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パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

public school London no mitsugetsu

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表題作パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

エドワード・グラームズ,28歳,英国貴族で社長
中原礼,26歳,ギャラリー勤務のキュレーター

その他の収録作品

  • 展覧会と小鳥

あらすじ

美術系出版社に勤めていた中原礼の恋人は、イギリスの巨大海運業CEOで
貴族の御曹司エドワード・グラームズ。
長らく長距離恋愛を続けていた礼は、ついに会社を辞めて渡英し、
エドとの同居生活を始めることに──。
けれど、いざ仕事探しを始めた礼は、日本での経歴が全く役に立たない
厳しい現実に向き合う。
エドの名前に頼りたくない礼は、ひとり奔走するけれど…!?

作品情報

作品名
パブリックスクール-ロンドンの蜜月-
著者
樋口美沙緒 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
パブリックスクール-檻の中の王-
発売日
ISBN
9784199009785
4.6

(241)

(198)

萌々

(23)

(10)

中立

(6)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
25
得点
1118
評価数
241
平均
4.6 / 5
神率
82.2%

レビュー投稿数25

No Title

エドと「対等」でいるために自分の力で仕事を見つけたいと頑張るのですが……蜜月なんてとても言えない、礼にとってはハードな出来事の連続で胸が痛かった。 ここまで大きな権力、富を持っているパートナーと生きていくにはどう折り合いを付けるべきかという事がずっとテーマだった気がするなぁ。それは出会った時から付きまとっている事実で、エドはずっとそれがわかっていたんだよね。 礼にとってはほろ苦い経験でもあったかもしれないけど、礼の「らしさ」が発揮された物語でもあったなぁと思いました

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とても素晴らしい作品でした!

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お互いの矛盾に寄り添って心を紡いでいく

礼とエドの遠距離恋愛が終わり、いよいよ始まったイギリスでの同棲生活。

タイトルにある蜜月というワードから甘々なエピソードを予想していたのですが、今作はイギリスで働き始める礼の、新しい世界に対する戸惑いや自分にとってのアートとは何なのか、なるべく自分の力で努力しエドと対等でありたいと思う、そんな様々な心の葛藤にいろんな感情が揺さぶられました。

前作で登場したデミアンが礼にすっかり心を開いていて、礼が職場でまともな仕事を任せてもらえないという悩みを吐露すると、黙ってギャラリーに連絡し礼を担当者に指名して展覧会への出品を申し出る姿に、デミアンにはこんな優しい一面があって礼は特別本当に信用されているんだなとほっこりした気持ちになりました。

ただ、それが地獄の始まりだったとその時は知らず・・・。

新しく登場したロブが二人の関係をかき乱してくれちゃいましたね。
どうして礼を自分の担当にしたがるのか、どうしてそこまで必死に礼にこだわるのか不信感と謎が増えるばかり。

嫌な予感を感じながら読み進めていくと、展覧会前のセレモニーでのロブの裏切りで、その謎の答えがわかり一気に怒りの気持ちが溢れてきました。

でも、一番つらかったのは、セレモニーの一件で礼がデミアンをひどく傷つけ信頼を裏切ってしまったこと。せっかく表にでてきてくれるようになったのに、自分のせいでまた心を閉ざしてしまうかもしれない。

この最悪の状況をどうすればよいのかわからず途方に暮れる礼が本当に痛々しくて可哀想で、思わず自分も悔し涙を流してしまいました。

ギル、オーランド、ジョナスが集まり、礼を励まし合うシーンは本当に癒しで、特にパブリックスクール時代に描いた舞台美術の背景絵の写真を見せられそこから自分の原点を思い出し、自分にとってのアートとは何かが明確になり気づきを得る心理描写は礼が向かうべき道が定まったようで、それまでの鬱屈した気持ちから前向きな気持ちになることができました。

エドがロブの盗作証拠を握っている事実を知り、あとはその証拠をどう利用するか、一人で決断をしかねる礼に、ギルが指輪物語を例えに伝えてくれた、エドが礼に一生言わないであろう言葉、これがすごく心に真っ直ぐ響いてきました。

