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表題作真音 3

諏訪組本部長 富樫・33歳
過去のある青年 進藤・21歳

その他の収録作品

  • 憧れのひと

あらすじ

強引に身体を奪われた進藤は、暴力団幹部の富樫との肉体関係に悩む進藤だったが…。『真音』シリーズ最終巻!!

作品情報

作品名
真音 3
著者
谷崎泉 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
真音
発売日
ISBN
9784344819184
4.4

(65)

(45)

萌々

(9)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
288
評価数
65
平均
4.4 / 5
神率
69.2%

レビュー投稿数15

シリーズ通して

ヤクザや刑事もの、サスペンスなんかを好んで読んでるんですが、谷崎泉さんの本はこれが初めて。

いきなり二段組でちとビビりましたが、なんのことは無い、読むうちにどんどん入っていけました。物語はヤクザの本部長の富樫(攻め)と少年院を出てきて真面目に働いていたのに、母親の借金が原因でクビになってしまった進藤(受け)とのお話です。
しかし、、、富樫と進藤はもちろん、居酒屋の女主人、富樫の部下である槙原、この人達まで過去がややこしい!(笑)
それが物語を深くしているんですが、その部分とBLな部分がちゃんと関係していて、かつ、進藤が女性の愛人では構成が軽くなるような形になっているので、良く錬られているなと思いました。
最後の方では新藤の感情の移り変わりと、富樫のワンコ的な思い入れ様が垣間見れて良かったなと。進藤は「富樫ホイホイ」になってますね(笑)

まだまだ読んだことのない作家さんが沢山いらっしゃるなと。谷崎泉さんの作品は他にも良さそうなので読んでみようかなと思います!

4

多くは語らずとも

シリーズ3冊、最高面白かった(*´◒`*)!!
ここ数日、夢中になって読みました。それこそ寝る間を惜しんで。
BL小説って、シリーズものでもナンバリングされていない物が多く、普段はそれぞれのタイトルを楽しんだりもするのですが、こちらは真音①②③とシンプルなタイトル。…ありがたい。
二段構成で読みごたえタップリ。…嬉しい。

シリーズ3冊通した感想(富樫×進藤)
おや?なんだか普通の受けさまじゃないぞ、とのっけからグッと掴まれました。
不幸受けというのは総じて、健気だったり、可愛かったり、庇護欲をそそられるキャラが多いと思うのですが、今作の進藤は、幸せとは言えない生い立ちながら、しっかり者の超クールキャラ。甘える事を知らないまま、大人にならざるを得なかった子。
作品が違えば攻めとして萌えられる要素を多分に持っている進藤ですが、そんな進藤が受けだったからこそ、ここまでの萌えがあったのだと思います。
攻めの富樫は、まさに傍若無人そのもの。
我が儘で気まぐれなんだけど、決めるところではしっかり決めてくれる安心感。たまりません( ´ ▽ ` )♡萌えたー。

この作品の特筆すべきところの1つに、多くを語らないという事が挙げられると思います。
主要キャラは受け攻めの2人と、富樫の部下の「槙原」、進藤が働く居酒屋の女主人である「さめ」の4人。(さめさんはおばあさんなので女性キャラが苦手な人でも大丈夫だと思いますよー(^o^))
4人が4人共、暗い過去や事情を持って生きているのですが、それぞれ深くは聞かないし、語らない。
無駄口を叩かないと言ったらなんだか偉そうになりますが、そんな感じ。それぞれの会話はとてもシンプルで、ここも心を掴まれた1つ。

お話自体には特に派手なところは無く、心情に重きを置いた丁寧な作品。
自他共に認めるモテ男の富樫が進藤にハマっていくさまは、なんとも痛快。
初心で人に甘える事を知らない進藤が富樫に見せた甘えは、ほんのささやかなものでしたが、最高に萌えたし、可愛かった。

