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表題作真夜中クロニクル

小学生で出会った新名を慕い続ける俳優 真下陽光
日に当たれない病気のミュージシャン 津田新名

その他の収録作品

  • プロローグ
  • 月が綺麗ですね
  • LOVE SONG
  • エピローグ
  • あとがき

あらすじ

太陽の下に出られない病気を持つニーナは、気難しくて偏屈だ。そんなニーナが、夜の公園で7つも年下の陽光と出会う。どんなに邪険にしても無邪気に寄ってくる陽光を煩わしく感じるが、ニーナは次第に心を許していく。そんな二人がすべてから逃れるため、星降る夜に飛び出した――。
温かな恋心でニーナを包み込み陽光と、寄せられる想いに戸惑って踏み出すことができないニーナ。時を経て変化にのまれながらも、成長していく二人が辿りついた先とは?
(出版社より)

作品情報

作品名
真夜中クロニクル
著者
凪良ゆう 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
大誠社
レーベル
LiLik文庫
発売日
ISBN
9784904835289
4.1

(145)

(77)

萌々

(32)

(22)

中立

(4)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
28
得点
583
評価数
145
平均
4.1 / 5
神率
53.1%

レビュー投稿数28

MY ROVE

真夜中――日光を浴びることができないニーナの活動時間である夜を重ねて刻まれる、ニーナと陽光の物語です。7歳、18歳、23歳、26歳…と成長するニーナと、7歳下の陽光。二人が出会い、悩み、揺れて、恋をしたクロニクルは、切なさがいっぱい詰まった作品になっています。

言ってしまえば年下ワンコ×クール美人のお話ですが、二人の恋愛はちっともスマートではなく、距離感を間違ったり相手を傷つけたりを繰り返して、何が正解だか分からないけれど「好き」という気持ちだけは揺らがない…という真っ直ぐさが感じられて、その不器用な様子がとても良かったです。

中でも表題作に描かれていた11歳の陽光がとても好きでした。頑ななニーナを変えてしまうパワーは子供特有のものであるし、陽光の持つ男らしさの欠片だったと思います。陽光の手紙には胸が詰まりました。

また、あとがきでも触れられていますが、これ以上ないほど物語にマッチしている表紙イラストが素晴らしいです。小山田あみさんはモノクロイラストも含めて作品を大事にして描いてくださるので、読んでいて幸せな気持ちになります。

5

構成とキャラが素晴らしい、つまり全部素晴らしい

文句なしの神でした。

ニーナと陽光の2人の描写が、小学校時代から語られているのが良かったです。ニーナは初めはそこまで口も悪く無い素直な子だったけれど、学校でのことがトラウマになり、捻くれてしまう、と、ただ口の悪い受けというわけではなく、きちんとした過程が描かれているからこそ、愛着もひとしおでした。
そして攻めの陽光がとにかく素敵な彼氏ぶり。幼いころからの真っ直ぐさは変わらないまま、不遇な境遇でもニーナを愛し続け、愚痴も言わない男前ぶりな性格が良かったです。
物語の運びもさすがで、最後にニーナが外の世界へ踏み出すために家を出たところでは涙がボロボロでした。
2人のエピソードは多々あれど、あとがきに書かれているように無駄なエピソードが一切ありませんでした。脇役の映画監督もバー店主もその彼氏も、みんないいキャラをしていて読んでいて気持ちよかったです。

個人的には無口無愛想で口の悪い受けと、太陽みたいな攻めの組み合わせが好きだったので、萌もきちんと感じられて最高の1冊でした。

3

しね、ボケ・・・・っ

ニーナの苦しいときの口癖かな?

途中、だれました。
ニーナがかたくなで、それはいいんだけど
陽光も役者の仕事がうまくいってなくて
もやもやしていて。

ためてためて
中盤以降は疾走しています。


最後は大団円

よかったです。

ちょっと攻めの陽光は一途でいいんだけど
好きですタイプです。

ニーナの病気による性格付けとかもわかるんだけど
いまいち受けが好きになれませんでした。

萌え寄りの萌え2です(^-^)

0

キミの太陽になりたい

実在する病気という少し重めのテーマを扱っている分、少し読むのに勇気がいる作品でした。

終盤のカタルシスへの布石だとわかっていても、序盤の鬱屈した受けの少年時代は読んでいてとても切なく苦しかったです。
生来の枷から、どうしても内に内に籠もってしまいがちなパーソナリティの受けですが、そんな受けにまっすぐ向き合い続け、受けを正しく照らせない太陽のかわりになろうとするかのように明るく受けを愛する年下攻めが胸を打ちました。
イケメン年下芸能人攻め…というBL小説ではよく見かける設定なのですが、決して芸能活動が順風満帆ではなく、前向きに努力をしている場面が多く描かれているのも好感が持てるし新鮮な印象でした。

全体の流れとしては、年下攻めと年上受けが、互いに相手に対する愛情だけではなくコンプレックスも感じていて、それでも一緒にいたくて、相手のためになりたくて…という感情の流れを際立たせるエピソードの一つ一つが抜群でした。
窮屈な枷とあいまって育っていった受けの才能も、一癖あってとても面白いなと…
成功の過程が本当に嬉しくてカタルシスがあります。
上り坂のストーリーをすごくうまく描いてくださることに信頼のおける作家さんなので、今回も序盤の苦しさを乗り越えて暖かい読後感に無事辿り着くことができました。

