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作者が後書きでBL小説とは恋愛小説ですと言われたと書いてますが、まさしく恋愛もの。悲運の受けが幸せになるというエンドはわかってても締め付けられるような展開。この頃の話って中身重視だったなぁと思う。イラストありきで読みはじめてるけど、表紙より挿絵の方がカッコいいです。
電子書籍で読了。挿絵なし。
「Fly me to the moon」がやたら可愛らしかったので、こちらも読んでみたのですが……
私には合いませんでした。
いや、面白いんだと思うんですよ、お話は。
何故に浸れなかったかと言えば、読んでいる最中、佳境に入れば入るほど
「依存の問題を抱えている人とすぐに恋愛したら本質的な解決にならんでしょっ」とか、
「あ、2人で解決しようとしてはダメ。相談員入れろ。チームであたれ」とか、
別にその手のお仕事をしているわけではないのに「専門職の正しいお仕事」みたいな声が私の中で巻き起こりまして。
おまけにそれが、だんだん大音響で響くようになってしまったんですよね。
攻めさんが医師ではなく別の立場の人だったら、多分じんわりしながら読めたと思います。
もしくは攻めさんがこんなに誠実でなくて、腹黒男だったら「この悪党!」とか言いながら楽しんだと思うのです。(木原さんの「POLLINATION」は「この外道!」と思いつつ面白く読めたものなぁ……)
自分のことを倫理的だと思ったことは一度もないのに、思わぬ処に落とし穴がありました。
木下さんが表紙絵だから勝手にほのぼのした話を想像してしまったんですが、結構痛い内容でした…
攻めに片思いしながらも、DVの元彼と共依存の状態に陥っている受けのお話です。
受けの智紘が恋人の崇に酷い暴力を受け、攻めの高藤先生の働いている病院に搬送されてくるシーンから始まります。
先生は、あきらかに男にDVを受けている状態の智紘を心配して、治療後も住むところや働く先を探してくれ、更にその職場の店に何度も足を運び何かと気にかけてくれます。
智紘は優しくしてくれる先生のことを入院中に好きになり、店に来てくれるのを楽しみにしながら、徐々にまともな生活を送り始めていました。
先生からは、崇は最初一度だけ病院に智紘の居場所を聞きにきたものの、それ以降は何の連絡もないと聞かされていて、「崇とはもう一切会わないこと、考えることもしないように」と強く言い聞かされています。
しかし本当は崇は凄い執念で智紘のことを取り戻そうと探し回っているんです。
この崇がかなりやばいキャラで…
ストレスが原因のDVかと思いきや、もう崇と智紘の出会いからして異常でした。
バイト中の智紘を一目で気に入り、無理やり車に連れ込んで誘拐。レイプして監禁…
崇はこんな無茶苦茶なことを普段から当たり前のようにしてるんです。
しかも親が代議士なので何かあっても権力でもみ消してしまえるという…
こんな人間が、街に野放しになってると思うと怖すぎる…
崇の智紘への執着はとてつもなく、作中ひたすら智紘を取り戻そうと追ってくるんですが、これが結構恐いです。
予想外のタイミングでヒヤリとさせられることがあり、サスペンス的な展開が読んでて結構どきどきしました。
そして酷い扱いを受け普通なら好きになるはずがないような男なのに、強く求められることが嬉しくて無意識に依存してしまっていた智紘。
ずっと逃げたいと思っていた筈なのに、いざ逃げると自分がいない状態の崇のことが心配になってきます。
崇がいないことに不可解な寂寥感を感じ、そんな自分に智紘自身も戸惑うのですが、先生からは共依存の典型的な症状だと指摘されます。
父親の義母との再婚で家で寂しい思いをして育ったのが影響しているんですが、崇の暴力を許してはいけないと言われた時の「先生、だけどそうでもしないと俺を求めてくれる人なんていないんです」という心の中での台詞が切ないです。
