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囚われのオメガ王子と恋の奴隷

toraware no omega ouji to koi no dorei

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表題作囚われのオメガ王子と恋の奴隷

アラリック・レクトゥール,25歳,ダウラート国王の側近で軍人,アルファ
リンツェット・エーレンベルク,24歳,フォンター公国第一王子でダウラートの人質となる,オメガ

同時収録作品恋の奴隷がまたひとり

ロラン・アルバロット,24歳,ダウラート国王,アルファ
キリル・レアンドール,16歳,コルトー公国第二王子,オメガ

あらすじ

フォンター王国第一王子のリンツェットは、目が合うだけで死を招くと言い伝えのある"片青眼"のせいで、離宮に幽閉されて育った。孤独な生活の中、唯一慕ってくれる義弟の手紙だけが心の支えだったが、24歳のある日、突然人質として大国のダウラートに送られることとなる。行かせまいとする義弟の前でオメガの発情期が始まってしまい、襲われかけたところを助けてくれたのはダウラートの軍人アラリックで・・・!?

作品情報

作品名
囚われのオメガ王子と恋の奴隷
著者
小林典雅 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525490
4.2

(65)

(31)

萌々

(24)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
13
得点
274
評価数
65
平均
4.2 / 5
神率
47.7%

レビュー投稿数13

変な歌を即興で作る優男攻めに笑えるオメガバ

スピンオフ作品とは知らずに読んでしまいましたが、スピン元未読でも十分楽しめました。

でも皆様のレビューを見ていると、知っていた方がより楽しめそうな感じなので順番逆になりますが、スピン元もこれから読んでみようと思います。

あらすじなどは他の方が丁寧に書いてくださっているので、感想のみを。

すごく面白かったんですが、前半にかなりページを割かれて書かれている(という印象の)義弟ゲルハルトが個人的に好きでして…

ヒート時に襲いかかるのは許されないことですけど(BL界ではままあることとはいえ)、彼が8歳の時に初めて義兄に会い、一瞬で恋に落ちたことが分かる描写やその後の恋慕の様子が印象的でとても好きでした。このまま進んでくれ、と思ってしまったほど。

…と、ゲルハルトに何故かすっかり萌えてしまい、結ばれないのが残念で主役の2人に入り込みきれなかったため、萌え2で。

不吉な「片青眼」のせいで第一王子でありながら幽閉生活を余儀なくされてきた不憫なアルツェットの境遇が痛々しく悲しく、ううう…とそれだけでちょっと前半泣きそうになってしまいました。

突発的にヒートを起こし義弟に襲われそうになっていたところを間一髪で助けてくれたのが、今回の攻め様、隣国の軍人アラリック。

特技は即興で歌う歌なのですが、その歌やエピソードがもう、面白くて面白くて!

従僕が起こしに行った際に「まだ起きたくない」という歌を八番まで歌い、”歌詞は馬鹿みたいなのに調べが美しく、つい聞き惚れてしまい腹立たしかった”と評されております笑

「二十六歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」だとか、「今すぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」だとか。タイトルだけで笑えます。

痛かったり苦しいオメガバではなく、作者様も後書きに書かれているように「安心して読めるオメガバ」でした◎

笠井先生のイラストは言うまでもなく「神✨」酔いしれました・:*+.

0

愉快な攻めとお花畑な貴族の会話が楽しい!!

すこし貴公とふたりだけで話がしたい。アラリックの口から聞いただけでは、頭に花が咲いたような内容ばかりで埒があかなかった。



小林典雅さん作品は初読なのですが、展開のバランスが新鮮で面白かったです。
オッドアイの所為で幽閉されている王子が更に孤独に追いやられ、第二王子(義弟)との交流、感情をぶつけられるまでが1冊の半分。その後、冒頭にチラリと出てきた男とのお話がやっと始まります。

人との交流を絶たざるをえなかった王子が第二王子との会話を心待ちにし、大人になってからは、手作りの菓子の半分は後で大切に食べるからと包に戻したり、香袋を大切に身につけたりとロマンティックさすら漂い、第二王子が攻めだったのか?と思っていたところに本命が登場。

他国の人質に向かうことになった王子が出会ったのはそこの王様の側近で、運命の番で即ベッドインだったのですが、その最中の会話も微笑ましいやら可笑しかったり、不慣れさと熱っぽさが淫靡だったりで、読めて良かったです!

私が予想した展開は、「次の発情期で頸を噛む…」と約束するも、戦争が悪化、攻めが窮地に陥り、同時刻に受けは発情期が訪れ…みたいなのを予想してたのですが、なんと一冊の後半はひたすら二人のお花畑な会話と痴話喧嘩が繰り広げられてて笑いました。最高。

王様の側近で近衛兵のアラリックはただのスパダリではなく。周囲の人間にも気安く接し接され、愛の言葉を熱っぽく時にヘンテコに語り、王子にメロメロ溺愛。王様や従者が語る彼の作った歌がとにかく笑えて、なんて愉快な男なんでしょう。

不憫健気を読んでいて幸せになってほしいと強く思う事はよくありますが、この笑わせてくれるアラリックもずっと愉快なまま幸せが続いてほしいと願わずにはいられない、とっても魅力的なキャラクターでした!

王子リンツェットも気高く純粋で、アラリックにメロメロで二人が愛をどこまでも語るお花畑な会話が本当に楽しい。
またここまで気持ちを言葉にして相手に伝えることが凄いし、言葉に熱量を感じます。

コメディのような雰囲気も漂わせつつ、「この方に出会えたから死を選ばなくて良かったと思える」とサラッと言葉にするリンツェット、不憫な彼をアラリックはいくらでも笑かし甘やかし愛してほしい。いくらでも読みたいです。
(とは言っても、男同士や妊娠に対して抵抗がなくて、もう少し男らしい部分も欲しかったですが…)

出会えて良かったなあ〜と、何度も読み返したくなる2022年の一冊でした!

2

いわゆる「トチ狂った攻め」が最高!

前作の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」で、脇役ながら濃ゆいバカップルぶりを見せつけてくれていたお二人の馴れ初め話ということで楽しみにしていました。

私はいわゆる「トチ狂ってる攻め(受けを好きすぎておかしなことになってる・なってしまった攻め)」っていうのが大好物で、小林典雅さんの作品はその出現率が高いと思っているのですが、今回も期待を裏切りませんでした!

アラリック、あんたは相当おかしい!(褒めてる)

タイトル通り「恋の奴隷」なんだけど、前作のロランが恋の苦しみに囚われた奴隷なら、アラリックは尻尾振りながら自ら奴隷志願して嬉々としてるみたいな。
で、奴隷になった喜びを延々と歌う、みたいな。

歌のセンスが珍妙すぎて笑えます。
「26歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」
「いますぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」
とか、なんなの、それ!私も聴きたい。(でもせいぜい三番までで結構です)
お付きのジェレマイアから鬱陶しい歌だと呆れられている一方で、リンツェットはリンツェットで永遠に聴いていたいとか、あんたらやっぱりバカップルだー!
まだキリルに出会う前のロランからは「これほどおかしくなるというのなら、運命の番になど出会えなくて結構だ」と言われてる始末。

前半は、目の色のせいで不吉な子とされて疎まれるリンツェットが可哀想でしたが、でも「深窓のオメガ王子〜」で既に幸せになってる姿を知っているので安心して読めました。

そして「恋の奴隷がまたひとり」は、これを読んでから前作を読み返すと、さらに萌える仕様になっていてありがたい〜!!
表情に乏しく何を考えているかわかりにくかったロランの不器用さ、弱気だったあの頃を知る事ができるんですよね。
なんて美味しいSSなんだ!!

シリーズ化してほしいなぁと思います。
ロランカプとアラリックカプに子供が産まれて、子育てする様子も読みたいし、義弟も悪い子じゃないので幸せになってほしいです。

8

健気な不憫受け

片青眼は不吉という言い伝えだけで虐げられてきたリンツェットが不憫。全面的に守ってくれた母が亡くなり、2人の側仕えも不当に外され、扱いの酷さに腹が立つ。やっと父王が会いに来たと思ったら、人質になれってふざけてる。けど、ここが転換期でした。優遇されてきた弟に襲われそうな所を助けてくれたのが運命の番。小さないざこざはあっても、溺愛してくれるアラリックと上手くいって良かった。これもリンツェットを賢く育てた母のおかげかな。リンツェットも孤独にめげず、困難を乗り越えて頑張った!アラリックと幸せになってほしい。スピンオフだけど単独でも面白かった。

