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表題作ここにいようよ

陸玄一郎,32歳,カメラマン
真島日和,20歳,鯛焼き屋

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

日和が切り盛りする店の裏の家に、カメラマンの陸が引っ越してきた。一回り年上の陸に甘やかされると、彼の手で撫でられる猫になったような気がして・・・。
猫みたいに甘えて可愛がってもらえたら――そんな甘い思いが詰まったお話。ほんわか幸せ気分に♪
(出版社より)

作品情報

作品名
ここにいようよ
著者
神楽日夏 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625217
3.7

(8)

(2)

萌々

(3)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
29
評価数
8
平均
3.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数3

縁側、猫、たい焼き。全て最高!

江ノ島が舞台の、たい焼き屋さんの話。
主人公の日和は、祖父のたい焼き屋を一緒に手伝って一人前の職人に。けれども祖父が入院したため急遽1人で店を切り盛りすることになった。でも、売れ行きは低迷。そんな時、店にやってきた陸が「うまい!」と言ってくれたことが励みになり、また会いたいと思うように。。。
そんな出会いから始まった2人のお話です。年齢差は12才。
見た目は可愛く子どもっぽく見られる日和だけど、自分の目指す事に真っ直ぐで、実は芯の通ったしっかり者。そんな日和が、陸には甘えてしまうところが可愛い!
陸も、年上だけあって包容力もあり、それでいて自分の弱さも時折見せてしまう!
バツイチなのが残念だけど、それがあったから日和といつまでもいたいって思えるんだよなぁと。

日和の友だちの重い話もありますが、その時の日和の返答が男前で、すごく好きです。
近所の人や猫、風景など読んでいて嫌な気持ちになることがなく、癒される作品です。
自分が今求めていた作品だったからかもしれませんが、神評価を付けたくなりました。
現実の江ノ島とは別物と、あとがきにはありましたが、読み終えると江ノ島に行きたくなります。

2

ここぞと言うときの男前な受けさまに感動します。

久しぶり良いお話を堪能したようないい気分の作品でした。
BLの王道的な話では無く、江の島を舞台にした人間愛に溢れていて
感情が爆発するような恋愛でもなく、精神的に深い所で今後も
穏やかに繋がって寄り添って行くんだろうなと思えるような
心が温かくなるようなほんわかとしたストーリーでした。
恋愛的要素だけ捉えてみると少々ものたり無いと思う事もあると
思うのですが、二人の年齢が一回り離れているのに何故か最後には
二十歳の受け様が凄く男前でカッコよく見えるんですよね。
流石たい焼き職人、地に足着いて仕事してる男って感じです。
攻め様はバツイチのカメラマンで離婚なんかで疲れ果てて
休息を取り英気を養う意味で江の島に旅行に
そこで留守番する子供だと思ったら立派なたい焼き職人の受け様と
出会い、その美味しいたい焼きを食べた事でしばらく江の島に
住むことに、偶然にも受け様の家の裏の貸家で・・・
そしてそこには先住民が住んでいるのですが野良猫と4匹の子猫たち。
空き家だった時は受け様が面倒を見ていたのですが
攻め様は全てを自分の扶養家族として養う事になります。
そこからお隣さんとして徐々に仲良くなって休暇中だからと
祖父の入院で一人でたい焼き屋をやっている受け様の所で
手伝いをするようになります。

攻め様の大きな手で撫でられる事が好きになって行く受け様
その事実と向き合うときの青年らしい戸惑いも分かるような気がしました。
そして自分の将来についても攻め様とのかかわりで何かを見つける。
自分のやりたいこと、好きな事が出来ているのに漠然とした
不安を感じていたり自分の仕事が誰かの幸せにつながってるって
感じる出来事があったりとジンとする内容もあって良かったです。
でも受け様は若いのですが、仕事って何なのかを理屈抜きで
知っている気がしました。攻め様は自分が仕事にのめり込み過ぎて
大事な人を幸せに出来なかった事を悔いているのですが
受け様の一言で攻め様の気持ちを穏やかで安心させるのです。
攻め様がその言葉でどれ程救われているかが分かるような
ラストもじんわり感動してしまいました。

5

自分は誰かの役にたっていますか?

地味だけど誠実で、地に足のついた感じがするお話でした。
本当に派手さはない。
二人ともノンケだし、大きな事件があるでもない。
ともすれば、つまらない。。。と思ってしまうかもしれないけれど、お話が色恋どうのというよりも、主人公達の生き方、みたいのがクローズアップされているから、それがこの作品の魅力なのかもしれません。
また表紙絵の仔猫がひっついてる様がとても可愛らしい♪

祖父の鯛焼き屋を継ぐのだと迷いもせずに、高校を出て進学も就職もせずに鯛焼き屋を手伝っていた主人公の日和。
しかし、祖父が入院してしまったことで、自分一人で店を切り盛りしていく大変さと、ちょっとした孤独と、
そしてその祖父が店をたたもうかと言いだしたことで、今までの自分の進路の選択と情熱はどうなってしまうんだという迷いが生じます。
そんな彼の密かな支えであったり、相談相手であったり、息抜きであったりするのが、裏の家に越してきて、店で集客に困っている時に助けてくれたカメラマンの陸(くが)なのです。

彼等は自分はこれでいいんだろうか?とそれぞれに立場は違えどそういった悩みをもつのですから、それぞれの言葉によって自分への励みになる。
特に日和は、同級生達が次々と地元を離れて行ってしまい、また自分自身の道を昔から決めて進んでいたことから、普通の学生生活をしている彼等との疎外感を感じている。
でも、そんな昔の同級生から感謝の言葉をもらった事で、自分でやっていく勇気をもらうのですが、
自分に自信を亡くした時、上辺だけの言葉より、こうした思いがけない人からの心からの言葉というは何より励みになるのだと、本当は陸より日和の最終押しの役に立ったなwwなんて。。。

陸は小さくて一人で頑張ってる日和が、自分の家の縁側で猫達といるのが、日和も猫みたいでかわいいと思う。
そんな愛玩の気分がきっかけかもしれないが、元妻のトラウマはかなり根深そうですね(涙)

舞台が随分と馴染みのある江の島。
跡継ぎのいない、不景気の波が押し寄せて苦労する地元の様子も描かれていて少し切実な社会情景も背景にある。
日和の鯛焼きはきっとおいしいに違いない♪

5

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