明日、俺は父親に呪いをかけた

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表題作≠ ノットイコール 1

芦塚凉,17歳,母親方に住む息子
末続果,14歳(本来37,22年前の父,銅版画家)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

幼少期に別離した父親との再会を果たした直後、突如22年前にタイムスリップした凉! 時は、バブル絶頂期の昭和。そして、そこには三つ年下の父・果がいた…! 慣れない環境と、現在へ戻れない不安から焦燥感を募らせる凉だったが、透明な果の存在に癒され、その感情がやがて形を変えていく…。池玲文が放つ、本格長編意欲作、第一巻!!
(出版社より)

作品情報

作品名
≠ ノットイコール 1
著者
池玲文 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
スーパービーボーイコミックス
シリーズ
≠ ノットイコール
発売日
ISBN
9784862638557
4.3

(171)

(106)

萌々

(37)

(19)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
25
得点
739
評価数
171
平均
4.3 / 5
神率
62%

レビュー投稿数25

3つの思いの行方は

 タイムスリップ、タイムリープ、タイムトラベル、色んな言い方があるけれど、子供の頃に大好きだったテーマです。家に一人でいることが多かったので、ファンタジーが好きでよく読んでいました。

 17歳の夏休み、幼い頃に別れたきりの父親に会いに行った凉は、久しぶりに会った父の家の庭で、22年前にタイムスリップしてしまい、14歳の父、果の前に現れます。
 人付き合いが苦手で、変わっていて、不器用な生き方をしている14歳の果。最初は、取りあえずこの世界にいるために、そしてなんとか帰る方法を探すまではと果に助けを求めた凉ですが、一緒に過ごすうちに果のことがわかって来て可愛く思えて、もしも誰かが果をわかってあげられたら、誰かがそばにいてあげたら、そしたら淋しくないのに、大人になった父親の果が、また一人ぼっちで暮らすこともないのにと、凉の思いはどんどん強くなり、それはやがて父親への思いを超えた愛になります。親子として暮らしたこともないので、頭の中ではわかっていても、気持ちと体は本能のまま果に向かい、何も知らない果は、自分をそのまま受け入れてくれる凉に強く惹かれてしまう。
 近親相姦というドロドロしたテーマなのに、この作品は、凉が生まれる前の出来事で、二人がまだ10代だからというせいもあるのかな、二人の思いが透明でとても綺麗に思えます。
 線香花火のキスシーンがとてもロマンティックなのに、その後の初体験が妙にリアルで微笑ましくて、このアンバランスさがタブーを緩和してるなと感じました。

 最初の方で、幼い頃に一度会った果のことを、やたら若くてお兄ちゃんって感じで、それになんか・・・。という凉の回想があるのですが、あの時、それに・・・なんて思ったのかな?って考えながら読んでいました。やっぱりここは『可愛い』なのでしょうか?37歳の果にも14歳の果にも『可愛い』と何度も思う凉なので、幼いながらも父と紹介された果を『可愛い』って思ったのかな。そう考えると、もうずっと前から凉が強烈に果に惹かれていたのだなと思えるのです。

 突然のタイムスリップに「帰りたい」「なんとかして帰らなくては」と考えていたのに、果を好きになり果からも愛されて「こうなるためにここに来た」「ずっと一緒にいる」「そのためならなんだってやる」「だれにも渡さない」と強く思う凉ですが、その矢先に現在に帰されてしまいます。
 突然凉が消えた庭で、14歳の果はどうなったのでしょうか?帰ってきた凉を抱きしめて、それが14歳の時に愛した「りょう」の正体だと知った時、37歳の果は、なにを思ったのでしょうか?
 なにも知らなかった14歳の果と、すべてを知った37歳の果。父としての愛情が欲しかったのに、それを超えて果を愛してしまった凉。3つの思いがこれからどうなるのか、2冊同時購入していてよかった。待ちきれません!

8

何度も読み返せる大好きな作品。

池玲文さんの既刊の中で、萌えとは違う部分で一番大好きで大事にしている作品です。
あまりに好き過ぎてレビューが書けなかったので評価だけ入れてそっとしまっていたのですが、先日恋煩シビトさんの新刊(パンデモニウムより愛をこめて)を読んだ時にこの作品のことがずっと頭に浮かんでいて、やっぱりなんか書こう!と思いました。

タイムスリップで逆年の差になった父と子が恋に落ちる。
もはやいくつの地雷が埋まっているのか分からないようなトンデモなラブストーリーなのですが、食わず嫌いでスルーしてしまうのは勿体無い作品・・・なんだけど、そうは言っても埋まっている地雷はダメな人には本当にダメな類いのものばかりだと思うから気軽に必読だよとも薦められない、そんなジレンマの神作品です。
だけどやっぱり一人でも多くの人に読まれると良いなと、私自身は読み返すたびに強く思い続けています。

本作を一言で言うなら、親子という禁忌ネタを使って読者に揺さぶりをかけてくれている作品、でしょうか。
あなたが縛られているそのルールは本当に縛られなければならないものなのか?と、そんなことを読者に問いかけてくれている作品。
「倫理観には常に懐疑的であれ」という思いを、作者なりの表現で父親と息子というインモラルな形のラブストーリーに落とし込んで、作者なりのアンサーを最後に提示されています。
(この部分をもう少しくわしく書きたいのですが、ネタバレし過ぎになる気がするので2巻の方に分けます。)

初めて読んだ時、この池さんの達観のような諦観のような考え方に私本当に心の底からやられてしまって、以来ふとした時に思い出しては読み返して溜まったモヤモヤを溶かしてもらっています。
何度も何度も読み返せる本当に大好きな作品です。
一番人気の「媚」シリーズとはだいぶん趣の異なる作品ですが、池玲文さんという作家さんがどういう思考で生きてらっしゃる方なのかが本作で少し分かる気がします。

