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パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

public school London no mitsugetsu

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表題作パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

エドワード・グラームズ,28歳,英国貴族で社長
中原礼,26歳,ギャラリー勤務のキュレーター

その他の収録作品

  • 展覧会と小鳥

あらすじ

美術系出版社に勤めていた中原礼の恋人は、イギリスの巨大海運業CEOで
貴族の御曹司エドワード・グラームズ。
長らく長距離恋愛を続けていた礼は、ついに会社を辞めて渡英し、
エドとの同居生活を始めることに──。
けれど、いざ仕事探しを始めた礼は、日本での経歴が全く役に立たない
厳しい現実に向き合う。
エドの名前に頼りたくない礼は、ひとり奔走するけれど…!?

作品情報

作品名
パブリックスクール-ロンドンの蜜月-
著者
樋口美沙緒 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
パブリックスクール-檻の中の王-
発売日
ISBN
9784199009785
4.6

(237)

(195)

萌々

(22)

(10)

中立

(6)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
24
得点
1099
評価数
237
平均
4.6 / 5
神率
82.3%

レビュー投稿数24

10周年おめでとうございます

文句なしに神でした。

今作は何でも持っているエドがその力を使わずに、礼が自分で決めて踏み出すまでをじっと見守っていました。

序盤は日本に居る礼と遠距離恋愛中のエド、ようやくイギリスに移住して来て2人きりで過ごす甘々な様子にエド可愛いと悶えながら読みました。

日本にいてもイギリスに来てもエドの名前で理不尽な思いをする礼でしたが、意固地にエドに頼ろうとしません。読者さえも危なっかしいとハラハラするのだからエドはいかばかりであったのかは、秘書のロードリー視点の初回限定ペーパーで語られてます。

ダミアンにアーティストとしての存亡の危機が訪れて、悩んで悩んで考えた礼はようやく愛するものを守るためにエドの力を借りる事を決心します。

それはこれからエドと対等にはなれないと言うことでもありますが、力があるのに礼から求められない事で傷ついて来たエドの愛に気が付いたからでもあります。

礼が礼としてエドの側にある為に、乗り越えなければならない壁でした。

献身的な礼の説得と友人達の働きによって危機を脱したダミアンも他者との関わりを持つことを始めました。

礼がエドの側でどう生きて行くのかを傷付き挫折しながら模索して、ようやく結論を出せたようです。

イギリスに行った事があるので空気感が凄く伝わって来て樋口先生は凄いと思います。

凄いボリュームなのに長いと全然感じませんでした。

続巻も4月に出るようなので楽しみにしています。

23

各所で涙あふれました

読み始めた途端、随分久し振りだというのにこのシリーズの空気感を思い出し甘く幸せな気持ちにさせてくれる。
これって凄いことですよね。


今回はイギリスでの礼の仕事にスポットが当てられていましたが、深みある描写に一緒に嬉しくなったり心痛めたりと夢中になりました。
共感し感情移入させてくれる魅力がありすぎる!!!

このお話を通して誰もが何かしら思い出したり考えることがあったのではないでしょうか。
自分に通じるものがあり思わず泣きたくなる何かを私はかなり味わいました。
正論だの合理的だの頭では分かるけどそうなりたくない気持ちだったり、圧倒的な力の違いを感じつつも対等でいたい気持ちだったり、いくら愛してくれているからこそとはいえ、自分の心が納得できないことだったり…。


また舞台は日本からイギリスへと戻っています。
考え方や価値観の違いに戸惑う礼の気持ちがことごとく分かり本気で応援したくなりました。
日本人ならではな気持ちをこんなに色濃く書きつつも、相変わらず英国側の表現も巧みで、先生本当は何人なの?と疑いたくなりました(笑)

アートに特に興味のない私でもその魅力が伝わってくるし、デミアンのこともむちゃくちゃ好きになってました…!あんなに扱いにくい人間なのに、同じく愛おしいと思える人間性を見事に書ききってくれている!