4

おとぎ話的ハピエンオメガバース

何これめっちゃ好き。
私の好きなおとぎ話要素強めのストーリーでした。

生まれつき両目の色が違うことで忌まわしき者として、フォンター国の第一王子の身でありながら遠い離宮で隔離した生活を送るリンツェット。不安定な政情から、人質として後ろ盾のダウラート国に行くことになります。

フォンター国は迷信の信仰が強く、左右の眼の色が違う「片青眼」を忌み嫌っています。リンツェットは片青眼を持ち産まれてきたので、産まれた時から不遇な生活を強いられていて本当に可哀想です。リンツェットは味方であった母親を早くに亡くし、幼い頃からの側付きの使用人たちとも引き裂かれます。唯一慕ってくれていた母違いの弟のゲルハルトがいますが、彼は時期国王の身なので簡単に会うことも叶いません。

そんな中、大国であるラウダート国の後ろ盾を得る条件として人質をラウダートに送らなければならなくなったのですが、リンツェットに白羽の矢が立ちます。今までリンツェットを幽閉してきて、都合の良い時だけ王族としてその身を差し出せとは…これってどうなのよって感じですが、もしやラウダート国で可愛がられて幸せになっちゃう感じ?と期待を寄せました。

当たったーーーー。

ラウダート国の近衛隊長アラリックと「運命の番」として出会います。弟のゲルハルトに襲われた所を助けられ、その時にお互いを運命の番として認識しその日に発情、セックスします。すごい急展開。人質として、またアラリックの番としてラウダート国に行くリンツェットですが、ラウダート国には片青眼の迷信がないので、偏見なく暮らすことが出来ます。もう幸せフラグしかないですね。人質だけど、母国での扱いが酷かっただけにラウダート国ではそれはもう幸せな生活しかありません。

国王もめちゃくちゃ良い人。アラリックとはラブラブ。薬草の知識を活かして香水作ったり草花を育てたりなんかして、リンツェットは充実した毎日を送っています。有能なアラリックは王の側近でもありますが、変な即興曲を作る才能があって、この作品中でもおかしなタイトルを付けた曲を披露するシーンが多々あります。クスッと笑えちゃうので、この作品を面白くする良いスパイスになっています。

不遇な生活を送っていたリンツェットですが、アラリックとの出会いとラウダートでの生活は本当に幸せそうで良かった。文句なしのハッピーエンドです。アラリックがリンツェットのことを好きすぎて、ちょっとバカっぽいんですがそれもまた良いんですよね。リンツェットもリンツェットで世間知らずなせいか、アラリックのエロ比喩をストレートに受け取って意味が通じてないのも可愛いです。


もうとにかくハピエンだし楽しい作品なんです!もう少し欲を言えば、挿絵がもうちょっと欲しかったかなって感じです。後半2シーンのみで、前半と中盤は無かったので寂しい感じがしました。他のキャラの姿も見てみたかったです。

結局ラウダートに来て初めての発情でリンツェットが身籠ったのかどうか気になりましたが…その他ストーリーの内容は大変満足しました。高評価も納得です。

8

不肖の息子なのよ

笠井先生だし典雅先生だしと購入。この組み合わせは・・と思っていたら「深窓のオメガ王子と奴隷の王」のスピンオフでした。前作読んでいなくても全く問題なく読めます!典雅先生らしい、くすくす笑えるお話、本編180Pほど+「深窓の・・・」の方のカプの冒頭部分のお話+あとがき。週末、くすくす笑って元気になりたいなら、めっちゃおすすめしたいです。面白かったー!
絶対忘れないかと言われると?なので萌2にしました。

フォンター君主国の第一王子として生まれたリンツェット。右目が青、左目が金色で災いを招くと忌み嫌われ、母と身の回りの世話をするもの2名で離宮に幽閉されています。ある日、一度もあったことのない父王が訪れ、ダウラート国へ人質として行ってほしいと頼まれ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ゲルハルト(受け弟)、ジェレマイア(攻め従僕)、ロラン(ダウラート国王、1作目のカプ攻め)、キリル(1作目受け、ちょい出)ぐらい。