派手なところの無い話と先述しましたが、それでもストーリーは面白く、本当夢中になって読んだんですよね。
谷崎先生、ベテラン作家様ですが、初読みでした。読ませる文章を書かれる素敵な作家さん。本当良い出会いでした。
最後になりましたが、こんな素敵な作品をご紹介くださった姐さまに感謝を込めて。

7

深い人物描写で良い物語でした。

「真音」、3巻で完結です。
こちら、体裁はヤクザもののBLということになるのでしょうが、どちらかというと「人情物」ですよね。暴力団同士の争いとか人の生き死にとかの要素も無くはないのですが、派手なドンパチやスリルよりも、登場人物たちが自分の中で思いや過去に折り合いをつけて、それがベストかどうかは分からないけど先に進んでいこうとする物語でした。

だけど、ちゃんとBLとしてのトキメキもありますよ。主人公の進藤がほんの少しずつ変化していく様子などは読んでいてたまらないものがあります。セクシーなシーンもね。

このシリーズは、砕けすぎない文体で登場人物の視点が割とコロコロと変わりながら描写されるのですが、混乱したりすることもなくサラッと読めます。ボリュームのある作品ですが、読みにくいことはありません。派手ではないけど、人物の心理描写が丁寧な作品がお好みの方は、どうぞ手に取ってみてください。

電子書籍版にはイラストは収録されていませんが、夜のお布団の中で没入した雰囲気で読むのもなかなか良いものでしたよ。

あと、これは蛇足の超余談ですが、進藤くんが住んでいる居酒屋の二階の住居には洗ったシーツを干すスペースはあるんでしょうか? 乾燥機付かしら? とかなんとか思ったりしました…。

3

じわじわ引き込まれる

真音最終巻です。

このお話は893ものなのに騒々しくなく、ちょっと暗く静かな(テンション低め?!)雰囲気の中で展開するお話でした。
このじわじわ引き込まれる感じが大好きでした。

なかなか富樫に心許さない進藤でしたが、富樫の優しさ過去に対するアドバイスを通して、ついに自分の気持ちの変化に気付きます。
富樫のマンションから「ただ会いたい」と電話しちゃう進藤が可愛かったです。
そして、小田原からすっ飛んできちゃう富樫も最高です。
(そりゃー、槙原にも鼻高々に自慢しちゃいますよ)

二人にはいつまでもこの慣れ過ぎない距離感で仲良くしてもらいたい。

そして青木の四十九日で再認識した富樫と槙原の強い信頼関係にも感動しました。真音に槙原は欠かせない存在です。
本当に面白かったです。

4

進藤のデレなさがイイ…!

自分勝手で傍若無人、なのに意外と優しくて、面倒見がいいヤクザ!
ヤクザが素人のお兄ちゃんに入れ込む話のお手本のような作品です!
この作品の根幹は、進藤が全く富樫になびかないところ(笑)
これに焦れる富樫もいいし、そんな富樫に振り回される舎弟達も微笑ましかったりします。
3巻まで一気読みしましたが、富樫が初期にやたらめったら口説き文句を連ねるシーンがあって、3巻でその意味がわかった時には、ちょっとゾクゾクしました。
こんな長い仕掛けを掛ける作者様に、こっちはいい意味でのヤラレた感に身震いしました。
あそこまで書ききってくれたことに、感謝!

どっぷりと谷崎ワールドに浸かり、読後の喪失感ったら無かったです…
もっと、こいつら読みたいっ
最後のページをめくるのが本当に惜しかった;

次は、最後のテロリスト読もうかな…

4

おもしろかった

一巻、二巻と急くように読み進めて、ついに最終巻です。久々の全巻一気読みです。そのくらい引き込まれました。
諏訪組内部の揉め事で、槙原の運転手をしていた青木が槙原を庇って射殺されてしまうのですが、そのことに筋の通った対処を取れない若頭と煮え切らない富樫に見切りをつけた槙原が、自分で青木の仇を打とうと暴走。
煮え切らない富樫でしたが、槙原を止めるよう進藤に頼まれ腹を括り、組長になる覚悟を決めて槙原を引き留めます。このことで、ついに、ふらついていた、ヤクザとしての富樫の立ち位置と、富樫と進藤の関係が固まりました。
ここまでの進藤の変化がこの話のキモなのかもしれません。気がつけば、虚ろな感じだった進藤が、ちゃんと今を生きる人になっていました。

