【新死刑法】人が故意に人を死亡させたときは、如何なる理由があろうと死刑とする――。

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表題作僕が君を殺すまで (下)

水谷公平(渡瀬),34歳,刑務官
織田薫,28歳,元刑事で死刑囚

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下・人物紹介

あらすじ

殺人犯を擬似的に作られた町の中に閉じ込め、死を迎えるまでを生中継し、エンターテイメントとして消費される世界。
そんな閉鎖空間の中に、あらたに送り込まれた死刑囚の織田 薫と執行官の水谷航平(渡瀬)は、殺すものと殺されるものとして共同生活を始めることに。
織田の犯行動機は男性の同僚との痴情のもつれとされており、同性愛に免疫のない水谷は動揺するのだが…。

作品情報

作品名
僕が君を殺すまで (下)
著者
柳沢ゆきお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784801971196
4.4

(57)

(38)

萌々

(11)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
253
評価数
57
平均
4.4 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数11

ラスト3回声が出た

織田の表情が柔らかく笑顔が見られるようになり。殺害容器の真相がわかり、ふむふむやはりそうかと。
しばらくして水谷がセリフではなく素で話していて。
気づいたらBLということを忘れて、この先どうなるの〜と夢中で読んでいました。

ラストの場面で思わず、え〜?!と声が出て
……てことにしたんよな、と思いながら読んだのですが。

その後の美羽の衝撃の事実にまた、えーっ?!と声が出てしまいました。

ラスト、水谷が織田の首を絞めないだろう…と思って飲み込まずにいたので、何度か読み返しました。
その前の2人のセリフがあたかも殺人の再現のようでよく出来ているなと感心。
水谷の言葉と号泣していることからやはり執行したのだろうなと解釈せざるを得ない…なと。
その瞬間、及川が上に詰め寄るも
「わかるよ わかっているんだよ」「及川くん 我々は 無力だ」のセリフが効いているし。
モニターを見る同僚たちの声と表情、船越が必死に言葉を打つさまが緊迫感を増すのが上手いっと感じました。
その後の3ページもめちゃくちゃいい。
このラスト10ページほどが本当にすばらしい。
ここへくるまでのここまで、その後もいいです。

政治、法律、死刑制度、エンタメ消費、脚本家、執行人、愛する人の罪…いろんな立場、視点から描かれているすごい作品でした。

個人的には及川の「上へ行く」「ぶっ潰してやる」がめちゃくちゃかっこよかった。及川の顔も好き。
及川が日本を変える物語を見てみたくなりました。

0

役を演じている二人は。。

上巻で、嫌が応にも期待が高まった下巻ですが、実はよくわからなかった。。

一緒に暮らすうちに、相手の本当の姿が見えてくる。脚本家がいて、指定された台詞を言っているだけなのに、けがをすると本当に心配してかわいいバンドエードを貼ってくれたりと、何気ないことから次第に役ではなく本当に心の交流が生まれてくる。
いっしょに過ごす時間がながいほど、当然といえば当然かもしれません。
よく人質が犯人に同調してしまうといいますが、人間同士なので、完全に悪、善と切り分けられないこともあるかもしれません。

警察関係者のサポートもあり、動機の部分が解明されていくところは読み応えがありました。
ただ、最終的にどうなったのか、やはり法律通りに殺されてしまうのか。。
というあたりがちゃんと理解できず。。ちょっと難しかった。
でも暖かい交流が生まれたのはよかったです。

0

正解のない問題

雑誌で飛び飛びで読んでいたので余計に読むのを避けていた本をふと今なら読めると思って読みました
内臓が圧迫される様な気がしましたが最後まで読めてよかったと思います

愛は一瞬で細胞から人を変えることがあると思います
だからこそ刹那で永遠なのだと思わずにはいられない

昨今のリアリティショーは興味ないので見ていないのですがジムキャリーの映画トゥルーマンショーを思い出しました
世界観はあれに近いかなと思います(扱うものが違いすぎますが)

衆目に晒されるとどんな名目があってもショーになってしまう大衆の愚かさと賢さが入り混じる社会の中
でも舞台に立つ人間は台本があろうと本物という混沌さがなんとも言えず
現実ではないのにその部分が現実を感じさせられ
ただのフィクションに思えなかった気がします

愛を貫くには難しかった悲しく美しい男達のお話だと思います
愛ってなんなんだと三者の選んだ方法を見ると何一つ正解じゃないと思うのにこれしかなかったと思います
3人の心の動きがとても切なく
どうしようもない閉塞感にただただ立ちすくんでしまう様な読後感でした

読んで幸せになるわけではないと思いますがBLの奥深さを経験するにはすごくいいと思います
読めてよかったです

0

死と日常の狭間に芽生えた『愛』

ちるライブで、アンリさんが白米さんにオススメしていたのを見て、面白そう!と思い、すぐに購入しました!

