名作「言ノ葉ノ花」スピンオフ登場!!

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表題作言ノ葉ノ世界

仮原眞也
他人の“声”が聞こえる男、25歳
藤野幸孝
M大学理学部生物学科准教授、31歳

その他の収録作品

  • 言ノ葉ノ世界
  • 言ノ葉ノ光
  • あとがき

あらすじ

生まれつき人の心の声が聞ける仮原は、それを利用してずる賢く生きてきた。
ある日、車と接触してケガをする。その車に乗っていたのが大学准教授の藤野だった。
仮原が初めて出会った心の声と口で発する言葉が全く同じ人間。
まるで輪唱のように響く藤野の“声”と言葉を心地よく感じ、そんな自分に苛立った仮原は、
藤野がゲイであると知り、偽りで彼に「好きだ」と告げるが……。

作品情報

作品名
言ノ葉ノ世界
著者
砂原糖子 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
言ノ葉ノ花
発売日
ISBN
9784403522406
3.7

(127)

(45)

萌々

(28)

(37)

中立

(8)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
26
得点
456
評価数
127
平均
3.7 / 5
神率
35.4%

レビュー投稿数26

冷徹で傲慢な顔の裏に隠した、臆病な素顔

今回の『言ノ葉』ワールドは、他人の声が聞こえる男・仮原と、心の声と生身の声が全く同じ男・藤野のお話です。
前作『言ノ葉ノ花』は、ウジウジすぎる主人公(受)がちょっと苦手だったんですが(攻が不憫すぎて)
今回の主人公は、もう見事に捻くれまくっていて、それが逆に気持ちいいくらいでした。

主人公・仮原は、他人の心の声が聞こえるのをいいことに、孤独な老人に近づき信用させ、その財産を奪う…ということを生業にしている(自称)。
そして現在も、病院で親しくなった老婆の雑貨屋兼住居であるビルを引き継ぎ、そこで暮らしている。
他人の声が聞こえるということを最大限に利用しつつも、その能力を嫌っていた仮原は、ある日“心の声”と“生身の声”が全く同じ男・藤野と出会い――
仮原は心の声が聞こえる自分を卑下しながら生きていました。
他人の声を聞き、利用する自分を最低だと罵りつつも、本当はそんなことがしたかったわけじゃなかったと思います。
幼いころ、自分の能力のせいで家庭を崩壊させてしまった仮原。
そんな昔から、自分の能力を呪いながら生きてきたんだと思います。
口から発せられる言葉とは裏腹のことを発する心の声。
そんなものが四六時中聞こえてくることに、うんざりしきっていました。
そんな仮原の前に現れた、表と裏が全く同じ男・藤野。
そんな人間は初めてで、彼のことが気になる仮原。
藤野がゲイだと知った瞬間、彼に近づき、恋人のような関係になるのですが…

他人の心の声が聞こえると藤野にカミングアウトした後の仮原は、ものすごく痛々しかったです。
今までは散々利用してきた心の声ですが、自分への疑いや戸惑いを藤野の心の声として聞いた時にはとても傷つきました。
また、藤野に「自分の心の声を聞いているのではないか」と疑われるのが怖くて(実際仮原は心の声を聞かないでいるのができないのですが)
頑張って聞かないように上の空でいてみたり。
心の声が聞こえることによる苦しみや、それによる仮原の傷ついた思いが、
これでもかと書かれていて、中盤は本当につらい展開です。
普段私たちが暮らしている中で「心の声が聞こえたらいいのに…」と感じる時もしばしばあると思います。
でもやっぱり、聞こえて嬉しいのはプラスの感情ばかりであり
結局人が心で感じているのはマイナスの感情が多いのかもしれませんよね。
そう思うと、心の声なんて聞こえないのが一番ですよね…。
この能力については前作でも余村が苦しんでいたのですが、仮原と藤野なら、
なんか上手いことやっていきそうな気もします。
もともと表裏のない藤野ですし、そんな仮原の能力を「便利だ」なんて思っちゃう彼ですし。
きっと恥ずかしい台詞はいっぱい仮原に聞かれちゃうとは思いますが、
聞かれてはまずい台詞は藤野はそんなにしないはずです。

今回はこの仮原という男の、強気で傲慢な態度でありながらも、実は繊細で優しくて、自分の能力を一番呪っている男…という
なんとも不器用でバカな男がとっても魅力的でした。
精一杯悪ぶっているけれど、藤野にすがりつき涙をこぼすシーンでは、
本当の仮原という男が見えた気がしました。
また、一人ぼっちの老人を騙している…と自分を卑下する彼ですが
その老人たちが、仮原と一緒に過ごした時間をとても幸せだと思ってくれたなら
“騙している”とは思えないんです。
探し物をしている老婆を助けるシーンも、老婆が見づらいだろうと無意識にライトをつけてあげるシーンも
それは全部、仮原の“優しさ”だと思いました。
老婆も、また藤野も言っていますが、本当は仮原は誰よりも優しい男なんでしょう。
優しいからこそ、他人を傷つけないように、自分のこの能力を憎んでいるのかもしれませんね。
そんな凸凹な仮原が、ラストには本当に愛しく感じるようになりました。
藤野のような嘘をつかない、ストレートに仮原を思ってくれる男が、彼をいやしてくれるといいですね。

またこの作中には前作の余村を彷彿とさせる人物が登場するのですが…
これについては砂原先生があとがきで、“限りなく余村のつもりだけど、パラレルワールドなので別人”とおっしゃられていました。
きっと読みながら心配した人も多いはず。
しかしこの人物が作中でわりと大きな役割を担っているんですよね…。
最後までこの人にもドキドキさせられっぱなしでした。

今回も痛くて切ない「言ノ葉」ワールド。
それでも恋をするのを止められないピュアな男どもに萌え萌えしてしまいました。
主役二人に関しては前作より大好きです。
そしてエロかったです、とっても。
なんといっても受がエロエロ~!!!
三池ろむこ先生のイラストもエロエロ~!!
是非是非、その目でお確かめください(笑)

今作もドラマCD化決定ということで、私の中では早くも鳥原浩輔さん×野島健児さんで展開しているのですが、どうでしょう?ww

4

いい話かもしれないが

砂原さんは嫌なヤツを書くのがうまいと思うし、この話もよくできてると思うんだけど、萌えはなかった。前作もよかったんだけど、そのキャラのその後という感じで、こちらにもでてきているのが……うーん、わたしはちょっと受けつけないかな。

砂原さんはうまい書き手だと思うし、好きな作品もあるけど、この作品やいくつかはうまさのせいで、上滑りしちゃっている残念感を感じる時がある。
できれば、BLというカテゴリーロマンスの書き手であるなら、BLというジャンルのお約束は外してほしくない。わりと簡単に外しちゃうから、それがお約束外しでおもしろかったり、新鮮に思える時もある反面、わたしはBLを読みたかったのに、これはないなあ、という感想になってしまう感じ。

絵も合っていなかったかなあ。作品の冒頭、攻めなのか、受けなのか、どんな人物が主人公なのか、まるで飲み込めなかった。麻雀なんて、どうでもいいですよ、確かに。

4

言葉を交わさなくてもいい関係

名作「言ノ葉ノ花」の続編かしら、と非常に楽しみにしておりましたが、同じ設定の、他人の心の声が聞こえる人間のスピンオフでした。
前作の受はそんな重荷を背負いながらも接客業についていたわけですが、やっぱり普通(?)はこうなるよねー、とロクデナシな男です。悪っぽい攻! こんな人を癒せるのは天然記念物なほどの優しい正直者しかいないでしょう、とちょうどよく出会えたわけで。こちらも年下攻です。
心の声と実際の声が同じ人。歌を聴くように美しい言葉。この人を自分のものにしたいのではない、この人のものになってしまいたいのだ、というくだり。言葉を交わさなくても気持ちが通じ合えるような関係になりたかったのでしょうか。
あーなんかうまく言えない。絶望感と幸せが交互にきて、好きな人に好きだと言ってもらえることも、好きだと言えることも奇跡のようなことなので。ほろりときてしまいました。

ネタバレ。前作の受をモデルにしたという占い師、最初は気付きませんでした。心の声が聞こえる人間はみんなゲイになるの…?と見当外れなことを思ってました。パラレルワールドなので、もしかしたらこういう未来になっていたかもしれない、ということですね。本当はラブラブだそうで、安心しました。よかった。

