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表題作double suicide

(仮)笙野桂,大学生
(仮)笙野栖,桂の兄でリーマン

その他の収録作品

  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

「兄貴を、食べたい。」
欲求が抑えられない弟と、年の離れたブラコン兄の狂気に満ちた兄弟愛。

子供の頃から偏食気味でベジタリアンの大学生・桂と、
ブラコンだけど頼りになる真面目で優しい兄・栖は、
年は離れているがとても仲の良い兄弟だ。
桂は子供の頃から何故かずっと血の味を知りたいと思っていた。
良くない事だと分かっているのに、考えずにはいられない。
だからリスカをしていた大学の知人に頼み、血を分けてもらうことに。
桂は血の味を知るうちに、栖を食べたかったことを思い出す……。
食いたい欲求を抑えられず、栖への執愛を自覚した桂は――?
歪んだ愛の極みを描いた描き下ろしも収録!

作品情報

作品名
double suicide
著者
トジツキハジメ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784796414500
3.9

(57)

(32)

萌々

(5)

(8)

中立

(8)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
16
得点
212
評価数
57
平均
3.9 / 5
神率
56.1%

レビュー投稿数16

カニバリズム?

副題に、食べたい、とあるのでカニバリズムの匂いがしていましたが、実際には食べたいという欲を別の形で満たすお話でした。しかしそれもなかなか壮絶で、こういうのが苦手な人もいるだろうなあと思います。
私もかなりダメなので、ほぼ薄めを開けた状態で読みました。むー、痛いし気持ちが悪い。。

最終的には、兄弟の(かなり)痛い愛の形に落ち着いていくのですが、兄の彼女や、リスカの女子高生の末期など、なかなか読み飛ばすというわけにはいかない展開もあります。

スケボーや、ほのぼのBLもある作家さんだけに油断していました。。
私には厳しすぎました。

0

静かで綺麗で怖い作品

カニバリズム系読んでみたかったので手をつけましたが想像以上によかった。
血を飲む、人を食べたいという描写を必要以上に騒ぎ立てることなく、みんなが静かに向き合って淡々と自分の欲求を満たしていく感じが好きです。

全体的に絵が綺麗で黒の使用率が少ないからこそ血が際立つし、キャラの表情が無に近いものが多いので次の展開が読めず、ずっと背筋がゾワゾワしてました。

最終的には兄弟の共依存とも違う、桂くんの依存をサイくんが許して受け入れるという関係性に落ち着きましたが、今後サイくんも血の味を知り完全なる共依存となってしまうのか、それとも弟を見捨てられずズブズブになり続けるのか、いつかは弟を見捨てて逃げるのか、それも読めないラストなのがまた最高でした。

これでも兄弟だからこそここまで逃げることも見捨てることもできないで2人で堕ちていってるんだろうなと思うととても良いですね!
個人的には兄が弟見捨て、弟が死もしくは堕ちて、兄絶望みたいな展開も見てみたかったです(超個人的性癖)

1

みなみなさま似たようなことを言ってますが、BL作品かというと疑問があるが、紛れもなくトジツキハジメ作品ではありました。
男が男にでかい感情を持つところにBLは存在するのだと思えばこれはBL。品川さんは男である方が作品全体に漂うBL感は増したであろうところ、そうなっていないのはやはり世界は弟と兄のためにあるからなのか。
個人的には兄は徹底的に光の人で、鈍感も鈍感で、陽の気をまとい、のらりくらりと大往生を遂げていただきたいが、彼らのいく末やいかに。
BL作品を読んで得るような萌こそなかれ、違った味わいを楽しめました。

1

兄弟BL?ホラーBL?

首筋がゾワッとするような、とても不思議な感覚で物語が進んでいきます。

偏食な主人公、桂の満たされない欲望。その欲望はどうやら遺伝していると桂が気付いてから、ズブズブと沼にハマるように謎の闇に沈んでいきます。シャープな絵柄と画面のコントラストが夏を感じさせるようで、陰影のくっきりさがますます謎の闇を際立たせていますね。
エロらしいエロはありませんが、妖しい雰囲気が常に漂っていて、寒気のようなゾクゾク感を味わえました。

