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表題作雪よ林檎の香のごとく

国語の教師 桂英治
高校1年生 結城志緒

その他の収録作品

  • 手のひらにきみの気配が

あらすじ

中学受験も高校受験も失敗し、父の母校に進学する約束を果たせなかった志緒。今は、来年編入試験を受けるため、じりじりする気持ちを抱えながら勉強漬けの毎日を過ごしている。五月雨の降るある日、志緒は早朝の図書室で、いつも飄々としている担任・桂の涙を見てしまった。あまりにも透明な涙は、志緒の心にさざなみを立て―。静かに降り積もるスノーホワイト・ロマンス。期待の新鋭・一穂ミチのデビュー文庫。

作品情報

作品名
雪よ林檎の香のごとく
著者
一穂ミチ 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
雪よ林檎の香のごとく
発売日
ISBN
9784403521942
4.2

(321)

(212)

萌々

(41)

(25)

中立

(9)

趣味じゃない

(34)

レビュー数
66
得点
1308
評価数
321
平均
4.2 / 5
神率
66%

レビュー投稿数66

ノンケ同士の先生×DK

一穂ミチ先生ならではの心理描写かな、というお話です。タイトル通り、DKとその担任の先生のお話なんですが、特に2人ともゲイという訳では無いのです。ノンケの2人が何故、どうやって恋愛感情を抱くに至ったのか、というところがエロありきのストーリー展開ではない、一穂先生ならではのお話で引き込まれてしまいました。

過去に苦い経験をして贖罪のように生きている先生の意外な一面を見た志緒少年。志緒ちゃんの行動力に胸を打たれ、新しい人生を歩み始めようと思えた先生。

成績は優秀なのに中学、高校受験に失敗している志緒ちゃんの言動には筋が1本通っていて、悪くいうと頑固なのかもしれないけどそのブレなさ、思慮深さが先生には眩しく映っていて、それは本を読む私にも同じように眩しく、輝いて見えました。

大なり小なりあったとしても、何も失敗なく大人になる人はいないと思うので、大人であれば先生に共感できるところがあるんじゃないかな…。

そしてこのお話で好きなポイントのひとつは、志緒ちゃんが成人するまでは手を出さないというところです。もちろん学生のうちに最後までやっちゃうお話も好きなんですが(笑)、先生の大人としてのケジメをつけるところが、志緒ちゃんの生き方とも合っていて良かったです。

そしてこの本編を読んだら「林檎甘いか酸っぱいか青、赤、黄」を読むことをオススメします!本編で辛いことがあった分、甘々補完の短編集になってます。ちなみにりかちゃんとの仲をこじれさせようとしてくれた栫くんのお話は「meet,again」という1冊がありますのでよろしければそちらも読んでみてください。

1

不安定だからこそ美しい

電子書籍サイトで割引になっていたからこそ出会うことができました。感謝

背景、景色、色、想い、どの描写をとっても言葉の選び方があまりにも繊細で美しい。

受験の失敗が重なり親にも周りにも意固地になってしまった志緒が先生でありながら先生らしくない色々な面を見せる桂に出会い、自分が抱えている悩みなんてと思ってしまうほどの過去を知り、そしてついにはそんな桂を思ってか、それとも自分のためか、札幌にまで1人でこっそり行ってしまうという行動をとってしまうほどあまりにも桂を好きになってしまった。そんな志緒の想いを受け止め、自分からも返した桂。そんな2人のハッピーエンドのような展開で終わった1話。

個人的には2話が本当にしんどくて、でも美しくて、すごく刺さりました。

想いを寄せ合って、付き合って、幸せなように見えるのに、どこか考えがすれ違ってる。でも決定的な何かを目にしないから解決もしない、そんな状態にいる志緒を見ていてあまりにも胸が締め付けられた。真綿でずっと絞められているようなそんな不安に晒されていた志緒が桂から離れる未来を選んでしまわないか、もうずっと不安でした。嫌いじゃないけど別れを選ぶってこういう言葉にできない不安に晒され続けたからなのではないかと。
そんな中起こった栫くんと葉子さんの出来事。これがどう転ぶか、決着がつくまで本当に手に汗握るような気持ちで読み進め、最後にようやく息ができました。あまりにもリアルで、本当に心に刺さる。。

何より志緒の不安に寄り添い続けた結果、桂の気持ちが見えなくなってしまって、好きって言ってきたのも唐突だったし、とか色々考えていた最後の最後に桂の志緒への愛を、惚気をぶつけられ涙が出るほどホッとしてしまった。志緒はちゃんと愛されているんだなぁと思うとあまりにも嬉しかった。

本当にキャラクター1人1人に、でも誰よりも志緒に寄り添って読んでしまう1冊でした。心のカロリー消費が激しく、でもずっと余韻に浸っていたくなるようなすごい作品でした。

1

人生

この作品に出会ってから今迄なんどもなんども読み返しています。2人の思い出の地に聖地巡礼するほどで実際の土地が出てきたり食べ物やお酒の名前が出てきたりするのも一穂ミチ先生の作品で好きなところでもあります。色林檎を通して今後のふたりの人生を覗き見できるというのが本当にうれしくてしあわせな気持ちになります。過去のこと、現在のこと、未来のこと、それぞれに向き合って志緒ちゃんと先生はふたりでいてくれるそんな安心感があります。

0

さくさくと…

高校教師(20代後半)桂 高校生(15歳)志緒の物語
志緒の目線で物語が進んでいくので読んでる私も不器用で尖がりまくっていた高校生にタイムスリップした気分で(実際はとっても大人なんですが…)読み進めていきました。
リアル大人な私からしたら先生も志緒も青春だなと、互いに不器用で弱さを隠しているつもりででも隠しきれてなくて…自分の気持ちを胡麻化すことすら出来なくて…。
でも真面目に障害物にぶつかりながらも一生懸命生きてる。この物語に出てくる「りかちゃん」も「ようこさん」も真面目に一生懸命生きてる。
一穂先生の作品にはいつも一生懸命生きようよって言われてる気持ちになるんですよね。その人間臭さが『一穂節』とでもいうのかな。
こちらは先生処女作ということですが主人公の青さと先生初々しい感性が相まって結果名作の爆誕でした☆
一穂先生、ずーーーーっと大好きです。

2

君かへす朝・・

余りにも人気が高いので、何故人気が高いのか興味を持って購読。

桂英治:国語の教師 
結城志緒:高校生

タイトルは短歌の引用。著者は、色々読む読書家みたい。
「君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」
北原白秋が不倫相手の女性を見送る朝を歌ったもの。この不倫相手は、白秋の二番目の妻。
・・この歌を桂に教えたのは、初恋の女性。
・・桂と白秋の人物像がダブる。

「てのひらに」は、あとがきに伊津野恵美さんの短歌・・、とあって、
歌集「紙ピアノ」の 「手のひらにきみの気配が満ちてきてあかるい 夜の底をゆくときも 」。

タイトルが示す通りの桂の初恋と「結城」の関わり。
短歌を引用するだけあって、全体の文章の語感とリズムが良い。
ありふれた題材をり上げても、語感で読者を読者を酔わせる文章が、
人気の秘密じゃないかと思った。
文学少女向けのBL。

0

無題

題名は有名な詩からとった物ですね、苦手な先生×生徒物ですが好きな先生のデビュー作なので読んでみました。

読み始めはやっぱりキモっと思ってしまったのですが、流麗な文体のおかげで段々気にならなくなりました。ただ攻めが相当な屑なんですよね、一見飄々としているけどかなり節操が無いというか。

そういうのの延長線上で生徒に手を出しているので本当に好きなの?単に性欲では?と思ってしまいました。本人たちが納得しているなら何も言うことは無いのですが。でもすぐ別れそう。

0

甘くない、先生と生徒の恋

再読。

明るくて若く人気者の先生である桂と、愛想がなくて不器用で真っ直ぐな高校生の志緒。
いつもは明るい先生の涙を、志緒が見つけてしまった時から話ははじまる。


ぶっきらぼうな志緒を揶揄う桂先生と、ある理由から朝図書室で勉強する志緒の図書室での交流。志緒の兄妹のように育った幼馴染のリカ。リカが傷付けられたと分かった時や自分の想いに気付いた志緒の、思春期ゆえの不器用さや行動や想いに、ぎゅっと胸が締め付けられます。

10代の繊細さや、透明感に満ち溢れた文章が読みたい人に。

0

なんてことないのに

なんてことないんですよ。
もう30代近くて、立派に大人をやってる年上の先生にも忘れられない過去があって、自分にはどうしようもない苦しさがあって。
思春期で何もかもがどうしようもない、なにもできない無力だ、みたいに痛感させられる年下の志緒にも、人に言えない痛みがあって、自分では変えられない毎日がある。
そんな2人が出会って恋して結ばれて切なくて。
あらすじを読んだら、なんてことないんですよ。
よくあるBL作品の1つ。

それなのにもう。もうもうもう…
一穂先生は絶対泣かせにくるんですもん……
まんまと泣きましたよ。

志緒ちゃんが素晴らしく真っ直ぐで強いんですよ。
いや、強いというより、懐が大きいんですね。
作中で、桂先生が、「救われた」って言ってたんですけれど、本当にそうなんです。
志緒ちゃんの人間性が、桂先生を救ったんですよね。
それを怖がらずに受け止められた桂先生にも、与えられた志緒ちゃんにも、愛しさが止まりませんでした。


「ようこさん」
そのの言葉が、音になって、読み手にまで伝わって胸を裂くようでした。

なんて、
なんて切なくて愛おしい恋を志緒ちゃんはしているんだろうか。
どうして、そんなに懸命に誰かを救えるんだろうか。

そもそも志緒ちゃんには先生を救いたい、救える、なんていう感情は微塵もなくて、それでも、桂先生の湖の底に沈んでるみたいな冷たい部分を両手で、その存在ですくい上げてしまうんですよね。
もう、先生は志緒ちゃんを愛さずには居られないと思うんですよ。

年齢差とか関係性のことで志緒ちゃんが負い目に感じたりするのもわかってるし、大人として自分が矢面に立つのもわかってるし、そのことでまた志緒ちゃんが余計に傷つくのもわかってる。

だけど桂先生には多分、そんなこと、なんだと思う。志緒ちゃんと一緒に居ることの方が、自分の魂の部分で、ずっとずっと大事なことだから。

そういう、言葉では言い表せないけれど、もう、絶対に失えないものの絆とか、繋がりの強さ、みたいなものをこの短い1冊の中でぎゅうっと表現してくれています。

0

これがデビュー作か…強いな…

さすが、一穂作品。
登場人物が魅力的です。

これでデビュー作だってんだから、もう参っちゃう。
一穂作品はイエスかノーかシリーズしか読んだことがないのですが、イエスかノーかが面白いと思った人なら、これはハマると思います。逆もまた然り。

このお話は、積もった雪の上にじんわりと落ちた窓の灯りとか、凍えそうな寒い夜の日につけた暖かなストーブとか、そういった幸福感があります。
ぎゅっと胸を締め付ける幸福感。切ないともまた違う、あたたかな光みたいな感じ。
心に灯された小さな幸せを味わってほしいです。
再読しちゃうって人もいましたが、気持ちわかります。この幸福感をまた味わうためなら再読しちゃう。

萌にした理由は、イエスノーと比べたらそんくらいかなってただそれだけの理由です。物語が面白くないとか、それなりとかそういった理由ではないです。

0

強気で真っ直ぐな受が良い

受けの志緒が強メンタルですごく好みでした!
キッパリハッキリものを言う様と、高い行動力がなんとも痛快で、、、気持ちがよかったです。
卒業後とかもっと先の2人も読みたい!!!

ネタバレかどうかわかりませんが、後半に出てきた栫くんに聞き覚えがあって調べたら、何年か前に読んでとっても好みだったmeet,againの栫くんでした!この作品のスピンオフだったのか!!と今更ながら知りました(笑)
栫くんがものすごい壊れた病みキャラ(だがそこがイイ)なのを知ってたため、志緒に何かするんじゃないかとドキドキしながら読み進めていく感じになり…それはそれでちょっと楽しかったです

1

何度も読み返してます。

本当に大好きな作品です。

ただ、実はこの本が出た当初はそこまですきな作品ではありませんでした。
評価としては萌くらい。
まぁ、年上攻め&歳の差が好き。さらに言えば先生&生徒ものが好きだから…くらいだったんですが、何度か読み返すうちにじわじわとこの二人が好きになっていくんです。

そして、続きの(続きと言って差し支えないのでしょうか?番外編?)「林檎甘いか酸っぱいか」の赤.青が出版されてそれを読んでからは…もうこの本も神作品となりました。さらにその後、黄 も出ていますので、この作品を読んでみようと思う方はぜひ他の作品も一緒にお読みください。

本当に…さらに続きを出してくれることを祈っています。

2

ずっと大事にしたい物語

高校教師・桂×高校生・志緒ちゃん(それも1年からの物語)の恋愛ものです。

主人公の志緒ちゃんは受験に失敗したのと、この年になって妹が出来るということで鬱屈し意固地になって自分の殻に閉じこもっています。

物語の始まりはそんな志緒ちゃんと桂が朝の図書室でたまたま出会い、それぞれの事情で朝のひとときを図書室で共有するようになるところから。
そんな中、たまたま桂が私的な手紙を落とし、それを志緒ちゃんが拾った事がきっかけで、二人はそれぞれの心にある秘密のほんの一端を知ることになります。
知りはするけどそれはほんの一端です。でもそれで志雄ちゃんはちょっと心が軽くなっていたりもします。

そんな2人の関係が変わるきっかけになったのがタイトルにもなった白秋の短歌。
「君かへす朝の敷石さくさくと 雪よ林檎の香のごとくふれ」

実はこの歌はかつて桂が高校生だった時に、婚約者がいるにも関わらず関係を持ち妊娠までさせた高校教師から教わった歌。
そしてこの歌は、不倫関係にある男が女に送った歌でもあります。林檎は罪の果実です。
でもそれでも林檎の香のように清洌で、雪のようにピュアで美しい、恋の歌でもあります。
歌の語のどのひとつのさえ変える事ができない、そういう「動かせない言葉」があるのだと、かつて不倫関係にあった教師に習った事を桂は志緒に教えます。
そしてそんな特別な歌、特別な言葉を教えられた志緒ちゃんは教えてくれた桂を特別な人として意識しはじめます。志緒ちゃんの初恋です。
(そういえば藤村の初恋も林檎がキーワードでしたね。)
特別な言葉、動かせない言葉を介して、2人の関係もほかに替えのきかない特別な関係、動かせない関係になる、というのがこの物語の粗筋です。

とは言っても、桂はかつての経験からくる悔恨があり、一見飄々と人当たりが良いようだけど、実は心を閉ざしていて、まともな恋愛関係はあきらめきっています。
しかも二人は教師と生徒。
当然ながら桂は、成人男性、しかも教師として、まだ汚れを知らない未成年であり生徒である志緒の未来を閉ざしてはならないと強く自身を戒めます。

そんな桂に対して、志緒ちゃんは勇敢にも飛び込んでいく。
この志緒ちゃんが本当に素敵なのですよ。
桂の不安がわかる賢い子だから、ちゃんと自分の頭で色々考えて、でも少年ならではの無謀さで、リスクを分かった上で行動に出るのです。
桂がどんなにつれなくしようと、頑固にただひたすら真っ直ぐに、初恋の気持ちを偽ることなく桂に向かうのです。
林檎の香のように清洌で、雪のように純白で林檎のようにほのかな色気を内包していて、ひたすら眩しい。

そんなことされたら桂にしてみればひとたまりもない。
二人はお互いがお互いを大切に思う事を分かち合うようになります。

とはいえ教師と生徒。大切な相手だからこそお互いの立場をよく考えましょーね、卒業するまでお預けしましょーね。といったあたりの諸々までが描かれているのがこの作品の良いところ。
桂が、大切な相手だからこそ、自分が枷になってはいけないのだ、悪い方に導いてはならないのだ、と、時に己の欲望と葛藤しつつも。大切に大切にゆっくりと志緒ちゃんを育むのです。

実は私、本当は安易にいちゃつく教師と生徒の恋愛ものをみると、ペド!ロリコン!犯罪者!と気持ち悪くなっちゃうのですが、本作はその辺りの問題を桂がちゃんと意識している(+志雄ちゃんが自分の頭でちゃんと物を考えられる子である)おかげで、嫌な気持ちにはなりませんでした。
そういう意味でもとても丁寧に描かれた物語だなと思います。

その後、スピンオフが3冊でていて、2人が少しずつ年月を重ねていく様が丁寧に描かれていて、一つひとつのエピソードがとても魅力的です。
3冊目ではとうとう志緒ちゃんは院を卒業し、仕事を持つ大人になっています。
こうやって大切に育まれている物語に出会えて幸せだなと思っていますし、その先をまだまだ待ち望んでもいます。
2008年に発売されて以来10年以上経ってもなお待ち望める物語って素敵だな。

蛇足ですが志緒ちゃんの幼なじみの女の子であるりかちゃんという子の描かれ方も本当に素敵でBL7にありがちな都合の良いモブとしてではなく、一人の生きた人間として描かれていて、そこもとても魅力的でした。スピンオフにもちゃんといるんですよね。

4

主人公がとても魅力的



主人公の志緒には、どうしても叶えたい望みがあった。
 それは、敬愛する父がかつて通った学び舎に編入すること。
 
 志緒は体調不良を理由に2度受験に失敗していた。幼い頃約束した父との約束を果たせなかった悔しさ。自分を腫れ物のように扱う両親への苛立ち。誰にも打ち明けられない様々な複雑な感情を抱えながら、ラストチャンスにかけて志緒は勉強漬けの日々を送っていた。

 そんな中、志緒が勉強するために使っていた図書室に、担任の桂が現れる。勉強の邪魔をされると最初は警戒していた志緒だったが、桂の時折見せる孤独な表情に引き寄せられるように、自分の秘密を打ち明け、距離を縮めていく。桂を信頼し、彼の痛みの訳を知りたいと思うようになった志緒だったが、そんな志緒に、桂は「一生恋人は作らない」と言う。そんな中、ある出来事をきっかけに志緒は桂への恋心を自覚して…というお話。

 
 教師×生徒もの。教師ものは2人の立場の違いとか、周囲の反対から生まれる葛藤をテーマにすることが多いと思うんですが、この作品ではあまりそこは重要視されていない。テーマは至ってシンプルに、好きになること、好きになってもらうことに絞られていて。じゃあなんで2人をこういう関係にしたのかと考えたら、志緒の若さゆえの潔さ、向こう見ずさ、危うさが無ければ、長年閉ざしてきた桂の頑なな心を溶かすことが出来なかったからだと思いました。以下ネタバレあり。

 
 主人公の志緒が他にはないキャラクターで魅力的。一見冷めているように見えて、自分が大切にする決めたことには惜しみなく自分を捧げる一途さとひたむきさがたまらなく愛しいです。

まだ幼い15歳の彼が、なんのためらいもなく自分より年上の桂が抱えてきた痛みや傷を全部受け入れて、守ろうとする姿が本当に魅力的でした。身を削るように相手のことを思いながらも、決して見返りを求めたりはしない志緒。かつての恋人を見つけた桂を引き留めず、背中を押したこの子の健気さに泣きました。
 
 本編を通しての感想は、とてもとても良かったと言うに尽きます。文章が読みやすくて、言葉選びが美しくて、登場人物の感情に心を揺さぶられる。読んだ後、本をぎゅっと抱き締めたくなりました。きっとこれから何度も読み返すと思います。

 好きなシーンは沢山ありすぎて…。でも敢えて言うなら本当に最後の最後、元恋人に桂が志緒のことを語るシーン。志緒も、桂もよかったね、と胸が熱くなりました。

先生のデビュー作とは思えない作品。ぜひ彼らのその後を描いた同人誌を纏めた「林檎甘いか酸っぱいか」も合わせて読んで頂きたいです。


0

雪のようにさらっとした、綺麗な話です。

話しとしては、すごく好きで、表現が綺麗で、ほわっとしているかと思えば、直球な会話で一気に進む展開だったり。
特に、桂に振られたりかの代わりに、志緒が怒りに行く場面。
いきなりの志緒の告白に、私があっけにとられました。
なんだ?!この急展開!
いつ?!いつ好きになった?!
何となくは分かっていましたが、ゆる~やかに気持ちが傾いているんだと思っていたので、びっくり。
そこからは、桂の過去や志緒の家族のことなど、よいテンポで進んだので、メリハリがあり読みやすかったです。
志緒が急に北海道に行くのは、志緒らしさがでていました。
思ったことをズバズバ言うし、必要な事以外は存在すら消せるタイプだからこそ、一度受け入れた事や物に対して、まっすぐ突っ走るんだなぁと思いました。

先生と生徒と言う危うい関係ですが、桂がしっかりと卒業までは!と言った事に、安堵を覚えました。それだけ大切だし、今だけではなく、この先の事も視野に入れていると言うことが。
ただ、時折もらす愚痴?がキュンときました。「志緒ちゃんと、やりまくりたいなぁ」とか(笑)

『手のひらに君の気配が』の最後、葉子とちゃんと話せた後に、玄関前で待つ桂の気持ち。これを最後に持ってくるのが、本当に良かったです。

1

恋の軌跡が、透明感ある鮮やかな文章で描かれている

自分が一穂さんにはまるきっかけになった作品でした。
読後は、こんな恋があるんだ!と心が真っ白になった感じで、うまく言葉が出てこなくて。感受性の鋭い主人公たちの恋は、言葉にしない想いすら伝わりあって、でも、言葉でも伝えあって。読んでいて、そのダブルパンチに言葉が奪われるような気がしました。

高校時代の恋の痛みを抱えて生きてきた高校教師・桂と、思春期の壊れそうな自我を持て余す志緒。二人が惹かれ合い、やがて結ばれるまでの恋の軌跡が、透明感ある鮮やかな文章で描かれています。

「好きだから、好きでいる」そんな志緒の真っ直ぐさが、桂を救う物語なのだと思いました。

でも、志緒だって、桂と形ある関係になれないことが気になって、桂を手に入れたくて、でも人が人を手に入れるってどういうこと?と悩みます。
子どもと大人の間にいるような志緒だからこその思い悩みに、大人の桂がくれた答え。切実に欲しがって、抱き合うのが、いい。人が人を手に入れることなんてできなくて、全てを分かり合うことなんてできなくて、だから、そうして抱き合うのだと。
恋って理屈じゃないと分かっているけれど、こうして一穂さんが言葉にしてくれると、そうそう、と深く胸にしみてきます。

恋の切なさと歓びを知って強くなっていく志緒は、きっと自分の言葉の通り、桂を幸せにするのでしょうね。男前です。実は、ずっと年上の桂の方が、小心者だったという(笑)。
桂と志緒の恋は、ずっと秘めた恋なのかもしれません。それでも、きっと二人は手を離さないのでしょうね。

2

とても好きです


一穂ミチ先生の作品では「イエスかノーか半分か」のシリーズが好きすぎて、他作品へ手を伸ばすを躊躇っていましたが、
今回は結果的にあたりでした!

「天国でも、地獄でも、真夜中のサービスエリアでも。」の一文に、
「イエスかノーか半分か」の根本を見たり…!とひとりはしゃいでおりました。


教師と生徒ものに起こりうる問題に(他の生徒の電話は聞かせない、一緒に居る時に仕事をしないとか)、きちんと線引きしている。イエスノーでもそうでしたが、お互いの本分を尊重し合っていて、とてもいいなぁと思いました。
詩緒がだだをこねたり拗ねたりしないあたりは、大人に心情を晒すのが苦手故だからちょっと切ないですけど。

子供だったから、わがままを言えなくて身動きが取れなくなった志雄と、
子供だったからわがままを言って突っ走っちゃった桂と。
本質的に真逆のふたり。
(本編でも言っていたように「同じクラスにいたとして、口もきいてくんなかったと思う」そんなふたり)
教師と生徒である今に出会ったからこそという関係性にとても萌えます。


結城家の両親が言ってくれなかった「諦めていいよ」と言ってくれる人が詩緒には必要だった。
諦めていいよ、って許されて初めて、「諦めたくない」と気付けることもきっとあるので。

「諦めたくない」「好きでいたい」と言うそんな詩緒の姿に、本当は自分もそうでありたかった桂が絆されていく。
詩緒が許される、報われることで、昔の自分も報われた気がしたのでしょう。「救ってもらった」とかつての思い人に溢したとおり。

教師であり年上の桂が、守る立場である詩緒に「救ってもらった」「幸せにして」と言葉にするの、とてもとても美味しい…可愛い…。

心で抱くタイプのかっこいい受け、詩緒ちゃん。
そしてそんな受けに首ったけの攻め、という組み合わせが、ああ一穂ミチ先生の作品だなあ、好きだなあっと感じました。

色んな事がその後ふたりに起こるのでしょうが、
桂のなりふり構わない行動力と、大事なものはしっかり大事にする詩緒の頑固さで乗り越えていって、そして幸せでいて欲しいかぎりです。

4

タイトルが文学

「イエスかノーか」で一穂ミチ先生に嵌り、いろんな作品を読みましたが、なんとなくデビュー作である今作には、ずっと手を出せなかった。
楽しみは取っておきたいというか、これ読んじゃったら、楽しみがなくなるというか。

結論から言うと、もっと早く読めばよかったー!これがデビュー作って、凄すぎる。
確かに今ほどの一穂節みたいなものはないけど、言葉選びとか比喩とか、伏線の回収とか、やっぱり一穂ミチワールドで、大好き。

特に「天国でも、地獄でも、真夜中のサービスエリアでも」の一文。
天国と地獄とサービスエリアが同列。
要はどこでもいいんだよね、一緒なら。

今まで数ある番外編も読まずに飛ばしていたので、楽しみが何倍にもなりました。







4

デビュー作か〜

一穂さんの作品については、イエスかノーか→新聞社→ふったら〜、と辿ってきて、今回ついになんとなーく手をつけないでいた本作を読みました。
上記の作品、特に「ふったらどしゃぶり」を読んだ時のようながつーんという衝撃はないものの、さすが一穂先生…丁寧に作り込まれているなぁという印象です。

残念な点としては、桂先生の志緒へのアプローチの仕方でしょうか…。もっとじりじりと、すれ違いながらも想いを遂げる2人を見たかったです。

でもこれがデビュー作なんですもんね…ただただすごい…

3

文学少女の紡ぐ物語。

一穂さんのデビュー作。詩的だし文章表現が美しいし、読書が大好きな文学少女が書きました……という感じが好ましい一冊です。BL作家としてのデビューに当たって、冒険もしつつ意欲的に取り組みましたってところかな?などと勝手に想像してしまうような。

登場人物に共感出来るか? 好きになれるか? と言うと、この作品での「攻め」である桂は、大人のくせにダメな部分が多すぎて複雑ではあるのですけど(型破り教師のようでいて、ある程度の要領の良さで社会生活をこなしているあたりも却って腹がたつような)物語としては、寄り道しつつも収まるべき所に着地していく気持ち良さがあります。

脇の登場人物たちも魅力的だったり、気になる部分を秘めていたり。…読み応えのある作品です。

3

子供から大人に

15歳の志緒は先生を好きになります。先生の過去を知っても、その一途な想いは消えず、一生懸命に恋をします。子供な面と大人っぽい面を併せ持つ志緒に、先生同様ぞくぞくします!若さが羨ましい。
また、先生の葛藤。教師という身でありながら、志緒に救われ、志緒無しではいられなくなる。
読み出したら止まらなくなる。2回目からは、変なところで涙が出たり、ニヤニヤしたり(笑)萌えが詰まりすぎてて、とても大好きな作品です!
一穂先生の小説は10冊目でした。こちらが初めてだったなんて。一番好きです!
続篇短篇集 『林檎甘いか酸っぱいか』もオススメです。

5

雪よ林檎の香のごとく降れ

北原白州の短歌からの題名といい。
とても美しいです。
この世界観に浸れたらよかったのですが
まったくもって攻めの桂に一ミリたりとも共感できませんでした。
でも、志緒とりかは無条件に好きです。
桂が恋に落ちた葉子さんも人物設定は悪くはないです。
イラストの竹美家ららさんもとても美しくて。

こちらの作品は私にとってはいいか悪いかよくわからなくて…
とにかく、感じ取る感性がないのでしょうね。
たぶん、みずみずしい作品だと思うのですが
ごめんなさいm(__)m
評価は中立でした。

5

振り幅がすごい

一番最初に読んだ作品が大大大好きだったので好きな作家さんの一人になりそうだった一穂ミチさん。しかしその後で読む作品にハマれず、でもたまにグッとくる作品にも出会ったりして…。お世話になっている答姐トピで「ある作品の前後で作風が変わった」という主旨の考察を拝見して「なるほど、そういうこともあるかも」と思い、デビュー作である今作を手に取りました。

結果…上記の考察に便乗するならば、私にはその「変化」の前の作品は合わないようです。大好きな作品達と何が違うんだろうと考えても紙一重としか思えないのです。セリフ回しや、文体、言葉のチョイスなど、同じ特徴を好きと思うか苦手と感じるか。でもその振り幅がすごいなぁ、と。

前置きが長くなりましたが、高校の先生×生徒のお話です。いつもガサツな先生の意外な一面を知って、その弱さもズルさも、すべてをストンと心に受け入れてしまったのは子供ゆえの危うさで、物語の序盤は非常に瑞々しい印象です。私は志緒こそが絆された側だと感じました。肉体関係としては英治×志緒でも精神的には逆とも取れる関係性は面白かったです。

んー…二人の関係は恋愛なのでしょうか。志緒は恋を知らずセクシャリティも自覚していない子供だとしても、英治はそうじゃない。同情とも違うけど、濃い目の友情(師弟関係)でもいいのかなと思いました。あと、まぁイベントとしては色々あるのですが、何故だか全体的にのっぺりしている読後感でした。すべてのポイントがちょっとずつ自分の萌えとはズレている、そんな印象でした。

5

綺麗な恋のお話でした(๑¯﹀¯๑)

先生と生徒って言うのが良いです。でも先生の過去が切なくって、ちょっぴり胸が痛みました。
「彼女は、いないし、つくらない。一生」と言っていた先生。そんな先生がいつしか志緒ちゃんを好きになっていました。その前に、志緒ちゃんからの「俺、あんたが好きなんだ」という告白があり、それまではまだ志緒ちゃんに対し恋愛感情を抱いていなかった先生でしたが、いつしか両想いに。
良かったね、先生。志緒ちゃんは先生の過去の過ちごと好きになってくれたんだね。このことで先生の魂はようやく救われたんだね。志緒ちゃん、とても良い子ですよ。どうか幸せにしてあげてね。って、ホントに、心の底からそう思いました。
満足の行く良質な作品です。
この作品を読んだ後、続けて「林檎甘いか酸っぱいか」の青と赤を読みましたが、先生と志緒ちゃんのいろんなエピソードが淡々と綴られてます。ここでもしっとりと温かい気分にさせて頂きました。
一穂先生の作品は、余裕の時間を設け、いろいろ考えながら、じっくり読むのが合っているな、と思いました。

4

幸せになってほしいふたり

人との関わりにあまり興味をもたない高校生の志緒は、図書室で見かけた桂先生に影のようなものを感じて惹かれていきます。
志緒も桂先生もちょっと曲がった感性をもっています。
二人がお互いのどこに惹かれあったのか、はっきりしない部分もありましたが、過去とか家庭とかそれらをひっくるめて一歩踏み出した二人を応援したくなる作品でした。

特に志緒は不器用だけどすごく純粋でかわいいです。
桂が電車からかつての恋人を見つけたときに、背中を押してあげたシーンがいじらしくて泣けました。
「好きだから好きでいる」「関係にひびをいれられても心までは壊せない」といった志緒の言葉も切なかったです。

桂は先生なのに口が悪いところに少し違和感を感じました。
(イラストもキャラのわりに可愛すぎたかな~)
でも愛情深くてまっすぐな人なんだと思います。

この二人は出会えて本当に良かったんだろうな(^^)
とても好きな作品でした。

3

愛することを恐れた大人と、ひたむきに愛し続けた子ども

この作品がとても好きで、何度も何度も読み返しています。

自分の好きなこと、好きなもの、好きな人にしか興味のない情の深すぎる志緒と、苦い過去を抱えたまま人を拒絶して大人になってしまった桂。
教師と生徒という許されない関係であることは、桂のかつての恋人との恋愛と同じですが、志緒は桂を決して諦めませんでした。先生が寂しいのならその寂しさを埋めてあげたいと思い、辛い過去があるのならそれを抱えたままの先生を愛そうと、たった15歳の志緒は決めてしまったのです。桂が高校生だったころできなかった、ただひたすらに愛するということをやってのけた志緒の深すぎるほどの想いに、桂は救われたのだと思います。

最後のシーン、「幸せにして」と桂がおねだりするのがよかったです…。桂は確かに教師だから志緒を守らなきゃいけない立場にあるんですが、志緒の恋人でもあるから志緒を頼ってもいいし、幸せにするだけじゃなくて幸せにしてもらってもいい。罪悪感だけで生きてきたような桂がなにかを「ほしい」と思えたり、与えられることを望めるようになってよかったです……!

桂には志緒の溢れんばかりの情に多少怖気付きながら(青林檎参照)、幸福の中で生きていってほしいなと思います。
桂は怖がりだから、志緒くらい「好き」だけで構成されている人に大切にされているほうがいいんじゃないでしょうか。志緒の愛情の深さを受け入れられるのも、ちゃんと愛情の重みを知っている桂だからだと思います。

4

文章表現の美しさと、ピュアでフレッシュな感覚が感じられる作品

「君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」(北原白秋)
非常に印象的な短歌だけど、実は…というところから話を広げてったのでしょうか。
内容はどちらかといえば薄めです。
でも、文章表現の美しさと、ピュアでフレッシュな感覚が感じられる作品でした。
何しろ著者のデビュー作ですからねぇ。
初々しくて当然なのです。
イラストが竹美家ららさんなのも文章と合ってます。

ただ、どうも今作の主人公たちのことが好きになれない。
(幼なじみである、りかちゃんのキャラだけは好き)
特に桂は、大人であり、教師であり、過去に大きな後悔を抱えてるにもかかわらず、子供っぽく軽い感じがする。

志緒は年齢より子供っぽいような、でも枯れてるような、とらえどころのない雰囲気。
はたしてどこが桂をそこまで執着させたのだろう。
だって、過去の後悔の逆パターンをするということは、かなりの覚悟がいるはず。
立場上、かなりの危険もある上、オトコ同士。
それなのに二人に、そこまで大きな葛藤も障害も感じられず、カップルになったら結構スムーズで、こちらがかえって戸惑ってしまった。

そして、脇役・栫さんはもっと引っ掻き回し、暴れてもよかったのになぁ。
期待してたのだけど、静かな流れに、少し波紋を広げただけで引っ込んでしまったのね。

今夏、今作に関連する同人誌やSS等をまとめたものが発売され、ランキングを賑わしていた。
読んでみようと考えた理由の一つなのだけど、それも読めば、私の認識も変わるのかなぁ。

3

あなたの幸せを、叶えたい

一穂さんのご本は、これまで何冊か拝読していたのですが
読み終わるのが名残惜しい、
切実に物語から離れたくないという感情を持ったのは
こちらの作品がはじめてでした。

デビュー作とはよもや信じられない程文章は美しく澄んでいて
会話のリズムもとても心地よく響き、一気に物語に引き込まれましたが、
個人的に細やかなキャラ設定が何よりも魅力的に感じました。

越えなければならない問題から逃げることも
相手に依存しすぎることもせず、
真摯に受け止め乗り越えていこうとする志緒くんの強さと
眩いまでの瑞々しさはとても美しく、
桂先生の、背負ったものの大きさに反し
”大人”や”先生”という立場によく見られる”狡さ”や”余裕”を
感じさせることのないフランクな性格にも好感が持てました。

そんなふたりに影響を与える2人の女性、
志緒くんの幼なじみりかちゃんと桂先生の訳アリの相手陽子さん。
ふたりともBL特有の、
いやらしさだけが前面に押し出されたような女性像とは程遠く
物語の中で地に足を着け、懸命に生きる
”少女”・”女性”として描かれているところも良かった。

あともうひとり、栫さんというどこか不気味な存在もすごく印象的。
彼が女性として描かれていたら、感想は違ったかも知れませんが
すごく気になる人物で(実際近くにいたら、怖いけれど)
最後の最後まで彼にはハラハラさせられっぱなしでした。

”萌え”の部分で注目したいのは
クライマックス、栫さんのしたことに腹を立てた桂先生が
殴り込みに行こうとしたところを、志緒くんが止めた後のシーン。

蚊帳の外で無力なことに落ち込みながらベッドの端に座る先生の下
しゃがみこんだ志緒くんが
以前はじめて先生から『好き』と告白された際に言われた、
『幸せにして』という言葉に対し、それを本気で叶えようとしていると、
愛をささやくように述べるところ...最上級にキュンとしました。
瑞々しく美しい年下の抱擁受け、素晴らしいです。
先生のフライングも仕方ありません(笑)
こちらは本の見返しのカラーイラストにもなっていて
物語の中で一番好きなシーンなのでとても嬉しかった。

イラストを含め、わたしにとって間違えようのない神作品です。
今作の同人誌の文庫化決定版の発売も目前。
またふたりに会えるのが、すごく楽しみです!

最後に...
今作を、一穂さん作品を手に取る切っ掛けをくださったユーザーさまに
心からの感謝を捧げたいと思います。

4

ココナッツ

冬草さま

ご丁寧にわざわざありがとうございます(*^^*)
見返したはずなのに…ってことわたしも多すぎて、眼鏡の度数上げるべき?と思う毎日でございます。

冬草

ココナッツさまへ
申し訳ございません、誤字脱字の訂正です。
コメント7行目ですが、『衝撃がいつまでも心から離れない』が書きたかった文章です。
我ながら、うっかり人間で困ってしまいます。失礼致しました!

冬草

冬草

ココナッツさま
こんにちは。
実はわたし、一穂さんのお名前をはじめて伺ったのが、答姐でのココナッツさまのコメントで、だったんです。だからこうしてコメントいただけて、とても光栄です。ありがとうございます!

『meet,again.』先日読みました。個人的に、今まで読んだ一穂さん作品の中でも、衝撃がいつまでも心に残から離れない、とても素晴らしい作品だと思いました。

『雪よ~』の同人誌決定版、購入予定です♪
こちらこそ、わたしなんかの拙いレビューより、ココナッツさまの感性溢れるレビューを楽しみにしています♡(ココナッツさまのレビュー、いつも楽しみに拝読させていただいています)
 
冬草

ココナッツ

冬草さま

初めまして、こんにちは。ココナッツと申します。
わたしもこの作品大好きでせっせと同人誌も集めていましたが、2冊にまとまることになりとても楽しみにしています。
栫も存在感が影のように覆いかぶさってきて、この人何言い出すの!?とわたしもハラハラいたしました。
彼が攻めの『meet,again.』も読まれましたか?
あちらも独特な栫の雰囲気が全体に漂って良かったです。

冬草さまも林檎の総集編は買われるのですよね?
レビュー楽しみにさせて頂きます(*^^*)

萌えのスイッチは何処だ。

CDを先に聴きました。
ちなみにCDの評価は「萌」。
背景の静かなピアノ音を評価しての「萌」評価でした。

そして原作は……
読んだときはCDと同じく「萌」かな?
うーん、でも背景音がないだけちょっと劣るし…。
どしよ、どしよ、と思ってたのですが、
時間をおいて再度読み返したら、
うーん、やっぱ「中立かな」と思ってしまいました。
スンマセン。

-------------------

レビュー数もめっちゃ多いですし(ビックリするほど多い!)、
あらすじも皆様、あらかた書いていると思うので、
感想だけ。

-------------------

思い入れがないわけではないのです。
CDのレビューを書いてから、
「原作のレビューはどうしよう」と思い、悩みつつ、
もう一度読み返しては、なんの評価をつけようと
かなり考えました。

魅力的なタイトル。
「雪よ林檎の香のごとく」
白秋の歌だそうですが、静かで叙情的な雰囲気が伺えます。
内容に関してもそうでした。
まるで綺麗な音楽を聞いているような静かな旋律のような物語。

でもなぁ……強いていうならば、
心にガツンと響くものがなかったんですよね。

なんつーか、
静かすぎた?
綺麗すぎた?
美しすぎた?

するっと心を通り抜けて、印象がなかった感じ
なんですよねー…。

あと自分の好きな属性やらタイプやらの
キャラやシチュエーションが登場しなかった。
これも大きいと思いますねー…。

静かで美しい物語。
でもその中に私なりの「萌え」を見つけることが
できなかったッスね…。
「萌えスイッチ」が入らなかったとでも言うんでしょうか。
うーん…。

さらっと読んで
「ん? なんかあったっけ?」
みたいなさらりとした印象。
それが正直な感想かな?

CDの時は背景音楽があったから、
静かな旋律が沁み入るように心に入ってきたんですが、
残念ながら、文字だけではそれはなかったですね。

インパクトがあと一歩及ばない感じです。

あと、キャラも、
主人公(受け)とか喜怒哀楽があまり出てないですし、
先生(攻め)の切々たる想いも、
私の心までは響いてこなかったです。

-------------------

何気ない日常をゆったりと穏やかに描いたものでも、
面白い作品はたくさんあります。
萌えを感じる作品もたくさんあります。

でも、残念ながら私にはこの作品から
それが全て感じ取れなかったです。

「この作品は、これが魅力なんだ!!」
というところが見つけられませんでした。

残念。
そして、スンマセン。

9

あらすじ買い

一穂さんの評判は聞いていたのですが、背表紙のあらすじを読んで即決しました。
いつもは飄々としている担任の涙を見てしまうという部分です。
その涙にどんな意味があるのだろうと凄く興味がわきました。
(涙の理由自体には大した意味はありませんでしたね^^;)

この作品に一番惹かれた所は、志緒の瑞々しい感受性です。
今までに出会ったことがないような人との出会いというのは、いろいろな意味で心を振り回されるのだと思います。
嫉妬をする余裕がないほど、この人のことを知りたい受け入れたいという必死さやまっすぐな気持ちがとても良かったです。

でもこの2人くっつく気が全くしませんでした。
肝心の先生が、生々しく過去を引きずっているし息子の存在が大きすぎるからです。
志緒に対して「やばいくらい好き」とか「やりてーなあ」などのストレートなセリフがなかったら本当に恋情があるのか疑っていたかもしれません。
あて馬君がひっかきまわしたり、過去の女性と再会したりと本当に最後まで油断できなかったです。
その油断のできないドキドキ感が終始ついてまわって一気に読んでしまいました。

熱量が抑えられた雰囲気だったのでこのまま綺麗に終わると思いましが、最後楽しい場面を読めて大満足でした。
相手にベッタベタな甘さはBLを読むうえでは結構大事ですよね。
ないと駄目というわけではないけど。

とても読みやすかったです。
でもしばらくは先生と生徒ものはいいかなと思います。
切なさが苦しくてなんだかお腹いっぱい。

4

これのどこがどういいのかさえまったくわからない私は、とことん好みがズレてんだろうな~

と身に沁みて思います。まあ、自分がズレてると感じるのは、別にこちら(の作品・作家)に限ったことではないんですが。

一穂ミチ、私はもうなにひとついいと思うことがないくらい徹底的に合わないんです(この作品に限ったことではなく作家自体)。

大変申し訳ありませんが、最初の1ページ目から(というかもう冒頭1行目から)『ああ、この作家苦手だ・・・』と感じてしまいました。
なんでこの1行目の時点で本を閉じてなかったことにしなかったのかと悔んだくらい1冊読むのが苦痛で堪りませんでした。寒気がした、ホントに。

この文章や全体に漂う雰囲気が一穂ミチの持ち味で、そこが人気の源なんでしょう。それはわかります(←単に『理解』であって『共感』では決してない)。
でも私にはそのすべてが鬱陶しい・煩わしい、さらには気持ち悪い・押しつけがましいとしか感じられませんでした。

私は『年の差(年上攻)』、中でも『先生×高校生』がいちばんと言っていいくらい好きです。まさしく好みのど真ん中です。
でもこれは、今までに読んだ数々の『先生×高校生もの』で、個人的好みでは最低クラスでしたね。

とにかく、キャラクターに一切魅力を感じない。この桂(攻)はいったい何なんだ。こんな教師イヤだよ。折角大好きな先生×高校生ものなのに・・・

正直、なんて気分悪いもの読んじゃったんだろうとがっくりくるくらいで、読んだ時間の無駄だったとさえ思っています。読んでる間中イライラしっ放しでした。こんな不快な思いするためにBL読んでんじゃないんだよ!とハラ立った。

ただ、逆を言えば、個性が強い分この作家の作風(文章・雰囲気・言葉の使い方等アレコレ)が好みに合えば、それこそ『神』級になるんでしょうね。

作品の出来・不出来ではなく、あくまでも私個人の好み・作家との相性の問題ですが、どうだったかと言われれば『しゅみじゃない』としか言えません。ひたすらに苦行でした。

一穂ミチは、結果的には読んだすべてがまったく合わなかった非常に苦手な作家なんですが(懲りずにこのあとも読んだ私は、我ながらどうなんだと今は思う)、とにかくいちばん好みの題材でここまで受け付けない時点でもうどうしようもないってことなんでしょう。

30

kirara

タクさん。

私は、買ってしまったからにはつまらなくても気分悪くても我慢して読みます。どんなに酷い作品でも読むのは読めるんです。

頑張って最後まで読んだら・あるいは他の作品なら少しはいい部分もあるかも・・・と努力した結果、一穂ミチにはそこまでして読む価値はなかったとしか思っていませんし、今後何があっても二度と読む気はありませんが。


>結果、私には相性良かったです。

そうですか。よかったですね。

タク

そこまで相性?が悪い本なら私なら1行目から読みません。そのまま売りに行きます。気持ち悪い、イライラすると言いながら最後まで読んだんですよね?しかも他の作品までイライラしながら読んでいるのが…。このレビューを読んで私は本を買いました、だってイライラする読者を最後まで読ませた作者が凄いと思ったので。
結果、私には相性良かったです。

kirara

むぼちさま。

コメントいただいたのに、気付くのが遅れて申し訳ありませんでした。

そうなんです。本当に『相性』って大事だと思います。私自身は、(作家さんとの相性だけではなく)とにかくストライクゾーンが狭いので、人気作品・作家さんでも合わないことが非常に多いんですよね・・・

実は、このレビューはこちらのサイトに参加した時点(2年半前)で既に書いていました。ただ、ここまでの超超人気作(作家)なので、さすがになかなか投稿できなくて寝かせていたんです。

機会があって思い切って書いてみましたが、こうしてコメントいただいてとても嬉しかったです。


しかし、むぼちさまの
>どんな内容だったかは、忘れてしまいましたが

私も、こちらは(『先生×高校生』が好き過ぎるので)マイナス方向にかなり強烈な印象でしたが、他の作品はほとんど内容を覚えていません。のでレビューも書けないんです。

コメントどうもありがとうございました。

むぼち

私も、BLに出会ったばかりの頃、この本を読んでとても苦痛だった記憶があります。(どんな内容だったかは、忘れてしまいましたが)

kiraraさん同様、私も懲りずにその後、一穂先生の他の本を何冊か読んで、そちらは話は面白いと思いましたが、やはり萌えは全く感じることができませんでした。

知識豊富で考えも深い、すごい先生だと思うのですが、それだけでは自分にとっての「神」にはならない。
本当に、相性って大事ですね。

一穂作品の原点

担任教師が、朝の図書室で泣いていた。
そんな冒頭から、高校生と教師が急速に距離を縮めていく物語。

一穂さんのデビュー作となる本作品。
最近の一穂作品に慣れた今読み返すと、展開の早さに驚く。
また、今ほど技巧的でないためか、剥き出しの感性が痛いほど伝わってきて、何だか圧倒されてしまう。
鋭く、瑞々しく、繊細な情感に溢れていて、
一穂さんの作品の中でも一、二位を争うくらい好きな作品。

もっとも、細部には少し気になる部分もある。
幼馴染みの女の子をフッた相手に、なぜそのタイミングで告白するのか。
恋人を作らないと決めていた男が、そんなにあっさり同性の教え子を好きになれるものなのか。
なぜそこでフライングするのか。etc…

きわめて非論理的、ときに非倫理的な行動をとる人物たち。
志緒の言うところの「方程式とか化学式みたいに、カチっと」した理由が作中で明示されることはない。

それなのにグイグイ読ませてしまうのは、やはりそれだけ作家さんの筆力・表現力が凄いのだろうと思う。
人間の不条理な内面をリアルに描いているとも言える。
作中で桂が語った短歌の『動かない言葉』のように、一つ一つの言葉が、エピソードが、これしかないと思えるくらいピタリとハマっている。
理屈ではなく、感性に鋭く訴えかけてくる文章・作風はこの頃から健在だったんだなと、今読み返すと感慨深い。


作品や、桂や志緒に対する愛着ももちろんあるけれど
(志緒のきりりとした佇まいは本当に眩しく愛おしい)
何よりデビュー作でいきなりこんな作品を書いてしまう作家さんに対する感動が一番大きかったかも。
そんな意味も込めての神評価です。

8

研ぎすまされた感性と、美しい言葉

言わずと知れた一穂ミチ先生のデビュー作を改めて振返ってみて
最初に読んだ時、目の覚めるようなあまりに清冽な文章と
確固たる人物造形に魅せられたことを、まざまざと思い出した……。
 
  ※今回、過去に評価だけ入れていた作品のレビューが書けるようにして下さったので
   この機会にアップさせて頂きます。 2014.7.8


本を読む楽しみには、
ストーリーの面白さや魅力的なキャラクターなどの要素も大きいが、
好きな文章を味わう喜びというのも、大きな要素だと思う。
その後の20数冊を読み繋いだ今振り返ると、
この作品はまだ十分に花開いていない蕾のような印象を受けるが、
でもやはり、言葉の連なりを読み進める事自体が心揺さぶる、
BL界には希有な作家さんだと思う。


もうひとつ、この作品にノックアウトされた理由。
今や忘れたふりをしている自身の10代の想いを、
一瞬にしてまざまざと甦らせるような「志緒」だ。
性別も違うし、私はもっと小狡くて、
あんなに潔く美しく魅力的に立ってはいらなかったのだが、
でも、エッセンスの部分で、あのどうしようもなかったミドルティーンの頃の自分が
確かにいる。


この作品は勿論この一冊でも頗る魅力的なのだが、
その後コンスタントに発刊されている同人誌が魅力を更に深めている。
本編だけでは不足な部分を同人誌が補っているというよりは、
まるで生き物のように、すでに作品として完成されていたものが、
さらに成長しているようなそんな感じを受けるのは、
作中の志緒と桂がリアルな年月と同じだけ成長し続けているから、
というばかりでもない。

最初に読んだ時に、結局桂が札幌での約束をはたせずに
フライングしてしまうのが不満だったのだが、
この6年の間に出た、本編では見えなかった彼らの時間を埋める同人誌を読んだ後では、
必然だったと受け取れる。
そんな彼らの、鮮やかな生きた存在感が、ある。


気楽に生きているように見せながら、
自分に罰を課すかのように孤独な生き様を決めていた桂。
その桂を突き動かした、志緒の純度の高いまっすぐな熱。
そして選び直した生き様……

白秋の短歌から取ったタイトル。
竹美家ららさんの挿絵もあって、繊細な美しいイメージが先行する作品だが、
描かれている世界は、実は研ぎすまされたナイフのような緊張感のある世界だ。

この歌が、決して幸せな恋の歌ではないことを本屋で志緒が知る場面。
初読みの時同様、ここで泣かずにはいられなかった。


18

ダメな大人。

「ふったらどしゃぶり When it rains, it pours 」がとてもよかったので作家買いして読んでみました。

内容は皆さま書いてくださっているので感想を。

評価下げてごめんなさい。どうにもこうにも好きになれませんでした。一穂さんのデビュー作だそうで、とてもそうは思えない作品にはなっていると思います。タイトルも素晴らしい。これがデビュー作とは思えない才能も感じます。でも何がダメって、出てくる大人がダメ過ぎませんか。

「大人だから」きちんと、しっかりとしていなければならないというわけでは決してない。自分だって大した大人ではないと自覚している。

それでも、です。(ごめんなさい、以下盛大なネタバレありです)




婚約者がいるのに、迫られたからといって、ましてや自分の教え子と関係を持つ先生なんてありえない。さらにそれで妊娠して、違う男との子を身ごもったまま婚約者と結婚するだなんて…。一人の人間として、女性として、とても気持ち悪く感じたし生理的な嫌悪感を感じてしまった。
それで大きくなったら子どもに本当のことを話すって?何言ってるの?って思ってしまった。それで気持ちが楽になるのはあなただけでしょ。
本当のことを言われた子どもの気持ちは?
自分の子どもとして育ててくれている夫の立場は?

