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雁先生作品にハマって読み進めていますが本作もすばらしかったです。
田中視点で淡々と牛島を見守るストーリーですが、辛く孤独だった自分を牛島に重ねて「かわいそうに」から「かわいい」になっていく。
心の声では文句っぽく言いつつ、牛島を見る目(のアップのコマ)が田中の心(ほっとけないとかかわいいとか)を物語っている。
─君がしあわせになりますように
─つらい思いをしませんように
なんてやさしい(涙)
失恋して泣く牛島「じゃ165cmの55キロでもやっぱり駄目ですか」
その牛島のぶっくりほっぺを両手で包み(萌え)
─かくれてたのか
─はたまた新たに生まれたのか
牛島のうるうる涙目がかわゆく純粋すぎて田中の戸惑いと喜び視点でこう見えているのねと思うとおもしろくてw
「かわいいかくれんぼ」が田中の牛島への恋心であるなら、牛島というキャラがぴったりすぎだし、タイトル回収がお見事すぎだし、牛島のお目目がおとぼけでおもしろすぎて感動やら笑いやらいつもの雁先生作品で胸いっぱいになる現象でたいへんでした。
成長した牛島、いつのまにか学呼びしてるのもいい。
牛島がいつか離れていくのではないかとの田中の不安のたとえが鳥なのもとぼけているのに切なくて好き。
そんな不安や嫉妬を乗り越え、一途に慕ってくる牛島を田中の方が本気で好きになっていく。成長してもぷっくりほっぺがかわいい牛島を捕まえて甘えられたラストが感動的でした。
将棋部というのもミソで家村が田中に勝てない。田中の方がうわて、先が読める人間であるという描写も好きです。田中と家村のやりとりもおもしろかった。
あとツボったのは
・女子「でも家村がヒゲ好きだったら生やせないよ」「植毛だよ」
・─ひとりでどんだけゆとられ世界にいきているんだ
・あとがきの先生の自画像「あれこれかみがたへん」
育成系BLってやつです。最終的に育ての親が翻弄されるのがセオリーだよね。好きです。
ただ28歳で16歳と付き合えるか?無理無理。この年の差でなによりも教師で、いろいろ苦手なんですけど、そこは雁須磨子先生だから楽しめました。楽しめて萌評価なのはすみません、その辺の苦手ポイントによるものです。
教師だからこそ救いたい、救いたいだけだったはずが田中(教師)自ら溺れていく様は良かった。16歳の学(牛島/生徒)の感情の振れ幅は、若さが表現されていて大変好きでした。
それにしても田中先生の本棚、突然人きたらどうするよ。主張が強すぎるよ笑
そら花金も暇だわよ。
◾︎年が下の男
黒田(坂下の高校の同級生の弟の弟)×坂下
甘え上手って言われてますけど、上手ではない気もする。坂下は甘えたがり。年上の甘えたがり好き。同時に年下の世話焼きも好き。幸せが倍増。
【かわいいかくれんぼ】
これは秀逸なタイトルだなぁ。確かにセクシュアル・マイノリティは「かくれんぼ」してますよね。
ゲイだから同類に気づいてしまう高校教師の田中。教え子の牛島が同級生の家村を見つめる視線の熱さにも気づいていて、「(ゲイだということが)ばれちゃうだろ」とヒヤヒヤしているが、一方で何とかしてやりたいとも思っていて…。
田中先生は、ぬぼーとした感じで描かれているんだけどとても優しい人だと思う。自分の居場所を見つけられず孤独に沈み、同性を好きになる苦しさや、傷つけられた経験を恐らく一通り味わってきた人だからこそ、自分を守る術を知らず無防備ともいえる牛島を見てハラハラし
「君がしあわせになりますように」
「つらい思いをしませんように」
と願う。
そして牛島がかつての自分と同じように、周りとは違う、仲間がいない、居場所がない、どこにも属せない、そしてそんな自分を肯定できないといった気持ちを抱えている事が痛いくらいに判るからこそ、自ら自分も同類である事をあえて明かした先生の優しさ。
家村のことが好きだったはずの牛島が、次第に先生のことを好きになるのは当然だなと。やがて牛島に告白されて(告白シーンが可愛いのなんのって)付き合うようになった先生と牛島。
先生が牛島に抱く感情は親鳥が雛を見守っているようなものなのか、それとも同情心なのか、恋愛感情なのか…。
ほぼ攻めの先生視点で進みますが、先生ぐるぐるもだもだしています。
自分を最初のステップ・踏み台にしてもらって羽ばたいていけるように…なんて思っていた先生。
しかし残り8ページくらいになった頃にようやく「ダメだ ダメだ」とついに自分の気持ちを認めるあたりから最後まで、それまでの微妙なローテンションぶりを取っ払ってぐわーっと盛り上がって抱っこしてもらってる先生にめちゃくちゃ萌えました!神っ!!