そして揺るがぬ強大な愛と共に寄り添ってくれているエド……末長く二人で幸せに暮らしていくビジョンが見えます。
今回も素晴らしいお話でした。

自分の生き方についても、なんだか前向きになれる気がします。

このシリーズは読み終わった後の胸いっぱい感が半端ないですよね。
今回も大事にしたいと思える一冊でした。

14

最愛の人のために

本シリーズは巨大企業の社長でもある名門貴族の御曹司と
彼の恋人で日英ハーフのキュレーターのお話です。

日本から英国に拠点を移した受様が絶大な力をもつ攻様と共に生きる為
様々な軋轢を受けながらも自分らしい生き方を見出すまでの本編と
受様の日本での最後の仕事となる前日譚を収録。

受様は母により天涯孤独となった受様は英国貴族だった父の親族を頼り、
英国に渡ります。受様が引き取られた家は攻様の実家で、受様は否応な
く英国の貴族社会の末端に組み込まれていきます。

受様は攻様の義弟としてして進学したパブリックスクールで貴族社会特
有の様々な軋轢に晒されながらも、誠実で真面目な人柄で徐々に自分の
居場所を見出していきます。

攻様は伝統を重んじる名門貴族の御曹司として、持てる者特有の寛大さ
と冷酷さ、そして孤独な心を抱えて生きていました。受様の存在はそん
な攻様の心を揺さぶり、受様もまた攻様に惹かれていくのですが、互い
の手を取る術を知らず、恋が成就するまでには多くの時間が必要でした。

日本の出版社でキュレーターとして働いていた受様ですが、攻様と生き
るために英国への移住を決意、最後の仕事となった国立美術館の企画展
も盛況のうちに終え、日本を旅立ちます。

そして向かった英国で受様は最愛の攻様と濃密な1週間を過ごします。
そして職探しを始めるのですが、日本での出版社勤務でのキュレーター
実績は英国では経験として認められず、美術館でも出版社でも全く相手
にされません。

英国では現代アートに多大な影響力を持ち、美術館顔負けの企画をも行
うギャラリーも多く、めぼしい出版社にほとんど落ちた受様はロンドン
市内でも大規模なトップギャラリーの1つ「スクエア・ギャラリー」を
訪れます。

訪れたギャラリーではチーフ・ダイレクターと対面しますが、受様の日
本での経験を悪くないとはいうものの日本のアート市場の未熟さを指摘
され、受様自身のアートに対する姿勢を質され、受様は打ちのめされる
のです。

すげなく門前払いされた受様でしたが、ギャラリストからの攻様の縁故
者を無下にできないという指示により、アシスタントとして採用が決ま
ります。しかしながら経験不足を指摘されている受様のギャラリー内の
仕事はデレクターの雑用係で、受様は1週間もすると個々で働いている
意味を見出せなくなります。

そんな中、ギャラリストが次の企画展を人気アーティストの競作とさせ
ると言い出します。1人は企画展に出資している投資家のお気に入りの
アーティストでしたが、もう1人は攻様をパトロンに持ち、受様と懇意
にしている気難しいと評判のアーティストだったのです。

どうやら彼は受様のために企画展への出品を打診してきたらしく、受様
が担当しするなら半年で新作を作成するというのです。ギャラリストは
大乗り気で受様も彼ならと担当する事となりますが、競作相手のアーテ
ィストまでもが受様を担当にと言い出して!?