攻めの桂先生も、自分の子どもがいるんだよね。高校生だった頃は仕方がないと思う。でも今は違うでしょ。それを後悔して「恋愛しない」って言ってりかちゃんのことはこっぴどく振るのに志緒くんとはちゃっかり関係もって。何だそりゃ。と思ってしまった。
教科書にチョークで落書きするとか、卒業するまで我慢するとか言ってたくせに卒業まで待てないとか…。「先生」としてどうなの、と感じることが多かったです。

対して受けの志緒くんはとても可愛かった。この子が一番精神的に大人じゃないかな。いろんなことを受け入れ、咀嚼し、納得して自分で行動を起こしている。この子が良い子なだけに、大人のダメさが際立って非常に残念な気持ちになってしまった。

一穂さんて、本当に好きな作家さまなんです。でもこれはちょっと受け入れられませんでした。皆さまからの評価は高いし、きっといい作品なのだろうとも思います。私が一穂さんが好きな故に期待が高すぎたということもあると思います。でも、こういう感想もあるってことで。

ゴメンナサイ。

24

冬に時期に心が温かくなる物語

一穂さん初読み作品でした。この作品でデビューとは本当に驚きです!!

登場人物の背景もしっかりしていて、決して大きな派手さやエロさはないんですが、読んでいてリアルな感情にひきこまれました!!

一度フラれても志緒君の「好きになったりして、ごめん」と桂を好きでいることをとめられない所や、桂の過去を知って北海道まで行く所。
また桂の高校時代の過去。
子供の頃って本当に何も見えてない時があるんですよね!!そしてなんで”あの時こうしてしまったんだろう”と大人になってわかる後悔もある!!そんな思春期の思いをリアルに表現されててすごいなと思いました。

志緒の幼馴染であるりかちゃん。本当に良い子ですね。この物語にいなくてはならない存在だと思います。
そして悪役みたいな栫さんだけは怖かった。彼は何者?栫さんのお話は文庫でも出ているので続けて読みたいと思います。

タイトルの「雪よ林檎の香のごとく」が本当にぴったりで、切なさあり、甘酸っぱさありの作品でした☆

7

何回も読み返しています

わたしの初・一穂作品で、作家買いするきっかけになりました。

登場人物が皆、潔く、特出して突飛でもなく(のちにスピンオフ?で登場する栫が唯一変かなとも思いますが)、日常にいるのでは?と思わされる人達なのにグイグイ引き込まれました。

そしてすっかり大人になり、勢いも焦りも消えたわたしにとってひじょうに眩しくキラキラした作品でした。
「ああ、そんな時代もあったな」と。
なので受けの志緒の気持ちは学生時代の「わたし」、攻めの桂先生の気持ちは今の「わたし」が理解でき共感しました。
志緒の若い頃特有の潔癖さも、桂先生の大人の卑怯さも。

受けの志緒の幼馴染・りかは脇役ではありますが、この作品にはなくてはならないポジション。
りかなくしては、志緒の恋も形として成立しなかったのではないかなと。
りかが志緒を大切に思う気持ちがとても美しい。
栫へ立ち向かうシーン、大好きです。
一穂さんの作品は、女性がうまく嫌味でない形で登場することが多く、その辺りがBLとしては珍しいけれど魅力を引き立たせてくれていると思います。
同じ女性としては、受けの陰湿なライバルだったり嫌味女だったりする女性ばかり書かれるよりも嬉しいですし。

好き過ぎて、久しぶりに同人誌まで集めてしまいました。
まとめて文庫化、熱烈希望です。

8

初めて読んだBL小説

友人にお勧めされて読みました。
私はそれまでBLに触れる機会がなかったのですが、この作品を切っ掛けに変わりました。
失礼ですがBLといえばエロが中心で、内容なんてないんじゃないかという偏見を持っていました。
(ごめんなさい!過去の私を殴り飛ばしたいです。今はエロも大好きな立派な腐女子になりました)
『 雪よ林檎の香のごとく』は私の固定概念を見事に打ち壊してくれました。
優しくて綺麗な文章と作品全体に広がる切なさに、思わず泣きそうになってしまいました。
私の大切な一冊です。

11

はなみなは

sowblack様

はじめまして! はなみなはです(`・ω・´)
コメントありがとうございました!
お返事するのここでいいのでしょうか?
間違ってたらごめんなさい・・・!!!

「林檎」(私もさっそく略して見ましたw)が同人誌でそんな展開をしてたなんて!
同人誌の売っているようなイベントになかなか行けないし、家に届くものは親に確認されてしまうので通販も厳しい状況で・・・(とっくに18歳は超えてます!ただ親が過保護で( ´`)
でも、いつか一穂先生の同人誌を手に入れようと思います!
素敵な情報をありがとうございました☆

snowblack

はなみなは様、
はじめまして、snowblackと申します。
私もこの「林檎」(とファンの間では略しますw)のその清冽さに感動して、以来一穂先生の作品のファンです。
ご存知かもしれませんが、この作品は一穂先生のデビュー作で、ご自身にとってもファンにとっても思い入れが強いようで、スピンオフ(meet,again)のみならず、未だ沢山の同人誌が出続けており、その中で先生も志緒ちゃんも成長を続けております。
同人誌もどれも素晴らしいので、機会があったら手に取ってみて下さいませ。

この白々しさはどこからくるのか…

小説はいつも決まった作家さんのものしか読まないので、久々に新規開拓!と思って手にした作品。
ということで、この作品を読んだ当時、この作家さんとは初対面でした。
評価の高い作家さんだし、表紙も切なさを醸した雰囲気のものだったので、期待とともにわくわくしながら読みました。

が、しかし結論からいうと相性がとっても悪かったようで、かなり苦手でした…。
会話、シナリオ、キャラ設定、すべてにおいて、作家さんの"意図や作為"が全面的に押し出されたような印象が強かったです。

フィクションの小説においては、作家の意図や作為が作品を生み出すのに必要不可欠なものだし、それがなければ成立しない要素ではありますが、いかにその意図や作為を読者に感じさせず、偶然のできごとを偶然のものとして描いていくか、それが重要だと思います。あくまで個人的意見ですが。

しかし、この作品はその作為に満ちていて、どの場面、どの描写をみても操り人形の糸をひく作家自身が背景にみえるような気がしてなりませんでした。

こういう会話をさせたかったんだろうな…、こういうシーンを描きたかったんだろうな…
、きっとこのシーンで感動してほしいんだろうな…
そういう意図が伝わってくるように感じてしまい、キャラの設定から会話、シナリオ、演出、すべてが都合よく偶然を装って描かれたもの、としか見えないというか…。
そのように感じてしまったがさいご、終始白々しさしか感じなくて、なんとか頑張って最後まで読むのに精一杯だった覚えがあります…

また、技術的なことでいえば、文章表現や会話表現についても相性が悪かったようで、苦手でした。
キャラの行動についての客観的描写の途中に、突然キャラの主観が大いに入った詩的描写が入る書き方とか…
綺麗でセンシティブな描写なのかもしれませんが、今までの文体とのギャップがあり、不自然で読みにくかったです。

キャラたちの会話についても、『阿吽の呼吸』みたいなテンポで一見スムーズにみえますが、主人公と先生、主人公と幼馴染、主人公と大学の先輩など、どの関係性においても、阿吽の呼吸のような会話で、代わり映えがしないテンポなのでとても不自然に感じました。
会話の対象が変わったら、その変化に応じて会話のテンポや空気感は変わってしかるべきだし、そんな誰とでも阿吽の呼吸のような会話が成り立つわけがない。
作家さんが、こういうテンポの会話が好きなんだな、ということはよくわかりました。
でも、違う生い立ち、違う思考回路をもった人と人との会話がこんな都合よくスムーズに進むわけ無い、という違和感はいなめません。

それに、「今のシーン、この主人公はそういう行動に出ないんじゃないか」とか「このキャラはここでこういうこと言わないんじゃないか」…というような違和感を感じることも多くて、それも読みにくかった要因の1つです。

読んでくうちに読者が感じたキャラの印象と、作家が動かすキャラの行動に違和感が生じるのは、主に3つの原因が考えられます。
読者の読解力・想像力が不足または不適切なのか、作家の都合でキャラに不自然な行動をとらせているか、適切な文章表現がなされていないために誤解を生じたか。あるいはそのすべてか。

はっきりと断言することはできませんし、することに意味もないのでしませんが、諸々の事情でどうやらこの作家さんとは非常に相性が悪かったんだな…と気づきました。

万人受けする読み物なんて存在しません。
ただ、多くの読者の方が好印象を抱き、評価されている作品を、自分も共感できないというのは少々寂しいものがあります。
まあ、読者のなかには、私のように偏屈な者もいるということで、ある一つの意見として、これから読んでみようという方の判断材料にして頂ければと思います。

《個人的 好感度》
★・・・・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★・・・・ :キャラ
★・・・・ :設定/シチュ
★・・・・ :構成

29

一穂さんらしさがつまった作品

これは良かったです。
さわやかさが詰まっていた。

ノンケ同士なのに簡単にその境界線を越えている所が気になるといえばなりますが、
処女作でこれだけ「らしさ」を詰め込んでいることが良いと思います。

文章も読みやすいところが良かったです。
私はこの作品が一穂さんの作品初読みで、
そしてこの作品から一穂さんに注目するようになりました。

で、
いろいろな作品が出ているんですが、
処女作を超える作品が今のところ私の中ではないんですよね。

他の作品が悪いというわけではなく。
タイトルのインパクトとか、そのタイトルに含まれた引用が素晴らしいと思うのです。
きっと私の感性と一穂さんの感性は似ているんじゃないかと思います。
だから読み続けちゃうんだろうな。

12

柔らかい執着が融かす凍った心

私がこの作品を読んで強く惹きつ付けられた部分、それはいろいろな形で表現されている「執着」です。

まず、高校生の時の桂先生の、葉子先生への情熱的な執着。
モノクロの世界に投じられた淡いブルー、桂先生の中に立った恋のフラグです。
「束の間の蜜月と嵐のごとき修羅場」という言葉で表現されていますが、当時の桂先生には葉子先生という存在だけが色を持ち、彼女を振り向かせることが自分の人生においての宿命であり、彼女と愛し愛される立場になることが人生の到達点のような感じだったのではないでしょうか。
でもそれは、宿命でもなく人生の到達点でもなかった。甘い蜜月の齎したものは、ひとつの新たな命と苦いやりきれない思いと自分の無能さ。
この哀しい結末が、彼の考え方や生き方を大きく変えていくのです。
誰からも執着されてはいけない、もしそういうことがあれば突き放す、何人も自分に関わってはいけないのだ、と。
そんな孤独な人生を選んだ桂先生にも、たったひとつだけ、自分を生かしてくれている希望があった。それが「ゆうき」。
そして「ゆうき」という名の生徒との、早朝の図書室での出会いが偶然だったのか必然だったのか、そこまでは書かれていません。
でも多分、桂先生は志緒ちゃんが朝早く図書室で勉強していることは知っていたんじゃないかなと思います(あくまで妄想です)。
複雑な気持ちを心の奥底に持ちながら、小さな希望を口にしたい思いがあったのではないかなと。
単に呟くのではなく、自分のクラスの「ゆうき」に自分の希望を重ね合わせながら。

次に、志緒ちゃんの執着。
彼は執着しなさそうに見えて、実は物語の中でものすごく執着しています。
父親の通っていた高校に対する執着…これは高校に執着しているわけではなく、父親の望みに執着しているんです。
本人も自覚していますが、半ば意地のようなものです。
ところが、母親の妊娠をきっかけに、様々な疑問や不満が現実となって自分に降りかかってきます。
その苦痛は志緒ちゃんの中に鬱積していき、どんどん膨らんでいきます。でも吐き出そうとしない志緒ちゃん。
そんな志緒ちゃんが唯一吐き出せた相手が桂先生だったのは、どうしてなのだろう、と考えた時、桂先生自身から『ゆうきの悩みや苦しみを解放してやりたいオーラ』が出ていたのではないかなーと思ってしまうわけです。
それは教師と生徒という関係から来るものではない、ということは明らかです。

志緒ちゃんは、もうひとつ執着していることがあります。
それは言わずもがな、桂先生です。
桂先生が志緒ちゃんに自分を重ね合わせ、似ていないのに昔のことを思い出し「つらかった」という場面がありますが、もし志緒ちゃんの桂先生に対する執着の仕方が、過去の桂先生の情熱的なそれと同種のものであったなら、このふたりは結ばれなかったかもしれません。
志緒ちゃんの、桂先生に対する執着が、なんとも言えず柔らかい優しい包み込むようなものであったからこそ、この恋は成立したのだと思います。
桂先生から「ゆうき」の存在を聞いた志緒ちゃんが、「ゆうき」の現在をこの目で確認したいと札幌へ旅立つシーン。
桂先生の過去が、たった今、札幌という場所で現在を生きて過ごしている。それを自分の目で確かめたい。
その行為自体、志緒ちゃんの桂先生に対する執着であり、桂先生を想う志緒ちゃんが桂先生の過去も現在もすべて受け入れたいという強い意志にも思えます。
先生の過去も現在も、遠くの地で生活している先生の過去の断片もすべて、志緒ちゃんは自分の目で見て確かめる。
確かめたからこそ、より一層、桂先生のことを好きでいたいと思う。
「先生のこと、好きでいてもいい?」
そのひとことに、志緒ちゃんの男気というか想いの強さをひしひしと感じます。
確かに志緒ちゃんは、桂先生に強い想いを抱いているけれども、決して同じ想いを抱いて欲しいと思っているわけじゃない。
けれども、志緒ちゃんの想いは、人との距離を縮めようとしなかった桂先生の心にすうっと沁み込んでいきます。
人から執着されることを拒んでいた桂先生が、志緒ちゃんになら執着されたいと思ったんじゃないかなーと、読んでいてすごく感じました。
元々情熱的な桂先生だから、「好き」と自覚したらそこからはガンガン燃え上がってきます。
実際は我慢するんですが、それでも言葉の端々に「志緒ちゃん大好き!」が溢れていて、読んでる側もニヤニヤしてしまいます。