さて、ネタバレに言及して。

BLとしては桂と兄である栖の関係性ということになるのでしょう。これが恋愛感情なのかは微妙です。食肉の欲求を最初に感じた相手であり、独占欲での束縛にも思えます。兄への食的欲求が性的興奮にも繋がっているようですが、結局兄を性的に求めることはしなかったんですよね。あのまま共依存へと発展して、舐めたり噛んだりしながらの禁断背徳アブノーマルエッチも見たかったなぁ。

桂の兄への執着心や彼女の引き剥がし方など、コイツやべぇな、ってシーンがすごく良かったです。このヤバさを知らずに兄は弟に絡めとられていくのでしょう。気付いたときには二人とも沼に沈んでいるのです。そういうの好き~。

曾祖父のきっかけや人影の謎など、謎のまま終わっているものがあり、このお話がミステリーとして描かれたものではないということがわかります。桂のさっぱりした性格もあって、そこにこだわる必要性もなく、読者としても別に謎のままでいいかな、って思える不思議。サイコホラーにも思える作品でした。

ところで、トジツキハジメ作品、すっごく久しぶりに読みました。私は初期の頃の作品が好きで、特に絵柄も大好きだったので、青年誌向けに絵柄が変わった辺りから読まなくなってしまいました。今回、試し読みではまたかなりシャープになっていたので、いけるかな?と思って購入。久しぶりに読んで、やっぱり見せ方や雰囲気が好きだなーと思いました。行間というか、間のある作品が好きなんですよねー。

次はトジツキ先生のBLらしいBL作品を読みたいなと思いました。

0

まさしく、偽りなし

食人欲に苛まれている大学生の弟・桂(けい)と、母親と年の離れた弟が大切な、外交的で爽やかイケメンのサラリーマンの兄・栖(さい)の、血に翻弄されたガチ兄弟の共依存ストーリーです。
参考までに書くと、自傷他傷、手首を切っての流血、皿にある血をスープのように飲んだり、キーキャラクターの女性が死んでしまったり(自殺)します。

「人を食べたくなる」感覚から逃れるために、菜食&菓子パンを食べている桂。実は桂だけではなく、父も祖父も同じ症状に苦しめられていたが、栖には兆候はみられなかった。そしてとある事件を切欠に桂からのカミングアウトを聞いた栖は、弟のために自分が何がどこまでできるかを模索するようになって…という感じなのですが。

最初、表紙とジャンルを見てファンタジーじゃないカニバリズム…?食欲と性欲的なお話なのか?とか色々考えました。そして実際読んでみた結果ですが。私的には最高でした。方向性としては、メリバなのかもしれません。ですが、ラストだけでその後の妄想と考察がはかどることはかどること。あれってもしかしてそうだったの?これってもしかして…? これからもしかして…!が止まらなくなっちゃって、また始めから読み返してしまいました。

数々の謎が描写されていますが、作品上では明確な答えは載ってはいません。が、投げっぱなしでもなく、もしかしたらこうかもね的な判断材料はあるように感じました。

この二人の関係には、恋人、好き、愛してるというようなベクトルではない、嫉妬と羨望、執着心と庇護欲、依存心と諦念感、享受心や順応力、孤独感と飢餓感、などなど、掛け合わせたら物凄く薄暗くなるような感情がひしひしと感じられて、本当にゾクゾクしましたね。ジワジワきます。 そして、ラストですよ。 あぁ、やっちまったんだな、と。

エロいシーンは桂の自慰描写が2か所さらっとあっただけですが、このどうしようもなく、いかんともしがたい感情のやり取りを読めて良かったと思います。

余談ですが、ダブルスーサイドという単語は聞いたことがあったけれど意味を知らなかったので、この期に調べてみたんです。

…タイトルって、やっぱりすごいなと思いましたね。

3

安心したものの

なかなか電子書籍化されてこなかった作家様の作品群。BL作品は全て紙で所有しているので今回ももちろん紙で購入したけれど、もうBLは描いていないんじゃないかと思っていました。嬉しかったし驚きました。

相変わらず匂っている作風で、作者様の死生観がテーマに組み込まれているところはなんとなく安心した感じも。さりげなくオシャレなイメージもやっぱり好みで、でも、なんとなく物足りない…っていうのが一読した感想でした。

タイトルに掛けたテーマの闇深さも、兄弟間のエロティシズムを孕んだ関係性も、一見普通の家族に潜む禍々しい秘密も、ちゃんと読み取れる。まずそこがすごい。カメラワークのようなコマ運びは映画的だし、ページに白い部分が多いのも、読者の想像力を載せる余白としてうまく働いている。

