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しみじみ良かったなぁ。彼ら彼女らは「特別」じゃない。過去の自分の友達にも、自分がバイトしているお店のお客さんにも、会社の先輩も日々暮らしている。過去の自分はわかったつもりでいたその後悔とか…今自分がBL読みながら抱えるLGBTQコミュニティをサポート?したいがこの趣味によって傷つく人がいるのではないかという思いも含めてなんだか癒された。
1組のBLカプへの女性キャラ数人視点の話で構成された1冊。
いろんな女性キャラが登場し、共感したり、それは不躾よな〜とか若気の至りや無知からの行動に後悔すること多いよな〜など複雑な気持ちになりました。
同性カップルに対してのことだけでなく、他者への興味本位な視線や詮索、噂話ってはたから見ると痛々しいところがあるな〜と普段から思っておりまして。
本作のように悪意ないのが特に。
興味を持ったり関わることは問題ないはずですが、その中身ですよね。自分にも思い当たることがあり目(耳)が痛かったです。当時は気づかないのもその通りで。
あとキラキラした表情が眩しすぎてちょい引きました。ひねくれた年寄りなもので。すみません。
いい話なのはいいのですが、あまりにキャラがみんな善良で普通で言っていることがとても道徳的に感じて。これまで読んできたBLで味わったことがない心境になりました。エンタメで道徳を教えられる複雑さよ。じゃっかん興醒めしてしまうと言いますか。
女性視点だからというだけでなく。
BL的萌えは少なめで、周辺人物のあるある、こうでありたいよねという考え方が前面にきているようでぐぬぬぬぬとなりました。
本編は5話、あと番外編で構成されています。
それぞれのメインキャラは女子で彼らが見守るのが1組の男性同士のカップルです。
そのカップルは変わらず、幼なじみの鬼怒川くんと泉くん。
2人の周りにいる女子は公園でいつも出会う幼女だったりコンビニで店員として登場したり中学の同級生であったり、、、
どの彼女もそれぞれあたたかな或いは真剣な目で2人を見守っていくのです。
ただそれだけに2人を含めて悪意のない人たちばかりなので、なんだか物足りないというか図書館の目立つ棚に表紙を前面に置かれる推薦図書のような気恥ずかしさすら覚えてしまいます。
ラスト章に登場する小学校の新米先生がなんだかなんとなくうざったいです。
私が「先生」自体嫌いだからかもしれません。
彼らをたどるとはよく言ったもので、ラブに至るボーイズの周辺にいた、有り体に言えばモブ目線の物語という、チャレンジングな構成です。学生から始まって、成人すら遠くなった年齢までを描くというのもなかなか面白い。世の中の見方の変化も描いている。最初にやったもの勝ちかもしれない。とはいえ自分が知らないだけでかつてこんな構成の単行本があってもおかしくはないのですが、間を保たせるのも大変そうだから、作家はもとより編集部こそ挑戦的なのかも。
やや道徳感の強めな1冊に仕上がっているため、単純に萌えを重視してBL作品を気軽に楽しみたい方よりは、"同性愛"(分かりにくい表現)って気分のときがおすすめかと。
萌〜萌2
9歳で出会ったふたりの30歳までの彼ら(鬼怒川くんと泉くん)を、他の作品であれば脇キャラであろう女性視点から彼らを描いた作品。
全5話+描き下ろし。
つまり5人の女性視点と関わりから、客観的に語られる。
以前よりSNSなどでその変わった視点が注目され、面白いらしいと聞き及んでいたが、たしかにあまりこういった語り口で進むBLは見かけたことがなかったので、新鮮な感じで読めました。
どの年代のお話もよかったけど、個人的にとくに好きだったお話は、15年ぶりの再会で過去彼らに正しい価値観を押し付けて、罪悪感に苛まれていた薬剤師の女性のお話「同窓会」。
そして、最終話で彼らの出会いのお話で、当時の担任の先生視点で語られる「まっすぐ育て」が良きでした。
もっともっと40歳、50歳という視点でも彼らのことをずっと読み続けたくなる、そんなハートフルなお話でした。
ずっと幸せであってほしい2人です。
いや、2人だったらずっと幸せなんだろうなあ、、、