あとひとつ、栫の執着の仕方もすごく気になります。不器用すぎて。

この1冊で、様々な執着や愛のかたちを感じ取れました。
そして、孤独のまま人生を終えようと決意していた桂先生の未来を、明るい色に塗り替えることができた志緒ちゃんの柔らかな執着と愛に、心が熱くなりました。

23

リアルを感じる鮮明さ。

一穂作品を読むなら、清冽なデビュー作から読んではいかが?
そう薦められて、こちらのデビュー作から読んでみました。

“清冽な” と自分の辞書にはなかった言葉を言われて、
清らで爽やかな春の風のようなイメージかな?と思いつつ本を開いてみましたが、
ちょっと違ったみたい・・・とすぐに思いました。

それは、言葉の意味の把握具合がよくないのもそうなんですが、
なによりこの本から、清らかさよりもリアルさを強く感じたからです。

この本の中で使われている言葉は美しいです、
日本語ってやっぱり素敵だなぁと、読んでいて何度も思いました。
でもそれは、そう意図されて作られたからという感じではなくて、
物事を鮮明に、的確に、漏れることなく言葉で表現した故に・・・という印象でした。
例えるならば、
今売っている一番画像がよいデジタルテレビを、20年前くらいに見た感じ?
(なんだか余計に分からなくしているかも・・・)
自分が今まで見ていたもの(正確には読んでいたものですが)とはちょっと違っていて、
色んなことが鮮明にハッキリと目に入ってきて、最初は少しびっくり。
でも、実際は、リアルは、世界は、こうなんだよね、と突きつけられた感じがしました。
登場人物の発する言葉がとっても自然なせいもあるかと思います。

なので、すごく素敵ではあるのですが、
そのリアル感があまりに迫ってきて、読みながら胸がひどく苦しくなったりもしました。
個人的にはもっと夢っぽさや笑いが被せてある方が、心が安らいで好き、
というのが正直なところです。
そう感じたのはきっと、
思春期の主人公がとても繊細で感受性が豊かで、
些細な物事にも敏感に反応し胸を騒がせる様子が、丁寧に映し出されているからだと思います。
それが特別なこととも思えず、過去の自分とだぶり余計に響いてきたのかもしれません。

読み終わって、よかったね・・・と思いつつ、
なんだか余韻が残って心が重だるく、ちょっとしばらくは動けなかったほどでした。
でも、少しずつその状態が解けていくと、
今度は無性に大切な人の声が聞きたくなるような、
そして、他愛もない事を話したくなるような、そんな気持ちになりました。
物語を読んだというよりは、
切なくも美しいかけがえのない現実を見たような、そんな気がしたからだと思います。

本の中の世界が、自分のいるリアルの世界と続いている感じ・・・?
初めてで不思議な感覚を味わいました。

※ 本の内容には全然触れず、申し訳ありません。
  内容は、他の素晴らしいレビューの方をぜひご覧下さい。

10

何と素敵な物語でしょうか

タイトルから文学的な作品かと思い、
堅苦しそうで、情緒的に感じてしまい
なかなか読む気になれませんでした。
しかし、しかし、早く読めば良かったっ!
涙してしまいましたよ。

教師、生徒ものは数多くあると思うのですが、
その設定だけで終始してしまうことも多いと思います。
この作品では、1人1人の姿が浮き出てくるようでした。

特に、生徒(受)の志緒が好きです。
いつもは、攻が好きになるのですが、
今回は、
先生の過去をひっくるめて、好きになれるという男前な姿を
好きにならずにはいられません。

本作品は、同人誌も出ているようですね。
是非、入手したいです。

12

人の幸は、人の不幸でもある

「何と綺麗なタイトルなのだろう」と、随分前に思った記憶がある。
こちらの小説を読むと、北原白秋の作品の一部分だと知った私は、自身の無知加減に呆れると共に知れた喜びも感じた訳で。

切なく儚く、キラキラとしていながらどの登場人物もどこか影を感じる。
人生で二度受験に失敗した高校1年の志緒と、担任でどこかへらっとしているように見える桂のお話。
正直、両方ノンケ同士の話にはいつも無理矢理感が否めないイメージがあって、ご都合主義に見えてくる印象が私にはあります。
勿論こちらの作品にも多少そういう印象を持ったのですが、そこは一穂さんの言葉の綺麗さに持って行かれた感満載で軍配が上がりました。

少し、わざと作り込まれた風には感じたものの、とても私の好みの雰囲気や文体。
読むにつれ、一字一句逃したくないとすら思えて仕方なかったです。

志緒の気持ちが少しだけ角度を変えたのは中学の受験の時で。
親から受ける愛情を少しだけ勝手に歪めてしまったのだろうと思います。
だからこそ、真っ向から突き付けられた桂の言葉に次第に心が揺れ、全てを感じたくてたまらなくなった。
そんな志緒の傍にいた桂はまるで自分を見ているようで、彼の中で志緒は幼く可愛くも辛い存在になる。
そして、正に自分がしたように、曇りなく感情をぶつけてきた。
怖いもの知らずなんだけれど、怖い事にぶつかる強く真摯な姿の志緒は、自分とは重ならなかった筈。だからこそ、惹かれたのだろうか、と。

桂に、自身の子供の存在を聞いて、それだけじゃなくて「ゆうき」と呼ばれる事の特別さまで知らされて、志緒は、心がきっと壊れかけた筈だと思う。
どう扱ったらいいのか分からなかった妹の存在を真正面から感じ取ろうとすると、小さく力強い命に涙した。
と同時に、桂の「ゆうき」の命の重みも感じて、なんて。
私、そこで涙腺崩壊しました。
一人で色んな思いを抱える15歳の志緒には辛くて辛くてたまらない筈なのに、逃げないひたむきさにボロボロ来てしまった。

そして、一番思った事。
『実はゆうきは、桂の子供では有りませんでした』
なんて、陳腐な言葉が無くて良かったな、と。そんな安易な結末では絶対納得出来なかった。
本当は、桂が愛して止まなかった葉子さんも、苦しんでいたんでしょうね。
「桂の人生を滅茶苦茶にしてしまった」
「自分だけが人生のやり直しを出来ているのではないか」
桂と離れて十年、彼女は彼女で自分の子供や旦那を見る度に思って居たのかなと思えてなりません。
(狡いとは思ったけど。そもそも桂と一緒になる覚悟は無かったんでしょうし)
(でもあんなざっくり話が出来るようになるものなのかな…というすっきりしない気持も残ったけれど)

ただ、本音を言うと、桂が志緒を恋愛対象として好きになる所が私には分かり辛かった。
好きだと認めると、兎に角可愛くて誰にも渡したくなくて閉じ込めておいてしまいたい、とまで溺愛するのは分かるのだけれど…
本当、その1点だけ。

大事な幼馴染の扱いをあやふやにした。
親にだって絶対に言えないひみつごと。
修羅場を見た、傷付けた、絶望も感じた。
通って来た時間も道も違うけれど、引き寄せられるように出会い一緒に居る2人。
穏やかに、傍に居られるようにと心から思います。

12

女の生きざま

言わずとも知られている作品。

私は 「葉子」という女の意地物語だと思っています。
お昼のメロドラマです。
女教師と教え子の禁断の恋。
思ってた以上に嵌まってしまう二人。
女教師には 婚約者がいた。
それでも逢瀬を重ねてしまう。
・・・妊娠。
愛してしまった教え子の子ども。
身体を壊してしまうほど想い悩む。
・・・別れ。
婚約者が女教師と子どもを連れて行く。

私は葉子が結婚して めちゃくちゃお義母さんにいびられていたと思う。
だって 違う男の子どもを孕む不届き者ですから。
それはそれはたいへんな思いをしたはず。
ここに 女の意地・生きざまがあるのです。
根性・根性・ド根性です。
授かった大事な命 愛する男の子ども。
これだけが 葉子の誇りだったと思うのです。
ラストに桂と会う場面。
女の意地物語が終わりました。
私は 葉子に肩入れしすぎかも。
だってこっちの方が妄想するには 面白かったんです!!

 

 

4

やっと読んだ

【最初に余談。わたしは今のところ朝丘戻。さんは苦手です、ポエムな文章が…;漫画でいうと絵柄が生理的にダメとかそういう感じです。でも一穂ミチ さんは作品にもよるが、好きです。なんだかよく比較され、こっちがいいならこっちもどうぞ等言われるようで。でも、わたしみたいのもいますよーと、…どっかで言いたかったのでここで】

一穂ミチさんのほかの作品はいくつかすでに読んでいるけど「先生と生徒(10代)」という設定が苦手なため、このデビュー作はなんとなく読まずにきました。

ほかのかたも評してるようだけど、やっぱ受けの志緒が、先生の桂をどういうきっかけで(きっかけはいくらでもあったように思うけど…でも、なんで「好き」になったのか、好意から変じたのかが描かれ足りず、
 せっかくのエピソードや語り口が「もっとクるはずなのに」と惜しくなった。

それでもなぜか、いったいなんでなのか、悲しくもなく、劇的なわけでもないのに、泣ける。
 なにかしらが、心に触れて。
 
 美しいと思います。でも綺麗すぎない。綺麗であれと願う心の綺麗さ。
林檎の香のする雪だって、じきに汚れ、溶けることを知っている。そこがいいな、一穂センセイの作品は。
卒業までえっちをガマンっていう倫理観もおしつけがましくなく、好印象だった。フライングも許せた。十分満足というわけではないが、良かったと言える。
10代受けの設定はどうしたって好みではないが、読んでいる間は自然に感じた。

13

snowblack

こんにちは。
ハイ爺様のレビューを今さらながら拝見し、ひとこと。
私は一穂先生の作品が好きなのですが、朝丘戻。さんは苦手です。
ものすごく評価の高い、「あめの帰るところ」も読みましたが、「で?」って感じでした。
常々同じカテゴリーに括られがちなのを、????と思っておりましたので、
是非一言共感を示したくて書き込ませて頂きました<(_ _)>

独自の世界観

独自の世界観を持って書かれている作品。
マンガよりも小説の方が作者の世界観を出すのが難しいと思うんですよね、この作品では一穂さんという作家さん独自の世界観がよく出ていてまずその点を評価します。

そしてその世界観が読んでいて実に心地良い。
別に甘ったるい話ではないし、チクッと棘の刺さる様なエピソードも出てくるのだけれどそれら全体を大きく丸く包む世界観が読んでいて心地良い、そんな作品です。

高校生で自分に弟か妹ができるとしった妙な感情や、教師と生徒との穏やかで緩やかな恋。
そしてタイトルの白秋の俳句が生きてくる。
元ネタがあるとしてもこのタイトルは秀悦、思わず手に取りたくなる上手いタイトルだと思います。
竹美家さんの挿絵もばっちり合ってますね。

ちなみにCD化されてますが、そちらは自分的にはちと残念な出来でした。

6

学園モノ

読後、間が空いてしまったために、どんな話だったのか思い出せない・・
ということは、そんなにインパクトのある話ではなかったのか。

ここでの評価がすごく良い作品であり
早いうちに読んでみたいと思い続けてきた作品でありました。
しっとりと、ほかのBLにはない雰囲気を感じた。
思い出すべく、ページをめくって思う。
繰り返し読むことで味が出る作品なのだろうか。
昔は、同じ本をなんでも繰り返し読んだものだが、最近ではめっきり読み返すという習慣がなくなってしまった私なのだが、読み返せば面白いのかも。という雑感。

過去に辛い思いをし、二度と新しく人を好きになることはないと言った攻が、知らず知らずに恋に落ちる。
なんて奴だと思っていた相手に、受も恋に落ちる。
惹かれていく二人の間に理由があるのかないのか。
「こうであるから好き」というのではなく、お互いに惹かれていくという様を描かれていたように感じました。
だからこそ、読後あんなに気持ちよく読み終われたのかなとも思う。

卒業まで待つと、我慢し続けた年数。
けれど、最終的にはフライングというのがちょっと可愛くて好き。
ホロっと笑えて、そんでもって幸せで。

トータルで見るとすごくよかった
のだけれど、期待値は超えなかったかな~という感じがしなくもないのは事実だったりするのであります

追伸。
「林檎の香のごとく」の使い方が好き。
たしか、何度か使われてた気がするのだけれど。。。

5

ときめき盛りだくさんな心にしっくりくる神作品

タイトルに惚れてほとんど衝動買いでしたが、大当たりだったと思います。
こんなにしっくりくる作品は初めてでした。
てかときめきすぎて心臓もたなかった・・・。

辛い過去を持つ桂先生とその生徒で純情少年な志緒ちゃんのお話。
一見ポピュラーでありがちな設定で、たしかに私もそれに惹かれて買ったようなものですが、この二人だとなんか違うんです。
普通教師×生徒の作品って、話自体は萌えるものの、二人の間に本当の愛を感じることって少ないと思うんです(少なくとも私は、そのような教師×生徒の作品に出会っていないのですが)。
でも、この二人は本当に愛し合って、求め合って、時々不安になりながらもお互いを信頼しあってるんです。
桂の過去は絶対に志緒にとっては大きな壁のはずだし、桂には教師としての責任や、志緒の心情も気にかかっているはずです。
それでも、お互いに愛し合って、思いやっているところが素直に心に入ってきて、こちらまで幸せな気分にさせてもらいました。
そんな、二人の間にある形容しがたい硬い絆がすごくときめきました。
とにかく二人が愛しくて、ついつい感情移入しまくりでしたw

