• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作恋い焦れ歌え ~R.I.P. ~

KAI,ラッパー
桐谷仁,高校教師,32歳

あらすじ

"映画公開決定! "

2022.5.27
主演・稲葉友
遠藤健慎 さとうほなみ


「不器用で、一途で、切なすぎる純愛。」

小学校の教員をしている桐谷 仁(きりたに ひとし)。
教育熱心な仁は平凡ながらも充実した日々を過ごしていた。
しかし穏やかな生活は突然 崩壊する。
顔の見えない相手に犯された挙句、スラム街へと拉致されてしまった仁。
そこは実社会からドロップアウトした者たちが集う場所だった。
その中で異彩を放つラッパー・KAI(カイ)、彼は自分が仁を襲った犯人だと名乗りでる――。
映画『恋い焦がれ歌え』と連動した、もう一つの物語。

作品情報

作品名
恋い焦れ歌え ~R.I.P. ~
著者
miso 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Baby comic
発売日
電子発売日
ISBN
9784865896947
4

(26)

(14)

萌々

(3)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
6
得点
101
評価数
26
平均
4 / 5
神率
53.8%

レビュー投稿数6

泣いてしまった

映画の原案と連動したお話だそうです。
原案から漫画にするにあたり構成しなおしているそうなので、やはりmiso先生色のある漫画でした。

私は普段、萌えやきゅんがあるハッピーな作品をレビューしている事が多いのですが
このお話はそういう部類の内容ではなかったです。
萌えやきゅんや癒しはありません。でも引き込まれました。


ラッパーKAIと、レイプされた高校教師の桐谷のお話です。
KAIの生きる環境が劣悪で、、、。
桐谷がレイプされたと知ったKAIが、その環境に桐谷を引き入れる事から始まっていきます。
そこは暴力や理不尽が蔓延するスラム街のような場所。
工業地帯だったり河川敷だったり治安の悪さだったり、若者にラップ文化が根付いていたり「この街ではヤクザになるかラッパーになるか」という言葉が出てきたり。多分モデルとする街はあるんだろうな。
こんな現実があったら辛すぎるけど、、、。

一人一人の命や存在が意味のないような世界で
先生だけが足掻いて「そんなことないよ」と言ってくれるような、ちゃんとした大人の人であり続けてくれた事だけが、読んでいて少し救われました。

難しいテーマのお話だと思うのですが
読み手に託しすぎることなく、理解ができるように心理描写やストーリー展開をしてくれていて、置いてきぼりにされずに着いていくことができました。
刹那的で狂った感じのKAIの、内面の繊細さや不器用さ、優しさも痛いほど伝わってきました。

映画公開前ですし、あまりネタバレはしない方が良いのかなと思い、詳しく内容は書いてません。
BLというか映画的なお話でした。

BLとしてというか、作品としてめっちゃ引き込まれてガツンと胸に響いたので、私はすごく好きです。
だけどきっと、好みは別れるのだろうな、とは思います。

5

良かった…本当に良かった……

まさにこれは歪な純愛。
愛し方も生き方も歪んだ方法しか知らなかっただけのKAIが、KAIなりの方法で傷ついた先生を愛そうとする話です。

ここから先は本編を読んでから進むことをおすすめします。構わない方はお付き合い下さい。



個人的に大好きだと感じた設定が、KAIの客であり町を仕切っていた男・間宮も元性犯罪被害者だった点です。
KAIの不幸を、そして先生の不幸を作りだした張本人の人物を悪役にしない世界観が本当に良かった。
きっと彼らにとってはままならない人生と、社会の闇こそが敵なのだと。
地を這う若者が自分達の幸せの為に必死で藻掻く姿が、BANANAFISHみたいな物語が好きな私には刺さりました。
ある意味救済ストーリーなんですよね。買ってよかった。

0

歌みたいに名前を呼ぼう

実写映画とのメディアミックス作品との事です。
という事は、コミックスの本作と映画を合わせて大きな一つの作品世界が構築されるという事なのだと思うけど、とりあえずコミックスのみの感想で。

