkindle限定。
出版社さん!!紙で出して下さいと、これほど願ったのは久しぶり。
紙で持ち歩きたいし、続編も読みたいし、願わくば音声でも聴いてみたいと、それ程までに本当に面白かった!

世界観としては、私が想像するに19世紀中央アジアを舞台にした、イェフェム族の族長の三男ユーティと、そこに嫁いできたアジム族のカヤのお話です。

このカヤが切ないのです!
男なのに女として嫁がされることになった経緯とか、結婚式とか、罠に嵌められるのだけど、濡れ衣のせいで村の皆からリンチに遭おうともそれを受け入れるところとか、本当に切ない!
おまけにカヤは幼少期から女性として育てられた訳でもなく、見た目が細身で美しいとか、栄養不足で体が未発達という訳でもなく、カヤのお父さんが殺されるまでアジム族の次の族長は自分になると思い育てられてきた逞しい男性なのですよ。

そんなカヤが片足を負傷させられ、障害が残った足でイェフェム族に嫁げと命令され、女性としてお嫁に行くのです。
イェフェム族は女性の花嫁が来ると当然思っているのですから、大騒ぎなんですよ。もう、カヤの気持ちを慮ると居たたまれなくて仕方なかったです。
結婚式も居たたまれないし、イェフェム族にカヤが男であるとバレてしまうところも、苦しくて堪らなかったです。

もうユーティの優しさが癒しで、癒しで。

2人がだんだん心を近づけていくのが、本当に丁寧に書かれています。
でももう、どこも丁寧で読み応えたっぷりで、狩りをするシーンとか、戦いのシーンとかも迫力あって終始、次はどうなるの?次は?と止まらなかったです!

続編でもいいし、この世界感の別の方々でもいいし、もっと読みたいし、カヤとユーティが幸せな姿がもっと見たいです!!

12

とにかく丁寧!入り込みやすい1冊でした!

1冊ですが、まるで1シリーズのドラマを見た感覚でした...!!

平和的な民族イェフェム、好戦的な民族アジム族。
アジム族の前族長の息子カヤは、無理矢理に花嫁としてイェフェム族長の3男ユーティに嫁がされます。

カヤの生い立ちがとにかく悲しくて、新族長に父を殺され、ケガで足が悪くなり、挙げ句の果てには男なのに花嫁にされてしまう。
カヤの嘆きがとても心に響いて、序盤ではやくも物語に入り込みました。その後は1冊あっという間です。

花婿のユーティは温厚で、優しくて、野心もないような男です。
「この優しい人に癒されてカヤは立ち直っていくのかな〜」と思いながら読んでいたら、、
まあ、もちろん癒されはしていったが、ユーティはカヤを愛し、カヤのためなら、ためらいもなく誰が死のうがケガしようが構わない、残忍に人を殺しちゃう激しい人でした。
...正直これがとても好きでした!!
欲もなかった優男がこんなに狂うほどに人を愛しているのが最高にグッときます。

二人の初めてのセッ◯スも野外で激しいです。その後のセッ◯スもすごく激しいです。後日談のセッ◯スもかなり激しいです。濃厚で時間長い。ユーティはかなりのドS。

カヤの、ユーティの、相手に恋していく過程がとても丁寧に描かれています。
それぞれの複雑なバックグラウンドがあって、だからこそのこの恋。丁寧だけど口説くない、ペースが良かったです。

最後はきちんとカヤの復讐も果たして、ハッピーエンドです。

素晴らしい物語を読み終わった後は、満足感と、終わってしまったことへの寂しさがありますが、
これは後日談や番外編がいっぱい入っているので、寂しさではなく更なる楽しみがあります。(kindle版を読んでます)

大変お勧めの1冊です。

15

この作品が収納されている本棚

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