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久しぶりに読み返してみたら、やっぱり怖かった。
短編集なのに、全部の内容が濃いし。
BL作品でなければ、普段こんなホラーな作品は、読まないし〜買わないから〜新鮮です。
国枝彩香先生のこの手のお話は、おどろおどろしくて〜作品によってはゾクゾクする。
読後に、なんとも言えない〜この後味の悪さが〜それもまたよしとwww
読み返しては〜色んな感想に辿り着きますね。
あとがきまで辿り着くと、読みながらホッとする自分がいるwww
「春に孵る」
遺伝子由来の愛憎劇、血が呼ぶ業ということなんでしょうか。
佳苗は、両親は亡く、祖父母に養育されている。
両親の顔を知らない佳苗。祖父母が記録を処分して残っていない。
或る夏、叔父・輔(たすく)、母の弟・閑也(しずや)と避暑地で夏を過ごす事になる。
母の弟・閑也は、佳苗にも、母にもよく似ている美貌の人で、佳苗にとても優しい。
そこは、母が幼少時に着た服、可愛いものが沢山遺されている家で、佳苗は嬉しかった。
眠れない晩、佳苗は、叔父と閑也の異様な情交場面を、目撃してしまう。閑也は、両親が死んだ理由を佳苗に話した後、自死する。
時を経て、大学に通う佳苗。佳苗を叔父が訪れ、或る提案を示す。
血の為せる業?・・佳苗は叔父の提案に流されていく。
・・と文字化すると、サラサラと流れる佳苗の廻りで起きる色々なのですが、これを絵にすると、とってもミステリアス。
インブリード・・近縁にしか情動を起こせない一族なんでしょうか。
筋書きから推測すると、
佳苗の叔父は、閑也を深く愛していた。でも閑也の寂しさと狂気を消せなかった。閑也の死後も閑也を愛し続けて、面影を求めた末に提案した「孵化計画」かな?
他の作品は、「春に孵る」が強烈過ぎて、内容が記憶に残らなかった。
絵が綺麗、他に無いストーリーなので独創性を評価します。
2011年発表の短編集。
ダークというよりもはやホラーとも言える怖い作品も入ってます。ただしラストは「耳たぶ」の2人のドタバタも収録。
「春に孵る」
視点は幼い女の子。名は佳苗。
両親はすでに事故で亡くなり祖父母に育てられていたけど、祖父の入院の間の2週間だけ叔父の輔(たすく)に預けられたのだった。
そして輔はアパートで世話をするということにしてある別荘に佳苗を連れてきた。
その別荘にはもう1人の叔父だという閑也(しずや)が住んでいて…
…と始まるこの物語。
国枝先生といえばダーク系は定評ありだけど、この作品のダークさは最上級だと思う。物凄く怖いです。人間の業というか。
当然ながら輔と閑也の関係性には淫靡なものが隠れていて、そして実は佳苗の両親の事故にも関係がある…?
輔は何がしたかった?佳苗にあれを見せたかった?それは偶然?悪意?
ともかく佳苗はどこか運命が変わってしまったのだと思う。
自分を隠し、性的なものを隠し、目立たないように生きる佳苗。
だが短い髪をした佳苗は閑也にそっくりで…
佳苗は見つかる。輔に見つかる。そして…自ら輔の世界の内側へ再び入ろうとするのか…?
佳苗を突き動かすのは「血」と言ってしまっていいのか?
「当然の結末」
これね〜…どちらも可哀想で同時に酷い、という感想です。
ノンケの同僚に恋し、とにかく一度だけセックスして、と頼むゲイ。
葛藤はしつつも指定された部屋に赴くノンケ。
ゲイの可哀想さは、半端に受け入れられて、嫌われないこと。
ノンケの可哀想さは、一生この事を忘れられないこと。
ゲイの酷さは、ノンケの結婚式前に式を挙げるホテルに呼んだこと。
ノンケの酷さは、ノコノコ部屋に行って途中までは行為をしたこと。
「十三夜幻灯」
あの世に住まう淋しい物の怪の物語。
赤い長髪で、死者を丁重にもてなす妖しの存在。だが死者は「永遠」に耐えられない。妖しを捨てて「生」の世界へ戻ってしまう。だが生の世界はやはり生きづらく…
あの世に戻った死者の行く末は⁈
完全ホラーテイストなお話。でも哀しみも漂っている。
「枷、或いは束縛」
壮年の教授?
…の元に見知らぬ青年が訪ねてくる。教え子らしいが覚えがない。
だが、彼に飲み物に何か薬を入れられ、気付いたら彼の部屋に監禁されていた…
…と始まる。
監禁生活は次第に愛欲の日々に変化していくが…
青年の狂気が加速していくさまは恐怖。そしてグロ展開に行くかと思いきや。
えっ?そんな話?
…とはぐらかされるんだけど、その後もやっぱり恐怖展開で…コワイコワイ!
「夢のあとさき」
これもまたあの世に足を突っ込んだ男の臨死体験系。
で、こちらはええっ?という真相あり。この男、また臨死体験するんじゃ…⁇
「手のひらの上」
「耳たぶの理由」の山口x石川。この流れでのこの2人。心底ホッとするよ。
2人がついに同居する事に!という時間軸。引っ越しにあたって家具を見に来ている2人、そしてお決まりのケンカ…というか石川が一方的にカリカリ、山口はデレデレ。エロはありません。
本作は好き嫌いが分かれそう。私は初読時はダーク系大好きだったから非常に興奮しつつ読みました。今は率直にゾ〜〜…っとして読んでます。
国枝さんの絵は不思議な魅力がありますね。とってもお上手で、お話がシリアスで悲惨な結末でも絵がこちらを救ってくれるというか。なぜか悲観的になれない絵な気がします。
さて短編集ですね。ずっと読みたくて勇気が出なくて手が出せませんでした。
どのお話もつづきが気になるし、え?そうなるの?と意外な終わり方だったり。
表紙でイメージする不穏な予感はほどほどで絵に救われると言うか。
どのお話も死が関わってますね。
どれも凄く印象的で余韻が残ります。
そして最後には耳たぶの理由のその後が!
後書きも楽しく読みました。
表紙と、いわくありまくりな男二人と幼女の設定に飛びついてみました。
話としてはラストが個人的にはうーんという感じですが、BLでなければ満点かもしれません。女の子が主軸にあがってくる上に攻めとこれから何かあるであろうという展開には違和感を覚えます。嫌という訳ではないのですが。すっかりBL脳になってしまったのですね。とほほ。
それでも、閉ざされた空間であの二人と幼女が暮らしているというのはときめきました。
ああ、そうか。幼女は、恋愛対象にならないからだ。すっかり……(以下略)
他の方の感想で、「ものすごいグロ!」というのを見ていたので、覚悟して読んだのですが、彼岸に住む人の話が最高にグロなのかしら?
何か大根みたいに切れていて、よくよく考えると残酷ですがあまりグロくはなかったかも。
彼岸さんが妖艶で素晴らしいですね!
一番好みな傾向で惜しかったのが表題作、作家と編集のミザリー話と唯一普通に安心して読めた結婚前の話が、好きかな?
で、この作家さん初読みです!という気分で読み始めたのですが、あ、私「耳たぶ〜」読んでました。あまり好みの話じゃなかったので、すっかり忘れていたようです(汗)
受けが女の子だったなあという、かすかな記憶。
もう一冊、読んだ気も(汗)
一度、まとめて古本屋さんにお渡ししてしまったので、多分その中にあった気がします。
気になる作家さんなので、もう少し読んでみようと思いました。