……伊瀬君、今日は優しいね……

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表題作理系の恋文教室

伊瀬
入学時から優秀過ぎる才を見せ容姿も際立つ学生
春井
理工学部経営工学科のさえないオヤジ教授、48歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学開校以来の秀才にして、学校一イケメンの伊瀬君。
そんな彼がまさかの恋文を書いていることを知ってしまった春井教授は…。
毒舌ドSツン弟子×天然ドジッ子教授の超年の差ラブ!

容姿端麗・成績優秀。学内のあらゆる研究室から引く手あまたの伊瀬君が、なんの間違いか我が春井研究室、別名・
落ちこぼれの避難所にやってきた。おかげで雑用にもたつく私は伊瀬君に叱り飛ばされ、怯える日々を過ごしている。
しかしある日、彼が恋文を書いているのを偶然知ってしまった私は、その奇抜な文章につい突っ込みを入れてしまったのだ。
怖いはずの伊瀬君の初めて見た真剣な顔…。
「教えてください、春井先生」そう言われた私は、うっかり頷いてしまい――。

(出版社より)

作品情報

作品名
理系の恋文教室
著者
海野幸 
イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576111551
3.8

(82)

(30)

萌々

(27)

(15)

中立

(4)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
23
得点
307
評価数
82
平均
3.8 / 5
神率
36.6%

レビュー投稿数23

か、かわいい〜〜〜!

容姿端麗かつ頭脳明晰な生徒(伊勢)とおどおどわたわたな冴えないおじさん教授(春井)のお話。主に春井視点で描かれています。

まずこの二人、めちゃめちゃ可愛い。
春井は、伊勢に言わせると「不器用で要領も悪く、周りの人に合わせるのが苦手で自分の意思を正確に相手に伝えるのも下手」な大ヘタレおじさんですが、この笑っちゃうくらい不器用な姿が可愛くておかしくて。そしてそんな春井を見てつい口うるさくしてしまう伊勢の不器用さも可愛い。
どちらもベクトルの違う不器用さを持っていて可愛いかった〜!!特大の萌えを感じました。

個人的には今年読んだ中でかなり上位に入るくらい好きな作品でした。
48歳のおじさん受けとのことでかなり間口が狭く好みも分かれる作品ではありますが、特別な苦手意識等がなければぜひ挑戦してみてほしいなと思います。

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伊勢の思いを知ってから読み返すと、分かりにくいその優しさが愛おしくてしょうがなく感じます。
春井を放っておけなくてつい厳しい言葉で叱責してしまうところ。いつも傍にいて、困っている春井に手を差し伸べてくれるところ。ときおり優しく緩む目。まっすぐな「さわりたい」という言葉。
読めば読むほど伊勢の愛情が伝わってきて、悶えました。

伊勢の、春井を好きになったきっかけのシーンは特に刺さりました。特殊なシチュエーションでの一目惚れで伊勢の気持ちを完全に理解することはできなかったけれど、伝わってくる気持ちが綺麗で透き通っていて、かなり良かった、、。
そして、卒論の内容からも春井に人としてだけではなく研究者としても惹かれているという様子が伝わってきて、これまた良い。春井は伊勢の人生に大きな影響を与えた人物なんだな、となんだか感慨深い気持ちになりました。

この作品で特に印象的なのは「さわる」描写。伊勢が春井の手や身体にさわる姿からは大切にしたいという思いが伝わってきて、始終ドキドキさせられっぱなしでした。いわゆるという感じではないけれど、一言で表すと甘い、になるのかな。とにかくじんわりと心にくるような描写ばかりで、とても好みでした。

春井は意気地なしなへたれおじさんではあるけれど、考えなしに流されるような人物でもないと思います。伊勢に全てを委ねたかのような発言も春井なりの誘い文句であり、その裏には彼なりの覚悟があるように感じました。
これから起こるかもしれない様々な困難もきちんと受け止め、共に生きていく。春井の覚悟が感じられるラストシーンには多幸感が溢れました。

そしてそして、草間さかえ先生の挿絵もすごく良かったです。伊勢のすらっと感と春井の枯れおじ感の描き分けがめちゃめちゃにお上手で素晴らしかったし、構図も背景も素敵で引き込まれました。

お気に入りのシーンや刺さる描写がたくさんで、久々の大刺さり作品でした。いやあ、出会えてよかった、、。

0

エモエモ師弟愛

おじさま受けはそんなに好きじゃない読者です。
こちら、タイトルと草間先生に惹かれて購入したのですが、
な!な!めちゃくちゃいいお話じゃないですか~~!!
これは、ジャンルを超えて小説好きに推したい逸品でした。

秀才(理系)×秀才(理系)のとことん感情を落とし込んで言語化するコミュニケーションが面白かったです。”恋”という抽象的な感情が、彼らにかかるとこんなにも曖昧さのないw具体的なイメージになるのか~と感心しまくり。文系の私にとって理系への憧れもあるんですけど、うらやましい理路整然…。さらに、理系の研究室で恋文の添削っていう設定がいいっ!!お手紙ってやっぱりいいですね。三段論法と対偶を駆使したラブレター…理系ふたりが”恋”について数学的に論じているエモさがたまりませんでした。印象的だった、”やらせてください”論議。”ふれる”と”さわる”…確かに、”さわる”のほうがいやらしい…!ただ、そんなこと考えたことなかったw 恋を知らない48歳が恋文を添削するっていうなんとも面白くて切ないシチュにほのぼのしちゃいました。

