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表題作甘い運命

樫崎一。パティシエ
湯原和弘。教師

その他の収録作品

  • 甘い運命
  • チョコレート・ホリック
  • あとがき

あらすじ

フレンチレストラン、ル・ジャルダン・デ・レーヴのパティシエ・樫崎一は元担任の湯原と彼の姪と同居中。人の好い湯原は一の想いに気づかないが…。
『愛と混乱のレストラン』、番外編!

作品情報

作品名
甘い運命
著者
高遠琉加 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
愛と混乱のレストラン
発売日
ISBN
9784576100173
4

(61)

(29)

萌々

(11)

(16)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
17
得点
239
評価数
61
平均
4 / 5
神率
47.5%

レビュー投稿数17

幸福の甘さ

愛と混乱レストラン番外編。
1巻の最後に短編で載っていた二人、パティシエの一(いち)と先生のお話です。

母に愛されなかった一、母親を亡くした海ちゃん
そしてそんな二人に優しい愛情で接する先生。
世間的では一般ではなくても、3人にとっては幸せな家族のかたちだったと思います。

甘いもので幸せになれる。
そんな思いが一を最高のパティシエにしているんですね。

先生への思いを気付かれ、家を出た一が切なかったです。
ちょっと不器用な先生も良かった。
切ないけど、甘くて素敵なお話でした。

3

誰でも幸せになれる

愛と混乱のレストラン」番外編と言うことでしたが・・・本編より先にこちらを読んでしまいました(笑)
子供の頃、母親から虐待を受け、心を閉ざして生きていた樫崎一が高校教師の湯原とその姪、海との生活の中で生きる意味や愛を知り、幸せになっていくお話。
一の過去が辛くせつなかったけれど、家族になった湯原と海の一を思う心、職場の久我をはじめとするスタッフの暖かさがとても良かった。
一のつくったデザートを食べてみたい♪

1

擬似的家族

帯『こんなおじさんの体を触りたいなんて、君、本当にどうかしてるよ』

本編中にもちょっと出てた一の話ですが、今回はそれだけで丸々一冊スピンオフ!
気になっていただけにこうして読めるのは嬉しい限り。

犯罪を犯して少年院から出て来た少年一と、その元担任教師湯原の元で一緒に暮らす事になります。
この作品の中盤は、所謂疑似家族的な繋がりと描写とが丹念にえがかれています。
彼等の大事な存在であり、彼等を擬似的家族として結び付ける存在でもある子供の海。
それだけに今回、海の父親が出て来た時には、そしてその父親が本当にいい人で海はこの人の所へ行った方が良いと本気で思える父親だったというのは、良い事なんだけれどもその擬似的家族の中心が突然にスポンと抜けてしまう感じ。
ラスト付近のエロですが、自分的にはキスとペティング位で終っても良かった気がします。

1

キャラと文章に参りましたっ!ツボリまくりの本作!

【愛と混乱のレストラン】のスピンオフ。
寡黙ながら存在感が半端なかった「樫崎一(いち)」が、気になって気になって、早く読みたかった!
一の今までが語られた本作は、心の琴線を強く揺さぶりました!

【甘い運命】
もの心が付いた頃からの母からの虐待に、母から嫌われない様にとする一がとてもいじらしいのです。
その幼い心にも、怒りや自己嫌悪や言い訳や辻褄合わせやら、ごうごうと捻じれ混ざり合っていたんだよね?

アパートで1人暮らしを始めたのも、成長し母の暴力が及ばなくなるに比例して壊れていく母の為だし。
そこで巻き込まれた殺傷事件で、事実に反する“殺意の肯定”をする一に、自分を諦めている事を、読者は知るのです。
家族さえ来ない面会に、元担任の湯原は通って来てくれる。
それを訝しく思いながらも、心の隅では・・・。
それが、一が湯原を想う始りでした。

自分は、心の弱さに年齢は関係ないと思っています。
だから、一の母親やゆきの彼氏の弱さは理解はできます。
でも、自分を守る為だけの暴力はどうしたって許せない!
その矛先を変える事ができるはずだから!
だけど、裁判で情状酌量の理由となる事もあるから、そういう暴力を社会は赦しているととれるよねっ?!(怒)
(話が逸れてきた、すみません;)
一が悩む“暴力の連鎖”に湯原が答えをくれて、嬉しかったぁ!

うみと実父のくだりや、うみが居て繋いでくれた湯原と一の家族愛にも、優しい思いやりに溢れています。
それぞれの立場での、その先の愛の形への戸惑いは、こちらの想像する彼らの実生活ととても合っていて、感情移入しまくりでした。

【チョコレート・ホリック】
チョコレート12粒、1日1粒・・・
一のキャラ、こうなっていくの?元からこうだったの?
緻密で大胆な湯原獲得作戦に、読んでてちょっとドキドキ!
天然な?湯原の成分説明に、ほっこり!

高遠先生の的を得た、背景や一瞬の動作や心情の表現が沁みて・・・ふぅと息が漏れる事、何度も。
何でこんなに良いんだろう?この文章にどんどん嵌っていってます!

0

感動しました…

『愛と混乱のレストラン』の番外編ですが、わたしは本編よりこのお話のほうが好きです。シリアスなおじさん受け。
・エロ成分は少ない。お話としてイイ。
少年院を出た主人公、一(いち:攻め)は行き場がない。
そんな彼を元担任教師の湯原(受け)が家にひきとる。そして、湯原が育てている姪の海がいて。この3人が関わり、「家族」として絆をつくってゆく過程が主軸として描かれてゆきます。
そのためか、エロ成分は低いように感じました。「家族(関係や、家族愛)」と、「エロ(!)」は日本人にはなじまないと思うー。欧米じゃないんだし、しゃあないと思います。エロよりも心の交流がいい。こと、一の思いが切なくて、涙してしまうのです。

「親に虐待を受けた」というトラウマ話はBLにあふれるほどあると思うのですが、焦点の当て方が新鮮で、また心理の描写に、リアルさと切実さを感じました!
虐待を受けた当人がなにを恐れ、どう行動するか…。リアリティを持って描かれていたと思います。 虐待を受けたゆえ、暴力の遺伝子を持っているだろうと自分が信じられない一。(虐待された子だから、おのれも虐待を繰り返すだろう、暴力をふるうだろうと自分自身に恐れを抱いている…)、そんな彼が湯原とともに海を育ててゆくことで、自分を確立してゆく。自身が育てられてゆく。
自分を愛する為には、他人を、湯原や海を愛することが、一には切実に必要だった。
一緒にいようと、受け入れてくれた湯原。彼を愛することは、一には必然だったんでしょう。魂を救ってくれた存在だから。
湯原の涙を一が泣き、一の涙を湯原がこぼす…。その、絆。

テーマから重たいお話にも、逆にお涙頂戴なお話にもできそうにおもうのですが、高遠先生は偏りすぎず、エンタメに仕上げられたと思います。
ラブ成分は同時収録の作品で補えるかとw

0

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