ラストでは序盤のやるせないエピソードが下敷きになりつつ、年月が経ち成長し、偏屈なままだけど確かに強くなって、自分にまっすぐ向き合い続けてくれた攻めのために必死の勇気で壁を乗り越える受けが本当にかっこよかったです。

扱うテーマ的にも何度も気軽に読み返したいと思う作品ではきっとないのですが、不意にすごく読み返したくなる、ここちよい重みのある作品です。

2

あとがきで泣いた

小説を読んでいる時、ふと集中力が途切れるとあとがきページを開いてしまいます。
そこには「100%自分の精一杯を文字にしたつもり」「どうしても削る部分がない」という作者さんの熱い気持ちがあって、思わずこちらも真剣になりました(そして最後にまた読んで泣いた)。
クリエイターさんは誰もが100%全力でやっていると思います。
でもあとがきでここまで言いきってしまうことってなかなかできないと思うし、また知る機会もあまりありません。
物語も凄く感動しましたが、それ以上に凪良さんの作家としての情熱にとても感動しました。
また才能や好きという気持ちだけで続けることはできないのだとニーナや陽光に重なる部分がありました。

人生というのは思い通りにいかないものです。
そのことがどんなに頭で分かっていても、やはり嫌なものは嫌だし辛いことは辛いしそこにどっぷり浸かってしまうことなんてしょっちゅうあります。
この作品は、前向きに頑張っていこうという激励や成長を讃歌するものではなく、大切なものを間違えないようにしようというシンプルだけどゆるぎない核があります。
売れっ子の中園の存在がありましたが、彼は大切なものがないあるいは気付いていないという点ではかわいそうな人だと思います。
そして私もそんなかわいそうな一人かもしれないと思い知らされた気分でした。
決して自虐的になっているのではなく、この作品を読んで気付けて良かったという気持ちでいっぱいです。

物語のジェットコースターを味わいたい気分の人にはこの作品には向いていないのかなと思います。
かくいう私がそうだったので、あとがきを読んで居住まいを正しました。
でも真面目になって読むものでもないと思います。
表紙からも分かるようにとてもキラキラしたお話だし、小学生の時から大人になってもいまだに使っているニーナの「しね、ボケ」の破壊力に萌えまくりました。

5

月が綺麗ですね・・・

なんとも、お洒落な言葉です。

最初出会った時、攻めはまだ小学5年生。
ちょっと子供過ぎやしませんか?と思いました。
確かに大人になれば、歳の差も気にならないでしょうが
18歳と11歳は、ちょっとした犯罪です。
しかし、時間の流れがそういうことを忘れさせ
大人になった2人の、心の葛藤をとても丁寧に書かれていて
難しい病気で辛い思いをしてきたニーナが
人間らしい感情や愛情を持つまでの、陽光とのかかわりと
陽光の良さやニーナへの愛が、
長い時間かかって今の二人ににたどり着いたと思えました。

あんなにSEXを嫌がっていたニーナが自分から求めるようになったとき
本当に自分も陽光のことを好きなんだと自覚した時・・・
たくさんの辛い過去を陽光と一緒に乗り越えて
やっと今、時分には陽光だけ・・・と気づいたニーナ。
好きとか愛してるとか、そういうことが言えなかった
そゆいうこととは自分を切り離していたニーナが
陽光が好きだと気づくことができた時、ラブソングが書けた時。

関係ありませんが、中園が週刊誌にすっぱ抜かれて主役を降ろされたとき
かなりスッキリしました。
あー私って、嫌なやつだわ~

1

病気に対する扱いが残念

この本を読んで沢尻エリカが出演していたTVドラマ「タイヨウのうた」を思い出した。あのヒロインも病名は違うけれど陽の当たる場所では生きられなかった。
夜に路上で歌を歌っていた。
プロローグを読んでどうかなと思った。病気の知識や理解のなかった大昔とは違って、今の教師は「光線過敏症」の児童を外に引っ張り出したりしないと思うし、その後のいじめもあんなにエスカレートしないと思う。
ニーナの気むずかしくて偏屈な性格づけのためのエピソードなのかも知れないけれど、陽光とニーナの時を追ったクロニクルが心に残っただけに残念すぎる。

2

ともに歩んでいく

王道のBLとは少しテイストの違うお話でした。

キャラやストーリーについては、他の方が書かれている通りなのでラストのみ・・

この作品で一番印象に残ったのはラストでした。

受け様も攻め様も仕事がよい状態のところで物語は終わっていますが
どちらも人気商売なので、いつ転落するか分かりません。
作品の中でも、攻め様は一度、子役の時に人気を博しながら、今は仕事が回ってこないという状態が長く続いていました。

この作品は、スーパー攻め様に見初められて、これから何かあってもこの攻め様がいれば大丈夫!
というようなものではありません。

仕事がうまくいってもいかなくても、これからもずっとこの受け様と攻め様はもがきながら進んでいく・・
そしてそれは隣に攻め様(受け様)がいるからこそ、どんな時も頑張っていける、そんなラストでした。

しみじみと感じ入りたい気分の時におすすめしたい作品です。

2

キラキラしてる

皆さんの評価を裏切らない良い作品でした!

