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偏食家のためのレストラン

henshokuka no tame no restaurant

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表題作偏食家のためのレストラン

友光 祐大
27歳、料理人
柳井 千秋
27歳、不動産営業

あらすじ

元同級生・友光と偶然再会した千秋。料理人の彼になんでも希望する料理を作ると言われるが、千秋には愛ゆえの食へのこじらせが!?

作品情報

作品名
偏食家のためのレストラン
著者
海野幸 
イラスト
蓮川愛 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576250588

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22

4.7

(46)

(37)

萌々

(7)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
12
得点
219
評価数
46
平均
4.7 / 5
神率
80.4%

レビュー投稿数12

再会した高校の同級生の食生活改善




千秋(受け)は不動産屋の営業として着々と成績を重ねてきた今日この頃、何か足りない思いに囚われ、人生の迷子になっています。
そんなとき、偶然本屋で高校の同級生友光(攻め)と再会します。
料理人の友光は勤めていた店を辞め、今はぎっくり腰で店に出られない叔父の店をやっているという。
不動産屋の性でつい独立するなら物件紹介するという話になり、どういう店を開きたいかと聞くと「偏食家のためのレストラン」を開きたいと。
とりあえず、千秋をサンプルとして料理を作らせて欲しいと頼まれ、休みの日に料理を作ってもらうことになるるのです。


タイトルから主人公がすごい好き嫌いが多い食に関してわがままな人なのかと思ったら、栄養を摂るために食事するタイプでした。でも、サプリで栄養を補うタイプじゃないところがまだ救いがあるかなーと思いながら読んでいました。

友光のカウンセリングにより、食事を楽しむとか、自分の体がいま何を必要としているのかを問いかけることとかを学んでいくうちに、友光に対して好意を持っていくのです。

千秋がこんな食生活になってしまったのは、母親と祖母の影響です。
が、二人に悪気はなく「たくさん食べて大きくおなり」という考えの祖母によって高カロリーなものを食べすぎたせいで、肥満体になってしまい、それを当時好きだった人に指摘されたことがきっかけです。

そもそもの話、中学の制服採寸の時まで太り過ぎってことに気が付かないのはおかしいですね。
小学校の間は学期ごとに身体測定があって、身長体重肥満度が家庭に送られるはず。看護師だった母親がそれに気が付かないなんてありえない。
仕事で忙しかった時ならいざ知らず、再婚後は専業主婦で祖母と二人で家事を回してるなら余裕あるはず。
結局母親が悪いんだろうなってことですが、肥満体になったことで母親や祖母とギクシャクしてしまい、頑張ってダイエットした結果、リバウンドが怖くて栄養素のことしか考えられない食事をする生活に終始する、違う意味で寂しい食生活をすることになってしまった千秋が、食事の楽しさを自覚し、母と祖母と和解できて本当に良かった。

これからは料理人がすぐそばにいてくれるし、大丈夫ですね。
いつか、友光のお店を千秋がプロデュースする日が来るのかな。

食事は大事だと痛感するお話でした。

0

私のオーダーも聞いてほしい。

読み始めたときの感想は、「あぁ〜海野幸さんの書く受けって感じ!」でした。
一癖あるというか、妙な拘りのせいで生きづらそうというか。

この作品の受け、千秋の拘りは食事なんですね。
味とかではなく「正しい食事」かどうかにめちゃくちゃ拘ってる。
彼の食事は、好きとか嫌いとか気分とか一切関係なく、栄養バランスが正しいかどうかを突き詰め、嫌いな食材でも栄養に必要とあれば機械的に口に運ぶ。
食事というよりも、補給とか摂取って感じ。