ストーリーに自ら積極性に関わろうとする読み手には面白いかもしれない一方、画力によって受け身で読んでいると、?だらけかも。もとはマンガではなく文章で表現しようとしていた作者が、今作で言葉少なに伝えようとしているものは何なのか…わたしには難しすぎました。

作者の作風が好きで、エロを主眼に置かないBLの方こそ謎のありがたみがあるんではないかと考えていた過去もあったけど、何周かしてしまったのか笑、本作ではもっと兄弟間エロスを感じたかったかもしれないです。

それから、自殺に全く美学を感じられなくなってしまったので、フィクションで描かれたとしても(わたしには)生き死にの説得力が薄れてしまっているというのもあります…。

今後も作者様にはBLを描き続けて欲しいと強く願っていますし、追っかけ続けるつもりです。

2

「なるほどね」と思ったのはあとがきでだった

もう タイトル買いに決まってるじゃないですかぁ ←なのに積んでたw
病みしか感じなかったんですよね そのタイトルに

【合意心中】【 心中自殺】

しかも帯には「兄貴を、食べたい。」

カニバみたいな帯なのに カニバじゃなかった

別にがっかりしたわけではないのだけれど ←実はがっかり
基本節操なし エロもグロもオールオッケー
なので帯で期待値あげることもしばしば

で この「食べたい」が肉欲(性欲)的なものに感じられなかったのは自殺や心中の入った あのタイトルだったからかな? もうカニバリズム読む気満々だったわけです


欲求を満たすというより 記憶にこびりついたものを知るために血をみたかった ただそれだけ

なのに 彼氏の死から自傷行為に走った同級生を知ったことに端を発し 事態は急加速

血の味ってみんな案外知ってて ただその味を何を見て口の中に再生するかってところまではわかるんだが その想像した口の中を食べたいって思うのがどうにも

直に血を飲むの思考に至ってないからの発想なのかもしれないけど 貧血の人間がガリガリ氷を食べたくなったり 砂を口一杯頬張ってジャリジャリ食べたいっていう 所謂『氷食症』とは違う何かの記憶に操られてるってのが



彼女の血をみた瞬間思い出した血の味 衝動的に目の前の血を舐め気づく

幼い頃のストレスフルな事象から菜食主義者にならざるを得なかったのかと思えば 人肉を喰らった祖先の記憶の遺伝だと?


う~~~~~~ん
うーーーーーーん

お話にムリがありすぎたな

単なる血を飲みたい(ヘマトフィリア)だとか 人肉を喰ってみたい(カニバリズム)的な
個人の欲求だけなら悪くなかったんだけど なぜ父親・祖父を巻き込んでオカルトホラー風にした?

そんなよくわからないもの投入してかき混ぜるもんだから せっかくの兄への強い欲や執着が[兄じゃなくてもよかったんじゃない?]って?

兄だけが知らない飢え
当てどころのない怒りが兄に向けられる
知らされた事実に兄も病んでいく なぜ自分だけ違う?


異常性癖の話だし好き嫌いは分かれるんだろうけど 設定1つで萌え削がれるとは思わなかったし 結局 心中はなんだったの?と

んーーー 悪くないんだけど
いっそ 先祖に食われたモノからの呪いとかにしてくれりゃ 大好きなオカルトで萌え散らかせたのかもしれないんだけどな

ごめんなさい それこそ自分の至ら性癖のせいだわ ほんと残念…………

と思ったら

なるほどね 
はじめましてかと思ったけど あの作者さんだったか
あとがきの そのキャラで気づいたわ

1

女子の描写は好きだった

 掴みは面白くて、ここからどういう風に物語が展開していくんだろうとわくわくしながら読み進めました。結論からいうと、この作品に萌えや愛をあまり感じることができなかったかなと思います。終始淡々とした雰囲気を貫いていたことは気になりません。キスやセックスの描写がないことも。ただ、桂が栖に向ける感情が私には理解しきれませんでした。

 愛の薄い執着だけでも萌えた作品は多々あったけれど、この作品ではその執着心も根拠がふわっと曖昧な気がして。栖にのみ執着するのは分かったけれど、なぜ栖なのか? 5才の時に見た光景が別の人だったらまた違ったのか。栖も桂を受け入れることになぜここまで抵抗がないのか。単に母子家庭というだけでは理由として薄いような。理由に納得できたとしても、血を通じて繋がる関係を果たして楽しめたかも微妙かも。この2人に萌える要素を見出せられませんでした。