まず、思っていたよりも読みごたえがありました。ジーンと来るけどずるずるまとわりつくことはない、さっぱりとした読了感で気持ちが良いです。

主人公が病気だったり虐めを受けていた事があったり、な設定だとどうしても同情っぽい雰囲気が出てしまいがちかなと思いましたが、この作品は全然無かったです。

プロローグはニーナが小学生で、本編のはじまりは陽光が小学生。
陽光とニーナの違うところや、逆にちょっと似ているところがよくわかるので、物語に入り込みやすかったです。

小学生の陽光は素直に思ったことをぽんぽん口に出すので、会話シーンはすごく楽しくテンポ良く読めました。

国道を爆走するところは読み終えた後だと、二人とも子供だったなぁって感じますが、読んでいたときはもうどうしようもないんだって思いがすごく伝わってきました。

書きたいことは沢山あるけどかなりすっ飛ばしますが、ニーナが自分から昼間に外へ行く場面。

普通の人には昼間外に出られないなんて想像もできないでしょう。
周りに誰も自分と同じ境遇の人がいない中、外へ行く決意をしたニーナがすごくかっこよかったです。

しかもその理由が陽光に会うためだと思うと。。。

私が一番好きなのは、陽光が免許を取ってニーナと話した言葉です。
昔は怖くなかったけど、今なら全力で止める。

小学生の時とはやっぱり変わってるんだよなあ…って実感と嬉しさがこみあげてきました。

過ごしていく時間の中で二人がそろって成長しあっていく様子は、まさに「年代記」なのでしょう。

星みたいにキラキラしていて、二人が話す言葉はパチパチする細かい飴みたいな印象がありました。

是非、沢山の人に読んでほしいです

2

よかった

評価が高かったため、気になって買っちゃいましたが評判の通りでした。

話の中に引き込まれ、とても大好きな作品になりました。

お互いに大切に思ってるのが伝わって泣けました。

2

クロニクル

「泣ける」の前評判だったので、どんだけ胸をえぐられるのか・・と
いちど深呼吸してからの読み始めだったんですが
なんだよ、甘すぎるほどに甘い話じゃないか(*・∀・*)ウヘヘ

ようやく読みましたよ!な今回

生まれつきの病気、トラウマ。
そこは基本にあるものの、重くなりすぎないお話が良かったですね。
重く苦しい話だとばかり思っていたので余計に。
なによりも、出会ったときに攻が小学生とか。
最近はオヤジブームでおっさんのオンパレードでしたが、若人もたまには良いのです
小さい子萌えです。生意気に好きとか大人を口説いてたら尚更萌え。
チビのクセに!とか・・・・妙に新鮮に感じてしまう。
年下攻ってのはこれがいいのよwwwな今回。

11才×18才で出会ってからの8年間。
一途を貫いた攻に感服。
それが嫌味じゃないのがまたイイ。
まっすぐにまっすぐに。
ずっと孤独だったニーナの心の溝を埋めた存在。
それはいつしか当たり前になって、居心地のいい空間に疑問すら抱いていなかったニーナが、気づくシーン。好きでした。

この作品、ROVEですv

4

泣ける~

小説は、コミックほどたくさん読んでいないのですが
とっても楽しめた作品です^^

全部全部盛り込まれていました。
クスッと笑えるところ、泣けるところ、
イジメの話に悲しくなってしまうところ、
気持ちのすれ違いにイライラ・・・というかハラハラするところ、などなど。

とにかく引き込まれるので、時間もかかることなく
一気に読むことができます。
というか、一気に読んでしまいたくなるんですよね。
読んだ後ももちろん満足感いっぱいです^^

2

当然、神でした。

凪良さんの本は、好きで読んでいたのですが、
本作品は、悲しい思いをしてしまうんじゃないか?と
思いこみ、なんとなく敬遠していました。
読まないけど、すごい良い作品であろうことは、
気づいていましたが、なかなか勇気が出なかったんですよね。

そんな中、やっと読みました。
まあ、読む前から「神」と思ってましたが、
案の定「神」でした(笑)

全体的に、夜が舞台だからか、イメージするシーンが
きれいなんですよね。
そして、ニーナが、ラブソングをやっとつかむシーンに
感動させられました。

二の足を踏んでいる方、是非読んでみてください。

2

さすがです

最近すっかり凪良さんにはまってしまい、既刊を読み漁る日々なのですが、評価も高いだけあってさすがと言いたくなるこの作品!
なんとなく、可愛そうな受けが苦手で、躊躇していたんですがとんでもない。
受けのニーナには、病気という背景があり、いじめの過去もある。確かに同情を誘う設定ですし、かわいそうな型に当てはまると思います。けれどやはり凪良さん。そういった設定をしっかりと生かしつつ、けしてかわいそうな悲劇のヒロインではないニーナがしっかりと作中に生きていました。
卑屈になりながら、人間らしく、不器用ながら攻めの陽光をしっかりと想っていて…すごく良かった。これに尽きます。
また、ニーナだけはなく陽光もしっかり良い男です。少年から大人への成長。けれどまだまだ幼い部分、どうしようもない葛藤や、けれど前向きでいたい気持ち。がんばれと素直に応援したくなるようなそんな攻めです。
ほかにも脇キャラとして、本来なら当て馬。むしろ嫌われるであろうキャラ・唐崎もすごく良い味を出しています!
なんて憎めないおっさん…と軽い感動を覚えつつ、総じて、すべてのキャラが良かった。そう思います。
凪良さんの印象として、設定はどうあれけして派手な作品を書く方ではないと思っています。
むしろどこか良い意味でBLらしくないものを書くとも。
けれど中身のぎゅっと詰まった意味のあるものを書く方だと思うので、今後とも期待しておっかけていきたいと思います。

