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心に深い闇をもった男の過去とは? 心の救いを描いたヒューマンラブストーリー。
帯に不穏なことが書いてあった気がするが私は何も見ていない、と自分に言い聞かせ、もちろん裏のあらすじも見ず、口絵を無視して本を開きました。まさかの二段組に衝撃を受けつつ、先へ先へ。
…まだ整理がつかないので、箇条書きのような感じで。ネタバレありです。
とにかく柴岡が性悪すぎる。嘘はつくし口が悪い。死にたがり。けれど愛されたがり、なのだと思う。真っ当な愛され方をした経験が無いから(母親との関係はかなりキツい、倫理的にというより自分を見られていなかったのは絶望なんてものではないだろう。)、好意を示す意味も求め方も分からない。肉体的なねだり方しかできない男。それが淫乱と映る。実際絶倫である。
河瀬は、新人の頃はまあ若干考えは甘かったかもしれないが(企画部行きの強い希望と努力が見合っていなかった)、その後現実を知って励み、相応しい評価をされた人間。酷く厄介な男・柴岡に気に入られ、関わってしまったのが運のつき。毒を食らわば皿までか。憎い男の世話に苦しみながらも面倒を見てやるのが根はお人好しだと思う。一度は殺意を抱き、暴行も加えるわけだが気持ちの理解はできる。基本的には、柴岡が言うように健全な精神を持った『真っ当な』男だろう。…ただし運は悪いかな。
本当に上手く言えない。リハビリテーションがテーマなのではと思っているけれどどうなのだろう。
50近くの捩くれ男(あとがきによれば『魔性系のおじさま』)の誘い受けに萌えない訳は無いのだけど着地が見えなくて落ち着かず、ようやくたどり着いた最後のシーンはピースがはまるようで、最初から決まっていたのだろうな、と思うけれど、難しい。うんうん唸りながら(心の中で)読んでもやもやして、まだ気持ちがまとまらない。書いたらまとまるかと思ったのに…。
それでも、柴岡には生きることの意味を見出して欲しいと思う。河瀬の側にできるだけ長くいたい、と思えるようになれたらいい。
そしてそうした彼の変化が河瀬を幸せにするといい。
ただ二人が静かに寄り添う、そんな短いエピローグが欲しかった。
評価は変えるかもしれません。その時は変えたことを書きます。
読まれた方、拙いレビューで申し訳ありません。
なんとも感想の言いづらい作品です。はっきり言って私、このお話には「萌え」は一切ありませんでした!!その分、木原さんお得意の人間の嫌な面が、不安定で不確かなものとして描かれていました。人の心なんてわかるものじゃない、ということをまざまざと感じました。木原さん、もうBLって枠じゃないです。
主人公の河瀬は、かつて商品企画部への人事異動と引き換えに、上司である柴岡とセックスをしました。そのことを通じて、河瀬は一見仕事の出来る優しい上司だった柴岡の、奇妙に歪んだ部分に触れ怖ろしく思いますが、柴岡は北海道へと栄転していきます。
数年後、商品企画部で主任となった河瀬は、北海道の支社への出張で柴岡と再会します。相変わらず職場では周囲に信頼される仕事ぶりの柴岡ですが、柴岡は河瀬の目の前で死のうとし、それを止めても皮肉っぽく飄々としているような二面性を持っていました。
出張のしばらく後、辞職の挨拶にやってきた柴岡が、飲み会のあとで本格的に自殺しようとしたのを止めたことをきっかけに、河瀬は柴岡の面倒を見るようになります。精神的な問題から失明した柴岡を、河瀬は精神科医をやっている叔父の元につれていきます。叔父は彼を「冷静すぎる」と言い、そこから徐々に彼の母親との関係、それが引き起こした柴岡の『心の闇』が紐解かれていきます。
柴岡の『心の闇』についての話・・・だと思うのですが、いかんせん柴岡が『心の闇』の存在を認めてくれず、常に皮肉っぽく飄々として心の内を見せてくれないので、河瀬ばっかり、というか読んでいる自分ばっかりが「あーもーこの人はなんなんだよー!!」と振り回されてしまうような感覚でした。柴岡というキャラクターは本当に奇妙で、レビューを書こうとしておいてなんですが「読まないとわからない」としか言いようがないです。
ラストも、とりようによっては救いがあるのですが、「同じことの繰り返しなのでは?」と思ってしまう面もあり、もやもやした気持ちが残ってしまいました。なので、読んだあとにもやもやしていいときに読むべき作品だとおもいます!