初めての進藤からの呼び出しに嬉々として小田原から駆けつける富樫と、槙原からの連絡でそのことを知って富樫の尻を叩く進藤……これがこの二人の関係の最終形らしくて、予想外に微笑ましい終わりかたでした。でも悪くない、というか、むしろ好きなパターン。
一気に読み終えてしまいました。おもしろかったです。

3

富樫にハマりました

3冊全部読んで神評価とさせていただきました。
最初は同人誌で「ファーストエッグ」とコラボしたお話が載ってるようだから、ちょっと読んでみようかなって、軽い気持ちで電子書籍を購入しました。
電子書籍で読んでいるうちに、なんだか自分でもわからない程のハマりようで。
寝ても醒めても真音状態。
これはもう紙書籍買うしかないと購入。
紙書籍で改めて再読。
好きだー、「真音」!
進藤と一緒になって、一見傍若無人でいて、ぐっと優しさを見せてくる富樫に惹かれていってました。
たぶん、富樫がこういう富樫でなかったら、ここまでハマってなかったかもしれません。
傍若無人で俺様なのに、進藤にベタ惚れで、自分の思い通りにならないからって、ムキになって、子供のようなところを見せたり。
進藤にだけ、ちらりと弱ってるところ見せたり。
実は進藤に振り回されてる感じがたまらなくニヤけてしまいました。
ですが、なんだかんだと包み込んでくれるあれは格好良いですよね。
進藤もフラフラしてしまったに違いないです、たぶん。

3冊全部読んでいちばん好きなところは進藤が富樫に会いたいと電話するところです。
何度も読み返してしまいました。
ようやくふたりの心が通じ合ったような…

出てくる登場人物みんなそれぞれに人には言えない何かを持っているんだけれども、重い過去にもかかわらず、今を生きている、生きようとしているのが印象的でした。
読み応えのある本でした。
同人誌の番外編など集められそうなのはポチポチしてます。
イベントでペーパーなども配布されてたようで…
ハマるの遅いとこれだから…( ;∀;)

6

snowblack

kumachi7さま、こんばんは。
本当に真音がいいですよね!
独特の個性や美しく立った男たちにしびれます。
谷崎作品で一番好き。
ハマるのが遅いと……ほんとうに残念ですよねぇ……とほほ。


魔性なり、真音

真音は長い小説です、一巻から三巻まで二段組で書かれていますので相当なボリュームがあります。これほどの長さで描かれているカップルは冨樫と進藤の一組だけです。
真音の中では彼ら以外にセックスしていません。良き相談役の槇原は決して性的な目で進藤を見てはいません。
三巻の長きに至り、二人の関係をブレることなく書き切った作品なのですね。
真音とはつまり、不遇な育ちで孤独な青年、進藤心音が自らの手で自分の居場所とかけがえのない愛を手に入れる物語です。
テーブルマナーどころか箸使いさえなっていなかった進藤ですが、偏屈なさめさんと知り合い、商売が成り立つ料理を作れるまでになります。
友人の身代わりになって少年院に入りましたが、それは間違っていたと悟る心の成長。
冨樫の心を意図せずにがっちり捕まえた魅力はもう、魔性です。
サスペンスものでは絶対になく、ヤクザものというには少々甘い、進藤心音が主人公の人間ドラマ的ボーイズラブ。ちるちるで皆様が良い!と言ってるのを見て読んだ作品は宝物になりました。

9

変わっていった皆の好機

元々ヤクザ要素のほうはおとなし目な話だが、最終巻では槙原の舎弟が銃撃されて、抑え気味だったものが一気に噴き出すような激しい展開になるのかと思っていたら、落ち着いた展開で読めた。