最初こそ厄介そうな人物だなぁと思ったけれど、読み進むにつれて、食に正しさを求めるようになってしまった背景がわかってくると、千秋への印象が変わっていきました。

9年ぶりに会った千秋に対して、「偏食家のためのレストランをいずれ開きたいからまずはお前が客になってくれ」なんて言い出した友光に対して、気持ちが揺れ動いていくんですね。
ここまで丁寧に対応してくれるなんてもしかしたら??と期待してしまったり、いやいや、そんなはずない……とか一喜一憂するんですよ。
友光の真意が私自身も読んでいてなかなか見えてこないので(まぁBL世界の攻めなので、読み終わってみりゃ、そりゃそーだ!なのですが)揺れ動く千秋の気持ちに寄り添って読み進めることができました。

個人的には、千秋の母が好きではなかった……。

祖母の気持ちはまぁわかる。
(でもさー、病床の孫にフライドチキンって、自分も病気のときにフライドチキン食べられるの?!)

もし私が、千秋母の立場だったら……と考えるとめちゃモヤるんですよ。
小学生の頃から肥満だと成人病のリスクが高くなるってのに、子供の健康そっちのけで、自分の立場とかお気持ちを優先する母親ってなんなの?と。

お料理はありがたく頂戴するとしたって「もうちょい量を減らしていただけませんか?」とか交渉するのがお前の役目だろーが!
自分が憎まれ役になったとしても子供を守れよ!!
なんで一緒になってデブまっしぐらの道に加担してるんだよ!!と。
サバサバぶってるところも鼻につくというか。
千秋はそのせいでめっっっちゃくちゃ苦労したってのに……!!!!

それはさておき。
攻めは包容力のあるお方でしたね。
「お前のオーダーは全部叶えたいんだ。」というセリフ、私も言われてみたいです。






0

偏食家のための

自分も飲食店勤務が長かったので、友光がやろうとしている「客の要望を全て聞く1日1組のお店」とやらにまたまたまたぁ、やっぱり小説だからよね、なんて思っていたのですが、最後のタネ明かしで納得!!
凝り固まった千秋の「正しさ」は幼少期の経験が原因で、素直になれないこじらせた思春期も良きところに着地し安心しました。
”誰かが作る料理にはささやかだがたくさんの祈りがこもっている”というフレーズは胸にくるものがあり泣きそうになりました。
食べる、作る、ということに対して改めて考えさせられる1冊でした。
あ、もちろんBLとしても良かったです!!
千秋が超初心者なくせに「いつもみたいに甘やかしてくれ」とか言っちゃうの!!
コラー♡

1

沁みました~!!!

じんわりとこころがあたたかくなるお話…!とても、とても面白かったです!!
食事って大事なんだなぁ…と何度も思いました。友光さんの言葉に(そうだよなぁ…)と何度も頷き、千秋さんの過去からくる食への思いに(それはつらいなぁ…)としんみりし、お祖母様とお母様の過去の行動やそれに関するお気持ちを知り(ああ…わかるなぁ…)と思ったり。
いっぱい食べてくれると嬉しいですものね…わかるけれど、思春期な千秋くんにはすごくつらかっただろうなぁと。
再会したクラスメイトの友光さんに背中を押され、お祖母様とお母様へ想いを伝えられたシーンは涙ぐんでしまいました。ええ話や…!

友光さんと千秋さんの恋も素敵で…!友光さんの穏やかさと包容力にときめきまくりでした。ふたりの過去エピソードもとても良かった。高校時代、千秋さんが笑えていたこと、すごく嬉しかったです。友光さんの行動力に乾杯!

こころがあたたまり、お腹がすいてしまうお話でした。おもしろかったです!!!

2

面白かった!!!

海野先生の現代物、本当にハズレがないですねぇ。
面白くて一気読みでした。
blとしても面白いのですが、自分の食生活を見直すいい機会にもなりました。自分の気持ちに寄り添って、何を食べたいのか考えてみる。一見簡単そうに見えてなかなか難しく、作中の受けの気持ちがよくわかりました笑

特に好きだったのは後半のおばあちゃんと母親とのエピソード。思わず涙ぐみながら読んでしまいました。

もちろんbl部分も超面白いです。学生時代の攻めと受けのエピソードが良かったなー

おすすめです!

4

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