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加賀谷×蓮
新装版小説とコミカライズの発売を知った瞬間、旧版小説を読み返した。
もう一度物語に浸りつつ、
その後でコミカライズで視覚的に楽しめるのが至福の時間だった。
原作の情感豊かなストーリーを、
黒沢要先生の絵で再現されたこのコミカライズが、
本編と、
描き下ろしの『NEW YEAR'S BOOK』(小説版の一部内容)が収録されている。
蓮の苦労してきた背景や苦悩、
未熟で孤独な心、ちょっと影のある表情。
加賀谷の安定感あふれる温もり、優しさ、そして一途な愛情。
加賀谷に徐々に心を奪われていく蓮の変化、
その淡い感情から生じる疼い葛藤。
2人の間に芽生えるほろ苦い恋愛模様。
すべてが絵でさらにリアルに心に迫ってくる。
原作の雰囲気を大事にしつつ、
黒沢要先生独自のタッチで(絵が綺麗で、繊細×100で、力強い)、
2人の感情や原作の魅力をさらに引き立てて、
美しく表現できて、感情が再びに湧いてくる。
もう言うことなしに素晴らしいです。
小説が原作とのことですが未読です。
元が小説ということもあり、心理描写や情景表現がとても繊細で丁寧。しっとりと落ち着いたテイストでストーリーが流れていく中、激しく感情が揺さぶられていく詐欺師・蓮の心情変化が映える作品です。
カモにしていた相手との恋愛が芽生えていく時間の流れは非常に穏やか。荒んだ蓮の気持ちを包み込んでくれる加賀谷の真っ直ぐな愛が随所に光ります。蓮の心を溶かせにかかる、温かく曇りのない加賀谷の好意が胸にジワっと沁みました。
お金で繋がる関係に動きが出てくる蓮の戸惑いや混乱の感情がストーリーに刺激を与え、彼の生い立ちや過去の経験にアプローチした心理描写がとても深く、引き込まれてしまいました。
詐欺師の彼が、裕福な医者の家庭で育った加賀谷に狙いを定めたのは、お金をたくさん持ってるかどうかだけじゃなく、自分にはない恵まれた環境で育った背景が見えたことが大きいと思います。恵まれた者への嫉妬だったり復讐心、そして世間や親への憎悪が彼を詐欺師にさせたんじゃないかと…そう見えました。
蓮の心の闇やトラウマに焦点を当てることで、潜在的な希望……家庭や家への憧れが露わになってくると、彼の不遇な境遇に同情するというよりは、今まで誰にも甘えられず、どれだけのことを諦めてきたんだろうかと悔しくなりました。
愛情に飢えていた蓮が、加賀谷に気持ちを寄せていくことはきっと救済への道しるべ。加賀谷といる未来や、彼と温かい家で穏やかに過ごす憧れのビジョンが想像できたことが、好きの感情に繋がった部分もあったと思います。
寡黙で話し下手な加賀谷が、想いを伝えるために感情を爆発させるシーンには目頭が熱くなりました。淡々と穏やかに好きと伝える彼らしさも、感情的に好きと伝える彼らしくなさも、どちらの加賀谷からも蓮への本気度がすごく伝わってきて、クライマックスにかかるその場面のセリフ1つ1つが心に響きます。
加賀谷は蓮に家族のぬくもりも、甘えられる環境も与えられる人。彼らの未来は明るいものだと信じられる読後の余韻にただただ浸りました。
切なくて苦しくて、人を好きになる感情を隠さなきゃいけないもどかしさや、愛する人を追い求める強い想いに心打たれた作品でした。2人の間に絡み合う複雑な感情に注目しながら読んで欲しいなと思います。
この原作小説は私にとってとても大切な作品で、その小説が10年以上経ってコミカライズされるという、奇跡に近いような素晴らしい出来事。
そして、遂に発売で、感慨深く拝読させていただいた。
凪良ゆう先生の原作をリスペクトし、切なく大切なシーンがしっかり詰まっていて、よくぞコミカライズしてくださったなと感動。
蓮の愛情を知らない孤独さと不器用さを、加賀谷もまた違った意味で愛に飢えながら孤独と不器用さの中で包み込んで癒して行く。その過程がまさに積木を積み上げるように優しく暖かく描かれている。
どうか続編のクリスマスのお話もコミカライズお願いします!
原作未読です。これは…凪良先生の原作も読まなきゃいけないな、と思いました。
もう、序盤の透の境遇から泣けて仕方なかった。。( ; ; )
人生の幸不幸をサイコロの目に例えた表現がすごく印象に残って…
「生きている限り、サイコロは振られ続ける」という言葉が、重く響きました。
生きてきた環境も持っているものもまるで違うけれど、それぞれ生きづらさを抱えている点は同じで、どうしようもなく互いに惹かれ合っていく二人。
そんな二人が心から笑い合える日々が仮初でしかないんだろうなと予想できてはいても、いざ警察の捜査の手が入り、刑務所に収監され…と場面が展開していくと辛くて、すぐにはページがめくれなかった、、
透が刑務所に収監されていた2年の間、加賀谷はどんな思いを抱え、どう日々を過ごしていたのか。加賀谷の告白から十分伝わってくるものがあったけれど、その部分をより詳しく知りたい…!という気持ちになりました。(これはひょっとしたら小説の方に詳しく書かれているのかもしれませんが)
じっくり読ませて考えさせてくれる、良質の物語を読んだな…という満足感の大きい、素晴らしい作品でした。
電子の単話も読んでいましたし、原作も読んでいましたが、やっぱりいいものは良いです。最後に向かって猛烈に萌えあがります。なので神にしました。黒沢先生の絵が大好きなんです。雑誌掲載分+描き下ろし9P(新装版のNEW YEARS DAYの一部分)。カバー下コミックは無し。
母に捨てられ、中学卒業してすぐ働いていた透。なんだかんだ上手くいかずに職を転々とした挙句、男相手の恋愛詐欺をするようになっています。今回のカモは大病院経営している家の長男。ゲイバーで声をかけ、体を重ねるようになったのですが・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は、無し。小説ではもう少し人がいるのですが、コミックはくっついたところまでなので、二人のみです。
++コミカライズで好きなところ
要先生の絵がほんとに好きで。加賀谷は要先生の描かれた加賀谷がどんぴしゃ。優しい、甘い容貌で、ちょっとぼんぼん傾向ありで。初めて出会った時のテレまくっている表情がもう可愛くて。
ちょっとシャイじゃんと思う加賀谷が、クライマックスでは全身で透を求めていて。バスで揉めるシーンのところは最高でした。コミカライズされるってこういう所が素敵だわ・・脳内補完しきれていないものを全て絵として見せてくださる。有難い。
そしてもう一つ好きなのが、要先生のデフォルメされたキャラ。ああもうしょげた加賀谷なんて、つっついたらそのまんまコロンって転がりそう(起き上がりこぼしみたい)。初めて透を家に招いた時に加賀谷の凹み加減と透の呆然とした表情!最高でした大好きです。
原作の味そのまま、大好きな先生の絵でコミカライズされて、本当に幸せな1冊でした。できれば原作後半のお話もコミカライズしていただけないかなあ・・・