ここで槙原を止める為に覚悟を決めた富樫と進藤の関係がはっきりとして、それぞれの環境が変わっていく。

進藤も、彼の周りの人達もそれぞれに過去を見つめ直す転機があり動いていくのを読むと、巡り会わせの不思議というか、何だかドラマチックだなと感じる。

そうして皆も変わった中で、最初は欲も願望も持っていなかった進藤の変化が嬉しい。
まだ自覚はないものの、富樫への愛?が芽生え、過去と向き合う事で前向きになり、さめさんを手助けしたいとまで思うように変わって感情も見せるようになってきた。
ただ、周りの人達のキーマンとなる富樫の、自身の過去と何が変わったのかは解らない。
が、進藤に惚れた事や槙原の無茶を止める為に新たに組を立ち上げた事がその変化になるのだろうか?

後半は今までの緊迫した空気から一変して砕けた雰囲気で、富樫のベタ惚れな甘々さを満喫できる。
進藤も身体のほうを富樫にすっかり慣らされちゃったようで…。
しかしなぁ、三巻とも完読したからはっきり言わせてもらうが、富樫ってば毎度のエッチシーンが長いぞっっ!!
(いや、個人的にはねっとりとしたエロシーンは大好きだけどさ…笑)。

組長となった後も、ヤクザ同士の付き合いから逃げ回り、惚れた進藤には目がない富樫を仕切らないといけない槙原も手を焼く日々のようで。
もうこの後半部分になって富樫がいっぺんにやんちゃなイメージに変わってしまったのだった(笑)。

4

染み渡る作品。

拒みきれず、それどころか富樫を許容し踏み込ませてしまう進藤。
行かないで欲しい。
かつて誰にも思ったことのないそんな気持ちを富樫に覚え、戸惑う進藤にすべてを分かっている富樫はとことん甘い。

きな臭い諏訪組内部、組長が襲撃され槙原の運転手を勤めていた青木が槙原を庇い銃に撃たれ死んでしまう。
仇を取る、と気色ばんで飛び出す槙原。
槙原を捜させながらも本気で止めようとはしない富樫。
そんな富樫に止めてくれると詰め寄る進藤。
富樫が諦めてしまったら。槙原を止められる人間はいなくなってしまう。

「俺のものになればお前の望みを何でも叶えてやるって言ったじゃないですか!」

揚げ足を取るようなことを言う進藤。けれどその真剣さに、富樫は覚悟を決めなきゃならない時が来ていると感じる。
諏訪組を抜け、自分の組を作ること。
そして、執拗に迫りながらもどこか距離を置いていた進藤に対しても。

進藤の言葉は、富樫にとって甘いものではなく脅迫だった。
俺は捨てられる、そう言った富樫に、力強く頷いてしまったよ。

富樫の覚悟が決まったら、次は進藤の番。
誰にも一生言うつもりはない。そう誓っていたのに、富樫から告げられた言葉で意識を変えられる。
真犯人であった、かつての同級生、奥田。
本当のことを話して、過去と向き合おう。
そう決めて前に進んでいきます。

この巻は進藤の気持ちが大きく変わり、富樫に『会いたい』と言うようにまでなりました。
だけどそこは進藤、自分の我が儘を通すつもりはなかったのに…富樫は飛んで帰ってきちゃいました。
そりゃあねぇ。会いたいなんて言われたら会食だろうがゴルフコンペだろうがどーでもいいわな。

「こういう時はな、風呂入って、裸でベッドで待ってるもんだ」

理由もなく会いたいと思う心を許してくれる、そんな富樫の言葉に進藤は素直に次はそうします、と答えます。

富樫の方が余裕があり、進藤の方が振り回されているようにも見えますが、実は翻弄されてるのは富樫じゃないかなぁ。
今まで散々遊んできてそして見つけたハマる男、進藤を見つけた富樫。
誰の温もりも知らず、初めてを富樫に捧げ、富樫の優しさにハマった進藤。

