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君は美しい海賊王の真珠

kimi ha utsukushii kaizokuou no shinju

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表題作君は美しい海賊王の真珠

レオ
熊のような風体の漁師
ライハ・キャンベル
20歳、泳げない海軍士官

その他の収録作品

  • 番外編 真珠の夜に誓う
  • あとがき

あらすじ

海軍将校の父に憧れて海軍士官となったライハは、とある大海賊の頭領ラインハルトを捕まえるため、目撃情報のある漁村に向かう。だが、海岸にはボロ小屋に住む漁師レオしか見当たらない。実は、かなづちのライハは調査の名目で体よく海軍から追い出されていた。手がかりを得るまでは帰れないライハに、レオは家事をすることを条件に家に居候しないかと提案する。予期せずレオとの共同生活が始まるが、素性のしれないレオとの暮らしに、充実感を覚えるようになり…?

作品情報

作品名
君は美しい海賊王の真珠
著者
伊達きよ 
イラスト
やん 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
ルビー・コレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784041164631

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56

4.2

(50)

(28)

萌々

(15)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
12
得点
210
評価数
50
平均
4.2 / 5
神率
56%

レビュー投稿数12

真珠の意味から読み解く物語のエッセンス

愛する人を「真珠」に例える、最上の口説き文句のような文言に思わずクラリときた甘甘タイトル。因みに、真珠の石言葉は、「誠実」「幸福」「純潔」などがあると言われています。
主人公が左遷先の島で真珠の養殖業に携わっていたから使われただけ、とは言えないようなキラーワードの数々。ストーリーにもこれらの意味がしっかり反映されており、真珠の存在感を強く感じる物語展開が実に面白かったです。

タイトルだけ見ると、海賊王と"君"がBLしちゃうお話なんだなーとすぐに分かると思います。
ところがどっこい。海軍士官の主人公・ライハが島で親密になっていくのは筋骨隆々な漁師の男・レオ。海賊王はどこいった?これからお出ましか?…いや、もしかして…?と、色んな疑問が渦巻くと思いますが、漁師のレオと海賊王のラインハルトの繋がりを考えなかがら読むとめちゃくちゃ楽しいです。

憧れの海賊王と、目の前にいる無骨な漁師との整合性がなかなか取れない前半部は、レオの残念なところが目立つことが多いけど、話が進むにつれ、レオがどんどんカッコよくなっていくんですよね。いや、レオがカッコよくなるというよりかは、それまで知らなかったレオの内面のカッコ良さを知っていく…といった方が正解かな。
レオ目線にしても、ライハの素直で一生懸命なところに絆されていくのが手に取るように分かるので、BLの基礎がしっかりと固められていく2人の同居生活を温かく見守っていきましょう^ ^


そんな2人の愛が、着実かつ堅実に育っていくのを見守る一方で、その背景に渦巻くきな臭い動きによって、国の危機やライハの危機、ひいてはレオの危機へと派生する事件展開からも目が離せません。
海を拠点に活動する男たちの誇りと威信をかけた熱き戦いのドラマは、"正義と悪"、"偽りと真実"といった対立構造をベースに動きます。
ライハにトラウマを植え付けた憎き相手との対峙、高職にある者の不正の暴露……綿密に計画を練りながら内部告発を進めるライハたちの血と汗の戦いが壮絶で、肉弾戦あり銃撃戦ありのバトルシーンはハラハラがいっぱいでした。

それに加え、ライハとライハ父との間にわだかまっていた家族問題にも触れる一幕もあり、ライハが幼い頃から苦しみ続けてきたことが解決に導かれていく救済面にもアプローチしています。
ライハ父、なかなか良いキャラクターでして、こんなオモローなお父さんとずっと不仲だったなんて、ああ……なんて勿体無い時間を過ごしてきたのか。番外編でのライハ父とレオとのやりとりには大爆笑でした!


伊達きよ先生の作品はとにかく受けの子の前向きさがキラリと光ります。
ライハも例に漏れず、健気で、頑張り屋で、思いやりがあって、素直で天然で可愛くて……と魅力がいっぱいです。もちろん夜の方も、レオを無自覚パワーでメロメロの骨抜きにしています(笑)
苦労人だからか、人の痛みを知る力も高いですし、父の背中を見て育ったおかげで正義感も強い。迫力あるイケメンのレオにキャラ負けしてない魅力に浸って欲しいなと思います。