それと「165cmの55キロでもやっぱり駄目ですか?」と言ってた生まれたてぷるぷるの可愛い子鹿ちゃんがわずか半年間で172cmになって、どんどん攻めに身長が近づいていくというところも好き。思春期男子ってこういう変貌も美味しいです。リバ希望!
この作家さんのお名前は以前から知っていましたが、この作品が初読み作品となりました。
絵柄は特に好みというわけではないのですが、この作品の雰囲気にはとても合ってるかなと思います。
高校生で自分のことでコンプレックスを持っていて大人しそうな子が、一生懸命恋をしている瞳が真っ直ぐで、きっととってもキラキラしているんだろうなぁというのが伝わってきました。
そういうおぼこい生徒を暖かく見守っている先生がとても優しいです。二人が交わす言葉は決して多くないのだけれど、モノローグで気持ちが伝わってきます。
大人ゆえにグルグル悩んでいる姿が結構リアルで、そういう時の指示語を多用する台詞は独特で、少し慣れが必要でした。
割と落ち着いた雰囲気のお話なんですが、コミカルなところもあって時々クスッと笑わせてくれます。
脇キャラもしっかりしていて存在感がありました。
同時収録作品はバイト先での知り合い同士のお話。
年上の男性が好みの主人公が、年下の子から告白されます。
こちらも年下の子が真っ直ぐで頑張ってました。
先生x生徒BL。
ほぼ全編固定CPのお話です。最後に一話、別の短編がはいっています。
エロはなく、ほぼ攻の先生(田中)視点で描かれています。
生徒(牛島)と同じ同性愛者であること、そのことを隠さなければいけない立場、教師という立場として生徒を思いやる気持ちがあることで、生徒(牛島)を本当に恋愛対象として好きなのか、感情の本質がどこにあるのか悩む先生の姿が印象的でした。
表面上の先生の対応は淡々としてるんですが、随所で生徒の悩む姿を見て「かわいそうに」、「ゲイである身での辛い思春期をうまく乗り越えてほしい」「しあわせになってほしい」と願うモノローグが、同性愛者の先輩としての祈りのように響いて、読んでいてグッときました。
「教師である立場をわきまえないといけない」という自制心と、相手を欲する自意識との狭間で闘う葛藤ならば、教師と生徒の恋愛ものではよくあると思うのですが、このお話では「相手の幸せを強く願う」気持ちが、教師が生徒の幸せを願うときのそれなのか、恋愛としてのそれなのかわからないという迷いが描かれています。
恋愛というと、とかく性欲の葛藤とか、エゴイズムが浮き彫りにされますが、相手の幸せを想う葛藤、相手の望むことを叶えてあげたくて思い悩むという、愛のなかでも尊い面がこの作品には感じられました。
つまり田中は教師として教育愛のある人間なのだと思います。
一線を越えるかどうかの迷いも、牛島にとってトラウマにならない相手は誰なのか、真剣に思いやるがゆえに寸止めもするんですが、モノローグでは「面倒くせえな」とか「なにコイツ」とか悪態ついてるところも必死に気持ちをセーブしている先生の葛藤なんだなと思えてほほえましかったです。(あくまで個人の感想です。)
受けの牛島もすごく健気で可愛くて好感持てます。
先生は「先生として」はとてもしっかりした教師然としていますが、実際の性格はかなり受けに甘くてメロメロになってしまう愛情深い人なのだろうなという感じがして、牛島が卒業して晴れて先生と生徒という枷が取れた二人は、とても穏やかで素敵なカップルになるのだろうなと思いました。
あ、サブキャラの家村がいい味出してます☆