4

イラストも含めて最高です

さいしょ、ニーナってファンシーな名前なのに、イラストが大人っぽくて合わないんじゃないかなぁって思いながら読み始めたんですけど。

とんでもなかったです。
読み終わったいまは、イラストは小山田さんじゃなきゃ考えられないくらいハマってました!

おとぎ話みたいに書かれた文章の中で、でもニーナの世界はつらい部分も多くて、何度も泣きました(ノ_・。)
陽光の気持ちに揺らぎがなくて、そこはすごく安心して読めたんですけど♪
いつニーナがデレてくれるかなって、ある意味ハラハラしながら読んでました。
デレてからのニーナのかわいさったらないじゃないですか!?

なんかね、しばらくレビューも書けないくらい心に響きました。何度も読みました。
どう文章にしていいかわからなくて、上手に書けないのが悔しいです。
これからも読み返すなってお話でした。
うまく言えないけど、絶対読んで欲しいおはなしです。

8

作者の愛情たっぷり

出会ったときは、集団生活から弾かれた者同士。
光線過敏症がきっかけですっかり捻くれ者になってしまったニーナと、子供の頃からずーーっとニーナが大好きな年下の陽光。
7歳の歳の差ながら、社会から目下脱線中のニーナと人よりも早く社会にでた陽光とでは、精神年齢が釣り合ってます。なんせ、小学生相手に手加減無しで文句垂れる高校生だし。大人気ないにもほどがある。笑

そんなニーナと陽光の8年間のお話なのですが、恋愛の酸いや甘いを堪能するというよりも、恋愛もしながら一緒に大人になっていく“ふたりでセット”といった印象の物語でした。
いやあ~、お互いの存在がプラスになっているカップルってなんかいいな。未来に満ちてて。

特に魅力的なのは、病気だけでなくいじめや不登校など重くて暗い題材が満載なのに、この爽快感は一体?っていうくらい読後感が◎なところでしょうか。 
深刻になりすぎないよう作品世界を引っ張りあげてくれる、凪良さんの単語の選択のセンスが光ってます。
ニーナの捻くれぶりが「可哀想」に陥りがちな諸々を相殺してくれているのもありがたい。おかげで、感傷的な空気が苦手なわたしも一気読みです。

キャラ造詣も魅力いっぱい。
確かに扱いづらいニーナだけど、実は根はとても素直です。怒りであれ悲しみであれ、口は悪いけど(笑)感情が歪んでない。
病気という体裁と両親に守られるぬるま湯生活の中で、将来を諦めてるような反面、そんな自分自身に焦燥と嫌悪を抱いたりしてるところなんか、なんだかんだで無感動や無関心とは程遠いし。
トータル的にむしろ純粋さを感じる、愛すべきキャラでした。

ツンデレニーナをその持ち前の包容力で懐柔していく陽光も、名前のごとく暖かいけど、年下らしい背伸び感や直情的なところが微笑ましい。
完璧な王子様より、完璧な王子様になろうと頑張る攻めが愛しいじゃないかー。
何より、ニーナも陽光も好きなモノを持っている点に好感が持てます。狭くなりがちな二人の世界で完結せずに、社会と通じている。その大事さが丁寧に描かれています。

とにかく、作品の端々に作者の愛情がたっぷり詰まっていて、それが魅力の基盤になっていたと思います。
作者とキャラの距離が近いんだけど、自己愛というほど近すぎない。例えるなら、痛い思いしながら産んだ子供が転びながらも成長していく姿を一歩下がって見守っている親のような距離感。
あと、監督おもろい。
必要最低限の濡れ場にも、鼻の穴膨らむくらい燃えました。はじめて同士に乾杯。ありがとう、ありがとう(?)

これまでの既刊で一番凪良さんを身近に感じられた素敵なお話でした。
実りある1冊に、神評価です。

11

自分も頑張らなきゃ!って思える読了感!

すごく素敵な作品でした。
心の描写が丁寧にされているし、主人公が病気を持っているのですが、ウジウジ?するのではなく、かと言って前向きでもなくて・・・。

最初あらすじを見た時に感じたお話の予想はまったく外れてしまっていたのですが・・・。どんな予想をしてたんだよ!って感じなのですが、現代のお話だとは思わなかったんですよね~♪

受けが高校生・攻めが小学生という出会いからを書かれていて二人の、成長過程や、心の葛藤などがすごく丁寧に書かれています。
暗いお話?なんだろうけれど、脇キャラが割りと明るく盛り上げているし、攻めも元気いっぱいと言う感じなので、暗さは感じず、ただ、ただ素敵なお話に収まっています♪

なんだろ、自分も頑張らなきゃ!って思える読了感でした!


