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どうして、ヤマシタさんの描く人物というのはこうも魅力的なんでしょう!
登場人物が全部動物なのはギャグなのかと思いきや、ある意味性格も表しているのか?
アトガキで”「暴力OK」と言われたので、文法や萌えを詰め込んだ”
と書かれていますが、まさに言葉とシチュエーションの玉手箱でした☆
今回はネタバレのような内容は書かないようにしましょう。
死にたがりの田貫に自分を愛することで生きるを実感させたい浅黄。
その浅黄をモノにしたい狐文と、ヘテロの射立は田貫が嫌い。
父親の暴走で浅黄の姪の十和子は命を狙われます。
どうしても生きたい必死で前向きな十和子の一言一言に、
駄目な大人たちが、心打たれ、少しずつ変わっていくのだと・・・
ひょっとすると、浅黄が一番変わらないかも?
一番変わったのは狐文?
ここに出ているオヤジ達の部分は自分が持っている一部分かもしれない。
そのネガだったりする部分に、純粋な十和子の必死だったり何気だったりする言葉が
自分へも突き刺さるのだ。
生きるって~大変だよね。
ヤマシタさん、いつもグサリと突き刺しすぎです(トホホ・・・)
いつもだと、ネガ終わりのものでも書き下ろしで救ってくれるのですが、
今回はちゃんと本編の中でオトして救ってくれてるので明るい仕上がりですっ。
どいつもこいつも、相手を想っては一方通行で、絶望的に交わる事がない。
しかし生きることとは、とどのつまり愛である、と説かれた気持ちだけが残る。
BLジャンルだけれど、あらかさまに体を重ねるシーンは1つもない。
ホモです、バイです、ホリました、ハメ撮りしました。言葉だけで説明したり、そんな1カットがある位。
私は単純に、出てくる人間の苗字にアソビがあるのが好きだ。
今作は正にそうで、
【ヤクザでホモ・浅黄(サギ)】
【マゾの自殺志願者・田貫(タヌキ)】
【何にも無関心な保険屋・射立(イタチ)】
【オタクでバイでヤクザの息子の中国人・狐文(フーウェン)】
【全うに真面目に生きる女子高生・久末(クマ)十和子】。
主要人物だけかと思いきや、少しだけ出てくる、狐文のお付の名は【縮見(シジミ)】、女性弁護士の名は【久白(クジラ)】等々、隅っこの方まで徹底されていた。
何が好きって、サギが40超えたクタビレ風親父ヤクザでしかもホモ、メス嫌いなのに姪っ子は溺愛、という所。これは単なる私の好み(笑)
全体を通して、何が生なのか、それにどんな意味があるのか。
生きる先には何があるのか、今の思いは何なのか。
そんな事が万遍なくちりばめられている気がする。
暴力あり、流血あり、1コマでの台詞の長文が半端なかったり、割と殺伐とした雰囲気で空気が締まってる感じはあるけれど、どこかで必ず誰かのネジが外れている。
紅一点の十和子が一番強かったりもする。
狐文が、一番十和子の影響を受けた気がする。
冷血無関心な射立は十和子に惚れるし、彼女の伯父の浅黄は射立に「太もも見んな」と不快感を露わにする。
一番何も考えて居なさそうで一番十和子に興味があるのは田貫のような気もする。
生きる意味とは、とどのつまり愛なのだけれど、ここでは誰の愛も交わらない。
交わらないけれど、相手を思って心がクッと上がる感覚。それが少しでも続けばと願って前を向くのがいい。
ささやかな願いが、生きる活力になればいい。
――と、ここまで顔真っ赤っ赤なクサイ言葉を羅列しつつ、私の感想と言う名の愛を語らせて貰ったのだけれど、最後に。
「死にたがるお前は醜い」
「何もかも虚しくても生きるのが人間」
「ドキドキするのは生きている証拠」
ペシミストが結果主役に感じる。
私は、自ら経つ命が悪いとは思いません。
否定も肯定もしません。
神評価ですが、時折目が点になる事もあります。
深いとかそういうんじゃなく、こう、重たくなる。
浮上するきっかけを与えられたのも、生きている証を与える為だったりして。
きっともう1度読んでも、最後はずんと重たい感覚を味わうんでしょう。
