Renta!限定版
1994年―――。あの夏、ふたりの香りに満ちた部屋で……。
「ばらとたんぽぽ」で絶賛ドハマり進行中の遠浅よるべ先生の作品を遡りで拝読です!!
1994年のちょっと田舎な地域の教師同士のお話し
先生の写実的な画風や生の生活感を感じるような関西弁も多くってすごくこの作品でしか感じられない空気感が充満しています
その上その当時の流行りだったルーズソックスや吉田戦車先生の「伝染るんです。」ナドナドがわんさか出て来るのも作品舞台の中の生徒に近い私には親近感が半端なかったです(ほんと、懐かしさレベルが最後まで引かず楽しかった~w)
そんな訳で余りのインパクトにレビュータイトルにもしてしまいました(〃ω〃)
尚、「ABC」は作中で「キスしていいか?」と聞いた攻めに対して受けが答えた「……別にええよ キスは好きや ホンマ言うとBやCより 好きやねん」というセリフが余りにもノスタルジック過ぎて拝借いたしました…何か得も言われぬ気恥ずかしさを感じてしまうABC、、、この感覚が何となく分かる方ならきっとこの作品の中に漂う空気感は感じ取れる気がします(ΦωΦ)フフフ…
作品舞台としては1994年ですが、出版されたのは2020年なので当時が現役世代ではなくっても、こういう空気感の作品が気になる方なら今の年齢は関係なく楽しめるんじゃないかな~?とは思います(昭和歌謡やCity POPを今の感覚で楽しみたい人がルーツを覗くような感覚でしょうかね???)
前置きが長くなりましたが、、、
都会の学校から訳ありで赴任して来た教師2年目の屋敷と屋敷の教育指導で同じクラスを受け持つ担任の比奈岸の8歳差の2人
屋敷がまぁ割と正統派なダメンズでクズ思考の持ち主のゲイですw
でも教師歴のあるベテラン教師の比奈岸からするとそんな屋敷は「問題児」の範疇なので特に大仰な態度もせずに向き合ってくれちゃうのです
なので屋敷はそれこそ教師でありながらもまるで問題児の生徒が初めて心を許せる先生に出会ったように、、、メンドクサイヤツだな→あれ?ちゃんと向き合ってくれている⁈→もっと知りたいな、、、と絆され懐いて行く訳です(*´ェ`*)
ただ、ここで正統派ではないのが比奈岸先生は別居中ですが既婚者だったり、そもそもノンケだったりというこの作品ならではの設定があるのです
なんなら比奈岸先生にも大概な所があってwww
先生としてはすっごくヤリ手だけど、人としては何か抜けてるトコもあったりして決して清廉潔白な感じでもないのです
そんな飾らない2人が創作の世界だけれど創作の演出を感じない自然体で描かれたこの作品
展開や結末は知らずに読む方が絶対にオモシロイ!!
所謂商業のいくつかあるパターンには当てはまらない空気感です
だけど奇をてらったような突拍子の無い感じでもないから読み応えはバツグン!!
恋に恋をして夢中になっている事を敢えて分かった上で描いているような作品です
だからこそ大人が読むと”そんな時代もあったよね”としんみり巡る”時代”に想いを馳せて読み耽って2人の行方をまるで当時の自分の/誰かの恋バナを思い出すかのように…追ってしまう作品でした
やっぱり好きな作家さまだな~~~
先生にしか描き出せない世界がある!
読んで良かった1冊でした(ღ˘͈︶˘͈ღ)
因みに…ポケベルの”10105”は”今どこ?”ですw
懐かし過ぎる、、、ポケベル…!!!笑
修正&濡れ場|濡れ場はもぉ素晴らしかった…!何て言うんでしょうか???生々しさの極みと言うか、、、28歳のゲイの男のセックスって感じがすごくリアルでしたし、28歳と36歳の男性の濡れ場がほんと生々しかったです!!