冒頭はニーナが小学生の頃から始まります。
ニーナは太陽の下で、過ごすことが出来ない身体です。紫外線を浴びてしまうと肌が焼けてしまう。
そんなニーナは小学生の頃にいじめにあい、そして、小学5年の時に不登校というよりも、自ら学校を捨てたと言う感じの方がしっくり来る感じでしょうか。

そして、高校生?のニーナと小学生の陽光の出会い。

陽光が俳優、ニーナが音楽活動をする。

そしてお互いの転機・・・。

ひとつ、ひとつのエピソードがとても大切な事を伝えているように思います。

この作品の感想をいつものように・・・、と思ったのですが、私の言葉で綴ってしまうと、何やら暗いお話だと勘違いされそうなので、多くを語らず、是非、皆さんにも読んでもらいたいですね。

二人が成長していく過程と、それに伴うすれ違いや葛藤がとても、丁寧に書かれています。
脇キャラの監督もいい味だしているし、陽光が前向きで明るいのでお話自体は暗い感じではないです。ニーナが時々吐く暴言も、スパイスが効いていて楽しい、そして心にしみる素敵なお話に仕上がっています!

3

まさに2人のクロニクルでした。

まず、読み応えがあります。
18行/Pなので、1ページ目めくった瞬間これは・・・!と期待していましたが、実際この1冊で分量も内容も十分厚みがあります。
心に響くというか、読み終わった後もじーん・・・。。とくる作品でした。

小さい頃に出会って、成長して再会してくっつく話はよく見かけますが、ある程度の距離感があるなか、出会って段々お互い成長していくっていうところが新鮮でした。
こうなって欲しい・・・って欲求も満たしつつ、細かい描写がすごく現実味を帯びていて、特にニーナのキャラを引き立てています。

逃避行の時に、ドラマチックな流れをぶった切って、トランクに押し込まれたり、陽光からの長文メールを一回ゴミ箱に捨てたけどやっぱ戻しちゃったり・・・
現実離れした容姿や境遇を持っているキャラがこういうことしてくれると、一気に親近感がわきます。

逃避行の強烈な印象を残すあのシーンも好きですが、私は「月が綺麗ですね」は逆にしっとりとした詩的な印象で読んでいて、美しいな・・・って言葉が浮かびました。同時にうるって来ました。

あとがきでも仰っていますが、この作品を読むと作者の中にあるものをぶつけて全力で書いたんだな・・・っていうのが伝わってきました。

あと全然どこも触れてなかったのですが、新名を「ニーナ」と表記しているところが良いですね。本人の浮世離れしてる感じがこの呼び方で凄く伝わります。

表紙も含め大事にしたい本だなと思います。

3

ハートフルストーリーがお好きなら!

絵師さんで小説を選ぶのもいいかもしれない、と小山田さんイラストの小説を片っ端から読みたいと思ってるのですが、これは評判もとてもよかったので早いとこ読みたかった!読めて幸せ!!
しかし主人公ニーナのお相手の陽光君は11歳の子供…
雁須磨子さんの『猫が箱の中』を思い出しましたよ。
子供の方が大人びていて、大人の方が頼りなげ。タイトル通り一緒に成長していく姿を追うとこが見どころなわけだけど、子供だったあのコが大人になって恋人にって…なんかほんとにそれアリなのか?我に返ったりしないのか?なんて思ったりもしたものです。
ニーナは生まれつき光線過敏症で、子供の頃から集団生活に適応できず、心ない言葉や視線に傷つき、小学校から不登校を続けている18歳。
それでも自分の生きる道を切り開いて、いや切り開くってのとはまた違うな(笑)なんとなく好きなことやってたら日の目を見たというか…
そんなニーナの受けた傷を、丁寧に癒していく陽光の存在は、ニーナにとって疎ましかったり嬉しかったりなんでしょうけども、なかなか素直じゃないニーナ…
難病に立ち向かい健気にがんばる!というような前向きな性格ではないのがこの作品のもっともいいところかもしれません。ひたすら暗くマイナス思考です。
陽光も11歳当時から子役の仕事をしていて、かなり特殊な生活だったりもします。子役ゆえの悩みやスランプなどもあり、そこを打開していくところも読みごたえありました。
じんわりと染みいる素敵なストーリー。これはたしかに当たりでした。

4

ゆっくりと時間をかけて深まるもの

凪良作品の、良いところが肩肘を張らずにぎゅっと詰まった感じのする作品でした。

作者様ご本人もあとがきでおっしゃっていますが、「自分が書きたいものを純粋培養した」ことによって、読者の心に響くようなお話になったのではないでしょうか。

私は、偏屈なニーナと真っ直ぐな心を持った陽光が、
お互いに成長しつつ、時間をかけて深めていった愛情に感動しました。

BL作品に出てくる人って、遊びまくっている設定の人が多すぎてげんなりするんですが・・・(発展場に行くようなリアルゲイの方の即物的なイメージそのままのような気もするんですが)
そういう作品より、ずっと深くて優しい作品だったなぁ・・・と思いました。