2

嫌な気持ちと切ない気持ちと色々味わえた。

評価は難しいですね~♪泣けるし切ないし、作品自体はとても良かったと、思います。
でも、前作でもは感じあまり感じなかったのですが、今作は人の「声」というものが結構きつかったですね~。

たぶんあえて負の「声」を表に出してるんだと思うのですが、フィクションなんですが、やっぱり実際の人間というものは殆どが負の「声」をもっているんだろうな~と感じましたね。この「声」を利用している仮原の事を理解するのに結構時間が掛かりました。

でも、最初に藤野の「カノン」輪唱を聞いた時からきっと仮原は藤野の事を好きだったんだろうとは思いました。
なので、最後の泣きながら好きだと、必死に縋る仮原には泣けましたね~。

藤野の「声」に拒絶される仮原・・・・このシーンはボロボロ来ました。
確かに藤野の気持ちは判るのですが、やっぱり辛いです。いつも綺麗な輪唱の藤野がつぐむ「声」が、とても深く心に突き刺していく所は、もう切なくて可哀相で、辛かったですね。

書き下ろしは無事付き合い始めた二人ですが、一つ藤野について嘘が仮原を苦しめますね。
アキムラはとても大切な事を仮原に教えてあげたかった?のでは?自分が出来なかった事を?
それとも自分と同じ道を歩んで不幸になって欲しかったのか?彼の言動からはかなり辛くあたっている様に感じますがどっちなんでしょうね?

あとがきを読んでホッとしたのがアキムラの存在です。あれはあの余村の様であって余村ではない。とありました。
でも読んでいる時はかなり嫌な気持ちでしたね~。前作のカップルはとても大好きだったので、ちょっとこれは~。
と思っていたので、最後に救いはあるにしても、ちょっといやでした。のでちょっとあとがきを読んで安心しました。

2

流れに逆らってみた(´・ω・)ノヨシヨシ

はーい(--;)ノ
私は、前作『言ノ葉ノ花』よりもコッチのほうが好きですо(ж>▽<)y ☆

なんたって、攻め受けともに性格がいいb

攻めは「心の声が聞こえる」という自分の力を使って独り者の老人をだまし、金を稼いでる……というのですが、どうみても偽悪者にしか見えない。
さりげなくおばあさんの落し物を拾ってあげたりだとか、どう見てもいいやつだろ!
受けは、完璧ないい奴☆
心の声と実際の声が同じって言は、裏表が無いってこと。人を疑わないし、なにしても怒らないし、お人よしだし。確かに、偽善者っぽい。でも、偽善者じゃないってことが攻めには分かる(もちろん読者にも分かる)。そこがいいんだなぁ~(*^^*)
とにかく、二人とも性格がいいんだ!!

それと、「心の声が聞こえる」ってゆう設定が最後まで生かしてあるのも良かった!

前作だと、途中でなくなっちゃうし。まぁこういう設定の話にありがちなパターンだったけど……力が無くなった後の葛藤とか。
でも、私としてはもっと「心の声が聞こえる」っていう設定を生かして欲しかった!!
前作では、恋に落ちるきっかけってことぐらいにしか印象に残らなかったし。

でも今作では力はずーーーっと消えない☆
どころか、ずーーーっと心の声が聞こえてる!!もうそれだけで「神」決定だし♪
タイトルに「言ノ葉」ってつけるくらいなんだから、生かさなきゃもったいない(>_<)
力を受け入れながら、どうやって折り合いをつけていくのか……っていう過程を見るのが楽しかった!ってか切なかった~(;д;)

そりて、攻めが受けにすがり付くっていう画もいい!ポイント高い☆


あと、皆様もいっている「アキムラ」ね。
「アキムラカズヨ」って聞いたとき、「えっ?もしかして余村?なに?なにがあったの?」と混乱しましたが、何となくパラレルかなぁと途中で思ってはいました(願望だったかも)。
私的には、この「アキムラ」の存在も含めて「神」評価です。
彼の存在と、彼の恋……「あったかもしれない」余村のもう一つの人生を思わせる切ないストーリーはプラスポイントでしたо(ж>▽<)y ☆

5

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