おじさんの一人称小説なのです。これがちょっと古風な情緒を醸し出していて、とてもよいです。エンタメっていうより文芸味が強い印象でした。相手の才能や研究へのリスペクトが思慕へと変わり…、純愛でしたね~。もう、プラトニックでも全然いいんだけど~ってうっかり思ってしまったくらい…後半がなかったら完全に師弟愛の文芸では!?って思いました。(先生、無自覚に伊瀬君頼りすぎで可愛い…”伊瀬君”言い過ぎw)

アラフィフはいろんな意味で厳しいかも…とか腐った脳みそが考えてしまったのですが、30や40のおじさんでなくて、むしろ50近いおじさまが主人公っていうのが、この設定に深みというか説得力をもたせている気がしました。海野先生、お見事です。

0

ふたりのウィットに富んだ会話が好き

受けの40代という設定と攻めとの年齢差に興味を持ち読んだ一冊。
語りは受けの一人称で、ほぼオッサン感はなく、文章だけなら箱入り無垢な清楚系少女のようだった。挿絵のおかげでどうにか“枯れ”に変換できるレベルの乙女思考。なんかずっと「伊勢君伊勢君」言ってたような……。言葉が上手くなくコミュ障気味で、いい年をして要領の悪すぎる生き方をしている。
対する攻めは全然デレないツン9割くらいの才能あふれる大学生。人の感情の機微に疎いのが欠点らしい。

とあるきっかけから伊勢の恋文を添削することになる春井。この序盤で繰り広げられる二人の会話がすごく好きだった。専門分野を理解した人同士だと当たり前のように通じる比喩や専門用語を交えた冗談を言い合うシーンにすごく萌えるので。後半は全然そうした会話がなくなってしまって残念だった。もっとたくさん聞きたかったな。

恋愛部分は特に伊勢が口説いたり何かをすることもなく、春井が一人でぐるぐるしていたように思う。ただ、春井が自覚していなくても少しずつ伊勢の魅力が伝わってくるし、執着攻めの片鱗を見せてくれたりして十分萌えられた。
特に良かったのが、研究内容と絡めて伊勢の段階的な変化を見せてくれたところ。春井視点では分からない春井が与えた伊勢への影響を、こうした形で見せてくるところに小説としての巧さを感じた。
ラストの恋文はベタだがやっぱり涙を誘う、良かった。

春井は最初は50近いならもっとしっかりしてくれと思っていたが、5年前の出来事を綺麗さっぱり忘れているキャラクターでなければならないということで、この年・このキャラ設定になったのかな?と勝手に思った。……違うかな。

BL的な萌えより、人を描き出すエピソードの組み立ての巧さに感心させられた印象が強い。他と比べると詰めの甘い恋文エピソードは最後に力技で締めて隙が無い。
文章も読みやすかったし、海野作品を追ってみたくなった。

2

ありだと思いました

あらすじは皆さん、書いて下さっているので省略。

オジサン受けどうかな~とずっと迷っていました。
表紙の絵も容赦のないオジサンで(ごめんなさい。。。)
ずっと避けていましたが、試しに読んでみました。

恋愛が進むのが遅いのでじれじれしていますが、どちらのキャラも魅力的で最後までサクッと読めました。
ある意味、予定調和、驚きも何もない展開ですが、それがまたよかったり。

オジサンはちゃんとオジサンで(笑)でも、可愛らしいところのある素敵な男性でした。
内面からにじみ出る可愛さっていいですよね。

オジサン受け、苦手な方にもお勧めします。

1

手紙はやはり特別

海野幸さんの作品は初読みです。BLニュース記事の紹介や粗筋を知り、「オヤジ受け」であることははっきり判っていて読み始めました。
ですから、冒頭、気弱でくたびれている春井先生と長身で綺麗で頭脳明晰優秀な伊瀬君が登場しただけで「キタキタ〜!」
そして伊瀬君がパソコンで書いているラブレター!
まあ……なんというか、単に「理系男子」の情緒のなさ、なんていうものでは括れないくらいどうしょもない文章なわけです。
そしてその文に驚いた春井に『どう書けばいいのか教えてください』。
そうか、そういう馴れ初めね!と思いながら読むわけですが、伊瀬君はあまりに優秀で、不器用で気弱な春井先生を見下しているような、哀れんでいるような。そしてそれを肌で感じている春井の方も伊瀬君に対してとても萎縮している。要するに全く恋愛的要素が入ってこない。
春井先生のモダモダした、気の弱い、頭のなかだけのグルグルがなんともまどろっこしい。
一方伊瀬君。こちらも何というか…。春井先生の、無機的なプログラムというものに対してヒトの心理を加味していくような人間性、とでも言うのかな、理系人間の中で一種異質とでも言うべき個性に惹かれているのであろうというのは何となくわかります。でも彼の表現もわかりづらい…。
ずれてずれまくる2人の姿に、これどうなんの?と不安を抱く頃、ようやく、ようやく!
伊瀬君の書いた手紙、凄く良かった…こんな手紙書けるじゃないの!やっぱり恋、なんですねー。
ただ!
ただ。Hシーン……………なくてもよかった…かも…禁句、でしょうか、ね。
オヤジのHだからイヤなんじゃないです。なんかこの2人の物語の新たな始まりは、あの手紙でよかったんじゃ…という気がしてならない。
前半、神寄りの「萌x2」でしたが、Hシーンはぼやかしても良かったような気がしますので「萌」にします。
草間さかえさんの描く春井先生は、これ以上ないくらいイメージぴったりです。

2

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