バイオリニストの刺繍

violinist no shishu

バイオリニストの刺繍
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×214
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
5
得点
115
評価数
28
平均
4.1 / 5
神率
35.7%
著者
砂原糖子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525322

あらすじ

天才ヴァイオリニストの館原は、逃亡先の軽井沢で一人きり静かに暮らす吹野と出会う。
正体を隠して彼の別荘に住み着くうち、もの言わぬ吹野のさみしさに触れ、惹かれてゆく館原だが……?

表題作バイオリニストの刺繍

館原新良,26歳,ヴァイオリニスト
吹野響,29歳,刺繍作家

その他の収録作品

  • 刺繍作家のヤドリギ
  • あとがき

レビュー投稿数5

胸がいっぱいになってしまった…

砂原先生と金ひかる先生の取り合せ、すごく好きです。砂原先生のエロス力と金ひかる先生の清らかでピュアな絵柄がほどよく中和されているかと思いきや、受け攻めの関係性がよりエロティックに感じられてしまうという摩訶不思議笑

タイトルが素敵すぎます。攻めと受けを表しただけなんですけど、読み終えてみると、助詞が「の」になっているのは、このお話が終始攻め視点で描かれていたからだったんだ…と。攻めから受けへの愛がヒシヒシと感じられて、じーん。
 
世界的バイオリニストと、ろう者。住む世界が全く異なる二人がどのように出会い、恋に落ちていくのか。両者、絶対にわかりあえないであろう世界を結びつけてくれたものとは…。ぜひ新良と響の掛け合いを追いながら読みとっていただきたいです。その理由に触れた時、きっと胸をうたれると思います。

今回は珍しく作者の文章に微かな緊張感を覚えながら読み進めていました。緊張感というか気迫?みたいなものを。過去に今作のようなデリケートな作品『イノセンス〜幼馴染み〜』(←凄く好きな作品です)を発表されていらっしゃいますが、元号が変わった今、BLの恋愛表現だからこそ響いてくるメッセージを受け取ったわたしは、響のアンサーに思わず涙がこぼれてしまいました。(挿絵はもう1ページくらい後ろがよかった…)

クラシック音楽と繊細な刺繍、軽井沢の別荘地。なにもかもが優雅で上品な趣味の世界に浸ることができて、とても贅沢な時間を過ごさせていただきました。個人的には食卓の風景が印象的でしたね。古いヨーロッパ映画のワンシーンみたいに清貧とゆとりを感じるんです。食事ってその人となりが出る行為のように思うので、作者によってどう描かれるかにとても興味があります。

それから作品の中で季節感を味わえるのも贅沢でしたし、人物が身につけているファッションや色味もやっぱり記憶に残るほどさりげなくお洒落で。そうそう、新良が友人のTwitter投稿内容にあきれるくだりがあるのですが、そこで愛猫家作者の外せない一言にクスッとさせてもらいました笑

受け視点の続編が楽しみでなりません。

7

タイトルも秀逸。

作家買い。
砂原さんといえば二転三転するストーリー展開がお上手で、時にドシリアスな作品も書かれますが、今回は金さんの描かれた可愛らしい表紙から、もしかしたら甘々なお話かな?と思いつつ読み始めました。






主人公は人気ヴァイオリニストの館原。
高名な音楽家の両親を持ち、いわば生まれながらのエリートである彼は幼い時からヴァイオリニストとして舞台に立ってきた経歴の持ち主。

が、ある日、マネージャーに宣伝を兼ねて軽井沢に連れていかれる。仕事で海外に行っていた彼は帰国してすぐのタイミングでの、そのマネージャーの強行突破にうんざりしていた。そこで彼はマネージャーの元から逃亡。そして行きついたのは廃屋かと思いきや一人の美貌の青年が住む別荘だった。

ヴァイオリニスト、という素性を隠し、その青年・吹野の家に半ば強引に住まわせてもらうが―。

というお話。

館原は世界でも活躍するヴァイオリニスト、ということで、素性を隠しても吹野には館原がヴァイオリニストということはバレちゃうんじゃないの?とか思うのですが、吹野は実は…、という展開。