1

何を読んだのだろう

結構軽い気持ちで読み始めたのですが、読後の衝撃が凄まじく、これはよく考えてから読むべき作品だと思いました。

恋愛をしていないので、厳密にいえばBLではないと思います。
でも完全には否定できず...
弟から兄への執着は、血が目的だとしても度が過ぎて、別の感情が含まれているようにも思えました。

過程がきつくて、ここから幸せに向かうのかと思えばそうではない。
どこにも救いがなくて、でも悲しいバッドエンドには感じません。

薄暗い展開に慣れてきたところで、どうなるのだろうと読めば、まさかの展開に。
その後がいくらでも想像できる、余韻を残す作品でした。

3

読むかどうか調べて考えて決めるべき本

読み終わって私は今何を読んだんだと思わせる力を持つ作家様だと思ってはおりましたが
今作は特に人を選ぶ作品です

BLとは何か

男が希求せずにはいられない相手が男ならBLと呼ぶならこの本はまさにそうだろう

弟は兄しか欲していない
それも細胞のレベルで求めてるのだ

多分アジアの南国戦場で曽祖父が経験した余りに強い記憶がDNAも書き換えたんだろう
この家族のもしかして男にしか現れない強い欲求
人間の3大欲求の筆頭である食欲
しかも強い飢餓感を伴い長い間放置されたままのその欲望を前にすれば性別や家族は関係ないだろう
祖父は別だが
父の事を考えるともしかして家族がトリガーかもしれないという考えが脳裏がよぎった

君を食べてしまいたい

愛を表現する慣用句にもなっている言葉の裏に濃厚な独占欲と所有欲が見え隠れするが
人は遠い過去濃厚な体験でDNAを書き換えた末裔なのかもしれないなんてことさえ考えさせられた

そして一見穏やかに物語が終わる
兄はあれからどうなるのか
変わるのか
それとも?
読んでてブルリと背中が震え
正直ここで終わってほっとしてしまった
この家の扉を閉めることができてよかったと思ったのだ
そして又震えた
そう考えさせる事こそ作者の狙いなのではないかと思ったのだ
ここで終わらせる事に
兄弟という閉じられた関係を選んだ事に
作者の恐ろしさに体の芯が震えた


このお話はサイコスリラーか濃厚なBLか
きっと多分両方だと思う


文句なく神作品と思うが読むかどうかきちんと考えて読むべき本だと思う

夏の熱い夜に読むと冷えます

4

すごい…

小説読んでるような感覚になりました。
ホラーのような、喪失感もあって、飢餓、も。

BLっていう感じしないです。

主人公は大学生。これといった覚えはないけれど、肉が食べられなくて菓子パンなどの甘いものを食べています。大量に。

大学にリスカ癖のある同級生がいて、血に反応したことをきっかけに交流がはじまります。
目の前でリスカしてもらい、衝動的に血をなめます。
この時点でおわかりになるかたで、苦手な方がいたら読むのをやめたほうがいいです。

主人公は自分のルーツを考えます。父親は自殺しているが肉を食べなかった食生活。祖父に噺をききにいったところ祖父も同じでした。

祖父の父親、主人公からしたひいおじいさんにキッカケがあることがわかります。
戦争。南国。飢餓があったでしょう…
そこで何をしたか、なぜ人を食べたいと思うのかがはっきりとではないですが、わかります。
もう、映画です。

父親が自殺した原因も絶望感を想像すると、どうしようもなかったものかと考えさせられます。

呪いなのか、呪いは遺伝するのか、
明かされないままです。全てをはっきりさせたい、BLらしく、というのが好みの方はおすすめしません。
絵柄は青年漫画のような線がはっきりしていて、固いです。好みわかれると思います。女性があまりうまくないです。性別どっち?ってなります。