文章力はかなりあるし、描写や言い回しもかなり上手かったと思います。
ですが、それに慣れるまではちょっと読みづらかったです。
慣れればそれが良さに感じてくるのですが、慣れるまでは、同じ文章を三回読んでやっと理解できたようなややこしい文章もありましたし、あれ?と思うこともありました。
慣れてからは本当に文章が素敵で、するすると心に入ってきて、思わずポロリと涙が零れてしまいました。
志緒の純情さは反則だと思いました。

13

綺麗でした。

今から1年前に本屋さんで出会いました。
題名が『雪よ林檎の香のごとく』
もともと北原白秋が好きで知っていたんですが
題からしても綺麗だなあとつい手にとってしまいました。
が、
すっごく良かったです!!
ふんわりと、やさしく心の中に入ってきてくれるんですよね・・・

けっこう本にはうるさい友人も
「・・・・・・すごい・・・・綺麗・・・・・・・」
と返しに来たときにいってくれました。

なんかこの作品って
『ただ綺麗』
じゃないと思うんですよね。

それこそ桂先生と先生の関係も生々しい感じでしたし。
でも、そこから救われるってのが素敵なんですよね。
切ないし、美しい。
この『雪よ林檎の香のごとく』の
うたと同じなんですよね。
タイトルからして秀逸だと思います。

8

楽しめました。

出だし、最初の数行が漱石の小説でも読んでいる気分になりました。
かなり婉曲な言い回しと表現で言葉を綴られる。
沢山の作品を読まれている文学好きな方だと推測。
前半、それがやや鼻に付く所もあった物の後半は随分読みやすくなりました。
これがデビュー作だという事ですが文章力は確かな人だと思いました。

当初桂に対しては「やな先k…(以下略)」だと。
口の訊き方とか教科書にチョークで殴り書きとか(笑
学校の先生×生徒という組み合わせが個人的にちょっと苦手で、ただ教師といっても何故か家庭教師やNLは気にならないのですけど。

2度の受験に失敗した事柄や、兄弟が出来る事で感じる両親に対する軽い苛立ちの気持ち。
あの年頃特有のやや自意識過剰な、そして潔癖症で繊細な心の描き方は上手いと思いました。
なので志緒が桂に惹かれたのは何となく理解できたのですが、
先生、なんで志緒は良くてりかちゃんじゃ駄目だったの?と思ってしまった。
桂の設定年齢は確か志緒より一回りくらい違ってたのか…
引き摺らないようにバッサリ切るのが良識ある(少なくともこの時点ではw)
大人の態度というのなら尚更ゲイでもない桂が何故志緒を受け入れたのかと言うのが少し分かり辛かったですね。
昔の自分に似ていたから、と言うのでは少し甘い気もする。
BLだからと言われればそれまでですが端正で丁寧な文章を書かれるので
普段なら気になら無い所も気になってしまったのかもしれませんが。
桂は高校生の時に婚約者のいる担任の女教師と関係を結んだ上、子までなしてしまった。
それが彼の傷となって表題の北原白秋の歌集「桐の花」(白秋が人妻である松下俊子とのスキャンダル後に編まれた歌)の「君帰す 朝の敷石サクサクと 雪よ林檎の香のごとく降れ」にかけられている。
だから桂側から見た、志緒によって彼が救われたと見る方がしっくりくるのかも、という気もしました。

ご本人は4冊出した同人誌がすべてこの作品のスピンオフなので、とても気に入られている様子。
後半に出てきた栫の存在が面白かったので、こちらでも1本書けそうな気もするので期待しても良いでしょうか^^

5

かわいかった。

絵とタイトルに惹かれてで買ったのですが、かなり大当りです。

話がとても深く、かなり感情移入できるので、私は思わず泣いてしまいました(´д`)

本当にこんな先生いたらな~

同人誌でその後の話が出てるのでそのうちゲットしたいです^^

8

し、志緒ちゃん…

あーーーーーーーー
好き!!



久しぶりに大当たりな一冊でした。




年の離れた妹が産まれることへの嫉妬や動揺など思春期らしい悩みを抱えていた、等身大高校生志緒ちゃん。だったはず。

そんなスタートだったので、途中から落ち着き払い過ぎていることへの違和感を感じなくもないですが、でもでもそんなことは吹き飛ぶほどに桂を一途に想う志絵ちゃんがかわいーいー!

フラれた側だけれど、桂を思いやって「好きになったりしてごめん」って呟く志緒とか
初詣で自分達の幸せより妹のことを願っちゃう志緒とか
桂の「幸せにして」に本気で向き合っている志緒とか
桂の言葉にいちいち反応してしまう志緒とか
シオシオ言ってますが、本当にツボ。



おちゃらけていて、でも大人の桂と、素直で落ち着いているけど大人でも子供でもない特有な時期にいる志緒の掛け合いがいい雰囲気を出してます。

ナレーションの心情より2人でのセリフが多いので、関係性やそれぞれに対する思いがリアルに感じられて、ほっこり。



まーた読みたくなった!

12

度量がないんだよ、アタイには。

初め一行目が長すぎるんですよね。
一番初めの文章でその長さはちといくらなんでも読みにくい・・・・途中とかの文でならいいけど。二つに分ければもっと入りやすいとは思ったんですよ。
って言うか、なんか最初の1、2ページ、ちと難解過ぎる気がするんですが。
私最初の二ページ何回も読み直しましたよ。
件の一行のせいで視点がどっち向いてるのかアイマイにもなるし。
まぁ・・・入り口だけわかってしまえば後は別に苦もなく読めるのですが・・・・・ブツブツブツ。
デビュー作らしいからまぁしゃぁねェかそのヘンは。
だしするから、まぁそれはそれとして。

私これ、数十ページ読んだ時、パタンと本閉じました。
ダメだ、私にゃコレは読めねェ。(汗)

いっくら攻め教師「デモシカ」のいい加減教師だからって、自分の授業中に、受けの教科書のページいっぱいにチョークで落書きするようなヤツには絶対萌えらんねぇ。(だってチョークよ? 後どーなるか考えると最悪よ? 人として私にゃ許せないんですけどーーー☆ マジ)

そこまでで私読むの止めてしまったし、だから私には物語全ての感想いうことは出来ないんですが。
だったら何故レビューなんてしてんのかと言うと、まぁこれから読む人に警告というか。

この作品は、本にチョークで落書きする描写に耐えられ、かつそんな国語教師に萌えられる度量をお持ちでない方は、絶対手に取ってはナリマセン☆

ちなみに、良作と誉れの高い作品にも関わらず、友達もこの小説あんまり好きではないらしかったです。それで私が「私もー☆」と言って、チョークの話したら、「そこでかよっっ!!」と思いっきりツッコミ入れられてしまいました。
エーそこってでも結構デカくないー?!

10

子どもって、一途で傲慢

高校1年で、桂に出会ってしまった志緒、

好きだから、好きでいる

その気持ちだけで、他の人なんか、自分の世界にはいらない。

この本って、サラッと読むと、ほのぼのと、しみじみとした、いいお話みたいなんだけど、
こうやって後からよくよく考えると、結構怖い、
拵さんのように、あからさまなヤンデレさんだけでなく、
志緒君も、結構あぶない、
桂先生も、若気で突っ走って、子供作っちゃったりだし

朝の図書館、
夏の花火、
台風の文化祭
と、甘酸っぱいような情景に目を奪われて、サラッと見過ごす、子供の残酷さ。
って感じ?

それにしても桂先生、2年半もよく我慢したよね。
現実に先生が生徒に手を出したら、たとえ本人達は恋愛でも、先生の方は一発でクビだしな

9

心に沁みる作品

文句なしの神作品。
これがデビュー作とはすごい!

タイトルにも雪よ、、とあるように、雪が降っているような静謐な世界観。
この方の筆力、表現力、才能なんでしょうねぇ。卓越したものを感じます。
何よりも作者のこの作品に対する気持ち、この作品を書きたいという熱意、言葉を選んで選んで、表現したいものを丁寧に創っている。
北原白秋の詩が引用され、文学的な匂いもあります。
文学少女出身なので、かなりツボに入りました。
ストーリーもさることながら、何度も読み返したくなる文章がいくつもあり、物語の空気の中に、自分もそこに立っているような気になります。

志緒のしっかり者だけど、まだ子供な部分をちゃんと守ってあげている先生は大人だ。
何でもありのBLだけど、大人のモラルって大事だと思う。

幼馴じみのりかとの涙のシーンでわぁっと泣けてしまいました。
いつもより、、綺麗な涙が流れた気がする、、。

8

静けさが心地よい

「生徒×先生」という、一見普通な設定です。けど通常なら「生徒と先生との危ない関係」を重視してしまいがちですが、この作品は「愛し愛されることの喜び」を描いているようにみえます。すごく繊細で美しい印象を受けました。

この作家さんは文章力に長けていて、BL小説ということを忘れてしまうほどでした。なかなかBL小説では焦点にならない「生命」についても考えさせられました。それに会話が妙にリアルで想像しやすく、テンポも心地よかったです。

なにより脇役に嫌味が無いですね。普通なら脇役って背景になりがちですが(笑)。どの人物も2人の恋愛をより引き立ててくれます。

いかんせん私のつたないレビューではいまいち感動が伝わりませんね…。
とにかく読んでもらいたいです。
切なくて、綺麗で、素晴らしい作品です!

9

爽やかな恋物語

受けも攻めも非常に繊細で、触れなば落ちん……と言った風情なんですが、なかなか芯はしっかりとしていているんです。

過去の恋愛でボロボロに傷ついた桂でしたが、その過去ごと受け入れてくれた志緒に、癒されたんでしょう。
志緒にも年の離れた妹が生まれたことも幸いして、桂のことがよく理解出来たのもあったんでしょう。
その上、桂だけ真っ直ぐに愛してくれたら、そりゃ気持ちいいだろうし。素直に自分を認めてもらえるって、心地いいですよね。

いい子の志緒に癒されるのはいいけれど、何とな~く『いい子』につけ込んじゃってない?と穿った見方もしちゃったのは、オバサンだから?
それと、この二人ってもともとゲイじゃないだろうに、こんなに簡単に恋に落ちちゃうのか?って引っかかったりもしたんですけど。
まぁ、普通の高校生と過去を引きずった担任の先生の等身大の恋愛だから、強引な大きな事件を起こすわけにもいかないんでしょうけど。

って、ちょっとひがんじゃうくらい真っ直ぐに愛し合っちゃってます、この二人。志緒が卒業するまで、桂はちゃんと待っててくれるんですよね。抱いてしまいたいだろうに。一足飛びに行っちゃわないところが、よかったです。

4

とにかく可愛いんです、攻めが!

 現在注目されている作家・一穂ミチさんのデビュー作であり、既に名作として広く知れ渡っている作品です。
 デビュー作とは思えない程の出来の良さと卓越した文章からは、彼女(で良いのでしょうか……)が「書きたいもの」を渾身の力を込めて書き上げたのだという気迫が伝わってきます。

 高校生と担任教師の恋愛、という言葉だけでは言い表せないどうしようもない切なさと美しさに、二人が結ばれた時には胸が一杯になって思わず涙してしまいました。

 個人的な一番の見所は、物語終盤に登場する桂の元教え子であり志緒の先輩となる“栫”と桂の、志緒曰く頭の悪そうな会話(笑)でしょうか。桂の妙な子供っぽさというか、独占欲というか、大人の余裕を何処へ置いて来たんだと言いたくなるような阿呆らしさが、何故だかとても愛しくなります。
 普段受けに感情移入し易い方でも、この作品に限っては攻めにきゅんとする事請け合いです。

8

堪らなくなります…

この本を店頭で見かけた時に、買おうか悩んでいました。
そして、30分近く悩んだあげく購入!
amazonのレビューをみていたので読みたい気持ちはあったものの、内容が若干暗めな感じだったので躊躇っていました。

でも、
買ってよかった~~!!!!!と、今は思っています。
一穂さんのしっとりした文章が、ゆっくり心に入ってくる感じが堪らなく好きです。
今度ドラマCDもでるので、即買いしようと思っています!