んー、これ、ネタバレしちゃうと面白くないと思うので、吹野の抱える「もの」についてはここでは書きません。ぜひとも手にとって、ご自身で確認してみてください。

が、この吹野の抱える「もの」により、彼は自ら世界を断絶し、孤独を好んで生きている。こういう展開、砂原さんらしい作品だなといった感じ。

正直に言ってしまうと、吹野の秘密は、さほど重大なことではないんですね。
いや、些末なこと、ということではないんです。けれど、吹野が、それによって自らを内に籠らせるようになったその過程が、緻密に、そして繊細に描かれているためにすごく感情移入してしまう、っていうのかな。

そして、そんな吹野と出会ったことで、館原もまた、成長していく。

彼は有名なヴァイオリニストで、挫折を知らずに生きてきた。
そんな彼が、いや、だからこそ、なのかも。
壁にぶち当たり、ヴァイオリンを弾くことの意義を見失いつつある。いろいろなものが見え、そして聞こえるはずの館原が見失っていたものを、吹野と出会い、彼と関わっていく過程で、もう一度取り戻していく。

吹野と青年は線が細く見た目が麗しいということもあって、はかなげな雰囲気が付きまとう。けれど彼は強くそして逞しい。その一方でいつか折れてしまうのではないかという心もとなさも持ち合わせている。

一人で生きていこう。
そう決めてはいるけれど、でも、一人きりでは生きていけなのもまた、人であって。

お互いがお互いの存在を得たからこそ、ともに成長し、そして支え合うようになっていく二人の姿がとても素敵でした。

タイトルにつけられた「刺繡」という文句。
吹野は刺繍作家なんですね。一人きりで、ひっそりと、地道に布に針を刺していく。少しずつ、少しずつ、「糸」が「絵」を描いていく。
その工程が、館原との関係を端的に表わしている気がしました。彼の一挙手一投足が、少しずつ、でも確実に館原との関係を築いていった、そんな風に思いました。

BL作品にしては珍しく、と言って良いでしょう。攻めさん視点のお話なのですが、今作品は続編が決まっているとのこと(砂原先生の書かれたあとがきより)。そちらでは吹野視点のお話になるとのことで、そちらも楽しみに待っていようと思います。

「人」にとって大切なものは何なのかを改めて考えさせられる、そんな温かく、そして幸せな、そんな1冊でした。

7

五感に響きわたります

イケメンバイオリニスト・舘原(年下攻)と聴覚障害のある青年・吹野(美人受)のラブストーリーですが、舘原が奏でる名曲の数々、軽井沢の美しい情景、森の中にある趣のある洋館、吹野が作る美味しそうな料理や美しい刺繍等々、五感に訴える描写の多い作品で、ラブ以外の内容も濃くて楽しい作品でした。

舘原も吹野も、どちらも狭い世界にいて、不完全な状態で世の中を見ていたというところでは似た者同士だったなと思いました。表面的には全く違う世界に属する2人が、相手の世界を理解したいと思いながらも、理解できないことに直面して傷付いたりするわけです。吹野の頑なさに苦しむ舘原にはちょっと同情したりしましたが、恋愛における葛藤は執着の呼び水!とばかりに、吹野に対する特別感が強まっていくようでした。きっと、今まで舘原は、特別な誰かに自分の演奏を届けたいと切望したこともなかったんだろうな、と思いました。相手を大切に想う気持ちが同じ世界をみるためには必要なことだったんだよ~のラストは感動的でした。

書き下ろしは、舘原が変態…いや溺愛ぶりが激しくなっていくのが、個人的にツボで、後半はほぼニヤケながら読んでました。恋愛バイアスなかったら結構危ない人・舘原、聞こえない吹野に対する言葉攻め(もはや自分向けでしかないやつ)で興奮したりするところとか、寝起き勝手に襲うところとか(普通はダメ)、強引さが好きな方にハマるかもしれません。あと、デレが希少なツンツン受が、名バイオリニストの手でいい音色を奏でる(エッロ)、、という、ちょっといろんな意味で倒錯感をおぼえる部分もあり、何層にも読み込めると思います。

2人のその後がすでに今年の小説D+ナツアキで掲載されてて個人的にはそっちのほうが好きだったりしたのですが、そちらは受視点で、こちらは攻視点と、続編の文庫化も待ち遠しいところです。

2

窓月

えすむらさま

はじめまして!突然のコメ失礼いたしますm(_ _)m
受け視点の方がお好きとのこと、未読なのでメチャクチャ楽しみになりました!
勝手ながら以前からえすむらさまと趣味が似てるなーと思ってレビューを参考にさせていただいておりました。こちらも大変ありがたかったです!