++ 好きだったところ

典雅先生のお話って、とうとうと喋り倒すような語り口という印象が私にはあるのですが、まさにそれ。まー------よく喋る、この攻め受け、特に攻め!変(爆笑)!チャラ男か!見た目は笠井先生の絵の凛々しいイケメン攻めなのに!マジで読んでいる間笑いが止まらなかったです。(この面白いキャラは前半1/3ぐらい出てこないので少しお待ちくださいね)いざ、というときに「不肖の息子にお慈悲を」などと語りだした時には肩ふるわせて笑うのをこらえましたよ・・

あと変な歌、歌うらしいんです。音程はズレてないらしいですが「二十六歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」なんて歌を即興で作るらしいです。朗らか、陽キャですね。変すぎて堪らん、このキャラ大好き。

恋愛面では運命の番、一瞬で恋落ち、速攻ベッドインなので、くっつく前の盛り上がりってのはあまりないんですけど、くっついてからでもめちゃ面白かったでした。溺愛バカップルです。

受けは人格よろしい健気さんですが、隔離されていたので世間のことは何にも知らない何でも初めてちゃんです。こちらも運命の番なんで一瞬で恋落ちです。オメガで、発情しちゃうところはありますが、隔離されていたためオメガだからということでひどい目にあうということは無かったです。うなじ咬みシーンはあり、挿絵効果もあって色っぽさ倍増でした。

恋愛面としては溺愛げろ甘大好きな方におススメ、典雅先生好きな方でしたら安心しておススメなお話でした!楽しかったー!

7

コレだけでも楽しめますが…

「深窓のオメガ王子と奴隷の王」のスピンオフ作品ということでとても楽しみにしていました。

でも読んでるうちにこのお話の時系列って?と疑問に思ってしまいました。そうしているうちにアラリックとリンツェットがダウラートに到着して、ロランに会ったことでこのお話は「深窓のオメガ王子と奴隷の王」の前日譚なのだと気が付きました。
  
あとがきではスピン元を知らなくても楽しめるとありましたが、やはり読んでれば二倍楽しめると思います。特に同時収録作の「恋の奴隷がまたひとり」では、ロランとキリルの拗れた仲を取り持とうとするアラリックとリンツェットの苦労が偲ばれたからです。
あのお話の裏側ではこんなことが起こっていたんですね…。読み返しておけばと後悔してしまいました。

内容ですが今作も安心して読めるオメガバとなっていました。
リンツェットは産まれた時から不遇な扱いを受けていましたが、でもそれはオメガだからではありませんでした。「片青眼」(虹彩異色症)だから不吉ということで離宮に幽閉されていたんです。誰もその理由を知らないのに不吉なものとして忌避されているので、リンツェットがオメガだからといって近づく者さえいないのです。なので無体な目には遭っていません。

でもフォンターの国の人々のリンツェットへの扱いには悲しすぎて、涙腺の弱い私は何度かウルっと来てしまいました。

冒頭から義弟が暴走しているしアラリックが登場しているのですが、チラチラと過去を織り交ぜて進むので面白くてページを捲る手が止まりませんでした。

特に「運命の番」と出会ってヒートを起こしたリンツェットの身体を慰めるアラリックの発言の比喩を、世間知らずなリンツェットがそのまま取ってしまった時はプッと吹き出してしまいました。それ以来リンツェットが不安になるとアラリックは言葉を尽くすので、この2人はとてもお似合いだと思いました。こんな2人だからロランとキリルの恋の後押しが出来たのだと納得出来たお話でした。

リンツェットの故郷のフォンターの因習には驚くことも多く、アラリックが村娘たちに沢山貰ったアレには爆笑させて貰いました。

神にしたいところでしたが、スピン元の方が好みだったので神よりの萌2です。

5

これぞ小林典雅!

ネタバレします。

もとい。
このお話の場合『ネタ』というのは、アラリックの余白を許さない饒舌ぶりとリンツェットの無邪気さを際立たせる世間知らずぶりなんだと思うんです。『物語のすじを楽しむ』というよりは、その二つが巻き起こす『枝葉を楽しむ』種類のお話ではないかと。
だとするとネタバレは出来ませんよね。
だって全部読まないと『枝葉の楽しさ・可笑しさ・可愛らしさ、そして萌え』はわからないので。

なので、あらすじを紹介します。
『因習によって幽閉されて来た第一王子が、戦を回避するために大国の人質になったが故に、彼を溺愛する騎士と出会いバカップルになりました。あと、豚の睾丸』