7

涙腺大崩壊

凄い凄い、凄いとしか言いようのないかんじです。
今読み終わったところなんですけど、「オールトの雲」も「朝から朝までも」もよかったけど、これは別格だった。
凄い。

主人公の志緒は受験に失敗し、親の期待に応えなくてはと必死に勉強ばかりしている高校生で、
この年でいきなり弟ができて両親に幻滅したりだとか、とにかく大人はみんな嫌いとか。
ギリギリのところで我慢して頑張ってる、でもそれを相談する相手が誰もいない。
そんなときに支えてくれた桂に惹かれていく志緒。
志緒はある時ふいに桂のことが好きだと気づくのですが、彼に恋することによってどんどん強くなっていきます。
最初は勉強がすべてだって思っていたのに、勉強以上に大切なものを見つけて。
その大切な物のために学校をさぼったり、走り回ったり。
桂もそんな志緒を見たら愛しくなってしまいますよね。
桂も本当につらい過去を抱えていました。
普段のおちゃらけた姿からは想像もつかない、けど時折見せる物憂げな姿はきっと昔の罪をずっと背負っているから。
話が進むにつれて、志緒ちゃんのほうがどんどん逞しく、強くなっていき、桂のほうがポロポロと弱い部分がこぼれ出てきました。
最初は桂が志緒を支えてたけど、最終的には志緒が桂を支えてましたよね。
グっときたシーンは、志緒が白秋の詩を本屋で読むシーン(以前その詩を語る桂も含め)と、「好きになったりして、ごめん」のシーンです。
心がぎゅーっとなりました。切ないよ、志緒ちゃん。
でもこの話は志緒ちゃんの強さがあったからこそ乗り越えられたんだよね。
志緒の成長物語に思わず涙が零れました。
最後に桂とその先生の話が出ましたね。そこで桂が先生に惚れたのも理解できた気がします。
女から見てもカッコいい、強い女だったんだなと。
当時、自分の非力さに涙した桂。そして当時の桂とは違う強さをもった志緒と今一緒にいるということ。
今度はしっかり志緒ちゃんを守ってあげてほしいと思います。

二人がくっつくまでの間が一番盛り上がった。その後はもうラブラブなんでね、微笑ましく読ませていただきました。
最初は泣いてばっかりだったけど、こそばいようで、でもついつい微笑んでしまいそうな、そんな素敵な話でした。
ロマンスっていう響がとっても似合う、タイトルも、その意味もとっても素敵でした。

ちなみに新書館のサイトで番外編「オンユアマーク」が見られます。
付き合い始めて3ヶ月後。桂視点で志緒への想いがいっぱいです。大人の桂の可愛い恋です。
こちらもすごくよかったので、是非。

6

好きだから、好きでいる

まずタイトルに惹かれました。
そして内容も、現国の教師である桂が「君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」という短歌を引用することで更に文学的になったんじゃないかと(・ω・)

教師×生徒でしたが、教師と生徒しかも男同士で禁忌をおかしてる…といった感じはなく、ただ好きだから好きでいるという感じでした。
志緒のいきなりの告白にはびっくりしましたがw

キャラ的には桂はお調子者、志緒は意地っ張りツンデレでしたw
桂は現国教師ってことでおっとりしてるのかと思ったら全く違っていましたw
普通に「エッチしてえ」とか言うしw
志緒はツンデレですねwいきなりキスされて「死ね!」ってw

あと志緒の幼なじみのりかちゃん。彼女も話の中の重要人物だと思います。出番も結構ありましたしね。
志緒にもいい影響を与えてくれた子なんじゃないかと。
桂の過去も切なかったです。
全体を通して、志緒の成長が見れたのが良かったかなあと*
これも桂のと出会えたおかげですね!
ちょっぴり切ないけど、暖かくなれる作品だと思います。

ただ文体としては、会話文が多かったのがちょっと気になりました(・ω・;)

2

さすがとしか言い様がない

評判高いですよねー。
噂の(?)一穂ミチさんのデビュー作です。
期待値が上がっててヤバイので、もうちょい待ってから読もうと思ってたんだけどw
でも裏切られることはなかったです。
ああもう、こういう小説が読みたかったんだよ、と、ページめくりながらずっと思ってました。
素晴らしかった!
桂先生に惚れました。
志緒くんにも惚れました。
情景描写、心情描写、会話、すべてに過不足がなかったです。
ほんのちょっとだけ足りない感じはあるんだけど、そのおかげで逆に行間にニュアンスを感じることができるというか。一穂ミチさんは意識して書いてるのかなー、やっぱりこれは才能なのかなー、すごいな。

先生はちゃんと先生でオトナで、でも可愛くて。
生徒はちゃんと生徒でコドモで、でも強くて。
それぞれの精一杯の思いに、精一杯の行動に、キュンキュンしました。

セオリーを裏切る爽快さもあるんだよね。
先生がモテることにグダグダ悩んだり嫉妬したり疑心暗鬼になったり、みたいな描写をしないこととか。
志緒が、窮地を自力(てか女友達の助けがあって、だけど)できっちり脱出するところとか。(セオリーなら先生が助けるだろう)
二人の会話もいいよね。
桂先生が超年下の志緒くんに甘えてるのが、微笑ましかった。

志緒くんと一緒に泣きました。
とにかくぜんぶ良かったです。
名作の名に相応しいと思います。
泣きました。

11

文学的な雰囲気と、個性的なキャラたち

デビュー作というのは概ねハズレが無いものなので、この本も発売日には購入していたわけですが、結局今まで積読でした。
題名からもカバーイラストからも、せつない系のお話だろうなと思っていましたが、
その王道な展開に文学的な脚色が施され、
王道っぽいキャラ立てにピリリと効いたスパイスが個性を生み出していて、やられちゃいました。泣かせていただきました。

親の期待通りの優等生でいたかったのに、いちいち受験で失敗し余裕の無くなっている高校1年生・結城志緒とワケあり国語教師・桂のお話。
授業中に内職をしてまで来年度の編入試験に向けて猛勉強をしている志緒が、図書室で桂の意外な面に触れてしまったことからお話がはじまるのですが、
志緒の素直で遠慮が無い分、自分から生きづらくしているような少年らしさと、
教師の中では若手で結構さばけているように見える桂が、老成した考え方をするようになった過去が絡み合うことによって、
お互いを支えあうような関係になっていくのです。

幼馴染のりか、年の離れた妹の誕生、“ゆうき”の存在など、心悩ませる事柄の一つ一つを乗り越えながら経験を積み大人になっていく少年の心の成長がうかがえます。
また、桂の先生らしくないざっくばらんな物言いの中で、時々語られる重みのある言葉に説得力を感じます。
シチュエーションの描写は水彩画の様と言いましょうか、場面場面で様々な色が見える気がします。

書き下ろしは高3になってからのお話。
卒業するまではしないという桂の宣言どおり、密かに清い交際を続けている二人を、
進路とか、りかとか、先輩の栫さんとか、謎の“ヨウコサン”がかき回してくるのです。
微妙にすれ違ったり、一人で解決しようとしたりしながら、最終的には“フライング”で結ばれることになり、まずはめでたしめでたしです。

桂と葉子さんとのエピソードが最後の最後で語られ、それはそれでいいお話なのですが、このお話はここに持ってくるのがベストなのでしょうか?もう少し早くに挿入して、最後は結ばれて終えるのではあまりに王道すぎてつまらないでしょうか?
評価は神にしましたが、この終わり方がちょっと納得いかないのですが・・・

6

大注目の新人作家登場!

教師×生徒モノです。
クラス担任・桂の涙を偶然目撃した志緒は、それから桂を気にするようになります。
桂に話しかけられ初めは煩わしく感じていた志緒でしたが、毎日の何気ないやり取りを続けるうち、いつしか桂に恋をしている自分に気付きます。
しかし桂は過去の苦い出来事の反省から、一生恋人をつくるつもりはないと自らに言い聞かせ、志緒の気持ちにも応えられないと一時は距離を置こうとします。
しかし志緒のまっすぐな想いに対し、桂はこれしか返せるものがないからと、過去の苦い経験を打ち明けます。

作者の一穂ミチさんのデビュー作です。
ストーリー自体もとても良かったのですが、特に文章力の高さに目を引かれました。普通に読んでも違和感を感じないどころか、むしろ感心してしまうほどで、言われなければ絶対にデビュー作(新人)だなんて思えないレベルの作品だったと思います。
タイトルにもなっている北原白秋の短歌を、とても印象的なモチーフとして(ただし違和感などを感じさせず)自然に引用しているところにもスゴイな…と感じました。

志緒が高校生(15歳)にしては落ち着き過ぎていると思った部分が多少はあったのですが、聡明で潔癖な中にも、思春期の少年らしい繊細さやもろさを抱えているのがきちんと伝わってきました。淡々と綴られる文章も同様に繊細さを感じさせるもので、志緒のイメージとピッタリ合っていたこともより雰囲気が出ていて良かったと思います。

一方相手の桂は教師で年上ということもあり、初めは志緒に対してどこか一線を引いているというか、教師としては優しいけれど、それ以上踏み込まれそうになると上手に受け流そうとするみたいな感じで、ちょっとズルい大人の顔を見せています。
しかし志緒のひたむきさに触れ、いずれ恋人という立場になると意外に誠実で、志緒を不安にさせないようにと気を遣いながら甘やかそうとしている姿に、今度は大人の包容力を感じ好感を持ちました。(でも実は結構子供っぽいところもあって、それはそれでまたいい感じなんですけどね)

桂と志緒がゆっくりと距離を縮めていく中で、それぞれが抱えている悩みや問題に向き合ったりしているのですが、メインの二人の関係だけではなく1つ1つのエピソードがとても丁寧に描かれており、志緒の家族や幼馴染への想いや、桂の過去にまつわる一連の展開など、胸にグッと来るシーンが何度もありました。

内容が素晴らしいのはもちろんなのですが、竹美家ららさんのイラストも繊細で温かな雰囲気をさらに印象付けてくれていたのもとても良かったです。
デビュー作でいきなり心臓を鷲掴みにされてしまった訳ですが、今後も一穂さんの作品に注目していきたいです。

6

あぁ、青春

 Amazonの評価の高さに惹かれて購入、大当たり!

 先生と生徒、一途で不器用な二人の、それはもう丁寧に描かれた恋愛模様にどっぷり浸って幸せ一杯。

 青春っていいなぁ。
 恋愛っていいなぁ。

 読み終えた後、そんな風に思いながら本を閉じました。

 派手さも、エロさもないけれど、登場人物全員がちゃんと自分で考え、地に足をつけて立ってるのがイイ。
 透明感のある文章から滲み出る、相手に対する想いの深さを感じ取ってうっとり。
 お互いがお互いをとても大事にしているのが、直に伝わってくるのが心地良い。

 いい本に出会えて、幸せです。
 満足。

 デビュー作ということで、今後がとても楽しみ。 
 次は、存在感あり過ぎ謎多過ぎの脇役、栫(カコイ)さんの話を希望。
 あの人がどんな恋愛するのか、非常に気になります。

2

流れるような文章に引き込まれて

新人さんです、これがデビュー文庫のようですね。先生と生徒のカップリングでカップリング設定はありきたりなのですが、その、背伸びをしていない感じがかえって良かったんじゃないかなと思いました。

父親の母校の入試に失敗し来年編入試験を受けるために毎朝図書館での勉強を日課にしてる高校1年生の結城志緒は5月のある雨の日の朝、普段通り向かった図書室で現国の教師で担任の桂が本を読みながら泣いているところを目撃してしまう。
今まで入試に必要ないからと授業もまともに聞いてなくて、名前も苗字くらいしか知らないようなどうでもいい存在だった桂のことが図書室に行く度に顔を合わせその人となりを知るうちにしだいに存在は大きな物へと変化していく・・・

普段は飄々とした軽めの男が時々見せる憂いを帯びた表情、その過去を知って愕然とする志緒、そんな先生の過去の話も無理なくストーリーに溶け込んでいて、流れるような文章とタイトルの一部にもなっている北原白秋の短歌に込められたエピソードが切なさを助長する感じでいいんですよね。ラストでは思わずホロリと来てしまいました。

桂が志緒の努力を受け入れて認めてくれたことが嬉しかったように、桂は桂でつらい過去を乗り越えてきた自分の存在を嫌悪したり拒否したりするのではなく丸ごと認めてくれたことで桂にとって志緒は特別な存在になったんじゃないかなと思います。

これからにもますます期待がかかりますね~
楽しみが増えて嬉しいです^^

12

父と同じ高校に通うことを目標としていた志緒は、中学高校と受験に失敗し、現在は編入を目指して勉強に没頭している。
早朝の図書室で勉強することを日課にしていた志緒は、ある日、そこで担任の桂が泣いているところを目撃してしまう。

理由は“小説に感動したから”と桂は言うが、実はそれだけではないわけがあった。
二人はそれから早朝の図書室で毎朝のように言葉を交わし近づいていくが、そんな中、桂の「一生人を好きにならない」という言葉を聞き、いつも飄々とした桂の隠された影を知る。

やがて志緒の幼馴染・りかが桂に恋をし、失恋したことをきっかけに志緒は自分も桂を好きになっていることに気づく。
しかし桂にきっぱりと拒否され、「一生人を好きにならない」と決めた桂の過去を聞かされる――。


なんだかとっても静けさと透明感のある、素敵なお話でしたね。
一穂ミチさんは新人さんですが、これは今後に期待の大きい新人さんという感じがします。
何よりその文章、というか交わされる『会話』の誌的なリズムは非常に特徴的だと思いました。
ポツリポツリと、時にはポンポンと、だけど怒っていても泣いていても静謐な言葉のキャッチボールの妙。
綺麗に整えられた、だけどわざとらしくない優しい言葉。それでいて、そこにはユーモアがあったり、伏線があったり。

どうしようもなく子供で、あるときは確かに桂との間に年齢差を感じるんだけれど、志緒の一部分は確実に桂より大人びていて、子供と大人が危うく絶妙に一人の人間の中の存在している感じは、10代の繊細さを強く感じさせました。
桂の、大人だけれど子供であるところも同様に。

優しくセンシティブで気持ちのいいお話でした。
タイトルも綺麗で(書き下ろしのそれも)、意味が伴うとより壊れそうに美しい。

6

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