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表題作バイオリニストの刺繍

館原新良,26歳,ヴァイオリニスト
吹野響,29歳,刺繍作家

その他の収録作品

  • 刺繍作家のヤドリギ
  • あとがき

あらすじ

天才ヴァイオリニストの館原は、逃亡先の軽井沢で一人きり静かに暮らす吹野と出会う。
正体を隠して彼の別荘に住み着くうち、もの言わぬ吹野のさみしさに触れ、惹かれてゆく館原だが……?

作品情報

作品名
バイオリニストの刺繍
著者
砂原糖子 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525322
4.1

(44)

(18)

萌々

(18)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
183
評価数
44
平均
4.1 / 5
神率
40.9%

レビュー投稿数9

攻め視点の情熱的な愛のストーリー

もう、良過ぎてどうやって何からレビューを書けばいいのやら…

『心を半分残したままでいる』で涙が止まらなくなった(というより号泣)砂原糖子先生の作品。

タイトルからして秀逸すぎて、読み終わった後表紙を見返すともう、胸がきゅーーっとします。

(以下、内容に触れます)




他の方もおっしゃっていますが、タイトルが「バイオリニスト”と”刺繍」じゃないんですよね。
世界的バイオリニストの館原(攻)× 耳の聞こえない刺繍家の吹野(受)。
そんなバイオリニスト館原 ”の” 吹野。情熱的な恋に落ちた館原の見せる、独占欲。
作中後半にも、「この人は俺のもの。」という印象的な一文が出てきます。
やっとやっと、吹野の本音を確かめることができた喜びに震える館原の心情が痛いぐらい伝わってきて、読んでいる時ドキドキが止まりませんでした。

クリスマスの、施設での館原のコンサートシーンが特に好きです。
聞こえない吹野に対して、懸命に愛を伝えようとする姿が伝わってきて…
館原が奏でる音が聞こえない吹野に、どのようにして曲の調べを伝えたのか?
これはもう、ぜひぜひ読んで確認していただきたいです・・

バイオリニストという、「音を聞かせる」ことを生業とする館原と、耳の聞こえない吹野。
対極に位置し、混じり合うことのないように見えるこの2人が作中で、海に例えられています。

南国のラグーンと、都市の港湾の海の色。
全く違うように見える二つの海も、どこかで繋がっている。「違っていて、同じ」なのだと。

聞こえない自分のために手話を勉強するなんて”無駄な時間”だと訴える吹野。
でも館原にとって、砂原に関して「無駄になること」なんて一つもない。吹野がいてくれること、館原に影響を与えること、それら全てが愛おしいのだと伝える館原に全私が拍手喝采したし、泣きました(心の中でこっそり)。

あとがきを読むと、砂原先生ご自身もバイオリンを嗜まれているようで、作中にも印象的な場面で色々な曲が出てきます。
恥ずかしながらクラシックには詳しくなく、曲名を見てもどんな曲かパッと浮かんでこなかったため、YouTubeで検索し一曲ずつ聴きながら各シーンを読む‥という、なんとも贅沢な時間を楽しませていただきました。

そうそう、あとがきの後にひっそりと載っていた、「館原の帰国を軽井沢で待つ間の吹野」のイラストがもう可愛すぎて可愛すぎて萌えが爆発しました。
雪だるま作ってたのね…ハート飛んでるね…可愛いね。ああああ。とにかく、語彙力が失われるほどの破壊力ある可愛さですので、ぜひ見ていただきたい。

あと、こちらの作品、全編攻め視点なんですよね。遊び人だった攻めが本気の恋をして悩み苦しむ姿っていいですよね…←

受け視点の続編も購入済みなので、これから徹夜で読み耽りたいと思います。

これからクリスマスを迎える今の時期にぴったりのこちらの作品。
ぜひ、多くの方に味わっていただきたいなあと思いました・:*+.

0

3歳で音を失った恋人の心を掴みたいバイオリニスト

電子版発刊後すぐに購入。
続編が出たので、再読。下書きのままだったので遅れてレビュー。

音が聞こえない人との意思疎通を努力する恋人の葛藤
色々調べて書いた著者の努力を感じてしまった。
二転三転流れが変わり、引き込んでいく構成が上手い
「言ノ葉ノ世界」もそうだけど、内面描写する言葉選びが上手いと思う。

もっと評価が上がってもいいんじゃないかと思うけど、 
BL小説の中で小説らしい作品って目立たないのかも。



天才の孤独
音のない世界で生きる孤独、
寂しさの種類は違うけれど、二人は理解しあっていく。

★音は肌で感じる事が出来るそうで、
椅子全体にスピーカーを仕込んで振動で聴かせる会場がある。
聴こえない人がコンサートに行くことを意味がないと私も思わない。

2

ツンデレ好きには堪らない

ツンデレ好きな読者には堪らない作品だと思います。それと、恋心がなかなか収まるところに収まらなくて焦ったいお話が好きな方にも。

私としてはですね、実はツンデレも焦ったいのもそんなに好きじゃない。ハッキリと言い切っちゃってすみません…

だから萌え2の評価ってわけじゃないんです。好みじゃない設定だから神評価からワンランクダウンしとこか。って言うネガティブな意味じゃなくてむしろ逆。好きじゃない設定の作品なのに、読んでみたら面白くてスルスル読めちゃったよ。のポジティブな意味の方が強くて萌え2評価にしました。

ツンデレも焦ったいのも、短気な私からすると期待値はそんなに高くなくてですね、評価スタート地点は「萌え1」か「中立」です。減点方式じゃなく加点法式です。
好みじゃないなら読むなよって言われても仕方ないかもですが、あまり読んだことがない作者さんの作品は積極的に読みたいなーと思っていて、設定のイメージだけで判断して作品との出会いをあまり潰したくないなと。

近々この作品の続編が刊行されると聞いて興味を惹かれたのが手に取ったキッカケですが、読んでみるとなんとまぁ。ストーリーの流れや文字の運び空気感やテンポがすごく良くて、面白いほどサクサクと読むことが出来ました!