とりあえず表紙の白髪の柴岡に、「まさかの老人受か?!」と期待したのですが、若白髪(といっても50近いわけですが)でした。残念。
最初らへんは意気揚揚と読んでいたんですが、途中からの展開がもう、どうにも・・・
正直、この作品は「神」「萌」「中立」「趣味じゃない」のどれにも評価としてつけられないです。
最初はあらすじそのまま、信頼していた上司・柴岡に異動希望の代わりに自分とセックスするように強要される河瀬。
悩みながらも柴岡とセックスしてしまいますが…
結局柴岡は、河瀬が異動になる前に北海道へ栄転。
自分はセックスしたのに、それを無下にされたと逆上した河瀬はある行動に出て…
そして、その6年後二人は再開することになるのですが、もうここからが鬱展開。
柴岡はとんでもない化けの皮をかぶったオッサンでした。
死にたがりの鬱。それもかなりの重症。
何かにつけて河瀬の前で自殺しようとします。
そしてそれに振り回される河瀬。
この柴岡という男は実に腹の立つ男です。
それをわざとやっているのですから、本当にどうしようもない男なんですが…
柴岡が死にたがっているのを知っている河瀬は、柴岡に死なれると自分が罪悪感に苛まれる、という
いわば“自分のために”柴岡が死なないように見守り、助け、世話をします。
柴岡はもういわずもがなトンデモナイ人間ですが、この河瀬もなかなか人間のドス黒い部分が出てますよね
受も攻もこの個性…やはり木原さんです。
そのうち河瀬は柴岡をペットのように扱います。
でも柴岡は生ける屍のような存在であったし、私は河瀬はよくやったと思います。
後半、二人の心が一瞬通い合うように思えますが、それは河瀬の思いこみでした。
河瀬はどんどん柴岡に執着していきますが、柴岡は過去から逃れられない。
何の問題解決にもならないセックスの日々。
河瀬は次第に柴岡に愛を語り始めますが、それこそ、本当に愛だったのかと問いたい。
愛ではなかったと思う。性欲と、それに溺れていった若者の戯言。
ペットに投げかけるような愛だったように思います。
河瀬も結局は、柴岡とその母親のしていることと同じことをしていました。
結局全てが負の連鎖であるように思うのですが…
ラストも、…救いようのないカンジがしました。
鬱という病気はちゃんと病院に通い、薬物療法を受けなければ治ることはありません。
また、治ったと思っていても治っていなかったり、または再燃したり…
何の知識もない人間にはどうしようもない病気なんですよ。
ましてや柴岡の心の闇は凄かった。
このままいくと、多分柴岡はそのうち死ぬと思う。
そして河瀬もこのままだと鬱になるよ。
どっちが先に死ぬか、わからないかもしれませんね…
ちなみにタイトルの「夜をわたる月の船」。最後のほうにそれらしき描写がありますが、
それは絶対に乗ってはいけない船だったのではないでしょうか…(苦笑)
ホント人の内面をえぐるような、底意地の悪い人物を書いてくれます。
三人称でも常に河瀬の視点で話が進むので、柴岡に振り回されて嫌な気分にさせられます。
柴岡の方を主人公にしてくれたら、すごく哀しく切ないお話になったと思うのですが。
基本的には矛盾を抱えた複雑な人物って好きですね。
何もかもあきらめているような柴岡ですが、本当はずっとずっと救いを求めていました。
河瀬なら救ってくれるのではないかと考えた。
恋っていうものは、錯覚や思い込みから始まったりもしますからね。
そして母親にされたことと同じことを河瀬にした。
でも母親が真実好きだったのは父親のことだったようですが、柴岡が好きになったのは母親だけではありません。
「好き」と言われた時の反応を見ると、ちゃんと河瀬のことを好きですよね。
嘘ばかりついていましたが、ラストの告白は本心ですよね。
いびつな形であろうとも、愛はありますよね。
死なずに両思い=ハッピーエンドという定義なので、私の中では充分ハッピーエンドです。
ただ、ページは足りない。
もう少し先まで書いて欲しかったです。
あと一言柴岡に語らせてくれたら良かったのに。
やっとまともに治療を受けてくれそうなところまできたと断定してもいい状態なのか、もうひとつ微妙なんですよね。
どちらにも転ぶ可能性は残しています。
スタートラインに立ったばかりの二人の明るい未来を、勝手に想像することにします。
日高さんの挿絵、キレイで好きなのですが、シワは目の下だけでいいです。
法令線があると一気に老けるよー。
一気に読みました。引き込まれて読んだし、評価は「萌え」になっていますしが、引き込んだものは萌えとは別のものでした。
攻めの河瀬は人間が小さい奴でした。
商品企画部への異動を餌に上司柴岡に体を要求され、シャワーを浴びながらの「ホモの変態。クソ野郎ッ」の悪態も小声で、聞こえないように気を使いながらという。(^^;)
まあ、本当に嫌なことを我慢して、自己嫌悪にまみれながらそれ以降も過ごしたというのに、結果異動したのは別の人だったというのは気の毒ではあるけど、柴岡を殴りとばして(ここまではよし)車道によろけたところを車にひかれたのを見て、逃げてしまう。(これはアウト)
結果的には柴岡は死なずに3ヶ月後に退院しますが、その直後に河瀬は商品企画部への異動を告げられます。
「君は若くて実績もないけど、前部長の強い推薦で決まった」と。
合わせる顔もない河瀬ですが、北海道に転勤になっていた柴岡と再会。
やがて会社をやめるという柴岡と東京で再び会い、柴岡の病んだ心を知ります。
健康保険証やカードをみんな捨てて、身元不明で死のうとする柴岡を、どうしても放っておけない河瀬。
死のうと決めていた日に死ねなかった柴岡は、目が見えなくなり、ますます放り出せなくなってしまいます。
嫌だけど一緒に暮らす日々の描写がリアルで、木原さんらしさに溢れてました。
柴岡は最初から河瀬を好きだったんでしょうが、河瀬の方は結局ひどくやっかいな病んだ男に絡め取られたような気がしてなりません。この後も結構苦労しそうな気がします。
擬態した状態でお付き合いするにはいい人なんですが、本性はかなり恐い人ですから。