どうか、
時を経て、お互いに変化しつつ、成長していく二人が恋人同士になるまでを、暖かい目で読んで欲しいと思います。

2

凄い…としか言いようのない物語


また、なんちゅーもんを読ましてくれるんですか、凪良さん…。
言葉にできない読後感に、しばらくレビューもできませんでした。
本当に本当に、間違いなく、心に響く名作でした。

2人の子供時代から始まり、成功、挫折、痛み、そういうものすべてに対して、寄り添い合いながら向き合う2人のお話。

「相手に寄り掛かる」ことと「相手の存在を心の支えにする」ことは、似ているようでいて全然別物なのだと、このお話を読んで改めて思いました。
2人とも、成功も手にしていながら、それが安穏としていられるほど盤石な幸せでもないんですよね。
どちらかといえば、痛みの方が大きいのかも。
だけど、ちゃんと向き合う必死さが、とても読んでいて苦しいのです。

2人のささやかな逃避行。
それが美談でもなく、そこに滲む子供の浅はかさや未熟さなんかが、とっても愛おしい。
大人になってからの2人のエピソードを読めば読むほど、この小さくて大きな行動の意味がいよいよ痛みと共に心に響くのです。

そして、このお話の名作たる所以は、何と言ってもニーナの病気についての取り扱い方だったと思います。
確かに特別な出来事なんだけど、それを「トラウマ」の一言で終わらせない容赦のなさが、胸に迫りました。
殻を破れと強要するでも、ぬくぬくとただ守るのでもどちらでもなく、ニーナ自身が自分で考え、少しずつおっかなびっくり手足を伸ばしていくんですよね。
可能な範囲でちょこっとずつ外に目を向けて、自分の周りを見渡して、またちょこっと先まで行ってみて…ってするうちに、気づけば意外と遠くまで出てきていたり、出すぎだと我に返って戻ってみたり。
そうしてそういう姿を見守る人たちが、とっても少ないけど確かに居るのだということに、心が救われました。
それって、ニーナが不器用ながらもちゃんと生きているからこそ得られたあたたかさなんですよね。

「トラウマだから」と殻に閉じこもる主人公を守り、癒し、外に連れ出す王子様なんて、居ないんです。
陽光だって、必死で足掻き、もがいて、自分を支えているんだもの。
仕事でもいろいろと上手くいかないものを抱えて、汚い部分も見て、けども唯一綺麗なままでしっかり大切に抱えているのが、「ニーナを守りたい」っていう強い思いなんですよね。
夢と可能性に満ち溢れていた無邪気な子供時代から、挫折や世知辛さを知る青年になって、守りたいニーナに逆に守られるという切なさとか無力感とかをを味わいながら、それでも卑屈にならずニーナにだけはまっすぐに向き合う姿が素敵でした。
根っからのいい男なんだなぁ。

すごくどっぷり浸りながらあっという間に読んだんだけど、なんだかものすごく長い物語を読んでいたような感覚でした。
この2人の辿った沢山の時間を、「読んだ」というより「見た」という気がします。
この先何度でも読み返すであろう、大切な1冊になりました。


それにしても…凪良さんのお話は、毎回ものすごく大好きです。
何人かいる大好き作家さんの中にももちろん「あたり作品」と「ふつう作品」があるんだけど、「ふつう作品」すらない、全部が「あたり作品」の方は私は今のところ凪良さんだけです。

4

少年と青年の出会いから

リリ文庫さん帯コピー付けてくれないかのーとかここで言ってみたり。

さてさて凪良さんがまたまたやってくれました!
ふんとにもう期待を裏切らない作家さんだなー!!
今回は7歳差の年下攻と、太陽の光の下に出られない光線過敏症受との時間を掛けた長いスパンの物語。
凪良さんの年下攻というと過去に「未完成」があるんですが、あの攻にはどうもイラッと来て受け付けなかった自分も今回の年下攻は良かったー!これは良い年下攻来ましたぜー、旦那!

陽光[攻]とニーナ[受]が最初に出会ったのは夜の公園。
その時の彼等は陽光が11歳、ニーナが18歳。
陽光は半ズボンの元気な少年で、ニーナは学校中退をして半ば引きこもり生活を送っていたそんな時に彼等は出会います。
そして時は過ぎ、LOVEの綴りさえ間違ったラブレターを書いた陽光は19歳になり子役上がりのイマイチぱっとしない俳優としてけれど一生懸命に仕事をこなし、ニーナは26歳になり音楽の仕事をしています。
彼等が住んでいる土地は離れているけれど、それでも陽光はニーナの元へと訪れ、変わらずに純粋な愛情をニーナへと示し続けます。
陽光の真っ直ぐさは時にまぶしい程に実直で、かつて少年だった陽光はニーナと対等に向き合える程に成長して伸びていく。
その過程が螺旋状に物語を綴っていて読み手をぐいぐいとその魅力へと引き込んで行く力があります。
少年が青年に、そしてまだ若いながらも男に成長し、ニーナも彼の隣へと足を踏み出して行く。
凪良さんの名作がまた一冊産み出された事、それを読める幸せを噛みしめております。
オススメです。