ちょっと上から目線のバイオリニストと難聴の青年との恋が、軽井沢の別荘地という舞台効果もあり素敵に描かれています。ひょんなことからバイオリニストの館原が吹野の別荘に転がり込み、不思議な同居生活が始まる出会い。2人のコミュニケーション手段はもっぱら吹野のスマホの画面の中です。なかなか意思疎通をするにはうまくいかないけど、館原は吹野との生活に居心地の良さを感じていくっていうストーリーです。

有名なバイオリニストの館原はあまり良いキャラとは言えなくて、結構自分本位な感じがみてとれます。私もあまり好きじゃないな…と感じていたんですけど、恋すると人は変わるんですね(笑)吹野に惹かれていることもあるでしょうが、耳の聞こえない世界を考えたり、音楽とは何か。どうあるべきかを考え直したり見つめ直すキッカケを見つけたりして、館原の人間味がすごくいい方向へ向かっていきます。

吹野に対する恋についても一生懸命で、最初の館原の感じとは随分違います。思いやりや優しさのレベルが爆上がりです。
それに対して吹野はツンデレで対抗するので、これがまぁうまくいかないのが焦ったい。お互いに身体は結ばれてるのに吹野に正式な恋人同士認定されてないよ、みたいなね。

どうみても想いは一緒じゃんと思うのですが、館原が有名音楽家で自分はハンディキャップがあることへの引け目なのかな…2人の気持ちがピタリと合わさらなくてヤキモキします。まあ色々とありますが、落ち着くところには落ち着くのでご安心を。
途中なかなか事が運ばずハラハラしますが、それも含めて楽しめる作品かな〜と思います。


私の好きな設定のお話じゃなかったけど…と先に言いましたが、私はこの作品素敵だなと強く思います。
途中何度か泣きそうになりましたし、文章がとても美しいです。館原が音楽家であることになぞらえて旋律のように綴られる文字の調べが心地よく心に落ちてきました。

これは続編もぜひ読んでみたい!
発売日が目の前なので楽しみです。

5

受け視点が欲しい。

発売当時に読んだものの、うまく感想がまとまらず……。
一年経て再読したら何かまとまるかもと思ったけど、やっぱりまとまらなかった。

・軽井沢の雰囲気が素敵。

・あとがきによると「受けの吹野は微ツン」とのことだけど、微かぁ??と思ってしまった。
かなりなツンだと思うんですよね……デレもほぼないし……。
私からすると手強いツンツンって感じです。
現時点の属性は、「意地っ張り 女王様 美人 強気」ですしね。

私自身の吹野のイメージは、女王様というよりも、強固な殻に閉じこもっていてなかなか懐かない、素っ気ない、頑な、という感じでしょうか。
殻に閉じこもっている理由は理解できるけど、攻め視点、かつ喋らない吹野の気持ちがわかりづらいので、いまいち吹野に感情移入しづらい。
後半が受け視点だったら良かったのになぁと思いました。
(ディアプラス夏号でその後は読みました)

・後半は攻めが恋するお花畑男となってる。いいぞ!

・超絶美形がシベリウスのコンチェルト弾いてるとか、想像すると萌える。

3

想像できない音のない世界


音楽を生業にする青年と音のない世界で生きる青年

スランプ気味なヴァイオリニスト館原(攻め)は軽井沢の慰問先でふと魔がさしてマネージャーから逃亡します。
迷い込んだ先は無人と思われた洋館。
洋館には聾唖者の吹野(受け)が住んでいました。
身分を偽って強引に居候になった館原は今まで想像もしなかった音を必要としない生活を満喫します。


比較的珍しい攻め視点。
攻め視点にも関わらず、初めは何て傲慢で自分勝手な男だと思いました。

ヴァイオリニストとして成功しているとはいえ、思い通りにならないこともあり自分の音楽がわからなくなってきていたところだったので、音のない世界は目新しく、音の聞こえない吹野の世界で穏やかに過ごしていたのですが…


耳の聞こえない吹野の家庭環境を聞いて、本人や家族みんなどんなにか辛かっただろうと思うと胸が痛みます。

物心つく前に聴覚を無くした吹野にまだ聴こえていた頃に聞いたであろう音楽を思い出させたいとヴァイオリンを弾く館原の姿には涙なしでは読めませんでした。


2人が出会ったことで、自分の生を諦めてしまっていた吹野に新しい世界を、スランプだった館原には自分の音楽に新たな可能性を見つかることができたようです。

ただ、完全に館原視点のみで話が進む上、吹野はかなりのツンなので(デレはほぼない)、館原のことを本当はどう想っていたのかとかがよくわかりません。
ポジティブ思考に館原なので、自分に都合の良いように解釈し、自分と世界が違うからと拒絶する吹野に対して必死に愛を乞い、結果受け入れてもらえるのですが、なんとも一方通行な感じがちょっと寂しい気がしがしました。
話としてはよかったのですが、全く甘くないので甘い話を期待していた私としてはだいぶん物足りなく感じました。


続編があるそうですが、そちらで吹野の気持ちがわかるのかな。

2

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