7

愛してほしいとは

引き続き、池玲文さん欲してる病で怒涛の購入。
何の予備知識もなくこちらも購入しました。

何とも…何とも言えない気持ちになる作品です。
初・池さんという訳でもなければ、初・実父子話という訳でもない。
なのに、池さんの独特な雰囲気、進め方とでも言うのでしょうか。
少しデフォルメ調の絵柄だったり、一瞬オトす感じの場面でも、何故か気を抜けない。
『心苦しくなる』という言葉がピタリと当てはまる感じがします。


凉17歳。
果、現在37歳。出会った過去は14歳。
タイムスリップして出会い、気持ちが深まる――そんなお話なのですが、何も柔らかい感覚は有りません。
17歳にしては随分と老け込んで見える凉ですが、それが余計に果の幼さを際立たせています。

凉は、父に自分が愛されているかが分からなかった。
分からないならいいや、と思っていた筈なのに、本当は心底愛されている確証が欲しかったのでしょう。
父・果も、周りからの愛情を感じ取る事が出来なかった少年として育ちます。
たった一人、祖母の愛情だけは素直にふんだんに感じ取る事が出来た。
愛情が欲しかった。「僕は愛されているんだ」と自惚れる愛情が欲しかった2人。
それがいつしか、お互いが「僕は彼を好きなんだ」という恋愛感情を生んでしまう。
そしてそれを、真っ直ぐにぶつけてくる果。
凉が聞いた「俺の事好き?」は、本当は、どちらの意味だったのだろうかと。
父としての果の愛情?1人の少年としての果の愛情?
本当にそれは恋なの?本当に?勘違いじゃなくて?…と、読みながら、読み終えてからも一人グルグル頭に浮かぶのはその事ばかりでした。

2009年に戻ると、時間は同じだけ進んでいた。
10年ぶりに会った時の果の顔は、驚愕な表情だった。
それは凉があまりに成長していたからではなく、果が14歳で出会い『正くん』と呼んでいた青年そのものが目の前に現れたから。
そして、当時自分の目の前から突如空に消えた『正くん』が、現在の自分の目の前に空から帰ってくる。
……何とも、皮肉な事なのでしょうか。
苦しんで苦しんで『正くん』の呪縛に捕らわれて生きてきた果。
なのにそれが、実の息子だっただなんて。


確かに凉も苦しんでいるのがよく分かります。
凉視点で進められているのが殆どですから、凉の葛藤が手に取るように分かる。
けれど、凉がタイムスリップしている間の、果。
きっと「そうかこの時か」と実感し、ずっと縁側で待っている。
10年ぶりに会った時の衝撃は、のちに「この時が来たのか」という感情に変わったのではないでしょうか。

凉の苦しみは、父親の果の愛情が欲しいから?それとも14歳の果の愛情が欲しいから?
何が正しいのか、1巻だけでは最後まで見出せません。

5

こっ!!これは良作だー!!

高校生:芦塚凉×銅板画家:末続果(タイムスリップしたので14歳)です。
この作品はマジでびっくり要素が満載です!!
普通に高校生×銅板画家と思いきや、ガチ親子です!!
しかもタイムスリップします!!

母子家庭で、父親とは幼い頃に会ったきりなのに、何故か
会いたいと思い会うことに・・・で10数年ぶりに父親(36)と再会します。

でもイマイチ相手をしてもらえず、庭で携帯をイジッてて、その時に
誤って携帯を落としたときにタイムスリップをします(((( ;゚Д゚)))

で、タイムスリップ先は22年前の父親の家・・・
その時に当時14歳の父親と一時期、同居生活をします。

個人的に「ここにいれば大丈夫――――――お父さんが守ってくれる
まだ俺の父親じゃない父親だけど――――」

っていう台詞は好きですね。「好き」という言葉は御幣がありますが、
なんか、もう本当に不安なんだなというのがヒシヒシと伝わってきて、
辛くなりますね・・・。

そして、コミュ力の高さを生かして、どうにか22年前の時代で
お金を稼ぐことができます。

そして、なんじゃーかんじゃーとあり、両思いになり、濡れ場に突入します。
で、せっかく両思いになったのに、なんと、元に時代に戻っちゃいます。

そして36歳の父親と再会して・・・

のところで終わっちゃってめっちゃ気になる終わり方をしていました。
まとめ買いしてよかったー!!って本気で思いましたねww

5

これはw

とりあえず、2巻が出てから読めばよかった(´ДÅ)ょゎょゎ
気になるじゃないかっ。
お話は、父子もので、しかもタイムスリップもの。
パラドクスな世界でどう二人が絡まっていくかというところです。
17年で初めて会った父。そのときのなんだか不思議な感覚。
そして突然のタイムスリップで飛ばされた22年前。
14才の父は、思ったよりも押さなく、思った以上に可愛かった。
好きという気持ちが恋愛感情だと自覚するのには時間がかからず。
そしてあのときの父の不思議な表情の意味が解けてしまう。
けれどその気持ちは簡単に抑えられるものでもなく・・・というところでしょうか。
実父もの~なので、禁忌的なものが、問答無用でNGな方にはアウトなのやも・・なのですが、このムズムズとした不思議な感覚が好きです。
次回どうなっていくのかな結論がでなければ、ハッキリどーともいえないのですが、うまくまとまってくれることを願うww
「たぶん、オレはずっとすきだよ」のあのシーンが好きです。
あそこからの突然のわかれと、22年と時を経ての再会。
なんだかすごき気になるのです。
や~・・うん。まだムヤムヤする

4

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