4

感動しました

感動しました。

まず障害を純粋無垢の象徴として描いてないところが気に入りました。あと障害を持ってるニーナに、不自然かつ必要以上に周りが冷たくしていないところも。私、この逆パターンで障害者を描く作品が大嫌いなんですよね。
イジメを受けてたのは小学生のころです。それもあってひねた性格になったニーナだけど、大人になったニーナに周囲は優しいんですよ。優しいというか普通というか。昔はともかく「今はすべてがニーナ自身の内的問題であること」をきちんと描き出している。
ストーリーは、ニーナの苦悩が中心となる。殻を意識して、破ろうともがいて。
たった一人、陽光という少年→青年が、彼が外界へと足を踏み出すための扉となる。
レコーディングに入ったニーナが、自分の姿と中園の姿を重ねて自己嫌悪する場面とか、本当に上手いなァと思いました。エピソードとエピソードがきちんと繋がってるから、登場人物の成長に説得力が増すんですよね。

この陽光の描き方も秀逸でした。
小学生のころは無邪気に自分の可能性を信じてたけど、彼もまた挫折を味わうんですよね。
ニーナを守ろうという気持ちは変わってないのに、現実の壁は高くて、現状では不可能なのだ。役者としてなかなか認められず、金もなく、むしろニーナに助けられるという現実の前で、陽光は自分自身に対する失望を味わうことになる。それでも彼は明るさを失わない。いい男すぎるよ陽光。

お互いに「相手に釣り合うように」「相手のために」ってがんばるお話って大好きです。
私はこの作品は、BLそのものだと思いました。もちろんいい意味で。BLというジャンルは狭いものじゃないと思うから。むしろものすごく広いジャンルだと思うのですよ。

7

涙しました。

…気がつけば感動し、うるっと泣いていた。
萌え属性とか、10代は趣味じゃないとか、そんなのどうでもよくなってました。
(萌えないという意味ではないです、ニーナは「これぞツンデレ」では?)

太陽の下に出られない難病を持つニーナ18歳と、児童劇団の子役をやっていて、でも売れない為、いじめにあっている真下光陽11歳。
18歳と11歳のやり取りが自然に感じられる、これは作者の力量とおもいます。
小学生に「しね、ボケ」といってのける18歳。良い!(笑)。
特殊な病気なため、人並菜生活ができず、対人関係が築けないニーナ。
太陽の光(紫外線)にあたると妖怪のように醜くやけどしてしまうニーナ。
イジメの後遺症から自分を囲い込み、息苦しく生きるニーナを、それでもひたすら慕う陽光。(ニーナの心の苦しみが深く描かれていて、重いのだけど、引き込まれます)。

11歳から16歳、それ以上に年月を重ねても、陽光はニーナを思いつづけ。
お互い、思っていたのとは違う将来を向かえ。
陽光のため、自分の世界をひろげるため、ニーナは陽光に合うために一歩をふみだす…。

作者の記念碑的作品になるのでしょうね。

ここから先は余談です、少々くさしますので、イヤな方はよまないでくださいネ。
アナルへの挿入にこだわるあたりがどうも…、作者あとがきで言うよりBLしてたと思う。良くも悪くも。
あと主役が2人ともそれぞれの分野で認められるって、どんだけ奇跡的な確率だよ?!と正直チラっと思いました…;
でもこの作品は自分的には今年度、少なくとも全半期ベスト3に入ると思います!

2

二ーナのツンが可愛くて、とても悲しかった。

凪良先生の新作、待っていましたっ!
やっと手にできたぁ~!嬉しいです!宝物です!

【真夜中クロニクル】
読み始めて数ページ、このまま読み続けて良いのか迷った程でした。
二ーナの重荷があまりにも辛くて、自分に影響してしまうかもと。
事実、二ーナの言葉がいちいち、胸に棘をさしてきました。
皮膚病の野良猫に、
「つくづくブサイクな奴だな。俺と一緒だ。ほら、こっち来い」
楽器が沢山あって羨ましがる陽光に、
「じゃあ、病気になってみろ、可哀想がって買ってくれるかも知れないぞ」
どこへ行くの?「この世の果て」
被虐的な二ーナの言葉が、つくづく悲しかった。

自分は、高校生位までの甘キュンのものは苦手なんだけど、
(二ーナ18才と陽光11才だから、それに当て嵌まる)
二ーナと陽光の出会いは、そんな欠片は一片も無く「苦さ」ばかり。
陽光の無邪気な受け答えが明るくしてくれているけど、とても2人の辛さには追い付かないのです。
でも、【月が綺麗ですね】【LOV ESONG】と、年齢とともに、二ーナの卑屈さが薄れていきます。
自分なりに社会に出る二ーナと、二ーナを応援する陽光との仲が停滞したり、執着心が表に出たりと、子供の頃の狭い世界とは違う展開です。
二ーナの自分を捨てての陽光の為の言動が、2人の仲を進ませて、お互いがどれ程必要か分かってくる。
大人だけど違う二ーナ、子供だけど大人な陽光の2人の、
↓茶木さんの言われているように、どのページにも、じわ~とさせるエピソードが、ものすごいのです。
2人が上手くいきますようにと、柄にも無く祈りました。
二ーナの、陽光が涙した“LOVE SONG”聞きたいですね^^

凪良先生と小山田先生の天上のコラボから貰った、震えるこの気持ち、きっと長く続くんだろうな。
大事な大事な1冊になりました。ありがとうございました。

8

すごくよかったです!