ストーリーやキャラ、テンポ感も良く、読後感も大満足ですヽ(´▽`)/
海の世界に生きる男たちの物語に心酔した一冊でした。

5

前向きで強い受けちゃんが最高

伊達きよ先生の作品の受けちゃんには
可愛くて、前向きで、逞しくて、溺愛されるという共通点があります

今回の受けちゃんであるライハも漏れなく逞しい受けちゃんでした
トラウマ持ちではありますが
正義感があって実は肉弾戦は強くて
素直で真っ直ぐに育ったお坊ちゃん

対してワイルドな攻め様であるレオは
序盤からそうなんだろうなぁと匂わせながらも裏切らない伝説の人でした

2人が一緒に生活をしていくなかで
安心感と信頼と芽生えた恋が可愛かったです

ライハへの想いを自覚したレオの激甘なセリフは恥ずかしくなるほどですが
それを恥ずかしげもなく堂々と口にするあたりが色男なんだと思います
一方でレオへの愛情を認めたライハも
父親の前で堂々と恋人として振る舞うのがこざっぱりしていて気持ちがよかったです

公平な王様と副船長の関係も気になりますが
どうなんでしょう
匂わせるような感じはありましたが
想像にお任せという感じでしょうか

とにかく真珠のようなライハが末長く幸せであって欲しいです

2

頼れるくまさんと強く逞しい受け…!

おーもーしーろーかったです!!!
たくさんの絆を見せていただきました。笑って泣いてときめいて。緊迫シーンではハラハラドキドキ、本当に面白かったです!
漁師の怪力熊男レオと、美形の海兵ライハくんとの物語。お互い、いい感情を抱けない出会いからたくさんの日々を共に過ごし、信頼していく過程がとても素敵でした。
背中を預けられる関係、とても、とてもすき…!
レオへの気持ちを自覚する前のライハくん、すっかりレオさんに懐いちゃってかわいいのなんの。そりゃ骨抜きになりますよ。無自覚で煽ってるライハくんに振り回されてるレオさんがかわいそかわいかったです!
お互いの気持ちが通じてからのラブラブっぷりにはニヤニヤしました。レオさんがめちゃくちゃ過保護になってるし、ライハくんは気持ちを真っ直ぐに伝えるし甘えるしで、最強カップルすぎる。このふたり、腕っ節も強すぎますし!

主役ふたりの強い絆だけでなく、レオさんと村の老人たちとの絆、ライハくんと師匠との絆、ライハくんとその父ダイアさんとの絆、レオさんと仲間たちの絆…たくさんの絆の強さを見せていただきました。泣いて笑って胸があたたかくなり、本当に、本当に素敵なお話でした。

サブキャラもみんな魅力的!ライハくんの師匠や村の老人たち、副長、そして「元くまさん」ことライハくんパパ!
元くまさん、今くまさんのガルガルシーンはとても面白くて!何度も笑いました。

ボリュームたっぷり!読み応えあり!オススメです!

1

弱さを強さとして正しき道を目指す勇気

今回は僻村の漁師と海軍士官のお話です。

受様が海賊調査で赴いた村で出会った攻様とともに
海軍内の権力抗争に終止符を打つまでと
本編後日談を収録。

ドルフィリア王国は
死優位のほとんどを海に囲まれて
交易のほとんどを船に頼っています。

そのため高価なものを積んだ船を狙う海賊が多発し
海賊と対する海軍は「鉄鋼のドルフィーナ」と呼ばれ
ドルフィリアの誇りです。

海軍将校を父に持つ受様様は
幼い頃に両親とともに出かけた海で波にさらわれ
母を亡くした事で海に苦手意識を抱きますが
海軍を志します。

海軍では親の力と馬鹿にされないよう
寸暇を惜しんで学び常に完璧であろうとしますが

母似で美麗な受様に執着した上官に
乗船予定の船の点検中に襲われて海へと身を投げた事で
海への恐怖で泳げなくなったばかりか
船にも乗れなくなるのです Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

受様は事務仕事へ移されても
なんとか海への恐怖心を克服しようとしますが

1年経っても船にも海にも近づけず
辺鄙な村での目撃された海賊船監視という
実質左遷を言い渡されます。

老人しかいない村で
余所者の受様は警戒され相手にされず
唯一話を聞いてくれた真珠養殖者の老婆から
誰よりも海を見ている漁師でした。

受様は漁師も老爺だ思いこみますが
漁師は村で一番若く分厚い胸板に浅黒い肌をもつ
凶暴な熊のような男だった上に
受様は崖の崩落で海に投げ出されてしまうのです!!

受様の命運はここで尽きる・・・のか!?

伝説の海賊王の攻様とカナヅチ海兵の受様という
天敵な関係の2人の恋物語になります♪

この漁師こそが今回の攻様で
受様が泳げないと知ると海に飛び込みんで
助け上げてくれたのです。

受様が目撃された海賊団を探し出すまでは
帰らないというと呆れるのですが

寝泊まりする宿もない村で野宿してでも
"帰れない"という受様に家事を条件に
居候までさせてくれるのです。

攻様には監視でもある暮らしでしたが
真珠養殖の第一人者の老婆に気に入られた事で
受様は村人達に受け入れられていき
攻様の心も変えていきます。

村が嵐に見舞われた時
受様は無謀ながらも果敢な行動で老婆の真珠を護り
それがきっかけで秘された海賊船と攻様の過去を
知る事になるのです。

海賊団は冤罪を掛けられ隠遁していたのですが
その背後には清廉なはずの海軍と海賊の癒着があり
彼らの魔の手は受様の父にまで伸びていたのです!!