ストーリーの構成に捻りがあったり、BLとしてのクセがわりと強めであったり、100点満点のハッピーエンドではないお話を読みたい人には超絶オススメしたいです。

絵は、かなり青年誌っぽい感じで、なんならストーリーも刑事事件を扱う青年漫画のような雰囲気……ただ、その中にしっっっかりBL=愛は存在していて……読んでよかったな、こういう作品を見逃さずにいられたことに感謝です。一度ではストーリーの結末や解釈を飲み込みきれないので、時間を空けてまた再読したいと思います!

0

苦しくて、美しい

どんな結末になるのか予想できないお話ではあったけれど、こんなに重いラストになるなんて…。
"傍観者"としてはとても悲しくて苦しくて、力を持たないものは真実を伝えることすら出来ないのかと憤りも感じました。

でも。織田はどうだったのだろうか?
最期まで抗わず諦めではなくそれを受け入れた。
そんな彼の気持ちを考えるとこの作品の見方も変わってくるのだろうなと思いました。

個人的には織田には生きていてほしかったし、渡瀬ではなくなった水谷と外の世界でまた出会ってほしかった。
でも幸せのカタチは様々で、この結果が必ずしも不幸せだったとは限らないですよね。
色々なことを考えてしまう作品でした。

0

読み終わった後の喪失感が凄い

読み終わった後の喪失感とてつもないです。

ふらっと立ち寄った本屋で何気なく買った2冊がとてつもなさ過ぎて、ほんとに……大事にします、、、この本……

4

評価のしように困る。
トータルの作品としての完成度は高く
「作品」としては素晴らしいと思うのだが
どうしても心がついていけないのである

なぜなら救いがなさすぎるから(´;ω;`)
鬼畜も暴力もなんでも個人的にはアリなのよ
ショタでも老人でも複数でもグロでもなんでもありなんだけど
死ネタだけはしばらく立ち直れないんだよ・・・・
だって失ってしまったら何ものこらない・・

まるで最後は救われるかのような
まるで最後に救われたかのうような
そんな演出がまたニクイ
評価は高くつけることもできるのだけれど
少々悲しみが強いので低めでつけさせていただきます。
バッドエンドが好きな方にはオススメ

2

夢中で読みました

上下巻通しての感想ですが、とにかく良かった。
愛と狂気の物語でした。

死刑囚である織田薫が死刑を執行されるまでの間、24時間ライブ放送され、自分の犯した犯罪と同じ手口で死刑執行が行われる世界。
彼が殺したのは元恋人の渡瀬で、渡瀬と身長が同じという理由だけで死刑執行人に抜擢された水谷、任務として渡瀬の顔に整形し織田に近づき、渡瀬として接する内に織田が渡瀬を本当に愛していた事を知り、殺した動機を知りたくなります。
織田がもう一人殺していた事、それが冤罪で、真犯人は渡瀬だったこと、渡瀬の死もまた、限りなく自殺幇助に近いものだったこと…様々な真実が浮き彫りになっていく内に水谷は織田に、織田は渡瀬の振りをした水谷に、惹かれ合って行きます。

織田を調べる内に一人殺せば死刑になるというわかりやすい法律の裏に隠された国家権力の闇に抗うべく、織田の死刑を回避し再審を可能にしようと、水谷の同僚達も協力します。そして迎える結末。

この物語の結末に何を感じるのかは人それぞれだと思いますが、個人的にはこの結末しかないんじゃないかと感じました。
織田は渡瀬を愛し、渡瀬を殺した結果水谷と出会うことができたのだから、渡瀬の事を無かったことにできるはずもなく。
ただ、水谷を思うと…胸が痛みます。

そしてもう一つこの物語には驚きの結末があり、それには狂気を感じました。

ページをめくる手が止まらない、心に残る作品でした。

5

美羽の姿は自分かもしれない

 ストーリーは非常に練られていて最後まで重厚感もあったのですが、個人的にはもう少しBLとしての萌えも欲しかったなと思い、この評価にしました。渡瀬という別人を演じながら、元の自我も持ち続けた水谷の精神力はすごかったです。相手をいつか殺さなければならないと分かっていて、関係性を深めていかなければならないなんて、常人にはきっと耐えられないことだと思うんです。きっと、渡瀬に負けず劣らず正義感が強く、愛が深い水谷だからこそできた役だったんじゃないかな。

