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余命半年の僕と千年の恋人

yomei hantosi no boku to sennen no koibito

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表題作余命半年の僕と千年の恋人

クライヴ・ランバード,新進気鋭の指揮者
ユイ,病院のリネン室で働く青年,18歳

同時収録作品余命半年の僕と千年の恋人

クライヴ,幽閉されている薄幸の王子
ユイ,耳が聞こえないドルイド一族の青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ぼくの命をあなたにあげる

生まれながらに人を癒す力を持つ巫女の末裔・ユイ。その能力ゆえ長生きできない運命を受け入れ初恋の相手で、あこがれの指揮者・クライヴをひっそりと応援することを唯一の生きる支えにしていた。
実は彼は、前世でユイの巫女の力のせいで結ばれなかった恋の相手だった。前世を知らないまま出会ったふたりは、今世でも強烈に惹かれあう。
クライヴは、ユイを幸せにしようと溺愛する。けれどユイに残された時間が少なくて……。ドラマティックにくり返される輪廻の恋。時空を超えた彼の祈りは叶うのか――。

作品情報

作品名
余命半年の僕と千年の恋人
著者
華藤えれな 
イラスト
氷堂れん 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784773063301
3.6

(29)

(8)

萌々

(5)

(13)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
102
評価数
29
平均
3.6 / 5
神率
27.6%

レビュー投稿数7

浅いというか名前だけというか

自身の寿命と引き換えに他人の怪我や病気を治せる「癒やしの力」をもつユイは、その遺伝性の能力ゆえに幼い頃から母親に利用されてきた。元よりその能力を持つ者は長く生きられないとされ、18歳であるユイも余命半年と宣告されている。
現在は指揮者として活躍しているクライヴのコンサートを配信で見るのがユイのただ一つの楽しみだった。クライヴはかつて駆け落ちをして引き裂かれた、初恋の相手だった。
だがあるとき偶然再会したものの、クライヴはユイを覚えていなかった。というところから始まります。


アイルランドが舞台です。
ケルト十字の墓地、古城の跡、断崖、クローバー、クラダリング、アイリッシュシチュー、ギネスビール、地名もダブリンのほか、アラン島、ゴールウェイ等、アイルランドらしいものが満載です。
そして、年代記にも記されていたという千年前の出来事。二人の恋人が繰り返す輪廻転生。
癒やしの力に記憶障害に、オーケストラに、と様々な事柄が盛りだくさん。
正直な感想を述べると、非常に残念でした。
前述の多くのキーワードはラベルの意味しか持たず、ストーリーの都合のいい展開すらも表面的、キャラクターの気持ちにも寄り添えなかったです。
たとえば、彼に会ってはいけないから配信で姿を見ることが唯一の楽しみ、と言っていたのに、次の場面で早々に会い、すれ違ったままにせずに後を追って結構な量の会話を交わし、彼の近況も知り自分のことも伝える。会ってはいけないんじゃなかったの?と首を傾げてる間に、すぐにまた会う、といった風です。ちょっとは耐えてもいいのでは。(運命なのは分かりますが)
いま出てきた設定がすぐに覆ったり、障害となっていた人が簡単に姿を消したり、この繰り返しが苦痛でした。文章は読みやすいのに残念でした。
入院していたのにレストランのフルコースとか、クラシックコンサート会場でボックス席とはいえ演奏中にごそごそ荷物を取り出したり私語を交わしたりとか。そういうのも疑問しか抱けませんでした。

0

うーむもりもりすぎて…

切ないお話を読みたいなぁと思う時に華藤先生を選ぶのですが今回はもりもりすぎていまいちよくわからない部分が多々あり少し残念でした。






物語のあらすじでは無いですがつまりはこういうことだと思う。
過去の因縁で何度も転生する2つの魂があります。
一つの魂にはケルトの民で癒しの力があるがその力は自らの寿命を使うもの。もう一つの魂はケルトの彼にその力を使うことで寿命を縮めてもらいたくなくて、その癒しの力を受け入れたくないと拒絶する。
愛の交換がうまくできずお互いに憎みながらその短い生を終えると言うことを、攻めの王子様の魂は何代も同じ貴族の家に生まれ、ケルトの民はその貴族の領地に生まれ出会うを繰り返している(っぽい)。
それぞれがそれぞれの愛の形であるんだがうまく結ばれないためにきっと何代もうまくいかなかった(んだと思う)。
1000年の時を越えて現在の転生された2人がまた出会う。
業に絡めとられた2人は同じ轍を踏みそうになるが…。
そんな2人が紆余曲折を経て一旦別れ、再会し、再び妨害にあったり、また同じようにうけちゃんは攻め君に命を捧げようとするけど、運命の輪からなんとか一歩踏み出して行く。

