イラスト付
あんたに関しては、俺は独占欲の塊だ
もう!もう!驚きと嬉しさで大興奮しました。
そんなオチが待っていたとは驚愕でした。
「共鳴発情 オメガバース」「共鳴劣情 オメガバース」「αの花嫁 ─共鳴恋情─」と同じ世界観だと上巻のレビューで書きましたが、最後の最後の思わぬ展開にビックリです。
上巻でミステリアスなゼロは一紗には自分の過去を話していましたが、それはゼロのほんの一部だったんです。
会員制サロンのキャストであるレムールとして一紗にアルファの太客がつくのですが、それをキッカケにゼロばかりか野良オメガのシェルターである「レア」の存続の危機にまで発展してしまうのです。
サロンではやる気の無いキャストであるクロウがその危機に立ち上がって、クロウが何者であるかが分かるとグッとお話が引き締まって面白くなりました。もうシリーズのオールスター大集合って感じでした。
個人的にはあの方がやっぱり良い人だと再確認しました。連載中の漫画がもっと楽しみになりました。
そしてあの方によってゼロと一紗は「魂のつがい」だとやっと判明してました。
ゼロと一紗が番になったと報告した時も「レア」のメンバーに暖かく迎えられて、「レア」を飛び出したリカオンの問題も綺麗に収まっていました。
それから一紗の両親にゼロが挨拶に行くと言ってたので、是非そのシーンも読みたいと思ってしまいました。野良オメガのシェルターという新しい展開にこのシリーズがグッと面白くなったので、是非これからもシリーズを続けて欲しいと思いました。
野良オメガの庇護者であるゼロのラウンジで、キャストとして働くようになった一紗。
真面目な一紗は、一般社会(ベータの社会)では普通でも、教育を受けない劣悪な環境で育った野良オメガから観たら、妬ましい存在。
ラウンジのキャスト、リカオンたちスラム育ちのオメガ三人組から執拗な虐めを受ける。
でもゼロに、出だししないで任せて欲しい、特別扱いをしないで、と断りを入れた所で、上巻は終わり。
下巻は、医師として培った経験を活かして、一紗がラウンジの中で生きる場所を作っていく様子が描かれている。
元々仕事以外の経験値が低い一紗は、恋愛も超下手くそ。
ゼロの好意を無碍にする、傷つける断り方をしていることに気付かない。
ゼロもトラウマ持ちなので、愛情カウンセリングが必要なのに、気の毒。
共鳴オメガの設定無しで、隠れオメガの主人公の物語であっても面白かったかもしれない。
・・と内心思いながら読み進むと、須藤家3男の登場が有って「兄さん!」と呟く場面。
伏線回収の場面まできたら、そうなのか、と帰着に納得。
※首藤家は、アルファ至上主義ではなかった、次男の母親はオメガ。
優しくて苦労性の長男・圭騎さんの運命の番=高校生のオメガ・理玖君が、(アルファの花嫁)で正式に婚姻入籍する可能性を知り、読んだ甲斐がありました。
長男以外、次男、三男の運命の番=Ωが年上というのも、面白い設定。
『Ωがキャストを務める会員制のラウンジ-Ωだけどエッチ系のサービスはなし』というのは、古の腐女子の姐さま方の夢の職場なんじゃないかと思ったりしたんだけど違うかな?
この職場模様が楽しい楽しい。
一生懸命働いて自立しようとする遠峰を好ましく思いつつ、自分以外に尽くそうとすることに不快感を表すゼロ……あたし、こういうの今まで何度も何度も読みましたっ!