修正は性器そのものの描写をドーンって感じでは描かれてないので基本は不要
必要があればぼかしって感じですがその濡れ場の熱気を損なう様な修正ではなかったです(シーモア)
まず94年という時代設定がいいですね。戦前の昭和や大正、もっと遡って江戸時代などの作品はそこそこありますが、昭和の終わりや平成初期をあえて今描く作品はかなり貴重なんじゃないでしょうか。令和になった今から見て、目に映るものがそこまで大きく変わったわけではないけれど、スマホじゃなくてポケベルだったり、キャラクター達が好きだという芸能人や作家の名前が当時流行ったものだったり、細かいところに時代の移り変わりが感じられるのもまた趣があるなぁと思いました。
リアルさを追求し過ぎて糖度が低くなりあまり萌えられない、というのは商業BLをそれなりの数読んできた方なら一度は体験したことがあるのではないかと思います。が、この作品は現実味と萌えがしっかり両立していました。ノンケで奥さんとまだ離婚していない身で、最初は快楽への好奇心、欲求不満から比奈岸と寝てしまう屋敷。ギャンブル好きで借金があり、教職に対して大した熱意もなく、嫌になったら飛べばいいと考えている比奈岸。どちらも理想的な男性とは言い難い。でも、2人はそんな汚い部分も晒し合いながら、いつか冷めることも分かった上で、本気の恋愛を見せてくれました。再会した時の2人の表情に、当時本当に楽しかったんだなぁと。最後はまた希望を持たせてくれる終わり方だったので、想像が膨らみますね。
骨太の絵柄から、ずっとこの作家さんは男性だと思い込んでいました。しかし違ったんですね(後書きで判明)。
高校の先生同士。風紀に厳しいながらも生徒想いの先生、比奈岸。そこへやってきたちょっと問題児の教師、屋敷。
屋敷はゲイで、最初は仕事に興味がない風だが、面倒見役の比奈岸の元、次第に意欲をもって先生をやるようになる。
同時に、二人で飲みに行くなど仲良くなる中で、比奈岸が、実は夫婦仲がうまくいっていなかったり、意外な性癖を知ることになる。
ノンケのはずの比奈岸だが、仕事仲間というだけでなく次第に恋愛に。。
というお話。
距離が近づいたり離れたり、本気になるのが怖い屋敷と、男同士ならではの葛藤など、リアルに伝わってきます。
そして、ほんのりとハッピーを匂わせるようなラストもよい。
久しぶりに読み応えのある作品でした。おすすめです。
絵もストーリーも緻密に描写されていて
何度も胸を締め付けられました。
90年代という時代設定だからこその「モノがもつ重み」を感じました。
素晴らしい作品に出会うことができ、作者様に感謝です。
『ばらとたんぽぽ』がわりとギャグ強めだったので
こんなにリアルなお話を読ませていただけてとても嬉しいです。
冒頭で比奈岸先生が口うるさい印象を持ってしまいましたが(すみません)
あんな風に心を砕いて来たから人気者の先生になったんでしょうし
屋敷も肉欲だけじゃなく惹かれていったのでしょうね。
屋敷の過去、恋愛とも言えない体だけの遍歴は
もしかしたら男性同士であれば少なくないのかもしれません。
初めて本気で追いかけたい相手が比奈岸先生だったのは
とても人間味がある人物故納得です。
ドノンケかと思いきや、ソッチに興味あるとかつけ込まないわけないし
後ろの才能もあったとか…エロいです……。
(最初は屋敷が抱かれる側なのも萌えました)
屋敷の逃げ癖というのは正直私にはわからない感覚なのですが
比奈岸先生にだけは約束したにも関わらず
いつか来る終わりに怯えてしまうのはどうしようもないのかな…。
屋敷の根っこは簡単には変われなくても
比奈岸先生はちゃんと愛してくれて腹を括ってくれたように思えたのですけどね。
エピローグでは4年後のわりに比奈岸先生の結構なシワがまたリアルです。
4年の間にあれこれあったのが意外にもアクティブで驚きました。
それだけショックだったということですね。
最後の電車のシーンで物語の余白を感じさせる演出、小憎らしい!
二人の未来を信じたいのですが本当のところはどうなのか気になり、
ここは是非はっきりさせて欲しかった…。
確かに時代を感じてしまう時代背景ではあります。
古めかしい、でもそれで敬遠してしまうのはもったいない骨太な作品だと思います。