英国の名門貴族の御曹司である攻様と彼の義弟として育った受様の恋を
綴ったパブリックスクールシリーズの最新作は、前日譚である雑誌掲載
作をおさめての受様の英国での新生活の始まりの章となります。

2人の恋が成就した3巻目の後にハードカバーでスピンオフが出たので、
2人の続編がまた読めるなんて思っておらず、かなりびっくりしました。
嬉しいほうのびっくりはいつでも大歓迎です♪

再び英国に舞台を移した2人の恋物語は2人の恋よりも、受様のこれから
の未来、生き方そのものに重点を置いたお話でたいへん面白かったです。

受様は日本での企画展を成功させて花道を飾り、名門貴族の御曹司であ
る攻様に相応しくありたいと意気揚々と職探しを始めますが、なかなか
上手くいきません。受様はパブリックスクール時代に散々受けた偏見や
差別に再び直面することになるのです。

攻様の紹介ならどんな職でも思いのままですが、名門貴族としても経営
者としても影響が大きすぎるし、受様はそんな攻様だからこそ彼の隣に
いるために自らの足で立たなければならないと思っていたのです。

そんな受様と受様を見守る攻様、攻様が出資しているアーティスト、
競作相手のアーティスト、そしてギャラリーの面々が複雑に絡み合い、
物語りは進んでいきます。

競作相手のアーティストの画策も先見の明のあり過ぎる(笑)攻様の対策
によって阻まれ、受様が選んだアートという世界にどう関わりたいのか、
アーティストとのどうやって関っていくのかという答えを見出すまで
ハラハラし通しでした (>_<)

受様を愛するが故に受様を苦しめる全てから遠ざけたいと願う攻様です
が、今回は受様が助けを求めるまで動こうとしません。愛する人に頼ら
れない辛さ、自分が動く事によって受様の気持ちを思いを踏みにじる事
になる事を恐れる攻様もまた裏ではすごく辛い日々を送っていたと思わ
れて、そんな攻様の愛にも萌え萌えでした♡

特定書店で頂けるペーパーがそのあたりの攻様の状況が語られていて
すごく良いので、ペーパーの付く店舗で買われる事をおススメします。

本作から4ケ月連続発刊が予定されていますが、4月ラストの刊行が
本シリーズの続編です。今からもうワクワクです (^O^)/

11

この1冊だけでも素晴らしく面白い

シリーズを丁度読み始め順に読んでいき、ようやく新作まで読めました。
タイトルには蜜月とありますが、蜜月なんてとんでもないですね。ようやく二人のただ甘いだけの日常が見れるかと思いきや、今回も試練の連続でした。

今作から読み始める方は誤って買ってしまった方くらいかな?と思いますが、今作だけでも読めるつくりにはなっていたと思います。勿論シリーズ最初から読むのがおすすめ。

パブリックスクールの凄いところは、本編2作はもちろん、続編の2冊もただの番外編に留まらず作品として1冊で素晴らしく面白いつくりだということ。

レイがイギリスに戻り、エドと共に暮らしていく。この地で働き、生きていく。仕事をどうするのか、生きていく上では大事な問題です。もちろんエドがいる限り働かなくてもいきていけます。エドは絶対にそれでもレイを愛すと思いますが、レイはなるべく対等でいたいと考えている。たくさんの葛藤を抱えながら成長していく。

母親からもらった言葉が今もレイの中で生きていて、やり返す権力と知恵をエドがくれたとしてもそれを不用意には使わない。使うべきところで、正しく使う。素晴らしいです。

それからエッチなシーンも勿論あるのですが、レイがどんどんエッチになっていってたまらないですね。かわいいです。エドの嫉妬は今回は少なめかな。神シリーズです。

10

心が震えます

このふたりの続編が読めるなんて…
樋口先生ありがとうございます!

今作品は、ようやく英国に渡った礼が「エドに相応しい自分とは…」ということを軸に、ダミアンの自己理解と表現者としての葛藤や、人種差別やマイノリティの現実など苦しさがそこかしこにこめられ、いつもながらでありますが、とても深みがあるストーリーでした
ギル、オードリー、ジョナスの懐かしい面々に支えられ、礼が更に魅力的に成長していく物語に、どんどん引き込まれていきます そしてエドの果てしない礼への愛の深さとその行動力にも感嘆です!

これからふたりが紡いでいくロンドンでの暮らし、是非とも垣間見たいです。まずは、また1作目から読み返そうと思います!

8

この作品が収納されている本棚

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