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「ああ、なんだかいいなあ」で始まり「なんだかすごくよかったなあ…」で終わる魅力的な作品でした。
上下巻どちらも好みど真ん中でとってもうれしい。
友人や家族、周囲の人々の自然体な雰囲気もとても良かったです。
夏がきて、秋がきて、冬がきて、そして春がまたやってくる。
彼らの姿を追いかけていると、体験していないはずの学校行事を一緒にやったような気がしてくる不思議。
なんだか高校生たちの青春の日々に自分も少しだけお邪魔させてもらったような気持ちになりました。
読んでいてこれがまたすごく心地が良いのだから素敵です。
文化祭にテストに修学旅行に…と、学校行事に取り組む戸上と箕野の学生生活がメインに描かれつつ、仲良しよりもちょっとだけ特別な相手の知らない顔をふとした時に見つけては、なにかわからない感情がひょっこり顔を出していた2人。
下巻では上巻よりもさらにもう少しだけ意識し合うのですが、そのどれもがなんともかわいらしすぎて、何度もわき腹をこちょこちょとくすぐられているかのようなこそばゆさに襲われました。
彼らの間に芽生えたものは恋愛感情なのか?と考えると、まだどちらとも言えないのではないかなと思います。
なんというか、彼らを見ているとどちらでもいいな。
この関係に名前なんてなくてもいいなと思えてしまうんですよね。
好きの2文字はどこにも書かれていないのに、お互いのことを特別に好きでたまらないのがこれでもかと伝わってきますから。
他の友人たちのように「カノジョ」はいなくても、自分にはこの人がいるからいいんだと伝え合い、ごく自然とやさしさを持ち寄って一緒にいる戸上と箕野の間に漂うやわらかな空気が好きです。
これから2人がどんな関係に変化していくのかはわからないけれど、きっと長い続く付き合いになるのではないかな。
そう願っています。
高校生活ってこんなに楽しいもんだったっけ?と人生やり直したくなりました。
というわけで、下巻なのですが、特別すぎる友情にそろそろ”恋”という一文字を意識してしまうのではないか~と思っていたのですが、いやもう、これは意識したと言ってもいいんではないでしょうか(ダメ?)
あとは、永遠にこのもどかしい二人を見ていたいなという気持ちになりました。大学生と専門学校生と、別々の道を歩みそうなふたり、そしてうっかり彼女とかができちゃうかもしれない(特に戸上)けれど、なんだかんだつかず離れずで続いて、30過ぎたあたりにくっつくっていう展開でもいいんじゃないでしょうか、いや高校卒業して一緒に暮らすとかでもいいんですけどね。(←誰?!)
彼らの周辺人物たちも皆優しいし、クラスが離れてますます箕野への保護欲を募らせる戸上にニヤケてしまうし、たーくんの幼馴染みの莉央ちゃんは腐女子だし、沖縄の蛇のぬいぐるみが可愛くて欲しい…胸がいっぱいになりました。ふたりの名前がタイトルなんだ!とここにきて気づいて、さらに感動してしまうのでした。
上巻で誕生日を目一杯祝ってくれた箕野に内心びっくりしていた戸上が意識するようになってきましたね。
無愛想で口数少なく照れ屋な戸上が箕野のことを気にかけたり照れちゃうのがかわいいです。
戸上が赤面するのが夕焼けのせい?なのも粋でした(上巻できゅんとする箕野の顔が夕日に照らされていたのと対比かな)
お土産のへびのぬいぐるみを巻きながら箕野の無自覚な言葉に照れて座り込んじゃう戸上に萌え〜。
箕野は相変わらず無邪気ですが、戸上のことがますます大好きなのがわかる。
リオちゃんの証言で戸上にもよりそれが伝わったし。
修学旅行や文化祭では一緒にいる時間は少なくてもお互い気にかけている描写がよかったですし。
2人とも元々やさしい性格だと思いますが、好きな人のための行動が本当にやさしくて、そこに感動するんだと感じました。
エピソードの描き方がすばらしすぎるんですもん。
絆創膏、水族館の写真、おしるこを出してくれる神社、誕生日プレゼント…などなど。
9話ラスト
戸上「──〰〰ありがとうっ」(言えたっ)
箕野「顔 こわすぎっしょ~♪」
戸上の反応
友だち「…へっぐし」←これが入るのがいい
この流れ、間がツボでした。イシノ先生のこういうところ大好きです。
2人だけのお泊り…BL的にほんのりでもエロ展開くる?と匂わせつつ、そこはこのお話らしいほのぼのしたものでした。私はここも好きです。今のこの2人でのエロは不自然ですもんね。
微エロすらなくとも、親密度が増したように見えるし。距離も近くなってますよね。そこに萌え~です。お揃いのパジャマだし。ただの友だち以上の熱い感情がある。それがいいんです(大声)。
箕野「俺は戸上がいるから(彼女は)いっかな」、戸上の卒業アルバムを抱きしめ「俺は戸上がどこにいたって見つけられるんだぜ」
↑この二言は箕野の無自覚告白〜
箕野の2回目の「俺は戸上がいるから(彼女は)いーんだよん」に対して
戸上「俺もだよ」で両思い成立〜。それがまだ恋愛でなくても。この先恋愛関係にならないとしても。
この2人が心を通わせていくお話が最高でした。
カバー下、箕野のタイトルの解釈もすばらしい。
友だちや家族、脇キャラ全員よくてそこも大好きです。
気になった点としては
戸上が勉強熱心なのは目指す大学や将来の目標(本に関する職業とか)があるからですよねきっと。そこが描かれていないので続編あるかなと期待してしまいます。
藤澤先輩が買っていたプレゼントの相手も気になりますし…友だちの生徒会長でしょうか。
その辺も含めてぜひぜひ続編を希望します。
大人になった戸上と箕野の仲睦まじいお話が読みたいです!!(土下座)
イシノアヤ先生は絵がとても好きで、ここ数年で知ったので過去作を追っかける日々でしたが、新作刊行に心踊りました。
単話も読んでましたが、単行本化は待望でした。
戸上がいいやつはいいやつなんだけど、八方美人ていうより箕野には特別優しいところが可愛いかったです♡
二人をつなぐアイテムたちもかわいらしいものばかり。
特に劇的な何かは起こりませんが、平凡な日常だけどお互いを思いやるシーンのひとつひとつが尊くて暖かい気持ちになります。
イシノアヤ先生のペンのタッチが大好きで背景も丁寧で台詞のないシーンも素敵でした。人物の動きが柔らかいところも良いです。
コミコミの小冊子は読むべきと個人的には思います。
タイプの違う2人のごくごく普通の日常が描かれている青春に満ちた上下巻作品です。
無理にBLにしない、お互いを人としていいなと思い尊重し大切にする2人をじっくり堪能することができてすごく良かったです。
あくまで友達だけどほかの人よりちょっと特別で、それゆえに下巻ではあれ、ちょっとドキドキしている…かも??くらいの気持ちの変化がこちらとしてはたまらなくむずがゆくてときめきました。
恋になるか特別な友達のままか、本当に想像するしかないですが、でもこの2人はつかず離れずずっと一緒にいるんじゃないかなと思えるラストに心が温まりました。とってもよかったです。