それを気にしなくなるほどの内容です。
依存、とか欲望とかよりももう1段階深くて、じっとりと巻きつくような感じです。
真夏にいいですね。

これ、続かないですよね…。終わりどころにホッとしています。

0

異色の兄弟執着モノ

こ、これは…
えらい問題作ですね。。
帯の「兄貴を食べたい」も衝撃的ですが
衝撃の展開でした。
BL?BLといえば兄弟の執着モノですが
OPERAとかでやりそうな雰囲気でもありますが
神とか萌えとかどう評価をつけたらいいのか難しいですね。
ですが確かに面白い作品です。とても。
人は選ぶと思いますが極上だと思います。
ざわざわしてぞっとする
オカルト?なんだろとにかく他にない感じです。。
余韻もすごいし私は好きでした。
お兄さんを一時は手に入れたけど
バッドエンドしかないような結末。
メリバなのかな
殺人衝動ではないんだけど食べたいって
兄も付き合ってあげてるけど
こんな事は続けられるのか
そのうち殺しちゃうのかなとか色々…
トジツキ先生を読むのはお初だったのですが
1話だけ単話で読んで引き込まれ
絶対紙で欲しいと思いました。
祖父の戦争時肉を食べた記憶、嗜好が遺伝していく…
そゆこと??
そして品川さん…
3話でえー?!死んだんかいってだいぶショックでした。
血のスープ、だめな人にはだめでしょうね?
異常ですもん。
なるべくネタバレなしで読んだ方がいいと思いながら
兄が彼女と別れる結末はレビューで薄目で見てしまったんですが
いや、そうするしかないよねっていう
恋人にも言えないし
そんなまさかっていう。
にやりする桂。サイコですな。
double suicideって調べたら心中って意味みたいで
タイトルの意味を知ってまた
わーお…って思ってしまいました。
桂が大人になって我慢して生きるのか
破綻が来て心中するのか、、
お兄さんにかかっている?
また読み返してきます。。

4

読後にタイトルを見て総毛立つ

分かりやすいキュンはないけどめちゃくちゃ面白い!っていう漫画でした。サイコスリラーみたいに心理的恐怖をあおってきます。飲血がダメな方にはおすすめできません。
BL的カプはガチ兄弟の栖と桂。主人公は桂で、静かな狂気を秘めながら栖に執着してます。栖は恐ろしいほど健全。彼女がいて常識を持ち合わせていて、家族思いで何も知らない。オカシイのは明らかに桂の方なんですが、栖の方が見ていて不安が募りました。
転機は品川の事件で、動揺した桂の元に駆け付けた栖が、スプーンを移動させるシーンが妙に心に引っ掛かります。この時点でははっきり分かってなかったのに、栖は意識的に不利な証拠を隠して弟を守ったような?そういう人間が桂を理解しようと踏み出したらどうなる?と考えると怖くてたまりません。
ラストに向かってその思いは加速していき、二人(と正体不明の影)の世界に閉じこもってしまったような彼らに、読者の私も切り離された感覚になりました。背の高い木々に囲まれた家の描写がまた雰囲気出してきてすごいです。
曖昧な終わり方で、これは一体何だったんだろう…と思いながらタイトルを見ると、最高にゾワっ!とします。総毛立つってこんな感じ?ってなりました。栖への気持ちはまだ子供の執着や依存に近い桂ですが、その精神から未熟さが消えたときにどうなるのか、二人の行く末がとても気になります。

5

sooner or later

BL以外でも通用する内容です。

大まかにはタイトルから予想できる内容ですが、読んでいる最中も読後感もゾワゾワする感覚。

「もうどうでもいいや」というモノローグと予感のはかどる絵で終わるところがなんとも言えない読後感。

単話の感想にも書いたけどCoCに似ている気がします。

ああいうのがお好きならぜひどうぞ。

個人的には「どうでもよくないぞ!!!」とお兄ちゃんが頑張るルート希望でしたw

細かい内容としては

品川さんと桂の言ってること(治ってしまうから腹が立つ)は割りとリアルなんじゃないかな。

品川さんは重要なキーパーソンで彼女の気持ちを考えると気の毒なような、良かったねというべきかわからない気持ちになります。
(品川さんは桂を好きになりかけていたように感じる私は少数派なのでしょうが)

栖の恋路をものすごく遠回しに妨害する桂は気持ち悪いですw
こんな弟嫌だw

こんな感じにすっごく解りにくい心の機微が描かれていて、それを筆が走ることもなく淡々と描くところとか本当に好きです。

評価は神ですけど、内容も作風も人を選びますのでお気をつけください。

1

難解かも。ゾクっとします

トジツキハジメ先生の新作だ…
もうBL描いてくださらない?と思ってたので嬉しい。
…と思って読んでみたら。
どうも普通のBLじゃない。
非常にミステリアスで、奇妙で、恐ろしくて、かなり?ホラーっぽい。
心がザワつくストーリーだった。

