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正直表紙の絵からは読む気が出なかった。
でもトラウマを抱えた人の話を読みたかったので(S?苦笑)手にとってみたら予想外の面白さにあらびっくり!
ストーリー重視のBLって言ったほうがいいのかな?
カップルがリバなので人間味がでているような気がする。
これは「攻め受け」とか「萌え」のようなBL漫画っぽい言葉でくくれる作品じゃない。
10年かけて淡々と連載された二人の15年ぐらいの物語。さすがに最初と最後は絵柄がかわってしまってるのですが、面白さはかわらない。話も時々過去、とこ時未来、と飛び回るのに妙によくつながってる。
羅川先生の「NYNY」とか 定広先生の「空気の存在」が好きだった人にお勧めします。
2巻全部読み終わっての率直な感想は「読むのにパワーがいる」という事です。元気な時に読んだほうがいいというアドバイスを事前に頂いてましたけど、これは本当でした。
気が弱っているときは読んではいけない。
何故ならカップルの一人、喜多川の背景がめちゃくちゃヘビーなんです。(この作品は普通にリバしてますので、攻め受け固定なしです。)
ネタバレします。
自分でも読んでいてごちゃごちゃになったので、列挙します。まさに不幸てんこ盛り。
【喜多川の背景】
・母親が結婚詐欺にあって妊娠→喜多川を出産・父親は獄中死。
・母親から虐待を受けて育ったためPTSDからの拒食症になる。
・6歳から叔父に預けられて育つが、中二の時に叔父との関係が始まる。(2回目以降は同意で、それ以降、数年間に渡ってリバ含む近親相姦が続く。)
・叔父との関係が祖父母にバレて、叔父はフィンランドへ。信じていた叔父に捨てられて喜多川は絶望の底へ沈み、結婚に失敗した母と一緒に無理心中をはかり、母は死亡、喜多川は生き残る。
・さらに叔父に捨てられた後、2丁目通いをし、手当たりしだい男と寝ていたことも明らかに…。
ここまでが一巻で明かされる背景です。
佐伯も地方から東京の大学に出てきて今が良ければそれでいい、みたいな考えの人物でコカインはやるわ、LSDでバッドトリップするわ、彼女がいながらもカメラのモデル代として喜多川と寝る事を強要するわと爛れているんですけど、ドラッグですら喜多川の前では霞んでしまう…。
お話は、カメラマンの助手の喜多川とサラリーマンの佐伯が上海で偶然再会するところから始まります。大学四年間付き合うも卒業を機に別れてしまったという二人。そこから過去に遡って、その二人の四年間が描かれていきます。喜多川が盗み撮りした佐伯の写真がカメラ雑誌のコンテストに入賞したのが二人のきっかけです。
ストーリーはほぼ佐伯視点で進み、佐伯と喜多川の仲が深まるにつれ喜多川の過去が少し明らかになります。しかし途中で海外にいた叔父が事故死してしまい、それがきっかけで喜多川の口から誰にも話したことがなかった重すぎる過去が明かされます。
そして叔父視点からの喜多川も語られます。正直、喜多川と佐伯よりもこっちの二人の関係のほうが印象強い。叔父は自分から手を出し、喜多川の性癖を変えて、今更何を言っているのだというような理由で彼の元を去る自分勝手で弱くて愚かな人間ですが、一方で喜多川の事を本気で愛していたことも判ります。皮肉な事だけど叔父がいなかったら喜多川は愛を知らずに育ち、それはそれで地獄をみただろうな、と。それが性欲を絡めてしまった愛だとしても心の底から愛していた事のは真実で、喜多川も幸せなひとときだった。叔父がオーロラの下で
「誰よりも愛している。あの子と愛しあったこの何年かに一点の後悔もない。地獄へは僕一人で行きましょう。だからあの子にも天上の灯を。」と神に告白するこのシーンが物凄く胸に迫って、自分勝手な叔父を私も憎みきれないのです。
喜多川と佐伯という二人だけの関係ではなく、今も色濃く残る叔父の気配、それは画家だった彼の遺作(喜多川のヌード作品が多数)や喜多川への影響(やたらセックスが上手いなども含め)などによって、否応なしに佐伯も叔父の存在を意識させられてしまいまるで三角関係のようです。
そして二巻へ続く!
文庫で改めて一気読み致しますと、
初期の絵柄のままならこの作品は
ここまで化けなかったよなぁ、などと
余計な感慨を抱いたりも致します。
サテ、作者ご本人が後書きで開陳
されております状況は正にBLの歴史
そのものでございます。
この作品の立ち位置も時間を掛けて
磨かれ、そしてしっかり残ったもので
ございます。
そう言う部分も含めてしみじみ味わい
深い作品です。
それにしてもこの攻、こんなに可愛気の
ある奴でしたっけ?
そう言う再発見もまた愉しいですが。
主人公の背景がかなりヘビー。
虐待、近親相姦、家族の死、PTSD、ドラック、リバ。
うーん、てんこ盛り盛り。個人的にはどんと来い!です。
文庫で読んだのですが、収録順が時系列に沿ってません。
それがいい感じに演出にもなっているような。
シリーズものとして8年続いたそうなので、絵も大分変わってます。
最後のほうは顔長い(笑)
おおざっぱにまとめると
・主人公同士、英と佐伯の最会
・二人の出会い
・英と英の叔父、聖との過去
・英と佐伯のその後
・二人の別れ~再会
・二人の現在
愛のある近親ものって好きなので(特に叔父と甥がどんぴしゃ)
英と聖の蜜月はいいです~。リバってのもうはうはです。
英と佐伯の別れ~再会、現在までのくだり・・・
過去からして、英が佐伯に対してうたがい深くなるのはわかるんですが
それにしても佐伯を許すまでが、2年半+7年?ながっ!!!
軽くいらっと。まぁ英も色んな過去があるだけに、それだけ
心の殻が固くなってたってことだけど。
ここでは佐伯が辛抱づよい。よくがんばった。
ていうか、その前にそこで離れちゃだめだろ!ってとこで離れちゃうから
こんなことになるんだけどさ…。
それが物語になってるわけです。
英が本当に佐伯を信じられて、心が救われるといいなぁ。
長期間にわたる、深い物語がお望みなら、ぜひ、読んで頂きたい「成層圏の灯」。
このシリーズ、確か、旧ビブロス版では「幾千~」「セミ・シングル」「年上のひと」と逆に読んで、一番最初の「成層圏の灯」が随分長いこと見つけられず、その間にも、番外編の同人誌をまんだらけで見つけ出したりと、いろいろ苦労して読んだ。
それがこうやって文庫で復刊されて、ちゃんと発表順に通して読んで改めて思ったのは、
絵柄がすっかり変わってしまう程、完成するのに年月がかかっているのに、お話の展開は最初の設計通りちゃんと収束しているところが、すごい。
で、当然のようにリバ
リバ好きには堪らないって言うか、
この、
聖と英の関係!
10年かけて自分好みの男を育ててしまった聖さんの絶望。
英と佐伯の関係にも目が離せない。