一体どっちがより執着するんだろう…。
今の状態だと富樫?手のひらでコロコロされちゃうのかしらw
ま、それも悪くないよね、啓明さん♪

8

ストイックで硬質な魅力!お勧めのシリーズ完結編。

拒絶しながらも、富樫にひかれていく進藤。
さめさんの入院、かつて10代の頃の知り合い奥田の登場など
物語が動いて行く中、大きな事件が起こる。
進藤が信頼する富樫の相棒・槙原のまだ若い部下が射殺され、
一人報復に向かう槙原、それを止めることを躊躇する富樫……。

この時の進藤のセリフが痺れる。
富樫も槙原もその世界で一目も二目もおかれるすごい男達だが、
そんな彼らより一回りもそれ以上も年下の
若干20歳そこそこの進藤の潔さと強さに、彼らはかなわない。

シンプルでストイックで、強く聡明で優しい。
そんな進藤の10年後20年後を見てみたい!
どれほど汚い世界に身をおこうが、どれほど富樫が甘やかそうが、
彼のそんな美しさは、ダイヤモンドのように傷つかないんだろうなぁ。


そして、皆が生き方を変えていく。
見ないようにして逃げて来たことに向かい合い、
自らを苦しめてきた枷を外して、新しく生き直していく……


物語としては回収しきれていない細部やつめの甘い部分もあり、
正直1巻の興奮は徐々にトーンダウンだった気がするが、
この巻では進藤の魅力に改めてノックダウンされ、
富樫と槙原の大人二人の絆にウルッとし、
世界が開けるような心地で気持ちよく読み終わる事ができた。

デザートのように添えられた、
クスッと笑える、富樫の部下・染谷視点のSSもいい。


3巻一冊のみの評価だと「萌×2」くらいかと思うけれど、
シリーズ通しての評価で『神』を!



※追記 ようやく名無しの富樫さんの名前が判明しました。
    啓明さん。
    なんだか穏やかで優しげな名前ですね?(笑)

11

kumachi7

Snowblackさま
コメントありがとうございました!
ホントに真音めちゃくちゃ良かったです!
富樫がいなければ、ここまでハマってなかったかも…
ハマるの遅いとトホホ感が切なくなりますよね。
入手出来る同人誌もまだあるので、我慢です!


最終巻でやっと…

このシリーズを読んできて思うのは、受けが本当に受け受けしくないということです。
寡黙でストイック(というか、自分に執着していないからなのかも)、なんか、若くした高○健さんというのが印象なのです。
ただ、三巻目で最終巻ということで、表紙でも攻めのネクタイを掴んでいたり、心境もかなり変わっていますね。

シリーズ通して、受けは天涯孤独で友人の代わりに少年院へ入っていた進藤、21歳。
攻めは暴力団幹部で、進藤へ執着している富樫。

今回はえっちシーンも多いのですが、エロー!というのではなく、ストーリー上に必要な行為と言えます。
一回一回、長いけれど(笑
『BLだからえっち入れなきゃ』といった風ではないのが、お話を面白くてさせています。
わざとらしさがなくて。

内容的には対立組織からの襲撃があったり組の跡目の問題があったりとしますが、それでも富樫と進藤との関係が進んでなかなかにニヤリとさせられる部分も。
特に進藤の変化が顕著ですね。
でも、三巻分長さがありますので、心の移り変わりがうまーく書かれていて良かったです。
二段組で文字もぎっしりですが、その分読み応えがあって大満足でした。
谷崎さんはこの手の丸ヤものも多いですし、反対にコミカルなものも多い。
ただ共通しているのは、受けの芯が強くてなよなよしていないということですね。
男性同士の恋愛だと実感させて下さる作家さんです。

7

じっくり読めます

進藤は大人になりたての若木のような青年ですが、周囲に甘えず、かといって変に突っ張りすぎず好感が持てました。
彼を取り巻く富樫、槙原、さめといった人々のお互いの距離感も絶妙です。
それぞれが何かしら抱えて生きていますが、だからこそ、それぞれのやりかたでひとを思いやっているのがわかり、読んでいてあたたかい気持ちになります。(ほのぼの系ではありませんが)
特に上司(富樫)に向かって「あんた」という時の槙原が好きでした。