主人公は大学生の桂(けい)。
ベジタリアン。と言いつつ菓子パンばっかり食べてる。
なぜ肉を食べないのか。
それは。
血の味を妄想で思い出すから…
兄・栖(さい)が缶切りで指を切った記憶。栖ちゃんの血が忘れられない…

桂が血に何かを感じていることに気付く女子学生・品川。彼女はリストカット常習者で、桂と品川は奇妙な関係に陥っていく。
品川が腕を切り、血を皿に溜め、桂がそれをスプーンで飲む…
なんともおぞましく、病的。
しかし描写は淡々として、桂も品川もそんな事何とも思ってないみたい。
だがある日。
そのいつもの「儀式」で、桂の部屋で品川が死んでしまう!

一体これは何の物語なんだろう?
桂は兄の栖に強く執着しているし、栖は桂の異常な要求をどうやら受け入れて。
そして、桂の衝動はどうやら遺伝らしい。やら。
桂が見る誰かの幻。やら。
結末は、これで終わりなのかどうかも曖昧。
続く描き下ろしもなんとも不思議な内容です。
「ダブル・スーサイド」ってこの物語の中で何を意味してるんだろう?
深読みを誘うが、どこまで読んでも謎だし、何よりこの兄弟はこの欲求と供給を日常にしていくことに決めたようだ。
でもそれは暗くも怖くもない淡々とした日常。もしかして2人して人間やめました、的な?
やっぱこわいかも。

3

BLという区分で収まらない

めちゃめちゃお久しぶりな気がするトジツキさんの新刊。トジツキ作品であること、そしてあらすじを拝見して、めちゃめちゃ面白そうやん…!と発売を心待ちにしていました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大学生の桂は偏食で食べられるものが限定的。食事を作らず食べず、菓子パンなどで空腹を満たしている。ベジタリアン、というわけではないが5歳ころから肉の類が食べられないのだ。一人暮らしをしているが、そんな彼の食生活を心配する母親から時々連絡があり、実家に帰って食事をしている。

母子家庭で育った桂だが、年の離れた兄・栖がいる。年が離れているからなのか?栖は弟を可愛がり、そして桂もまた、栖を慕っている。

ある日、大学で桂は一人の女子学生と知り合いになる。高校生の時に恋人を亡くし、そのショックからリスカをし続けているという品川さん。彼女の傷、もっと言うと血を流す姿を思い浮かべた桂は、経験したことのない衝撃に襲われ―。

というお話。

これはBLなんだろうか。
もっというと、恋愛ものなのだろうか。

そんな思いに、読後囚われました。
初めに書いてしまうと、濡れ場、はもちろんキスシーンすらありません。そして何より、今作品は「血」そして「人を食う」というものがずっと付き纏う作品です。好みが分かれる、というよりは苦手な方はとことん苦手な作品かと思います。

桂が偏食な理由、それはー。

その謎を追う形でストーリーは展開していきます。

個人的にはめっちゃドツボに突き刺さる作品でした。桂が、求めているのはたった一人。兄の栖だけなんです。でもそれは、いわゆる肉欲を含む恋愛感情というのとは一線を画しています。

帯にも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、栖を、食べてしまいたい。それは比喩的な意味ではなく、物理的な意味で。

トジツキさんらしい、ちょっと青年誌ぽい絵柄、っていうのかな。そういうものも相俟って、よりBLらしさは鳴りを潜めている感じ。オカルトな、あるいはホラーな側面も持ち合わせていると言ってもいいかも。

栖は、母を、そして弟を深く愛しています。それはもちろん家族愛として。そこに桂は付け込む。兄が自分を見捨てることができないことを知って、あえて。

共依存、なのかな。
私は、栖は、桂のすべてを受け入れようとしているのだと思いました。
そして桂は、栖のすべてが欲しい。
愛と言えば愛。でも不健全と言えば不健全。

甘々で、心が温かくなるような、そんなお話が読みたいときにはお勧めしません。流血、人の死といったダークな部分もがっつり描かれています。そういったものに耐性のない方には回れ右をお勧めしたい。

まるで1本の映画を見終わったような、そんな感じ。
お好きな方にはガッツリ嵌まるであろう、そんな退廃的な魅力を秘めた作品。

萌えとか恋とか、そんな半端なものではない。

相手を食らい尽くそうとする、壮絶な凶暴な愛が、今作品には描かれています。

8

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