いや、ほんと。これだけだと思うんですよ(褒めてる)。
でもこのお話には典雅さんのエキスがギュッと詰まってる。
だから、私の様な典雅さんファンには堪らない。
なんたって『恋の奴隷』だもんなぁ。

溺愛が不穏な方向に行っちゃうお話も嫌いではないんですけれど、でも、読むのに体力がいりますよね。今の様な世の中だと、余計そう思う。
でも、アラリックは『リンツェットを称える変な歌詞の歌』を延々と歌ってくれるという明るい逸脱ぶり。
そして、周りがそんな彼にドン引いているのに「私のためにありがとう」と素直に好意を受け取ってくれるリンツェット。その数秒後には豚の睾丸について考えちゃうかもしれないんですけどね、でも上品。

これですよ、これ。
これが典雅さんのお話なんですよ。
光がさすようです。

蛇足
笠井画伯によって描かれた、激しく美しいリンツェットが「豚の睾丸」について思いを巡らせたり、その単語を口にする絵面を想像すると、更に可笑しいです。

9

所変われば品変わる

今回は大国の王の側近と公国の第一王子のお話です。 

王子ながらも不遇に育った受様が
攻様との出会いで幸せになるすまでの本編と
本編後日談で攻様の仕える王の前日譚を収録。

この世界には男女の性ともう一つ
アルファ、ベータ、オメガという第二の性が存在します。

大国の狭間に位置するフォンターは
戦いに巻き込まれたり、自然災害にあいやすく
迷信や言い伝えの類が暮らしに根付いていて
民は悪運を避ける呪いを日常的に行われています。

受様は現王の前妃が産んだ第一王子ですが
災いをもたらす死神の化身とされる
左右の目の色が異なる「片青眼」として生まれた上に

王族には稀なオメガであったために葬られかけたところ
やっと受様を授かった前妃が半狂乱で訴えたことで
離宮にての幽閉生活を余儀なくされます。

前妃は受様をこよなく愛しますが病で儚くなり、
その死で迎えた新しい妃が第二王子を産むと
父王の関心も受様から離れていきます。

そしてマクセンとルーダニアに抗するため
父王は最強を誇る軍を持つダウラートに
人質として受様を差し出される事にするのです。

受様の出国を惜しんでくれたのは義弟だけでしたが
義弟はもうこれで会えなくなるならと
受様と番になりたいと言い出して!?

既刊『深窓のオメガ王子と奴隷の王』のスピンオフで
既刊の王夫妻の恋を後押しした側近の攻様と
その番である受様のオメガバースになります♪

絶対絶命な受様を助けてくれたのが
ダウラートの使者としてやってきていた攻様でした。

攻様は死神と呼ばれて恐れられていた
受様の色違いの瞳も希少な宝石のようだと言い
フォンターの民の言い伝えは不思議過ぎて
理解できないとまで言うのです。

しかも出会ったばかりの受様を
自分の『運命の番』では!? と宣うのですよ♪

今回の受様は死神の化身である片青眼として
幽閉生活という不遇な境遇に甘んじ
母を早くに亡くしたために
それを是とするしかありませんでした。

そんなところに現れた攻様は
今まで接してきた誰とも違う反応をするばかりか
綺麗な容姿以上に素直で物慣れない受様に
とっても好印象を持ちます。

こんな2人が出会ったら恋に落ちない訳がなく♡

コメディチックな典雅ブシの効いた
素敵な恋物語を堪能させて頂きました (^-^)/

出会ったすぐに運命を感じちゃった攻様は
本能のままに押せ押せで口説きまくります。

あまりにも情熱的過ぎて
相手によっては暑苦しく思われそうですが
受様はその押せ押せで幸せいっぱいになるばかりか
自分でいいの!? とか思ってグルグル気味なのが
たまらなく楽しかったです。

オメガとしての危機は義弟との1シーンだけで
オメガバース初心者さんにも読みやすいと思います。

5

溺愛愉快なお喋り攻め様╰(^3^)╯

「深窓のオメガ王子と奴隷の王」スピンオフ作品のこちら。
あぁ、あのカップルのお話なのか(#^^#)といそいそと購入です。


受け様はオメガのリンツェット。
第一王子でありながら、左右の目の色が違う「片青眼」であったため、災いをもたらすと離宮で幽閉生活を強いられていた。

最強国ダウラートへ人質として向かう際、迎えに来たのが攻め様であるアルファのアラリック。

リンツェットが発情してしまい、貞操の危機に陥っていた時に軽やかに現れ助けてくれるのだけど。
その時にかけた言葉、まんま友人であるダウラート王にも言ってやれ、なんて思っちゃいました(^_^;)

