ボタンを押すと即立ち読みできます!
教授ものをなんだか急に読みたくなって、
とても久しぶりに読みました。
菌類学者でも、変わってると言われて
人付き合いをしない博士と、
博士の助手アルバイトをすることになった
学生のおはなし。
学生もまた、マイペースな感じで
独特なんですよね。
実はモテちゃう博士は、色恋目的でくる
女子学生に辟易としていて
最初は無愛想にしていたんだけど
学びに対して真摯な姿勢をみせ
知的好奇心で助手の仕事も楽しむ
学生、岩井くんに対して素になってくる。
その素、が割とスキンシップ多め
だったりするのがくすぐったくて良い❤︎
先生の作品は、植物が多く出てくるんですよね。
初コミックスの今作から既に
豊かな色彩を思わせる、細密に描かれた
植物の世界と、
それに寄せて綴られる
主人公の気持ちの揺れがまた素敵で。
ゲイだとか、そういった性的志向が
先生の作品では
一切語られないのもいいんですよね。
空いていたところが埋まるように
独りで思い描いていたものが
一体何だったのかを初めて知ったように
お互いが半身の片割れであるかの如く
出会って惹かれていくのを
静かに、密やかであるかのように
語られていく、素敵な物語で
私はとても好きです。
菌類学者ということで、
自然採取をする場面から
色々な植物が出てきたり、
そのなかを歩きながら、
岩井くんの室井さんへの気持ちが
植物の世界とリンクさせて
語られるロマンチックなシーンは
特に好きです。
ストーリー自体は、王道なんですけど
いつ読んでも素敵な気持ちになります。
おすすめです。
◆爪先に光路図(表題作)
とても落ち着いた雰囲気で進んでいく物語でした。モノローグの言葉遣いが非常に繊細で、日本語の奥深さを改めて感じました。学者の室田と、バイトで彼の助手をすることになった大学生の岩井。岩井が室田の穏やかさやふとした時に見せる優しさ、豊富な知識で自分の世界を広げてくれるところなどに惹かれていく流れもとても自然で、素敵な恋をしているなぁと思ったり。告白して一旦は距離を置いてしまう2人ですが、今度は室田の方から歩み寄ってくれます。森や星空の美しい景色と共に、優しい気持ちで2人を見守れるような作品でした。
◆八月、夏の底 / 夏来るらし
一番好きな作品です。春彦が亡くなった祖父の家で出会ったのは、こうという少年。彼は祖父のためのお供えとして、山で採ったらしい花や木の実を持って来てくれます。ある夜、春彦はこうの秘密を知ることに。彼は罠にかかったところを春彦の祖父に救われた狐でした。祖父とこうは、お互いのおかげで寂しい1人きりの生活をしないで済んでいた。でも、もう祖父は亡くなってしまいました。嵐の夜でも自分の好きなものを一生懸命集めるこうの健気さが愛おしかったです。祖父のいない寂しさを忘れられるくらい、春彦とこうがこれからたくさん思い出を作り上げていければいいなぁと思いました。
全部で3つの作品が収録されています。
この作品がデビュー作だそうですが…素晴らしいです。
緻密な静物や背景にも感嘆ですが、ストーリーがどれも切ないけれど暖かくてとても好きでした。
『ステラリウム』を読んだ時にも思いましたが、青井さんの作品を読んでいると植物や動物、そして人に対する愛情が溢れているようで、その優しさに心震えます。
この本に収録されている作品もそうで、登場するキャラがとても控えめなのですが、それは相手の心情を思い量ってそうなっていたり、ファンタジー要素を含んでいる同時収録作品では動物が登場するのですが、その動物たちがさり気なく優しかったり。
動物大好きなので、そういうことされると非常に弱い。
どのお話も好きでしたが、一番ツボを突かれたのは『八月、夏の底』。
おじいさんの優しさもそうですが、こうの健気さにもう、涙が止まりません(寝る前なのにどうしてくれる…笑)。
何度も条件を変えて沢山のおすすめ作品を挙げてもらったなか、実際に購入に至った数作品のうちのひとつ。
おそらく、AIにおすすめしてもらわなければ手に取ることはなかったと思います。
世界観が完璧に出来上がっていて綻びがない事に驚きました。初単行本なのに本当に素晴らしい。
細部にまで行き届いた繊細で美しい「絵」を見ているだけでも眼福。
物語として楽しむのはもちろんのこと、画集のように眺める楽しさも併せ持つ稀有な作品だと思います。
3作品が描かれています。
そのどれもが精神性が高く、肉欲とは別次元なところで展開されているためかBLというよりも一冊通してある種のおとぎ話を読んでいる気分で読了しました。
ファンタジーとリアルの境界が揺らぐ感じや、本から流れ出る湿度、温度、色彩が心地よい作品でした。
そして評価は「萌え×2」としましたが、5つ星判定であれば、星4つです。