そして今回面白いなぁと思ったのが、タイムパラドックスを使った輪廻転生モノだった事。
現世でお互いの愛の形をわかりあえて新たな愛を形に進もうとしたことでその意識が1000年前の彼らに飛ぶ。そこで1000年前の彼らもわかりあえて新たな人生を進んで行く。
そして1000年前の彼らが変わったとこで現在の彼らも変わる。


と言う事でいいんでしょうけども、さらっと読もうと思うとちょっとわかりづらく、何回か数ページ戻ると言うことを繰り返しました。
もう少しそこら辺をわかりやすく書いていただけるとよかったかなと思います。

とりあえず最初の状況の身分差があり、能力によって寿命を終えてしまうと言う悲しい運命を抱えていて早世してしまう、しかもとても貧しい受けちゃんは不憫で、不憫受けちゃんが大好きなので堪能させていただきました(我ながらひどいことを書いているなと思いますけど)
受けちゃんの切ない状況にハラハラして、攻めくんが受けちゃんをとても愛しているのがわかるのに届かない愛が悲しいなと思ってしまう。
こういう状況ほんとに先生はお上手です。
しかも今回は受けちゃんの能力のために攻めは記憶喪失になってしまう。いろんな意味で業が重なりもりもりです。

お互いが自分のできる方法で相手に愛を捧げたいと思うけどそれは一方的な行為なのだという事でしょうね。攻めがそれを受けちゃんによく伝えてあげて、二人のだけでなく2つの魂の運命が変わる。
と言うことかなぁと思いました。

ただ前述もいたしましたがちょっともりもりすぎてこのページ数だと少しわかりづらかったかな。
現世の貧しくてもたったひとつの喜びを胸に必死に生きていくところの描写はほんとにお上手だなと思いますので少し残念でした。

0

与えるだけじゃなく、一緒に幸せに。

余命半年っていう題名から、切ないきゅんを想像して手に取りました。


受け様は、病院のリネン室で働くユイ。
他人の傷を癒やすことができる『身代わりの癒しの力』を持つ。

攻め様は、新進気鋭の若手指揮者クライブ。


ユイは切り詰めた生活の中で、給料日にクライブが指揮する演奏を、配信で見るのが唯一の楽しみ。
まさに薄幸と言っていい、傍から見たら不憫なんたけど、本人は十分幸せっていう健気な子。

2人は、昔一緒に過ごし、駆け落ちまでしたのだけど、事故にあい、クライブの怪我を治すため、ユイは『身代わりの癒やしの力』を使い、その後クライブは全ての記憶をなくしてしまう。

そんな2人が病院で再会する。
余命半年だと宣告されたユイは、クライブが聴力を失う状態であることを知り、自分の余命をつかってなんとかクライブを治したいと願う。

余命半年のユイが、クライブとどう幸せになっていくのか、ドキドキしながら読ませて頂きました。
2人が劇場で一緒に過ごすシーンは好きだなぁ(#^^#)
クライブへの愛を、やっと受けとってもらうことができたユイ、よかったねぇ(*´ω`*)
でも、クライブの愛は受け取るだけじゃなかった。
ユイにも愛が届いて本当によかった。

千年前から続く輪廻の中で、結ばれなかった2人。
夢の中で、千年前の始まりの2人が出てきますけど、うーん、もうちょっと詳しく欲しかったなぁ(´д`)
始まりの2人の恋の様子や、繰り返される悲恋の2人の欠片とか、もっとあれば、より応援できたし盛り上がれたなぁ、なんて感じました。





