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デビューコミックスということでいいのかな。2011年発表の短編集です。
「神とペン」
ゴミ捨て場で拾う案件。落ちてたのはセーラー服の男。
拾った男(エロ漫画家)は人助けだから命の恩人だからと言いながら朦朧としている男をヌルッと強姦。(←ダメゼッタイ)
…という、え〜…という始まり。
その上、拾われた男は自分が「神様」だと言い出して。
非常に変わったお話で、本当にこの男は神様です。
「まつりのあと」
兄と弟の複雑な愛憎の感情を、7年に一度の大きな祭りの熱に絡めて描く文芸の香りがする小品。
「せめて美しい言葉を。」
元々ノンケの扶(たすく)xゲイの志朗。
扶が留守中に女性を連れ込んだ疑惑で大喧嘩になるが…という話。
ゲイ側の卑屈な思考回路はそう簡単には変わらなそう。この2人、何かというとこの問題でモメるんじゃないかな。
「さすらうよるのながくへラララ」
これちょっとよくわからないんだけど…勝手ながら私的には政宗は生きている人ではないのかな?と思って読みました。
「プリーズタッチヒアトゥオープン」
こちらもちょっと変わったお話。
中3男子の真人。真人の担任・日向。真人の父親でタレントの吉徳(ゲイ)。
血の繋がりのない父子の独りよがりの思いやりやズレた愛情が日向の登場で言語化される…ような話?
頑なな真人のやる気スイッチのお話ともいえますかね…?ここ押してみて?って。
「四次元ラバーズ」
ジャニ系の恋人が欲しい〜!と開けっぴろげな岡田が大学で一目惚れしたのは、韓国人学生のソルジュ。
言葉が通じなくても一生懸命な岡田と、日本のアニメオタクで本当は日本語ペラペラの雪(ソル)ちゃんはこれからですね。
描き下ろしは「神とペン」「プリーズタッチ〜」「四次元〜」のアフターストーリー。
全体にアングラのかほり…を感じました。
◆神とペン(表題作)
セーラー服を着た綺麗な男を拾ったら、神らしい、という王道なようなそうでもないような展開から始まる物語。主人公の岸は、神と大分打ち解けたところでやはり、いつか天界に帰らなければならないということを明かされるわけですが、そこからシリアスな空気になるかと思いきや、なんだかんだ最後までのほほんとした雰囲気を貫いてくれました。短編なので、ちょっとパンチが足りなかったかも。
◆プリーズタッチヒアトゥオープン
父親と息子とその教師と。ちょっと背徳的な三角関係が面白く、印象に残りました。父親の普段の底抜けに明るい感じと、実は息子のことを深く想っているギャップも素敵。そして、父子両方を惑わしてしまう先生も。息子の言動を冷静に受け止めて整理させる先生に痺れました。
万年筆で描く独特な線描、鋭いと言うか荒いタッチの劇画調が特徴の柳沢さんの作品。
この作品は、以前より柔らかい線になっていて、美少年が美少年らしい表情に書かれています。でも、著者は鼻水を書くのが好きで、泣き顔に必ず鼻水が・・。
著者の作品のストーリーは、ちょっと社会風刺な皮肉が入っていて、「僕が君を殺すまで」が最近完結したのですけれど、あの終わり方はないでしょう?・・と泣いてしまった。柳沢作品は、非力な一般人の不条理を感じる終わり方が多いです。
耽美風が著者の好みなんでしょう。(要注意!私はハピエンが好き。)
▶「神とペン」は、rentaの分冊版で、平和そうなtitleの1と5と6話のみ購入。
「神とペン」表題作。
美少年神様とアラフォーの漫画家。ゴミ捨て場のゴミ袋の間で眠るセーラー服の美少年。
家に連れ帰り、漫画家が何処からきた?と聞くと上を指さす。二階か?空から・・といった、ボケの突っ込み合い。美少年は自称神様。
暫く暮らして、漫画家が神様に名前を付けようと言うと、神様は漫画家に告げる
「幹夫、お前 願いとかある? 最後に一つだけかなえてやるよ」
・・・「名前を付ける」が、フラグだったのかな?
とても良い願い事を漫画家が出して、神様は幹夫の命が消えるまで囚われの身ということに。
▶神とペン~プリーズタッチヒアトゥオープン~【分冊版第05巻】
血のつながりのない父と息子。担任に息子が三者面談を拒む理由は「父は変態です」
・・父はゲイ。女性としたことが無いのに、息子が居る・・これが、この話の鍵。
父子で、可愛らしい担任教師を奪い合う物語。平和なお話。
▶神とペン~四次元ラバーズ~【分冊版第06巻】
アニメマニアの韓国人留学生、美少年の雪が好きなタイプは、機動戦士ガンダム』のランパ・ラル。
★6話に1話の続きが納まっています。美少年神様の名前「神さん」になってた!
こういう温かみを感じるストーリー、好きです。柳沢さんの作品にしては、ストレートですんなり納まる展開でした。
初読み作家さんです。
絵柄も作風も好きでした。
全部で6つの短編が収録されていますが、『プリーズタッチヒアトゥオープン』と『四次元ラバーズ』はリンクしています。
ほのぼのとしたお話からシリアスな作品、ファンタジーなものまであって、色々な設定や雰囲気の作品が楽しめました。
一番好きだったのは表題作で、ちょっと不思議なファンタジーなのですが、受け様が幼い子供みたいで可愛かったです。
ほのぼのとした中にも切ない雰囲気もあって印象的でした。
『さすらうよるのながくへラララ』もちょっとファンタジーを含んでいるのかな…。
余りに語られていない部分が多くて想像するしかないのですが、とてもとても切ないお話なのではないかと思います。
はっきりとBLとは言い切れない所もあるのですが、収録作品中では一番想像力を掻き立てられました。
こういう作風は好きなので、この作家さんのお名前を覚えておこうと思います。
最後のお願い、1つだけ叶えてもらえるなら、
「帰るなよ、おねがいだから・・・」
表題作は、ゴミ捨て場で拾ったセーラー服を着た神様と暮らすホモのエロマンガ家のお話。
終始一貫して饒舌な位に描き込まれた絵、
神様が天国を指さす上を「2階?」って返すギャグのセンス、
悪くない。
エチのシーンも、顔にかかった精液とかなかなかエロいし、体つきも好み。
でも、全体に、劇画風の目の小さいリアルな顔立ちとか、細部までリアルな背景とかが微妙な感じで好みじゃない。
この、微妙に好みじゃないっていうのが、感想書くのには一番厄介なのよね。