萌え要素は沢山あったけど…

作家買いです。でも今回はいつもの砂原先生の作品とは違って、残念ながら萌え切れなかったです。

年下でクォーターの高身長で見栄えのする実力派ヴァイオリニストの攻め、別荘地の洋館に暮らすろう者で刺繍作家の美しい受け、偶然出会ったけれど受けは攻めの正体を知っていた…。

萌え要素だらけでどんな展開が待っているのかと、ドキドキしながら読み進めていたのですが盛り上がりに欠けたまま終わった感がありました。

受けの響が耳が聞こえないとか、言葉を話さないからじゃないんです。攻めの新良を受け入れない頑なな態度とか、初めから違う世界で生きているって線引きしてるところが可愛げが無くて読むのがキツくなったんです。

療養所のクリスマスコンサートの新良が用意した招待席を辞退する辺りで、期待が一気に盛り下がってしまいました。

コンサート後に響が新良の前に現れてから一気に話が飛ぶ展開も訳が分かんなくて、後から2人の気持ちの温度差を表現しているのだと思いました。

でもなんだかこれじゃ無い感が強くて、やっと2人の思いが同じになって恋人同士になってからのセックスがやたらと長く感じてしまいました。

もっとろう者の響とヴァイオリニストの新良の甘く切ないやり取りが読みたかったのですが、圧倒的に糖度が少なかったと思いました。
新良の音楽家としての成長も書きたかったからだとは思いますが、もうちょっと焦点を絞って欲しかったです。

響視点の続編が雑誌に載るとあとがきにあったので、そちらを楽しみにしてみます。

1

想像できない音のない世界


音楽を生業にする青年と音のない世界で生きる青年

スランプ気味なヴァイオリニスト館原(攻め)は軽井沢の慰問先でふと魔がさしてマネージャーから逃亡します。
迷い込んだ先は無人と思われた洋館。
洋館には聾唖者の吹野(受け)が住んでいました。
身分を偽って強引に居候になった館原は今まで想像もしなかった音を必要としない生活を満喫します。


比較的珍しい攻め視点。
攻め視点にも関わらず、初めは何て傲慢で自分勝手な男だと思いました。

ヴァイオリニストとして成功しているとはいえ、思い通りにならないこともあり自分の音楽がわからなくなってきていたところだったので、音のない世界は目新しく、音の聞こえない吹野の世界で穏やかに過ごしていたのですが…


耳の聞こえない吹野の家庭環境を聞いて、本人や家族みんなどんなにか辛かっただろうと思うと胸が痛みます。

物心つく前に聴覚を無くした吹野にまだ聴こえていた頃に聞いたであろう音楽を思い出させたいとヴァイオリンを弾く館原の姿には涙なしでは読めませんでした。


2人が出会ったことで、自分の生を諦めてしまっていた吹野に新しい世界を、スランプだった館原には自分の音楽に新たな可能性を見つかることができたようです。

ただ、完全に館原視点のみで話が進む上、吹野はかなりのツンなので(デレはほぼない)、館原のことを本当はどう想っていたのかとかがよくわかりません。
ポジティブ思考に館原なので、自分に都合の良いように解釈し、自分と世界が違うからと拒絶する吹野に対して必死に愛を乞い、結果受け入れてもらえるのですが、なんとも一方通行な感じがちょっと寂しい気がしがしました。
話としてはよかったのですが、全く甘くないので甘い話を期待していた私としてはだいぶん物足りなく感じました。


続編があるそうですが、そちらで吹野の気持ちがわかるのかな。

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