日常から切り離された世界へ連れていってくれる(でもちゃんと戻ってこれる絶妙な距離)、ヤマシタ先生が描く物語。
お気に入りの服を着ている日にアンラッキーな事が起こったり、大好きな曲が 必ずしも幸せな思い出と結び付いているわけではなかったり、人生って割と多くの「こんなはずじゃなかった…」が散りばめられている。それを「なんのこれしき!」と力強く踏み越えていける日もあれば、足踏み尻込みしてしまう時もある。
かと思えば、後が怖くなるような幸福が舞い込んできたり。
読みながらそんな事をぐるぐる考えていた。
十和子(16才)と 彼女を取り巻く少々難アリな大人たちの疾走感溢れるストーリー。
清らかな人間関係やスマートに生き抜く術なんかとは無縁に思える彼女や彼らが発する言葉が しばらく頭から離れてくれない。
恋愛色は薄いのだけれど ふいに挟まれる「そういう雰囲気」のセリフが効果的で、登場人物の心の動きを追うのが楽しい。
好き のベクトルの全くかみ合わない彼らだが、少しずつ見えてくる ラブみたいなもの。
あぁ、ラブの意味って人を好きになることだけじゃなかった。「生」への執着もラブだし 死ぬのにしがみついているのも、ある意味ラブと言えるのか。
十和子の 脆さを抱えていつつ、あくまで潔いソウルフルな人物像に対しては好感と共感しかない。
「いちばん大事なもの」が分かっている人って、とても強い。
読んでいると「これでいいんだ!」と、凄く救われた気分になる瞬間がある。その心地好さを味わいたくて、また最初に戻ってページを捲る。
そして、口絵のカッコよさが強く印象に残る作品でもある。
※若干ネタバレ注意です
ヤマシタトモコと聞いて即決で買った本作。
万人受けはしないかもしれないけれど、万人に薦めたくなる傑作だと思います。
あらすじは上に書かれている通り。全5話に書き下ろしのおまけ漫画6Pという構成です。
登場人物はみんな個性的で魅力的です。
ヒロイン十和子は、ヤクザに命を狙われても生きることを諦めない気丈な女の子。泣いても震えても心は折れない様が格好いい。
ヤクザ紛いの浅黄は、田貫のことが好きなゲイで、冷めた態度や物言いとは裏腹に作中で一番優しい人。十和子を守るために全力を尽くします。
法律屋の田貫は、Mのペシミスト(自殺志願者)で自ら怪我をする無気力人間。恐らく最も緊張感のない人。
保険屋の射立は、拝金主義で要領よし、余裕ある悪徳サラリーマン。・・・だったのが十和子に心動かされ。
ヤクザの狐文は、血を好む変態ではあるけれど浅黄を好きな気持ちは真剣そのもの。伝え方が歪んでても切ない。
さらにもう一人、クライマックスで登場するラスボス的存在:狐文の父(社長)もこの物語に必要不可欠な存在ではないかと。見事なまでの悪役で、私は逆に魅力を感じました(ビジュアル的にも渋くて素敵でした)。
“死にたがりに捧ぐ”
帯の宣伝文句です。読んだ後に心から納得しました。
物語が進むにつれ、生きたいと強く願う十和子に感化されていく大人たち。
クライマックスで田貫は十和子に問います――生きる意味はなにかと。
十和子の答えを、ぜひ皆さんに直接読んで確かめてほしい。
本当に素晴らしい作品でした。
女の子主人公のBL。
お姫様を守る大人たち。
登場人物、みんな動物の名前がついていてます。
守られているように見えたお姫様は
じつはヒーローみたいにかっこよくて強い。
桃太郎みたいに出会う奴みんな惹きつけちゃう強さは
若さなんじゃないかと思いました。
冊数を重ねるごとにヤマシタトモコワールドは
とても歪でとらえどころがなくなってくる感じがします。
読んだあと、感想を述べよといわれて言葉がでてこない・・・
ミニシアター系のしゃれた抽象的映画を1本観たような感覚。
なんもわかってないくせに
わかったようなことを言ってみたくなるんだぜ。
どんなに難解な人間模様を描いても結局ヤマシタトモコの答えは
いつも「ラブ」なんだと思う。
じつは意外とシンプルな作品。どすんと重いけどね☆
でもエロも読みたいな(ぼそり)