リンツェットに不埒な真似をしようとした義弟に対しての、笑顔でわかりやすくバッサリな態度もハナマルでいい攻め様( ´∀`)


アラリックに出会うまでのリンツェットは、不憫で淋しい生活を強いられているのだけど、アラリックに出会ってからはガラリと変わります(⌒▽⌒)
アラリックが好意を隠さないし、めっちゃ溺愛。
好き過ぎておかしくなっちゃうタイプの攻め様でした(人*´∀`)。*゚+

リンツェットも、愛して愛を返されるのが嬉しいってんで、アラリックの愉快な愛情表現を喜んで受け入れているかわいい人。
「初めての○○」を2人でたくさんして、かわいいバカップルぶりを披露してくれてました。

そしてまた、2人の初えっちに、は?と目が点になりながらも笑いました(≧▽≦)
いやぁ、初めてのシチュエーションで、さすが小林先生!(☆▽☆)


巻末短編では、前作の裏エピソードも読めて嬉しかったです(^o^)


イラストは笠井あゆみ先生。
変わらずの美しい表紙と口絵。
でも、文中の挿絵が1ページしかない(T_T)
本当に?と確認しながら読み返しちゃいました。
ちょっと淋しいなぁ。



5

シリーズ化希望!!

シリーズ化希望ですっ!!
あんなに完璧な軍人なのに、リンツェットのこととなると途端にIQが下がってしまうアラリック。
そんアラリックの姿をずっと追っていたいです。
そしてリンツェット、運命の番と出会えて良かったね。
前半はリンツェットの健気さに打ち震え、時には涙も流しましたが幸せになって本当に嬉しいよ。
シリーズ化された暁には、全館購入した方にアラリックのCDプレゼントとかどうでしょう。
私当たるまで買いますよ。
リンツェットの弟のその後も気になりますし、ぜひぜひお願いいたしますっ!!

4

アラリック、すごいよ君!

あとがきにもあるように、安心して読めるオメガバース物です。

前半はリンツェットがとても可哀想で、どうなっちゃうの〜?と全く先が予想できませんでした。

しかし!アラリックの登場でお話のトーンがガラリと変わります。
そういえばオメガバース物だったなと思い出しました。

リンツェットも大変魅力的な儚く美しく清い人物なのですが、なんといってもアラリック!すごいよ君!
もうアラリックの登場からは会話が怒涛のように交わされ、リンツェットの孤独な24年が嘘のように賑やかになります。

美しい騎士なのに口を開けば、リンツェットを褒め称え愛を乞い楽しい比喩で笑わせてくれます。
一夜で全てがひっくり返ったような幸せな未来が待ってるような出会いです。

もうアラリックが話上手で、歌わずにいられない男でとっても愉快です。リンツェットに愛と笑い声を与えてくれた、ちょっと三枚目?な最高の攻めです。

短編には、ロランとキリルのために二人はこんなことをしていたんだなあ。

アラリックが愉快すぎて最高だし、そんな彼に出会ってすっかり明るく快活になったリンツェットも良かったです。

豚の睾丸!

5

このHシーンを見てほしいです…!

『深窓のオメガ王子と奴隷の王』に登場したラブラブカップル、穏和な騎士アラリックと美しい人質リンツェットのお話です。

スピンオフですが二人の出会いのお話なので、こちらから読み始めても全く問題ありません。ただ巻末SSにはロランやキリルも出てきて、前作のお話の裏側も覗かせてもらえるので、合わせて読まれるとより楽しいかもしれません(*^^*)

以下、ネタバレありのあらすじです。


フォンター君主国第一王子のリンツェットは、生まれつき左右の目の色が違う「片青眼」として不吉がられ、森の奥の離宮に幽閉されて育ちます。
美しい顔を布で隠して暮らすリンツェットにとって、義弟からの手紙だけが心の支えでした。
孤独な時が流れ、24歳になったリンツェットは強国ダウラートの人質となることを乞われます。止めようとする義弟を前にオメガの発情期が始まってしまい、襲われかけたところをダウラートの騎士、アラリックに助けられて…というお話です。

前半は切ない場面も多く、幽閉されている幼いリンツェットがすごく健気なんです。
周りから少しずつ大切な人が去っていき王宮から冷遇されても、小さな楽しみを見つけて誇り高く生きているので、早く幸せになってほしいと願わずにいられませんでした。
あらすじだけ読むと重そうに見えるかもしれませんが、義弟であるゲルハルトの手紙が生意気で可愛くてクスッとしてしまったり、父である国王とも最後に少しだけ心を通わせたりするので、救いがあり、ストーリーに引き込まれます。
また、ひとりぼっちで寂しい思いをした分だけアラリックが登場してからの楽しさと甘さが一層輝いてみえました!

リンツェットの顔を覆い隠す布をはずしてくれるシーンが、繊細でとても良いんです。
アラリックは誰とも違う言い方で瞳の呪いは迷信だと信じさせてくれ、リンツェットがずっと我慢してきたものが溢れだす瞬間にじーんとしました。

アラリックの言葉にはいつも笑顔が滲んでいて、思わずクスッとしてしまいます。なんでも歌にする才能があり、リンツェットと出会えたことの喜びや、周りの従者が美しい恋人に懸想しないよう牽制する珍妙な歌を披露してくれるのですが…この歌のタイトルに何度噴き出したことか…!
歌は作中で度々登場して、その全てが「そうくるか!」と思わず笑ってしまうものばかりで、作者さまの素晴らしい言葉のセンスに感動しました。

アラリックは運命の番である美しく優しいリンツェットを崇拝して、細々と世話をやいてくれます。…ただHシーンではちょっと様子が変わってくるのが最高なんです。

どこまでも紳士で、言葉もとても優しいのですが、行為のあちこちにそこはかとないプチS感が漂っている気が…。
美を愛でていることが結果的に視姦になっているというか、丁寧な愛撫を施しながら、リンツェットが我慢できずに求めてくるのを待っているような気もして、天然なのか確信犯なのかわからない絶妙な攻め感にそわそわするんです…!!
リンツェットはというと、意図的に焦らされているかもなんて微塵も思わず、恥ずかしいのに身体が勝手に快感を伝えてしまい、初々しくも大変色っぽいです。
プチS疑惑のアラリックにリンツェットがそそのかされるたび、なんだかドキドキしてしまいました。それでもやっぱり甘々で幸せもいっぱいという、個人的には神ベッドシーンでした。

そしてこのシーンではさらなる見所があります。Hの途中で予期せぬ中断があるんです。
それはリンツェットの可愛すぎる世間知らずからくるもので、アラリックもいつもの洒脱な話術をかなぐり捨て、慌ててフォローする事態に…この「比喩の招いた誤解」はかなり面白いのでぜひご一読いただきたいです…!

前半の幽閉生活から、幸せで楽しい恋愛シーンに移っていくにつれて、リンツェットの表情がどんどん柔らかくなり、時々恥ずかしそうにアラリックに甘えているのがものすごく可愛くて満たされます。
アラリックも溺愛を全く隠さず、どんな愛情表現でもリンツェットが心から嬉しそうに笑っているので、本当に相性の良いカップルだな…と感じました。
焼きもちから喧嘩してしまう場面もありますが、最後までずっと甘々で幸せです!


巻末SSでは「深窓のオメガ王子と奴隷の王」のロランとキリルも登場してくれます。
二人も運命の番でありながらなかなかうまくいかず、アラリックとリンツェットが陰ながら応援する様子を楽しませていただきました。
ロラン、不器用ながらものすごく頑張っていたんですね…!!リンツェットの前だとロランがとても素直に恋に懊悩していて、さらに前作が好きになりました。
また、アラリックの誕生日にリンツェットがたくさんのプレゼントを贈るシーンもあって、盛りだくさんな内容です。
小林典雅先生の小説に登場する贈り物は、素朴でありながらハッと目を引くものが多い気がします。今回も全てリンツェットの手作りで、一つ一つに込められた想いや、出来上がるまでの時間、もらった相手の喜びなどがぎゅっと詰め込まれている素敵なプレゼントでした。もちろんアラリックは感激して歌っていました(笑)

切なさも面白さもときめきもあって、何度も読み返したくなる一冊でした。
幸せなお話を書いてくださった先生に、心から感謝をお伝えしたいです。

長文で失礼いたしました。

17

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