ギルのおかげでエドの力を使う決心がついた礼は、あくまでその使い方は礼らしく、人を傷つけず悪く言わないというお母さんからの言葉を大事にしていて、礼はやっぱりどの人にも等しく愛を与えられる聖母のような子だなぁと改めてその優しさに癒されました。

礼がデミアンを説得するシーンもおもわずプロポーズか???と思うくらい情熱的で、あんなに作家と作品を理解してくれて愛してくれる人は礼以外いないんじゃないかと思ってしまうくらい、心に響きました。

エドがハリーを【スクエア】から引き抜き新ギャラリー【パルム】のギャラリストとして迎え入れたことに、大丈夫かな?礼との関係も良くなかったのに・・・と不安を感じていましたが、ハリーの礼に対する印象が変わったのは、礼が日本にいたときに関係を構築してきた作家たちからの連絡がキッカケだったと話す場面は、日本でやってきたことは無意味だったのかと打ちひしがれたいた礼にとって、とても救われる嬉しい言葉だなと思ったし、きみともうしばらく仕事がしてみたいというセリフは礼のひたむきな努力が報われたと感じられる瞬間でとても感動的でした。

なかなか頼ってもらえないエドの悲しみや苦しみも、ようやく報われて良かったなと思います。底知れない愛情の深さとスパダリ力はもはやカンストしてますね。

持つものと持たざるものの違いをはっきり思い知らされ、エドと対等になることはないと悟ってしまう礼が少し哀れで寂しく感じるけれど、それでも二人はお互いを愛し合っているから、その関係は成り立っているし、今後も葛藤を抱えながら二人寄り添って生きていく姿を想像すると尊い気持ちになります。

なるべく二人が穏やかに想い合って過ごしていってくれたらいいなと願うばかりです。

礼とエドのお話はこれで終わりなんですかね?
この二人が大好きなので、またどこかで二人のお話を読めることを楽しみにしたいと思います。                                                 

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王様の持てるもの

国立美術館の企画展で、デミアンの作品を展示することができ、成功を掴んだ礼。
やっと日本から英国に住むことになったが、今度は就職難に…最後はやはりエドの力を借りた形でギャラリーに拾われる。

エドの、力を借りてでも、礼がそばに居てくれることができるなら本望、な考えと、礼の何とか自立して、エドと対等な立場で愛し合いたいという思いがそこかしこで対立するストーリーになっています。
結局、何をやっても礼はエドの力からは逃れられず、持たざるものなのだと痛感するところは、読んでいて切ないけれど、持つものの側であるエドの気持ちもわかるような気がしました。
持つものの力の強さって、誤ると怖いんだな。

ギルがいい役割を引き受けていて、彼がいるせいで礼は視野が広がっていくんだと。
礼のなけなしのプライドというか、対等な立場でいたい、という願いは難しいと悟るのもギルトの会話でです。でも愛は1mmも変わらない、というセリフが良かった。

樋口さんはちょうど10周年だそうで、これ以外にもシリーズがありますし、すごい作家さんだなと思いました。

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礼の成長

内容は言わずもがな神ですし、
今更触れるのもあれなのですが、
良かったものには良かったと言いたい。
そしてそれが作者様に少しでも伝われば嬉しい。

エド&礼の4冊をここ数日で再読しましたが
改めて、まずこのシリーズBLとしては言わずもがななのですが、英国やその他の国についての知識がとんでもなく深いと感じます。
これほどの知識を作品に落とし込んで違和感なく(と言っても日本から出たことがないので圧巻されるばかりでしたが)文章を紡げることが凄いとしか言いようがないです。あっぱれ。
樋口先生も素晴らしいアーティストだと、読み終えて本を閉じたあと思いました。

エド&礼のお話はいくらでも読みたいと思ってしまいます。
それと同時にパブリックスクールでの閉鎖的な空間に生きる危うい年頃の少年たちのお話ももっとたくさん読みたいです。
スタン&桂人ももちろん大好きですが、また新たに…なんて贅沢な願いでしょうか。
なにはともあれ、この世にこんなにも素敵な作品を残してくださったことに感謝いたします。

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