 不謹慎な物事であってもマスメディアやSNSの格好の餌食にされたり、政治に民意が反映されなかったり、結局世の中で起きていることを他人事としか捉えていない大衆だったり、今の日本の現状も多分に映し出していて、我が身我が国を振り返させられる作品でもありました。死刑執行ですら、エンターテイメント化されてしまう恐ろしさ。同性愛殺人という罪だったために、執行までに織田がもう一度穏やかな愛情を交わせたのは不幸中の幸いだったのかもしれません。薄情なこの時代のこの国で、新法の犠牲者であり続けた織田のことを、忘れたくないなと思います。

4

色々考え、既に何度も読み返しました

あー、そうきたか。
思っていた結末とは違いました。
ぜひ、ネタバレなしで読んでほしいです。


水谷との「今」を生きる織田の笑顔が輝いていて、惹かれ合う2人の日常は穏やかです。
朝ドラのような日々を送る中、死刑執行の日は確実に迫っていて……

愛が死の連鎖を呼ぶところが悲しい。
明かされる事件の真相。
露呈する新法の抜け道。
動く民意と反映されない政治。
人生はシナリオ通りにはいかない。
そして、思った通りにもいかない。

死刑囚と刑務官という立場であろうとも、人が人を愛する気持ちは止められないんですね。
幸せそうな笑顔、「明日が恋しい」と話す穏やかな顔……上巻と変化していく織田の表情に注目です!
渡瀬じゃなく、水谷自身を愛する織田が美しくも切ない。

脚本家の船越、実力者で陰の功労者の及川、モブにしては存在感がありすぎた宮崎、織田ファンの美羽…と、脇役たちが個性的で活き活きと動いていたのが印象的でした。

仮想の中のリアル。
その中で最も感じたのは、人間の怖さ。
特に、本編のラストは驚愕!!
まさかまさかの……ですよね。怖い。
そして、愛によって変化していく2人が魅力的な作品でもあります。
私には苦味が強いけど、色んな解釈があっていいと思います。
できたら、たくさんの方の感想を聞いてみたいです。

描き下ろしには希望を持っていいんですよね?
そのためのホクロだと思ってます。
いつかまた巡り会う日を夢見て……

9

深く考えさせられました

『僕が君を殺すまで』の下巻。続きものなので上巻未読だと理解できません。上巻を読まれてから、こちらを読まれることをお勧めします。

二人の男を殺した死刑囚である織田と、織田の死刑執行のために織田と同居している執行官の水谷のお話。







上巻で少しずつ心を通わし始めた二人の男たち。

織田はなぜ、殺人を犯したのか―。

刑を執行する人物として水谷はすべてを明らかにしたいと願うが、それはハードルが高かった。

「刑を執行するまで」の一部始終がエンターテインメントとして消費されていること。
自分たちの行動のすべてが監視され把握されていること。
何より、織田自身が、一日も早い刑の執行を望んでいること。

手を尽くし、策を練り、様々な手を尽くして、刑事たちが行きついた「事実」はー。

正直、ああうん、まあそうだよね。
という内容だったことは否めない。
想定通りというのか。

が、そこから、水谷と織田の、本当の交流が始まっていく。

今作品は織田がゲイであるという、その一点においてBL作品と呼べる側面がある。反対に言うと、ほぼ、BLといえる描写はないんです。けれど、ともに時を過ごし、少しずつ相手を知り、そして愛を知っていく。

めっちゃ萌えるんですけど!

で。

凄くお上手だなと思ったのは、表情とか、しぐさ一つで彼らの思いを端的に現しているところ。顔を黒塗りにしていたり、陰で表情が見えなかったり。さらに、現実と夢、現在と過去。そういったものが交差して描かれていくので、んん?と思うところもあるんです。あるのですが、そういった描き方にもきちんと意味がある。

「死刑」という、普段生活していくうえでは関わることの無いバックボーンを描いた作品で、それ故にじっくり読んでほしい作品になっていますが、それだけではなくって、その一コマ一コマにどんな意味があるのか、どんな思いがこもっているのか。そこから、読者が何を感じるのか。

読者の数だけ、感想も分かれそうな作品だなと思いました。

そして、刑の執行について。

んー。
んんー。
これはなー、ここもなー、読み手によって感想が変わりそうだなと思いました。

私は、ハピエンを迎えたと、そう信じたいと、読んでいて思いました。

ほっこり、可愛いお話を好まれる方には正直不向きな作品です。
が、壮大な愛を描き切った作品だと思います。
あなたの正義感は?
モラルとは?

多くの方に読んでいただきたい、奥深く、考えさせられる作品でした。


18

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