凪良さんの作品が好きでこれまでも全部読んでますが、今までの作品で一番良かったです!
二人の関係が攻が小さい頃からすごくすごく丁寧にかかれていて、主人公の病気とか読んでいて痛い部分もたくさんあったのですが、それ以上にあたたかい気持ちをたくさんもらえた作品でした。他の方が素晴らしいレビューをかかれていらっしゃるので、細かい事が省きますが、私にとって大事にしてまた読み返したいと思えるような大切な一冊になりました。
凪良さん、ますます好きです!

4

名作誕生です。

ニーナと陽光の2人の成長が瑞々しく描かれていて、読み終えた後はカタルシスがどっと押し寄せてきてきました。読み進める度に物語の面白さはとは別に読み終える事に対する寂寥感に溢れたくらい素敵な作品でした。絵師も小山田あみさんで凄く素敵で、物語の世界観と融合されてました。これまで読んできた凪良作品は私には「全ての恋は病から」が突出していて他の作品はそんなに心に響くものがありませんでした。表紙買いしたので小山田あみさんでなければおそらくは直ぐに手に取る事もなかったと思います。そういう全てが覆すくらい素晴らしい作品でした。まだ読んでない人は損してますよと伝えたいくらい、大事なものを貰った感じがします。

6

またやってくれました、凪良さん!

よかった!!心があったかくなった!!とっても素敵だった!!
文章にしてしまうと薄っぺらい感じがして、すごく残念な言葉しか出て来ないのがもどかしい!
よく「BLっぽくない」とか「BLらしい」と言う表現を自分たちは使うけれど、もしその月並みな言い方をつかってしまうならこれはBLじゃない。
自分には、BLだろうがなかろうが、そこに人間の魂の触れ合いがあって、それがたまたま同性だっただけ、というものの方が全くアリなのでそういうカテゴライズは無用だ。
何せ、これは最初の出会いが18歳と11歳の何ともはや!な年齢差の一番激しい年頃の次期からはじまるのです。
そして、それが、5年後、8年後、の二人を通して彼等がいかに気持ちを認識していくか、確固たる存在になりうるか、そして人間的に成長するかの物語でもあるからです。
中に表現される数々の言葉たち、そんな一文にいちいち胸を掴まれて、キュンキュンさせられて、感動させられて、この一冊で自分も彼等と同じ歳月を生きてきたかのように錯覚さえさせられるのです。

ニーナ(新名)は光線過敏症という病気を持ち、それが原因で「津田ようかい」というあだ名をつけられ苛められ、小学5年から不登校になり、日中は外へ出ることのない生活を送っている。
そんな彼が夜の公園で出会ったのが、小学5年の真下光陽というまるで輝いているかのような明るい少年だったのです。
ひねくれた態度のニーナを嫌うどころかワンコのようについてくる光陽。
ニーナにトラウマがあるように、また明るい光陽にも児童劇団に入っていることで苛めで友達がいないという悩みがあって、種類は違えど同じトラウマを持ちながも前向きな光陽にニーナのペースは段々ひきこまれていく。

そんな出会いから始まる二人の関係。
もう、色々書くのがもどかしい。
是非読んで感じてほしいとしか言いようがない!

ニーナが相手を拒絶する言葉「しね、ボケ・・・」
光陽の初めてのラブレター「NINA MY ROVE」
この世の果てへの逃避行と、銀河鉄道の話、
もう役者なんて辞めたいと思っても、ニーナを守るため!と踏ん張る光陽の一途さ。
歳の差を想い後ろ向きになるニーナの気持ち、でもそれを知ったからこそもっともっとニーナを好きになる光陽
恥ずかしがるニーナのかわいさ
光陽の為に自分ができることをするニーナ。
それに卑屈にならずに素直に受け止めて頑張りを見せ感謝する光陽。
ニーナが卑屈で臆病な分、光陽の一途なまっすぐな素直さがウソ臭いと思えるどころか、そのニーナへの変わらない揺るぎない愛に読者の自分が嬉しささえ感じる。
彼等の会話が愛おしくて愛おしくて、一見光陽ばかりが一人で空回りしているようで全然そうじゃない。
できることを出来る範囲で、人よりできないニーナは勇気を振り絞って人並みに出来ることを、と、その思いやりこそが愛なんだと、実感させられるのでした。
何て書いたらいいかよくわかりません。
ごめんなさい。

表紙の絵もとっても素敵です!
「あの星は俺の!」って手を伸ばしてる二人ですねww
光陽が胸に抱いてるのは、不細工にゃんこのコニーナww
下には、ニーナを追いかける少年光陽v
散らばっているのは、楽譜とラブレター?
元々小山田さんの描く人物が肉感的なので、鶏ガラみたいなニーナという表現にはちょっと遠い部分はあるのですが、それでも、充分に影のあるニーナが描かれていました。
もう!この表紙がいうことないんです!!

あとがきを見ると、この本が作者さんの今までで一番ボリュームのある本になったそうです。
全然そんな感じはうけません、夢中になってあっという間でしたから。
書きたいものだけを書いたといわれるものがあふれている作品になっていたと思います。
本当によかった・・・主人公達の未来に想いを馳せて・・・



13

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