3

苦難の染矢君♪面白かった♪

進藤が次第に富樫の存在を受け入れていく・・それがすごく自然に流れて行く感じでとても、良かったですね。
物語的には満足しました♪とは言いがたい気分で終わった感じがするんですよね~・・
なんだろう?すごい青木さんが死んじゃったりとか、組を立ち上げたりとか奥田君とかいろいろあったんですが、
この巻は二人の過去についての、ケジメみたいな内容だったかなぁ?って感じますね~。
最終巻って事でかなりの期待?があったから、こう、なんだろ?穏やかに流れて行く感じがちょっと物足りなかった気がしました・・・

富樫の謎は?ちょっとしか解明されませんでしたね・・でも、「頼まれたから・・」という一言に、すべての気持ちを込めたんでしょうね・・・谷崎さん・・それでは私は解らない・・・もっとちゃんと説明してくれないと・・・

でも進藤君段々強くなって行ってますね!槙原を止めようとする所とか・・それに引き換え富樫が・・・
でも富樫がどんどん進藤にはまって行く所はとても可愛らしかったです!天下の組長が、一回りも下の進藤に振り回されているのがとても面白かったです。

今回で一番面白かったのは、染矢君でしょうか?苦難の染矢君には笑いましたね・・・
知らない間に染矢君も進藤の魅力にはまって行ってるんでしょうね・・そのうち、「あねさん」とか呼ばれるんでしょうか?

5

いぶし銀の魅力

この巻で完結です。
実に派手さはなく、決して甘くなく、あくまでも淡々と、ともすればスルーしてしまいそうなほどの大きな事件もなく、言ってみれば地味な作品ですが、それは良い意味でのいぶし銀の魅力として渋い輝きを放っています。
これが谷崎作品だという特徴がよく出ていたような気がします。

一巻では、進藤と槙原、富樫の出逢い。
二巻で、進藤と富樫の過去が見え、
そしてこの巻で、彼らの未来への道が開けるといった道筋になっております。

何と言っても感情の起伏を表わさず、何も欲がなくKY(富樫いわく)な進藤が、世話になっている居酒屋の女将さめの入院を通して富樫の存在を自分の中に意識し、初めて彼を求めるといった姿を見せたことが何よりの進化でした。
それは、自分の取ってきた過去の行動(他人の罪をかぶって服役したこと)は自分の逃げの姿勢であると共に、相手に対しても罪を一生背負わせてしまっているということに気が付いた部分により、本当の自分の新しい扉を開くことができたということ。
他人と関わることにより、人に頼ってもいいのだ、自分は皆に支えられているんだとう安心と信頼を得ることができたということ。
それは、この全3巻の表紙を並べてみても進藤の表情が柔らかく変化している部分にも見てとれるでしょう。

そして、進藤が変わったと同時に富樫も進化したのです。
槙原の舎弟の青木が、組長を狙った玉に当たって死んでしまったことで、行動しない富樫にしびれを切らした槙原が飛び出したところを抑え、いさめる決意をさせたのは新藤の一言だったということ。
富樫にとっても女と違う進藤の存在が、最初の興味本位から真剣なものになっているという関係の変化を表わしていました。
富樫は槙原の望みをかなえる形で、新しい道に進んでいきます。

富樫と進藤の関係が甘いものでないから、完全に独立した一個人として対男同志という部分を100%残した関係だからこそ、そこにこの作品の魅力があると思います。
こういう男臭い、甘くない話は大好きです!

『あこがれの人』では槙原に変わって富樫の面倒を見ることになった不幸な染谷の話が書かれています。
コミカルなキャラクターな染谷なんでしょうが、これがまた渋い面白さのショートストーリーです。

8

この作品が収納されている本棚

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