0

また検索してしまいました

華藤えれな先生の書かれる世界観が好きで、新刊が発売される度に購入しています。
今回はアイルランドが舞台で、またまたそこにいるような風景描写も含めて楽しむことが出来ました。

ユイとクライヴの母親なんですが、どちらもそれぞれ酷いと思いながら読んでいました。
でも最後に救いが残されていて、読後感がとても良かったのは華藤先生のお人柄だと思いました。

ネタバレ無しで読んで欲しいので詳しいことは書きませんが、華藤先生の作品には美味しそうな食べ物が登場してそれが毎回象徴的な役目を果たすんですよね。

今回もイギリスのとあるケーキが登場するのですが、何処かで買えないかと検索してしまいました。www
ただ販売サイトではホールしか無かったので断念しましたけど…。

今作はあらすじにもある通りユイとクライヴの前世にもページを割いているので、ちょっと駆け足過ぎた感も否めませんでした。この内容ならもっとページを増やして掘り下げて欲しかったと思います。

ユイの無垢さとクライヴの一途さに萌えることは間違いないと思います。

1

運命改変ラブストーリー

クロスノベルスさん刊行の新作。タイトル買いです。電子版が配信されましたが紙版で購入しました。クロスノベルスは製本その他お金かけてくれている資金潤沢なイメージ笑

今回は輪廻転生もののようですが、パラレルワールド的な感覚で拝読しました。もともとがシリアスでドラマチックな作風なので、テーマの重さを回避すべく腐心されたのかな?という印象もアリ。読みやすいけれど、全体的に駆け足気味でもうちょっと粘って読み切りたかったかも。

お話の舞台はアイルランドで、カップリングは攻めのクライヴがアイルランド人貴族、受けのユイは父親が日本人で母親がケルト系民族の血を引く家系。彼は母方の血による強い支配を受けています。ユイに日本人の血が流れているところが作者様のこだわりという感じがして、地味に好きなポイントです。

主人公のユイは男子が早世する家系に生まれたため、母親から誰かを愛し、愛し合うことを禁じられて育ちました。けれどそれは彼が代々受け継いだ能力を利用するための口実でした。

ユイには大好きで大切な人がいましたが、その相手は事故に遭ったために記憶がありません。二人が義理の兄弟のような複雑な関係にあったことも、ずっと一緒にいることを約束したことも覚えていない。そうなってしまった原因は、実は現在からずっとずっと時を遡り、ある王子とドルイドの巫女との間に起きた愛ゆえの悲劇によるものでした——

…というストーリー展開なのですが、二人は夢の中で自分たちの過去世を何度も目撃し、目覚めては忘れを繰り返して現世でついに気付きを得ます。相手を生かすために我が身を犠牲にすることはもうやめよう、と。

シンプルでとても深いメッセージが込められていてズンと胸にくるのですが、より重さが加わるのは、メインカプとそれぞれの母親たちとの関係性が絡んでくるところです。彼らの母親はとてもわかりやすく露悪的に描かれており、どちらも今でいう毒親といわれるタイプなのかもしれません。

作者様の無垢な受け像が非常に好みで、今作のユイも読んでいて癒されました。彼は自分の母親もクライヴの母親も憎まずに彼女たちに寄り添います。二人に利用され、罵られ、好きな人と引き離されても、です。ユイは健気なだけじゃなくて、自分以外の人のために動く慈悲の塊、聖母系の要素も備わっていて我がない。そこがとても癒されるんです、現実にはなかなかいないタイプだから笑

エンディングはやっと二人が結ばれる修正版を拝むことができそうで、ホッと一息つくことができるかな。そこにたどり着くまでに二人は何回バッドエンドを迎えたのだろう…。

ケルトといえば、美しい歌声を聴かせてくれる音楽で馴染みがありますが、主人公にもその才能が託されています。悲恋を繰り返す二人が、その歌声によって導かれていくさまも運命的。クラシック音楽や郷土料理に彩られた今作も作者様ならではの味わいでした。

イラストご担当の氷堂れんさんは初めてお見掛けしました。中のイラストは可愛らしい雰囲気で、カバーの大人っぽい二人とのギャップが楽しめます。

4

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