登場人物はそれほど多くないと思うのですが
それぞれの関わりが伏線として丁寧に絡められていて
受様のトラウマの克服、攻様や受様父の冤罪の払拭に
巧みに活かされていてドキドキ&ワクワク、

受様が海へのトラウマを克服し
攻様が逃げ隠れしなくていい日々を掴むまで
とっても楽しく読ませて頂きました ヾ(≧▽≦)ノ

読み終えてみるとタイトルの意味深さが
より効いて見えて良かったです♡

1

一等美しく輝く、真珠のような君

真珠のように輝き、まっすぐ明るく進んでいく主人公、
その成長が眩しい一冊でした✨

筋骨隆々の海賊王×泳げない海軍士官、
敵対関係にある二人(受けは途中までその事実を知らない)が
ひょんなことから同居を始め、互いに絆され合って
愛し合うようになる物語です。

途中、海軍と海賊との癒着問題、
それにまつわる陰謀なども明らかになり、
謎の解明と追及、王城でのバトルなどシリアス展開も。

まず何より良かったのが、主人公・ライハの頑張り。
人の助けを借りたとしても、自分の頭と力で
現状打破しようと頑張るところが男前◎

美人で華奢な体なのに、実は体術バッチリできます!
というギャップに惚れます//

攻めに常に救われるヒロイン的な立ち位置の
お話も嫌いじゃなけれど、やっぱり受けにも
カッコよく困難に立ち向かって欲しい!

このライハ、抱えるトラウマや海軍内での立ち位置・扱われ方が
なかなかに不憫なのです。

物心つく前、溺れた自分を助けようとして母親が亡くなり、
さらに海軍に入ってから上官に襲われかけたこと。

そんな二重のトラウマに苦しみ、海軍士官なのに
船に乗ることも泳ぐこともできない。
そしてそれ故に役立たずとみなされ、ど田舎の村へと左遷されてしまう。

”目撃情報のあった海賊船の情報を探る”という名目で
体よく追いやられたライハですが、
そこで出会った熊のように体の大きい厳つい男・レオに
溺れかけたところを救われ、流れで居候することになりー

と始まる、敵対関係ファンタジー。

レオの正体が初めからガッツリ予想がつくのは
お約束ですが、この無愛想レオの豹変ぶりが、
大きな見どころの一つでした(*´∀`*)

つっけんどんな言い方はするけど、不器用な優しさを
見せていたレオ。

そんな彼が、なんでも一生懸命に頑張り、
明るく素直なライハに「おや?」と印象を覆され、
絆され、”好きだ”という感情を抱くようになっていくー

後半〜終盤にかけてのレオは、前半部分のレオとは
比べものにならないほど、あまーーーーーーい!!!

タイトルどおり「君は真珠」といったことを
遠慮なく囁きますし、美形の副船長に見惚れるライハを見て
嫉妬しちゃうし、またライハの涙にめっぽう弱く、
少しでも「痛い」と泣かれると
突っ込みたい気持ちをぐーーーーっと我慢する。w

熊さんのように大きな体で「待て」をするワンコな姿が
いじらしくて、キュンと萌えるー...

伊達きよ先生があとがきで書かれているように、
”過去と向き合い、乗り越えていく”主人公の成長譚の今作。

泳げず、船にも乗れない(吐いて気絶してしまうレベルのトラウマ…!)
ライハが、何をきっかけにどうトラウマを克服していくのか。
ここ、ドキドキハラハラしながら見守りました。

ヤナ婆さんの大切なものを守るため、
決死の覚悟で海へと足を踏み入れるライハ。
胸がぐっと熱くなる瞬間でした…!

自分の弱さをレオの前でさらけ出し、
レオの言葉に励まされて自分の弱さと向き合うことができたライハ。

けれどその関係は決して一方的なものではなく、
攻めのレオにもまた、過去に抱えているものがあるのですね。

交流が深まる中で互いの弱い部分をさらけ出し、
信頼と愛を深めていく二人の甘やかな時間に、
幸福感を味わいました(*´˘`*)

そして海軍と海賊との癒着問題と陰謀。

この王城での作戦と戦闘、そして解決に至るまでは、
ちょーーっと早急、急ぎ足に感じられたかな。。

敵方にもレオ&ライハ側にも、
何かもう少し捻りのある作戦があるのかな?と思いきや
意外とあっさり解決した感はあったかもです;

とはいえ。

ページが進むごとに甘やかになる二人の関係と、
過去に向き合う強さを得ていく主人公の姿ー

そういったものに心を打たれ、
読後は幸せな気持ちに包まれます。

360P超えのボリュームを楽しめる、
海が舞台のファンタジーでした・:*+.

6

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