あ、誤解されると困るのですが、ディスっている訳じゃないんですよ。
このお話、腐女子が安心して遊べる『夢の国』になっていることを言いたいだけなんです。
流石、ベテラン作家さんだよね。
遠峰やゼロにどんな危機が訪れようとも、安心して読める。
受けの危機は間一髪のところで颯爽と現れた攻めによって回避されるし、攻めの絶体絶命を健気な受けが機転を利かせて救う。←ここで今までのお話と何をもって繋がっているかが解ります。うん、そこに行く前に予測できちゃうんですけれどもね。
その「予測できちゃう」という所も含めて、もう、すごく安心して読める。
ただちょっとだけ思ったのは「私は面白いけど、ちょっとばかり懐古趣味っぽくない?」ってこと。
いや、むしろ「いまこそ」なのかしらね。
「共鳴発情 オメガバース」「共鳴劣情 オメガバース」と、コミカライズされた「αの花嫁 ─共鳴恋情─」の首藤兄弟のシリーズです。
今作は首藤兄弟の2番目がメインカプのひとりです。
兄弟ですが、母親が違って幼い頃から首藤家から離れて暮らしているので、αの名家やアルファ至上主義者などが出てきません。
その分、ファンタジー色が薄く、現実的で読みやすかったです。
受けの一紗は、女性にモテないし恋愛に時間をかけられなかったので経験がないβとして生きてきたβの整形外科医。30歳にして「隠れΩ」と判明。
攻めのゼロは褐色の肌をした謎の多い野良Ωの保護をしている「夜の帝王」。
触れただけで共鳴し合う「魂の番」だけど、ふたりとも理解していません。
互いに気になるのに、自分の気持ちも状況も理解できずにいるので、なかなか恋愛に発展しません。
誰にも言えないことを話したり、嫉妬したりしているのに。
ふたりの仲を嫉妬して嫌がらせをするΩや、無理やり番にしようとするαなどが出てきますが、そんな当て馬によってふたりの仲は深くなっていきます。
このシリーズはクラッシックオメガバースっぽくて、ファンタジー過ぎると言うか、あまりにも現実離れしすぎていたのですが、この作品は一般的なふたりのオメガバっぽくてわたしは大好きです。
でも、もっとラグジュアリーなαとΩの恋愛物語を読みたい方には物足りないかもしれませんね。
上巻がすごく染みたので、めちゃくちゃ楽しみにしていた下巻。
うーんんん、ちょっと萌えきれず終わってしまいました。
「もう特別扱いしないで」と宣言し、ゼロとの距離ができたことで寂しくなる一紗。
交流が少なくなる中での他の男登場や一紗が綺麗になっていくことで、ゼロの嫉妬や独占欲が垣間見えてニヨニヨして読みました。
ところが、ゼロが警察に連れて行かれるという急展開。
なんとかなるだろうと思ってたらどんどん悪化する事態。
と、そこに天音が出てきてホッコリ。第三者目線(一紗)で見る天音、柄悪いけどw根っこの優しさが見えて素敵キャラでした!
あと、クロウってそう言えばあのクロウか…!とここでやっと気がつきました。自分鈍すぎた笑
そしてそうか、この展開に持って行きたかったのね…。
私は遅くに読んだので、首藤家三兄弟と最初から知っていたのですが、
リアルタイムで読んでいたら実はゼロが首藤家の次男でαで…というのがここで衝撃的に明かされたわけですね;(というのを皆さんのレビューで気付く)
三兄弟そろい踏み、華やかで気高くて良かったです。こうやってオールスター揃う感じは岩本作品お馴染みですね!
ゼロも無事に兄弟と繋がりが復活して良かった良かった。
ただ、ここからが個人的なんだかなぁ~~部分で…
まずゼロがαって何で今まで疑問に思わなかった???
そこから急に「αは特別」扱いし出したのが違和感ありまくりでしたし、2人が思いを通じ合わせてからのエッチも、αはΩにそんなこと(フェラ)しなくていいのに…とかαなのに…といった描写が多くて辟易。
魂の番だから惹かれるんだという嬉しそうなゼロも、魂の番だからが強調されてるようで何だかなって思ってしまったし…
大事なシーンで一気に盛り下がってしまいました。
ゼロ好きだったので萌えきれなかったのが無念です。
最後は大団円なので読後感は良かったです。
表紙のΩバージョンの一紗が美しくて、よーく下の方を見るとめちゃくちゃエロくてドキリとしたので評価一つ上げました。