あと個人的に結構ツボに入った最初のキスシーン。
崇のことでパニックに陥った智紘をショック療法で落ち着かせるためにキスして動きを塞ぐんですが、冷静にこんなことする先生に読んでてちょっとどきどきしました。
キスし終わった後平然としているところが逆にえろい。
先生が作中何度も「いい子だ」って言うのも子供をあやしてる感じがして好きです。
医者だからこういう台詞が似合う…厳しさの中にある甘さが良かったです。
先生の命に危険が及んだりいろいろありつつも本編が一応ハッピーエンドになるんですが、残りページ数1/4以上残ってる!後日談のあまあまくるかな〜とわくわくしてたら…なかった……
ずっと先生のことが好きだった従弟のはるか視点のお話でした。
後日談じゃなくてがっかりしながら読み始めたんですが、まさかの他人目線での2人のセックスとかいう個人的にすごい性癖に刺さるシチュエーションがきて、これにもどきどきさせられました。
本編で智紘に酷い言葉を投げかける小悪魔として何度も登場してたんですが、その時のはるか視点です。
智紘が崇から逃れて先生の家に匿って貰っていた時、智紘への嫌がらせのために先生の部屋に忍び込み様子を伺ってたら、2人がすぐ傍のソファの上で愛し合い始めて出るに出られない状態に。
もう〜これ!こういうの堪らないです。
見てはいけないものを見てしまったような気分でした。
…でもやっぱりその後のちゃんと幸せになったメイン2人の話を読みたかったなあ。
あと崇に踏みにじられた煙草の吸殻は、やっぱり誰かしらに捨てられちゃったんだろうか…ちょっと行くえが気になります。
大事に集めてたの先生にバレる展開も見たかったな。
痛かったです。
最初から最後まで受けも攻めも痛い痛いでした。
恋人からのDVによる怪我で救急搬送されてきた智紘と外科医の高遠の出会いは最悪な状態でしたが、ボロボロで放っておけない智紘を何かとお世話してしまう高遠でした。
智紘も実は優しく包み込んでくれる安心できるお医者様にどんどん惹かれていって退院する頃には恋心が芽生えていたのです。
入院中も気を配り退院後も住むところや職場まで面倒みるという甲斐甲斐しさ。
好きな人を大事にしたい、守りたいという高遠の秘めた想いには全く気付かずに、こんな僕が先生に想いを寄せるなんてきっと嫌われると健気に見つめるだけの智紘。
そんな乙女な智紘が唯一好きな人の物が欲しいという要求から手にしたのが、好きな人が吸ったタバコでした。
高遠に紹介されて働くレストランに様子を見にきては食事をしてくれる高遠が、食後の一服をしたときの吸い殻をこっそり持ち帰るのでした。
タイトルにどんな意味があるのかと思っていましたが、きっと叶わぬ恋だけどせめてこのタバコのように口をつけられたらどんなに幸せか・・・なんて思っちゃたんでしょうね。
ああ、いじらしい。
智紘の元カレ(崇)は有力者の息子でキレると怖いストカーと化し何度も現れては智紘をボコボコ。
懲りない智紘がいつも暴行の後やさしくなって謝る崇を許し、そんな風にした自分が悪い、助けられるのも自分だけなんだからと悪循環のDV被害者でした。
イラストは、自分のイメージと違ってました。
智紘はもっと薄幸の美青年ふうで、高遠はちょっと若すぎで頼りない感じで残念でした。
その合間に、高遠を慕う従兄弟はるかが2人の中を壊そうと画策するするのですが、幼稚すぎて笑えました。
実は、はるかLOVEな高遠弟がそんなはるかを焦れ焦れしながら見守っているのが微笑ましく高校生の恋話もちょっと面白そうでした。
クール優等生×ツンデレお姫様の純愛。
とは言ってもこの弟、高遠以上にけっこうSっぽくその実めちゃ溺愛しそうです。
『番外編』チョコレート・シガー
小悪魔はるか視点での高遠×智紘
二人を見ていてちょっぴり大人になったはるか。
人を思う気持ちや好きだからこそ離れて行こうとする感情を理解することでいつもそばにいて守ってくれている人の存在に気がつくはるかでした。