一言で言うと、ちるちるの記事の通りノワール+ラップ。
しかし単に「ノワール」というカッコつけた設定ではなくて、救いようのない、逃れようのない、重苦しく痛々しい悲惨な世界の中で生きる子供たちが出てくる。
本当にこんな無法がまかり通る地区というものがあるのか?
大人がみんながみんなヤクザの顔色を伺い、子供はヤクザの毒牙にかかる。学校も警察も見て見ぬふり。そんな……

主人公は天才的ラッパー、同時にヤクザ相手の個人男娼⁉︎のKAI。
この相手ヤクザ・間宮はそこら中で子供や男をレイプしまくってて、今回の被害者・桐谷(教師)も。大人の男なのにレイプ。
本作はKAIと桐谷の両視点的な展開。
桐谷を知っているらしいKAIが、桐谷をより苦しめようとする前半。
それは自分が堕ちた地獄に桐谷も落ちてきて欲しかったから。
つまりはやっぱり自分に気づいて欲しかったから。助けて欲しかったから。
一方平穏な世界から転げ落ちてしまったが、必死に生きて地域を正そうとする桐谷。

とにかく間宮というヤクザと、何もできない周囲の社会の胸糞。
その上、仲間の一人の少年(子ども)が下らない理由で殺される。KAIは壊れてしまう。
後半になるこのあたりから、ストーリーは痛く深く沈んでいく。
そして……

はっきり言ってショッキングな結末でした。
こんなふうにしかなれなかったの?KAI…
これで本当にそのまま生きていけるの?桐谷…
多分、この後完成するであろう映画と絡み合わせた上で「本当の結末」というものがあるのでしょうが、コミックスだけの結末としてはあまりにも痛々しい。
また、ラップについてなんだけど…これはどう効果的なのか判断できないです。
少なくともリズムとか空気感はあまり伝わってこなかったと思いました。

4

掃き溜めにおける希望

 miso先生は痛々しい物語を描くのが得意ですね。映画化ありきで作られた漫画というのも珍しく、一体どんな話なんだろうと気になっていました。ヤクザの息のかかった警察の権力が及ばないスラムのような街。そんな街でも子供達は無邪気で、ラップバトルを楽しむ余裕はある。正直、街の現実味は薄かったです。主人公であるKAIがなぜここまで堕ちなければならなかったか、もう少し経緯が詳しく知りたかった。

 ただ、教職に就いていた仁の、どん底からの再生の物語としては読み応えがありました。警察を頼れないなら自力で悪人を片付ける度胸も、それに自分でけじめをつける覚悟も気に入りました。KAIの選択も、周りにどうこう言えるものでもないのかなと。こういうアングラな世界で生きてきた人間達には、きっと彼らにしか分からない考え方や生き方、価値観があると思うんです。仁は完全に溶け込むことはできなかったけれど、限りなく近づき、一瞬でもKAIと仁の人生は交わっていた。そういう風に解釈しています。

0

まるっと救済なのかな

地獄の中で見た一筋の光、泥から咲く蓮…のようなお話ですよね。
救済のお話は好きだし、タイトルにR.I.Pとあるので死エンドにショックはなかったですが。
でもしっくりこないなぁというのが正直なところです。理解力低くてすみません。
KAIはシェルターのためにずっと犠牲になっていた。
桐谷を庇って死んだ。
最期に桐谷と恋が実って報われた。
桐谷を庇うことが本望なのかもしれない。
でも桐谷はそれでいいのか。
逆に重い十字架を背負ってしまったと思ったんですが。それはそれで一生KAIと共に生きていくということでしょうか。

間宮がいなくなってシェルターは平和になったのかな。
野原で子どもたちと桐谷が歌うラストシーンでしたが。
間宮がいなくなって無法地帯になって大丈夫なのかなと心配してしまって。

キャラクター裏話で、KAIの言動が不明な点を無自覚な二面性、不安定な精神状態と解釈していて、そうなりますよねぇと思いました。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP