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やっぱり自分は幸せになれない、いいことはいつだって長続きしない、そう思っていた──
愛想尽かし、たかが恋だろ、をコミックスで読んでいたのですが、実はこれが関連作だとは知らずに手に取りました。
読み進めるうちに「あれ?この主人公CP記憶にあるんだけどなぁ」と思いながら読んでました。後書きを見て、あ!そうだ、コミックスで読んでたんだ、と分かりました。
今回のお話は、椹木と柊也のラブラブ?がベースにあります。椹木のヤキモチが年上の攻めなのに可愛くて萌。柊也を理解しているが故に警察には出頭させられない情。
お父さん、、、って言うとそれまでなんですが、何だか40手前よりももっとオヤジっぽい気がしちゃいました。でも良い男なんですよねぇ。
久しぶりにコミックスも読み返してみようと思いました。
関連本の読み順
①「たかが恋だろ」・・刑務所に入る前の椹木恭介。主人公は、義弟の泉巳。
②「愛想尽かし」・・ 椹木恭介と柊也の馴れ初め。刑務所時代。『たかが恋だろ』のスピンオフ
③「花片雪」 ・・ 「愛想尽かし」のその後。柊也は素直になっている
電子版には挿絵が無いので、萌2。ユギ先生の挿絵を楽しみたかった。
暫く治療の為休業していたユギ先生が、元気になって活動復活。嬉しい。
文体は、コミックに合わせているのだと思う。淡々と綴られている。
コアな著者なら気になる文調の変化かもしれませんが、私は嫌じゃない。
柊也の幼馴染と、刑務所に入る前の売りの仲間との痴情のもつれから、金銭トラブルに発展したあげくの殺人事件に柊也が巻き込まれる。
幼馴染の自殺をとめる為に、数年ぶりに故郷に帰る柊也に付き添う椹木。
2010年発刊、景気が良かった頃の、侘び寂びBLは、味わい深い。
ツッケンドンだけど、愛情深い椹木。
帰る家の無い捨て猫のような柊也を家に招き包み込む椹木恭介は、映画に出てくる高倉健のイメージ。不器用だけど暖かくてカッコイイ。
脳内変換して、ドラマチックな場面を想像しながら読了。
椹木恭介と一緒なら、柊也は幸せになれると思う。
”たかが恋だろ”→”愛想尽かし”と、一気にここまできました。
そして、”花片雪”が一番好きでした!!!
”たかが恋だろ”でアニキ(椹木)のかっこよさに痺れて、”愛想尽かし”の存在を知り、”やはりスピンオフあるよね!”ときて、その流れが小説で完結してて最高でした。ユギ先生のコミックも最高だったんですけど、小説だとより詳細に登場人物の心理描写が読めるのでいいです。そして、同じシリーズを、漫画から小説へつなげていくという手法、めちゃくちゃ素晴らしいです。また是非やってほしい!!(やってるの知らないだけだったらすみません)ただ、ユギ先生と英田先生って最高のタッグだったんだなぁと、今更ながらに思ったのでした。リアタイじゃなくて悔しいけど、でも読めたから満足です。
やはり、英田先生の描く極道いいです。もはや、こういう人物像はオールドファッションなのかもしれませんが、だからこそいいんです(様式美?)。アニキの親友の羽隅が可愛くて好きでした。羽隅⇔椹木の関係性もたまらん…。。いいんですよ、こいつのためなら!と思えるくらいの恋…ではなく濃い友情も尊いです。
”愛想尽かし”から恋人になった2人が家族になっていくような過程だったと思います。柊也が今までの人生を清算することで成長していくのですが、アニキの存在が彼の心の持ち方を変えているんですよね。大切な人がいるパワーって尊い。辛いことがあればどんな立場でもしんどいけれど、支えてくれる人がいることといないことでは捉え方とその後の人生が違うんかもなと、柊也という人物を通して普遍的に大切なことが見えてくるようでした。
表紙がアンニュイなので、ちょっと悲しかったらヤダなと思ったのですが、その予想を裏切る楽しい作品でした。また、羽隅とチビの存在は癒しでした。そして、何よりユギ先生の描く2人が色っぽくて眼福過ぎて、、、腹上死ってハピエンなのかもな、という気持ちで読了しました。本作の出版からだいぶ時間は経ってますが、、そろそろ誠と愛編があってもいいんだけどね、と夢見てます。
コミック「愛想尽かし」の続編。(同時発売)
前作にて恋人になった椹木x柊也のふたり。
元ヤクザで世間の表も裏も知り尽くした大人の男、椹木。スレた野良猫のようだった柊也も、椹木に愛されて満たされて、前向きに真面目に変わっていく。
そんな毎日の中、7年ぶりに幼馴染みで子供の頃いつも助けてくれた匡和に会う。そして事件に巻き込まれ……
これまでの柊也なら、また椹木に迷惑をかけたくない、と姿を消すところだけど、椹木の『お前の顔が見たい。』という言葉を聞いて家に戻り、何があったのかを全て話す。何があってもお前を見放さない、と言う椹木。
この展開、いいなあ。
もちろん事件には柊也は無関係で、椹木との生活も脅かされません。でも、事件に伴って、色々な人達との色々な関わり、過去のしがらみ、今考えていること、これからへ進んでいくこと、これら全てが人間ドラマとして展開されます。ここが素晴らしくイイ。
素直になれなかった弘登も、男の方が大事だった母親も、匡和も、みんなそれぞれに理由があり、それぞれに生きていた。
英田サキさんの作品は、ヤクザや警察などの設定も多くどちらかというと硬質でドライ系な筆致だと思います。でも、この作品ではもっとウェットで情のある人間臭さが感じられて、私にはより好ましく感じられました。
特にラスト、食事中に柊也が泣き出すシーン。
『全部が悲しい。全部が辛い。全部が怖い。全部が苦しい。全部が切ない。』けれど、気づかないまま生きているより、はるかにいい。……
英田先生。先生は実は人情物、合ってると思います。是非書いてください!
「幸せな時間」
事件後、柊也は花屋さんのバイトに採用が決まる。柊也は店長さんに自分が刑務所に入っていた事を話してその上で雇ってもらえた事を喜ぶ。
どんどん昔の無気力さや自暴自棄さを捨てていく柊也が愛おしくてならない椹木です。Hシーンあり。
コミック「愛想尽かし」の続編小説。
前作はすみませんな評価になってしまいましたが、小説だと印象も変わるかもしれないと思い挑戦してみました。
ストーリーとしては、
椹木の恋人になった柊也が、ある日昔の知り合いに再会。
そのうちの一人が密室で死亡し、その部屋で眠っていた柊也に殺人容疑が・・・
という英田さんお得意のミステリっぽい展開です。
まず、文章に違和感が。
柊也視点のためか?
地の文の言葉遣いが、いつもの英田作品のそれより口語的というか、若干子どもっぽい気がします。
柊也のキャラクターに合わせて意図的にちょっと稚拙な文章にされているのかもしれませんが、個人的には苦手な文体でした。
また、彼が何かに気付いたり、人の言葉を理解したりする速度もワンテンポ遅く感じられ、ちょっと読み辛かったです。
椹木は前作同様、見事な保護者ぶり。
たまにヤクザ時代の名残りとして迫力や怖さも見せてくれますが、基本的にはすっかり柊也のお父さん的ポジションに収まっちゃった感じです。
エロシーンの台詞もやけに陳腐で、いつもの英田作品ほど洗練されてないなぁと思ってしまいました。
更に、椹木による昔の柊也評にも違和感が。
百年くらい生きているような疲れた顔をした、場末の娼婦のような隠微な男?そうだっけ??
失礼ながら、ユギさん絵の柊也にそんな色気は感じなかったし、言動もただの子どもにしか見えなかったのですが・・・
上記のつもりで描かれていたのだとしたら、残念ながらそれを表現しきれていない気がします。
面白かった点は、
椹木が警察を追い返すシーンと、スクロールに疲れるシーン、羽隅と猫のエピソードくらいでしょうか。
事件物としては登場人物が限られているためすぐ犯人の予想がついてしまうし、
柊也の成長物語としても、相変わらず椹木におんぶにだっこで、前作のパターンを踏襲している感じでした。
自分の好みの問題も大いにあるかと思いますが、文章にもストーリーにも終始ちぐはぐ感を抱えたまま読了してしまいました。